西之瀬イトマ (にしのせ)
作風概説
デビュー作は無駄を削り切った、乾ききったタッチ。瞬間接着剤が手の水分を吸うときの感じがするほど。
多様な獣人を的確に描いている。
恋に落ちた表情もとても高い表現力。
体も無駄がないのに芯だけしっかりしている。それが普通と違う角度から見た時や、アクションシーンで見事に出る。
回想の量を少なめにして、読者の感情をほどよくコントロールする。
テーマがとんでもなく大胆。
アクションシーンの激しさとパワー、邪悪そのものの空気の濃さなどとても力強い。
教師のキャラクターと種族や名札の漢字(太り気味のげっ歯類で「葉無星」)など、細かい部分にものすごく力を入れている。
デビュー後第一作は無駄のなさは相変わらずだが、多くの余白を活かしきる。
太めの線でパワフル、なにげなく女体の色気がとても高い。
太い線でざっと描く植物などの質感も迫力がある。
動物描写も、ものすごくリアルではないがツボは外さず迫力がある。
独自の世界を創り出す能力がものすごく高い。
代表作
2025「ルック・アット・ミー」
上級動物、下級動物、人間、という階層がある世界。人間は非力。だから人見ミオちゃんは努力して、下級動物の学校で委員長を務めている。
そこに優れた上級動物が転入してきた。
案内して、保健室に行ったはずの彼は保健室にいない。どこ?
どうせそんな存在、努力なんて知らないんだろう…と思いながら探していたら…
2025「はじまりは大切なキミと」
冒険家のワイスが帰ってくるのを楽しみにしている少女エーデルは、冒険の話を聞くのが大好き。彼女は村から出ることを許されていない。
そして忘れ物を届けるために村を出て歩き出すが、転んでけがをしたところを…
今までの実績、現在の地位
久々に準入選、即本誌デビュー。
個人的な感じ、思い出
テーマの大胆さと消化のうまさ、興奮するほかなかった。
古典的なSF短編などで力を磨いて、ものすごい大作を出してほしい。
それこそ先住民側から見たコロンブスとか大英帝国とかの巨大な作品でもできそう。
すぐにでも本誌連載をしてほしいきわめて高い実力。