渡辺留衣 (わたなべ るい)

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公式サイトあり、リンク


作風概説

 少しとがったアゴの線、長めの首、独特のゆがみがとても強い印象を与える。全体に強い光があり、あるかなきかの炭酸とアルコールと渋み、暖かい甘みを感じる。
 細すぎるぐらい細い体の線、やや唇を強調することもある口元の表情の豊かさもいい。服のしわがとても強調され、それが表情や動きを大きく引き立てている。
 華やかな明るさと、自ら光るハチミツのように染み出る色香が絶妙なバランスをとり、時々強く惹きつける。
 柔らかさと技巧、テーマを繰り返してしっかり強調する力など総合力がとにかく高い。

 キーアイテムの使い方もうまく、ギターの描写も丁寧。複雑な思いがまっすぐに出ている。
 極端なギャグ絵も楽しみやすい。
 言葉にならない魅力、独特の明るさがある作家。


代表作

2008「1/2(にぶんのいち)
 ライブで投げられたピックを手に入れたアキは、それを半分に割って天野にくれた。
 このときは、天野はあたしの恋うまくいくかも、と簡単に考えていたが、アキは加奈に夢中…加奈もアキが気になるみたい。
 二人とも半分こしたピックを手にしていることを知り、バンドの話が出来ることも嬉しいと彼が言ってくれて…でも彼はピックをなくし、それがきっかけで加奈と近づいてしまう…

2008「放課後はロッキン!」
 中学のときのバンドで裏切られ、ギターは好きだけどそれが心の傷になっている真希ちゃんが、クラスメートの悠が置いていたギターをいじったのをきっかけに彼のバンド、ムジカに誘われた。断ったけどそのはずみでギターが壊れ、半ば脅されるように引き入れられた。
 バンド自体は楽しいけれど、やはり前の傷が深く…そんなとき、ムジカの前のギタリストが現れて…

2009「スイート×ペイン」
 幼馴染に告白したら、困った顔をしたので冗談とごまかしたら彼女ができた、といった…
 傷心の梨央ちゃんの前に出てきた、お別れ会の幹事のパートナーになった人気者のトモくんが、ウソの笑顔はやめろと攻めてきた。

2011「スイーツ・ハニー」
 洋菓子店ベリーベリー…いちばんのおすすめは、パティシエの槙和哉さん!
 店の娘吉田美緒ちゃんは彼が大好きで、いつもおいしいお菓子ももらっている。
 まあ学校ではクラスメートの北川くんにいろいろからかわれたりしているが。
 いい気分で帰ってみたら、槙さんに美女が抱きついていた。製菓学校の同級生だったとか。
 それでやきもちを焼かせてみよう、と北川くんを偽装カレシにして…

2013「机」
 席替えで一番後ろの特等席、と思ったら机が壊れていた仁菜ちゃん。替わりの机を探すと、古い机しかなかった。
 新しい席、前の席の女の子は長い黒髪が素敵な子、西村雪乃ちゃん。
 新しい机でうたたねしたら、いじめで手を机に釘で打ち込まれる夢を見てしまい、目が覚めるとそこには髪の毛が絡んだ釘があった。
 ある日、友だちに西村雪乃という名を出したら、幽霊の名だと…


今までの実績、現在の地位

 割と出る。とうとう読みきりで本誌登場!


個人的な感じ、思い出

 切れがすごいし、話全体もすごくいい感じがする。
 この組み立ての巧みさで、サスペンスのような要素もある話や家族や友情などの話も書いて欲しい。より古典的な、普遍性のある話を描く潜在能力はあると思う。