やってみてほしいこと

「なかよし」もちろん「ちゃお」「りぼん」でも、挑戦してみてほしいことをいくつかあげてみます。

ハリポタ 翻訳マンガ 民話、伝説 悲喜劇 宝塚 冒険、時代小説


「ハリー・ポッター」この超大人気シリーズをコミック化することに成功すれば、その価値は計り知れません。
誰にできるでしょうか?やはり原作ものでは定評があり、イギリスとの縁も深いあゆみゆいでしょうか。それとも圧倒的なアクションの表現力を誇るえぬえけいでしょうか。

他にも「ダレン・シャン」や「ゲド戦記」「時の車輪」「マジカルランド」「ホビットの冒険〜指輪物語」など、ファンタジーの名作の完全コミック化も見たいです。
外国作品だけでなく、日本の…いや、「ズッコケ探検隊」シリーズなど、児童小説の名作のコミック版も。


また、ホラーやミステリーは今の「なかよし」からはほとんどなくなっていますが、決して子供たちは関心を失っていないと思います。
それは「名探偵コナン」など探偵もののアニメ、コミックが今も売れていることからわかります。

でも、従来のような作家オリジナルでは限界があるなら、思い切ってミステリー、ホラーの古典的な名作をコミック化するのはどうでしょう。「ゴーストハント」もある意味それであり、成功を収めています。
読書家の子供でなければ意外と、現在ある作品の土台になっている古典的な名作は読んでいないものです。
読んでいるとしても、本格的なコミック版はそれはそれで面白いと思います。

例えば、アガサ=クリスティー作品をコミック化することはできないでしょうか?
試しに「愛の探偵たち」など短編から始めて、「そして誰もいなくなった」などの傑作、そしてミス・マープルやエルキュール・ポアロなど名探偵が出てくる推理小説の楽しさをたっぷりと。
忠実に全部やろうとすれば、何十年でも続けられると思います。
問題は誰がやるかです。今なかよしにはホラー・ミステリー専門作家が実質的にいない状況です…
新人に挑戦させてみるか(ただし実力がない作家だと原作ファンが怒るでしょう)、本誌経験者では永遠幸か恵月ひまわり、安藤なつみが適任かもしれません。
個人的にはあしざわ深花の手でコミック化して欲しいです。
もちろんイギリスの制度、文化、風俗、歴史などについて相当な知識が必要になります。その意味ではあゆみゆいもいいかもしれませんね。

ディック・フランシスの競馬シリーズ(馬を描くのが得意な水上航でしょうか)も面白そうです。
多くは男性が主人公で、女の子が感情移入するのが難しいのが欠点かもしれませんが。

他にも多くの内外のミステリーで、少女に人気があるものをコミック化できればとても面白いでしょう。


日本や世界の民話、伝説のコミック化もぜひやって欲しいです。

確かにそれはある程度ありますが、子供向けのを好きな人が読むという感じです。相当部分の女の子に広く読まれている「なかよし」で様々な地方の民話を一つ一つ紹介してくれたら、子供に人間としての一番深いところを伝えることにもなりますし・・・

現在のメンバーでは藤森幹、永遠幸、笹野鳥生、征海未亜らが適任でしょうか。他にもたかなしvしずえや湖東美朋のような幼児向けの絵の持ち主がやってもいいと思います。


ある意味民話、伝説にも関係しますが、ギリシャ悲劇やシェイクスピア悲劇などをそのままコミック化することはできないでしょうか。もちろん喜劇もいいです。
古典教養であり、最も重要な文芸作品であり、人間の真実を深く綴った「オイディプス」「リア王」などの悲劇や「じゃじゃ馬ならし」などの喜劇、また「イリアス」「オデュッセイア」などの壮大な英雄叙事詩・・・えぬえけい先生にぜひ挑戦して欲しいです。
いや、悲劇ならラブロマンスの一番の基礎になる「ロミオとジュリエット」があるじゃないですか!

また、それ自体が一つの叙事詩でもある歴史そのものもやって欲しいです・・・「ローマ人の物語」を丁寧にマンガにしたらどれほど素晴らしいでしょう。もちろんローマだけでなく、日本や世界の・・・


これもぜひやって欲しいのが、「**リーのマザーグース教室」です。
あゆみゆいの傑作「チム・チム・チェリー!」はイギリスの子供部屋(ナーサリー・ルーム)を舞台にしています。
それだけにイギリスではナーサリー・ライムと呼ばれるマザーグースと深い関わりを持ち、第三話や第七話で活用されています。

英語教育において、マザーグースは非常に重要にもかかわらず僕が受けてきた公立教育では全く触れられることはありませんでした。でも、マザーグースを知らなければ、クリスティーはもちろん「アリス」さえ十分に楽しむことはできません。
そして本来英語などは韻文が本質であり、それを最も親しみやすく伝えられるのがマザーグースです。

「チム・チム・チェリー」自体をベースに、チェリーがメグリズと共に小さなロッテにナーサリー・ライムを歌ってあげ、それをメグリズが色々聞いたり一緒に歌ったりし、ロビンが解説したり日本語に訳したり……
また、マクレガー家を去ってからのチェリーやシェリー、キャリー、キャミィが小さい子供に歌ってあげたり「五匹の子豚」などで遊んであげたりするのも素敵だと思います。
もちろん魔法を使って、歌に描かれた世界を絵で描くこともできるでしょう。

そのコミックスに、マザーグースそれ自体を吹き込んだCDがついていればもっと素敵です!

子供にとって楽しいイメージの世界を広げ、同時に英語の勉強にもなる…一石二鳥で最高です。
絶対実現して欲しいです!


少女マンガと宝塚歌劇が深い関係があることは確かです。宝塚史上最大のヒット作、「ベルサイユのばら」は少女マンガの大ヒット作を原作にしています。
ただし、宝塚歌劇と「なかよし」「りぼん」「ちゃお」は年齢層の関係か、ほとんど関係はありません。

でも、宝塚でかつて上演されたオリジナル作品や宝塚の題材になるような歴史もので、「なかよし」のレベルでも充分楽しめそうな作品は多くあります。あの構想、作品の宝庫を無駄にすることは愚かしいことです。
かつて「宝塚グラフ」で掲載された宝塚作品の少女マンガ化も好評でした。まだ宝塚と少女マンガの融合には可能性があるはずです。舞台化とは逆に、宝塚オリジナルの作品をコミック化するのはどうでしょうか?
最近はなかよし読者の年齢層も幅が広くなっており、基本的に主人公が十代後半から三十代である宝塚作品もそれほど違和感なく受け止められるはずです。

まず「哀しみのコルドバ」「うたかたの恋」など美しい舞台を持つ悲劇から挑戦してみてはどうでしょう。高瀬綾の「琥珀色の雨に濡れて」など、どれほど素晴らしい雰囲気になるか・・・想像しただけでぞくぞくします。えぬえけいの「二人だけの戦場」も凄いものになりそうです。


また、学園少女マンガでありながら宝塚を題材にすることも不可能ではないでしょう。

例えばこんなストーリーはどうでしょうか?始まりは共学高校の入学式。
新入生の主人公は幼時からバレエや声楽のレッスンを受けているかなり可愛い女の子で、普通の青春を夢見ています。実は歌もバレエも相当いい線にいっていますが、そちらのトップを目指す気はあまりありません。

そして入学式の後、主人公は忘れられない二人の美少年がテニス勝負をしているのを見かけます。
一人は173cmぐらいですらっとした顔の彫りが深い美形で、もう一人は非常に軽い感じで180cm近い長身です。
実は、どちらとも以前会って励まされたり助けられたりしたことがあります。一年前、転んでカバンをぶちまけてしまった時に助けてくれた173cmのほう、そして少し前にバレエの発表会の後舞台を観たとナンパされ、かっこいいと思ったもののタイミングが悪くそれっきりだった180cm。
両方そのテニスコートが初対面で、どちらも素敵とぽ〜っとなる形でもいいですね。

で、実は173cmの彫りが深い人は・・・ジャージだから分からなかった(前に会った時もジャージでした)のですが、新入生女子でした。

勝負が軽い男子の勝ちで終わった時、主人公もその軽い男子に誘われます。その誘いは「君ら二人、宝塚に入らないか!?」でした。
実は長身女と軽そうな男子の勝負も、入学と同時に長身女は運動部に大量勧誘を受けていたのですが軽い男子もその争奪勝負に加わり、優勝してしまって最後に本人との勝負に挑んだということです。

軽そうな男子は実は大の宝塚ファン。だからこそ、トップ男役になるために生まれてきたような長身女子と、バレエをたまたま見て惚れ込んだ主人公女子に宝塚に入るよう強く勧めます。
二人ともあまり宝塚について知らないので、あまりその気はないのですが彼に連れられて公演を見てしまい、はまってスターを夢見るようになって・・・

宝塚に入るためのレッスンも面白いですが、その三人自体がトップ男役(長身女)、トップ娘役(主人公)、二番手男役(軽そうな男子)としていいポジションになっていますから様々な宝塚の名場面を、クラスメートの妄想の中や三人で入った演劇部で再現してみる、というのも面白そうです。
これは僕が実現できなかったからですが、合唱コンクールの自由曲で「心の翼」などの名曲を合唱するのも素敵でしょう。
そしてもちろん三角関係・・・といっても軽そうな男子と二人の女子、という形だけでなく、それが進行しつつ主人公の中では女子とはわかっていてもあまりにかっこいい男役に揺れる気持ちも否定できない、という少し倒錯的な匂いが合っても面白いと思います。


せっかく講談社全体に「問題提起シリーズ」を始め社会派路線があるのですから、なかよしでも思い切った社会派リアルストーリーを出して欲しいです。例えば「性」。

と思っていたら、「ちゃお」が「こっちむいて!みい子」でかなり高度な性教育をやってしまいました。
もっときちんとやる意義はあると思いますが…完全に先を越されましたね。

ちゃおやりぼんは、なかよし以上に性的な表現にオープンです。なかよしもそれに遅れるわけにはいかないでしょう。なかよしでももう増刊では「セックス」と言う文字は解禁されています。
でも、ただ読者サービスとして刺激のために安易に扱うのは未熟な少女たちにとって有害、という批判があります。だからこそ、正式な性教育と同等の内容を含み、その危険性と尊さを感動と共に知ることができる作品があれば、その後はある意味大手を振って性的な描写の規制を崩せるでしょう。同時に少女たちの健全な育成に協力することは、なかよしの使命でもあるのではないでしょうか。
僕は「健全」=「性的に無知、無垢」であるという「寝た子を起こすな」的な青少年健全育成には反対です。現状では普通に学校に通わせている限り、十歳頃にはもうある程度性的な情報に触れると思った方がいいでしょう。その前に正しい理解がなければ、アダルトビデオに代表される避妊の概念がなく強姦の邪悪さを理解しないゆがんだセックス観をつけてしまい、将来非常に危険です。
…ということを、「ちゃお」編集部はよくわかっていたということです。拍手するほかありません。

構成として、三つの案があります。

  1. 各話は独立した別の作家による読みきりで、全体として一連の話に。これだと今ほとんど出番のないメンバーをうまく使うことにもなります。
    「生理、第一次性徴、初潮」「セックス」「妊娠、中絶、避妊」「性感染症」「出産」「体と愛」「援助交際」の順がわかりやすいでしょう。
  2. 連載として、中三から高一くらいまでのカップルを中心としたストーリー。新井葉月が最適任と確信します。その友人や家族のエピソードも加えれば、初潮から出産まで広い範囲の話題を扱うこともできるでしょう。
    1. 主人公カップルの馴れ初めの回想に主人公の初潮を用いて、同時に生理に関する解説も。
    2. 主人公カップルがセックスについて、段階ギャップによるトラブルになり、姉や保険医に相談して。
    3. 先輩の妊娠事件から妊娠、中絶、避妊の問題。
    4. 主人公カップルが性交の後ささいな不調を感じ、エイズだと勘違いしてトラブル、性感染症について。
    5. 主人公の姉の出産に立ち会って、生命の尊厳を。
    6. 生と心そのものの深い関わり、ちゃんと心のあるセックスの本当の喜びと人間の尊厳。
  3. 「恋愛向上委員会ジューシーフルーツ」の特別企画として。当然有沢遼。いつもの延長で読者アンケートを活かし、読者エピソードやユカが体験したトラブルを。

多分無理でしょうけど、話題性はあると思います。


 あと、ぜひ少女たちに触れて欲しい(コミック化して欲しい)作品の宝庫として、冒険小説と歴史、時代小説をあげておきます。

 冒険小説は基本的に少年が主人公ですが、少女を主人公とした作品もあります。また、男主人公の「ゼンダ城の虜」「ソロモン王の洞窟」なども少女が読んでも十分楽しめる作品です。

 そして歴史、時代小説でも、少女でも楽しめるものはあります。特に藤沢周平や山本周五郎作品は非常に親しみやすい作品ですし、捕物帳もミステリーの延長で楽しめるでしょう。
 講談や歌舞伎の題材を女子主人公に翻案するのもいいと思います。悲劇から冒険、ホラーまで様々な題材があります。

 他の文学作品も、意外な宝の種が眠っているかもしれません。児童書を含めた図書館は広いのです!

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