海野つなみ(うみの つなみ)

戻る もえるごみへ ほーむへ


作風概説

 透き通った感じの、さわやかで冷たいタッチ。でもどこか、鉛ガラスのような重い感じがする。楷書体の正確なデッサンで、ギャグシーンでもあまり崩さないがユーモアも豊か。
 心に残る、不思議な暖かさを秘めたストーリーと、軽妙な会話が醸し出す大人のムード、すっとぼけていてどこか切ない空気がとても印象的。


代表作

93「西園寺さんと山田くん」単行本全一巻。
金にうるさいのに食いしん坊の西園寺さんがある日、学校一の金持ち、山田くんにつきあってと言われる。それも色恋ではなく、山田くんの家は最近成金になって富裕だが、その名字の地味さが嫌なので、いい名字をもらいたいからとのこと。でも毎日A定食やデートでのおごりを餌に、あっけなく承知する事に。そんな時、山田くんを好きな勅使河原さんが割り込んできて・・・かなり長期計画で楽しめる、大人っぽいあっさりとした恋愛。

96「SWEETS」
ココアをきっかけに好きになった古賀くんに、ふざけて出すつもりのないのに書かされたラブレターがその古賀くんに拾われた。幸い相手の名前はなかったけど、それから目が合うようになって。「やさしくしてくれてありがとう」この一言が限りなく深く心に残る。

96〜98「彼はカリスマ」KCアミで単行本。
一春生(にのまえ はるお)、こそカリスマである。その理由はその独特の存在感、声のよさ、そして予知夢と言う特技。それに加えて美貌と長身など、その完全さと圧倒的な力に逆らえるものなどおらず、全ての人間を無条件かつ絶対的に心服させている。ただ一人、「運命の相手」と言う名の奴隷、山本珠美を除いて。意地悪や暴力など、かなり鬼畜でありつつそれを不思議と納得させてしまう、圧倒的な魅力を放っている。


今までの実績、現在の地位

「なかよし」本誌連載経験があり、その後も一年に一度は良質の読み切りで登場していた。

「Amie」に移り、素晴らしい作品を描いていたが「Amie」の廃刊以降活躍の場を移したようだ。
KC Kissで「デイジーラック」(全二巻)などが出ている。


個人的な感じ、思い出

 ストーリーの深さ、独特の重さは読みごたえがある。現在の活躍も嬉しいが、その力を「なかよし」で活かしきれなかったのは残念。