遠山えま (とおやま えま)

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作風概説

 かなりオーバーアクションが多く、目などにオパールのような感じがある。
 細かいところもかなり丁寧に描いている。安定した感じではないが、時々はっとするような美しさも感じる。
 やや線が太く、それでいて鋭い光の流れがある。

 全体にジントニックのように辛味が強く、鋭い輝きがある。
 表現力の高さ、光と空白の扱いのうまさは特筆すべき。圧倒的な量の画面情報をきっちり構成する。ただし大人の目にはどこかエロゲっぽさがあるが…
 チビキャラの可愛らしさも魅力的。

 芸風が幅広く、多くのギャグを使いこなせる。
 ストーリーもうまく、印象的なシーンの演出もできる。

 成功報酬が大きく難易度が高いことばかりする。


代表作

2003「天使のタマゴ」
 コウノトリが落としたタマゴがそのまま学校の飼育小屋に。 次の日の朝、今日こそ勝木くんにラブレターを渡すと決意した飼育係の苫井沙代ちゃんが、結局渡せず翌日タマゴを拾った。ら、いきなり「ねーちゃんがオレの親(パートナー)ってわけだな」と小さな手足が出ていて顔があり、ハートマークに太い明朝体で「愛」と書いてあって線の手足まで出ている変なタマゴに声をかけられた。愛の力を栄養にするタマゴのたま吉を、勝木くんも一緒に育ててくれることになって…二人は接近していくが、スローペースにイライラしたたま吉がラブレターを届けようとして、別の下駄箱に入れてしまった事から誤解が…
 ストーリーそのものはスタンダードだが、何か全く別次元の印象もある。二人の気持ちの成長をタマゴの個性と共にきれいに描いている。

2004〜5「ゴックン!ぷーちょ」単行本全三巻。
 小学校卒業式、雨宮くんに告白したら「キミだれだっけ?」と見事に玉砕したカフェの娘、まゆちゃん。
 そして中学入学、忘れてすっきりと思ったら同じクラスで隣の席、さらに彼はまだ容赦なくカッコいい。
 小学校入学式のときの優しい彼を思い出すと切なく、手のコップに涙が落ちた…するとなぜか中身が七色に。飲み干してしまったらとてもまずい。
 で、突然変な小さい女の子が出てきた!それは飲み物の精霊ぷーちょ、さっき飲んだジュースは彼女が作っていた成長のための魔法薬だった。
 信じられない彼女は気分直しに牛乳を飲むが、するといきなり巨大化してしまう。精霊用の魔法が変に暴走し、何かを飲むと変身するらしい…
 一途というかゆがんでいるというか、妙な恋心と乱暴な精霊がどう動くか、楽しみな新連載。

2005〜7「ママコレ」単行本全四巻。
 とある無人島で発見された、丸い饅頭に目鼻を描いただけの新種ペット「ベビー」が今大ブーム。
 クラスで持っていないのはタマエちゃんと陽介の幼なじみコンビだけ。
 ある日、川に流されていた珍しい白ベビー三匹を助けたけれど、厳格な教育ママは一度ベビーを捨て、そして次のテストでどれか百点という厳しい条件を出した。
 また、そのベビーには何か不思議な力があるようで…
 家族のつながりやベビーとの絆など、いろいろな要素がこもった熱い傑作。
 扉に毎回パンチラがあったのも特徴。
 陽介とくっつく前後のラブコメ展開は死ぬほど甘く熱かった。

2007〜8「ココにいるよ!」単行本全五巻。
 隅乃ひかげちゃんは極度に存在感がない。名前も覚えてもらえないし、かくれんぼでは忘れられ、レストランでは注文を取りに来てもらえない、某念能力を年中使いっぱなしにしているような生活。
 中学入学のときも運が悪く交通事故で入院して入学直後のタイミングを逃し、以下そのまま。
 ただ、家でやっているブログではいろいろ励ましてくれる人もいるんだけど…特に「KUROうさぎ」さんの言葉が大事な支え。
 ある日学校で、対照的に存在感にあふれ輝いているのが輝くんと日向くんとひょんなことで近づき、日向くんはなぜか名前を知っていてくれた。
 それで積極的になろうかな、と思ったけれど…
 ファンタジー系を一時封印、とにかく表現力を爆発させた衝撃作。敵役の邪悪さがすさまじかった。

2009〜15「わたしに××しなさい!」単行本19巻。
 恐ろしい目の迫力と手の冷たさで、幼馴染の晶くん以外誰も寄せつけない雪菜ちゃんは実は人気のケータイ小説作家、ユピナだった。
 人をいつもにらむのも執筆のための人間観察。
 彼女の目からは、みんなの人気者の時雨くんは同じ物腰・同じ笑顔を固めているつまらない人間にしか見えない。
 ある日、ユピナの恋愛ものを読みたい、というみんなの声を聞いたが経験がないので書けない、そんなときに時雨くんが女子に告白されて断るのを目撃し、手帳に雪菜ちゃん以外の女子全員を攻略した、という表を作っていたのを知る。
 そして雪菜ちゃんは時雨くんを、手帳をネタに脅し経験するための相手をしろと強要する…
 長期間本誌を支え、その後も映像化と同時に続編が出るなど売れ続ける作品。

2010〜16「かみかみかえし」単行本全8巻。
 神様も長く生きていると疲れてきます。そんな神様を髪の中に入れて休ませ、元気にしてお返しする儀式がありました…
 ある家に、三歳の頃から閉じ込められている少女がいた。彼女、ましろはずっと髪を切ることなく、外に出ることもないし成長することもない…ある儀式の関係で、分家の彼女に神が入ってしまい、本家の人々に迫害されている。
 ある日、小さなほわほわの塊が二つ出てきて、それをましろちゃんは憧れの羊だと勘違いした。
 そしてまたある日、なぜか扉が開き外に出てしまったちゃんが追い詰められたとき、外に出たいと願ってしまって…
 彼女は大人の体型に成長した上に、乱暴そうな青年が出てきて「ましろはオレが守る」と…
 増刊で始り、本誌にもちょこちょこやってくる。

2015〜18「青葉くんに聞きたいこと」単行本全8巻。
 麻陽ちゃんは中二で転校し、同じ地域に戻ってきて、高校であこがれていた青葉くんと再会した…でも競争率が高い。声が小さい、という欠点もある。
 バイト先は、うさんくさい…占いなのか相談所なのかわからない…「聞き屋」。聞くだけ、質問もアドバイスも禁止。
 そして最初の客は、青葉くん。 

2018〜「ヴァンパイア男子寮」
 両親がなく、親戚に追い出されて行き場がない山本美人(みと)…男女どっち?あまりにも女子に人気があるので住みこみ店からも追い出されて路頭に迷う。
 で、美形すぎるので変質者にもつきまとわれる…逃げ込んだのがえらく高そうな、美形男ウェイターばかりの喫茶店。そこでコップを割ってしまい、手にけがをして…突然店員の一人に傷をなめられ、血がまずいと言われる。

2022〜「魔王メイドは女王の秘密を知っている」
 嫁がされることになった娘は、未来を予知できそれで夫となる男を救った。
 何度も人を救っているが常に憎まれ、自害を決意した時に美しい女王にもらいうけられる。


今までの実績、現在の地位

 七年ぶりに新人賞特選をもぎ取り、本誌でデビューした。さらに即本誌連載、そのままトップレギュラーとして本誌の中核になっている。

 非常に多作の作家で、一号に普通の連載と「かみかみかえし」の二本を載せる『とおやまつり』もたびたびある。

 他誌でも活躍しており、「イチ・らぶ・キュウ 1 」 (電撃コミックス EX)などが出ている。


個人的な感じ、思い出

 とにかく力はものすごいのだが、それを生かしきれていない惜しさをよく感じる。
「ママコレ」では後半両片思いになってからのラブラブがすさまじかったがそれは短期間ですませたし、「ココにいるよ!」では彩のホラーじみた邪悪さばかりが目立っている。
 余分な要素を省き、自分が一番できるものだけをまっすぐぶつけてきてくれればいい。

 逆にオリジナルではなく、もちろんアニメや話題性前提の安易なものではない、自分自身の力の極限をはるかに上回るような古典級の名作のコミカライズに一度挑戦して欲しい。