鳥海ペドロ （とりうみ ぺどろ）
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作風概説
強烈なブランデーに蜂蜜だけ入れたように、恐ろしく濃厚で甘くアルコール度数が高い。ガラスとプラチナを流して絡めたような、飴細工のようなぬめる輝き。
白く浮かせたり大きく動かしたり、舞台演出を思わせる演出上手。
服が非常に高精度でいろいろなコスプレがピシッと決まる。
ストーリーはストレートで、ややお色気も熱血もありの盛りだくさん。
常に神話的な規模を感じさせる…神々がいる話でも、あるいは超金持ちを主人公とした話でも。
魔物の描写がとんでもない。恐ろしく崩れた、細かく圧倒的な迫力。
人間の怪物も巧みに描く。権力と暴力をいろいろな意味で理解している。
代表作
2010〜12「甘い悪魔が笑う」単行本6巻まで発売中。
隣の男子校のイケメンを見つめているハルルちゃんだが、バカお嬢様学校は名門男子校に見下されている。
知り合えたらいいな、と思って、両親とも忙しいので寂しい家に帰ったら、一人の少年が訪ねてきた・・・あの人？
母親からの電話で、なんと彼の親の会社が潰れそうなので援助することになったけど、ただ借りるのもなんだからと彼が執事として働いてくれることになった、と…
さらに彼のサドっぷりに振り回されつつ馴染んでいくけど、彼に悪評が立つのを聞いてある決意を…
熱いパワーがほとばしり、抜群の完成度ですっきりまとめた期待のデビュー作！そのまま半ばシリーズとして続編が読みきり掲載。
2013〜15「百鬼恋乱」単行本全七巻。
卯の花ココちゃん、15歳は犬が大好き。もう一つ人と違うのは、人ではないものが見えてしまうこと…
その魔物を、「朝からうっとーしんだよ」と殴りつけた、和服で街灯のうえに飛び乗る黒髪の男子、零（れお）と白い男子、十（とあ）。
その、零のほうがいきなり、ココちゃんの首筋にキスしてきた。
さらに学校に着いたら、朝見た黒犬はいるわ、さらに零と十が転校してくるわ…
そしてその、誰か運命の人を探しているらしい二人は、悪霊化した犬の妖怪に襲われたココちゃんを助けてくれる。
だがココちゃんはあくまで犬に同情し、そしてひきずりこまれるが、そのまま闇を浄化する…「まさかこいつが唯一無二の？」
2015〜19「黒豹と16歳」単行本全６巻。
高校生になったら、素敵な男の子ととびっきりの恋をするの…そう決意して上京してきた高千穂たいがちゃん。
彼女が見かけたのは、廃屋となった洋館で倒れている黒い青年だった。
つい窓を割って助けようとしたが、彼は床の冷たさを楽しんでいるだけだった。
そして彼に屋根の上まで連れ出され、町を見せてもらったり、花火を見たり…
しているうちに、彼は突然激しくキスしてきた。
翌朝、怒りに満ちた転校初日の彼女が見かけたのは、四人の絶対君主…その一人は、あの男…
彼はさんざんからかって、「ぼくきみのペットになったげる」と言ってきた。
2019〜「蝶か犯か」
ホテル業で金持ちのお嬢さま、宝生みうみちゃんは微妙にいろいろ諦めている。
それが突然拉致され、たと思ったら拉致した車に後ろから別の車がわざと追突。
とっさに体を守って無傷だったが、追突した側の車の極道が風呂に入れて全身くまなく無傷かチェック…すべて自分で確認するらしい。
全国の極道に殺せという手配が回っているらしく、守れば100億という依頼を受けたから人質だ、と。
今までの実績、現在の地位
本誌デビュー、デビュー作の続編も本誌読みきりとして掲載、そのまま連載決定と徹底的な特別扱いで本誌レギュラーに。桁外れの実力の持ち主で活躍期間も非常に長い。
個人的な感じ、思い出
実力的にはとてつもない作家、もっと広く評価されていい…現状は明らかに編集が仕事をしていない。
「なかよし」での作品は、本来の才能を生かしていないと思う。
本来は、怪物とその激しい恋愛を描くこと、コズミック・ホラー水準のスケールや、人間がやらかした桁外れのおぞましい事象に特化している作家だが、常に比較的小さいスケールの恋愛ものばかり描いている。
『神曲』、『エゼキエル書』、夢枕獏作品、クトゥルー神話など宇宙的な規模の話や、人類がやった史上最悪の虐殺拷問の地獄などをコミック化する、またはCLAMPのように優れた原作者とチームを組み『聖伝（リグ・ヴェーダ）』のような作品を創る方向に進むべき。
当然「なかよし」以外の媒体で。