田中美穂子(たなか みほこ)

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作風概説

 表現が鋭い。絵がやや荒いが力強く、少ない線で多くを表現できる。
 強く個性にこだわり、最終的には恋愛になるものの、それを超越したような人間と人間の、個性そのもののぶつかり合いと共感を巧みに描く。

 服のセンスがとてもよく、無駄を削ぎ落としているのに現実感が強い。


代表作

96「未来は手のなか」
 制服なしの学校で、いつも服を自作している未来。でも、自作の事は内緒で、行きつけの手芸店の息子、森永くんにもおばさんが作ってくれた、とごまかしている。そしてできれば森永くんに服を作りたいと思っている。
 でもついに自作していることがばれてしまって!個性の本質を斬新な視点から鋭く描いた作品。

98「ステディ・スタディ」
 伊東阿也は学校が嫌い。自分の個性を押し殺そうとする学校、スカート丈等から軽いと誤解する周囲、捨て猫をかまっていて冷たい言葉をかけた事のある担任、全部気に入らない。
 でも留年警告をされ、追試のための補習を。学校と個性のぶつかり合いを、そしてその中で人を信じる心を取り戻していく過程をはっきりと無駄無く描き出した佳作。

98「スウイートをあ・げ・る」
 お料理部のくるみちゃんはクリスマスケーキ作りを楽しんでいる。でも、小林くんがそれを突き返した。
 それでなんとか受け取らせようと意地になったくるみちゃんがある日、自分の家のケーキ専門喫茶店に食べに来た小林を目撃。弱みを・・・ではなく、受け入れる。とても純粋な気持ちを上手く表現している。


今までの実績、現在の地位

 作品の量は少ないが、独特の質を持つ。「るんるん」廃刊後も登場したが、残念ながら「なかよし」から引退したようだ。


個人的な感じ、思い出

作品の中身が濃いのだが、あまりにそっけない、簡潔な表現で理解するのが難しかった。じっくり鑑賞することが必要だと痛感している。