八木ちあき(やぎ ちあき)

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作風概説

 絵はやや表情が平板な感じだが独特の味があり、学校生活の雰囲気を非常にリアルに醸し出す。

 ストーリーがとてもきっちりしていて家族、友人など因縁が絡む複雑な人間関係が得意。
 状況設定と感情描写、会話が上手い。

 普通は類型的なちょい役になる友達の個性、意地悪役や嫌な先生なども含め、キャラクターの造形は見事。


代表作

88〜90「おもちゃ箱革命」単行本全五巻。
 入試に遅刻し、一科目ふいにしたのに見事合格した園子ちゃん。でも成績順クラス分けで最低のKになったのは仕方がない。
 その入試の時に大笑いしてくれて、その後彼が落としたボタン(実は第二)を拾った拓実くんはAクラスで、その後も不思議と縁が切れない。でも彼には中学からの彼女、同じくAクラスの江口さんがいるみたい。彼女の友達がKクラスなのに拓実くんにまとわりつくように見える園子ちゃんを煙たがるけれど、その園子ちゃんがテストで学年三位になる!
 さらに事故で一学期を休学していた拓実くんと双子の達矢くんが復学、K組に編入したり大変。
 成績順クラスの重圧の中、多くの魅力的なキャラクターを巧みに動かした素晴らしい青春群像。
 低音として拓実、達矢兄弟の確執が話の中心になっていく。
 園子ちゃんが自分の気持ちに気付くのが異様に遅かったのが楽しい。

94〜95「メリーゴーランド」単行本全三巻。
 今度新しく来た担任の先生はるかちゃんの家は二世帯住宅で、開いている二階部分に引っ越してきたのはお父さんと再婚した新しい母の弟で、しかもブルマ泥棒と間違えて水をぶっかけた人。
 でも、その先生と同棲していると噂になってしまって、意識するように。筆者が知る限り「なかよし」では始めての教師と生徒がうまくいってしまう禁断のラブストーリー。

98「桜咲くころ」
 母に行くことを禁止されている桜ヶ丘公園。でもそこには昔迷子になった時、慰めてくれた男の子の思い出があった。
 落とした財布を拾ってくれた人がその子、あわてて探し、コンビニのバイトをしているのを見つけたが、彼は極端に無表情で冷淡。その事を聞いた母はなにか慌て、その翌日母とその人になにかあったらしく、コンビニも辞めている。泣いている母の手に見つけた写真には!?

98「流星物語」
 同窓会。二年ぶりにかつてのなかよし三人組、菜津ちゃんと広海くん、星児くんが顔を合わせることになる。昔、流星群を見、そして陸上の大会で応援に行く、かなわなかった約束が思い出される。
 練習のため星児くんが靭帯を切ったせいか、広海くんも陸上をやめたらしい。その怪我の時に菜津ちゃんは広海くんに告白して、同窓会でのその前後の話がどうも食い違った。その直後広海くんと星児くんが殴り合いを!
 複雑な三角関係を時の流れと合わせて後味よく描いている。


今までの実績、現在の地位

 80年年代後半から90年代前半にかけて中心的な本誌レギュラーだった。


個人的な感じ、思い出

 複雑なストーリー、キャラクターの魅力、伏線と因縁の上手さは見ていてはらはらするものだった。

 最近昔の作品を読み返してみたが、さすがに名作ぞろい!今こんな作品は見られないのでかえって新鮮に感じた。