パターン分類5

んちゃ、講義を始めます。着席してください。そういえば、前に大学で皆にどれくらい昔の条件反射が残っているか試そうとして「起立!礼!着席!」といきなり叫んでみましたが誰もひっかかりませんでした。

今回は恋愛感情の発達段階について児童心理学的な観点から軽く考察してみます。といっても僕は理学部数学科(キングオブ役立たず)でしたから専門外なのですが、浅学非才など始めからこれっぽっちも省みてはいません。釈迦に説法など恐れていてはこんなこと最初から出来ませんから。参考文献を探してみましたが児童の恋愛を専門的かつ中立的に、児童の立場から取り扱った書物は八重洲ブックセンターには見つかりませんでした。(ということはないと言っていいのでしょう)教育書の所に児童の恋愛についての本が無いと言うのも変ですが。重要じゃないのでしょうか。てなわけで少々かびの生えたフロイト理論からですが、(それしかようしらん)復習と思ってお楽しみください。正しいかどうか責任はもてません。あくまで昔の理論上の正常な家庭における児童の発達過程のつもりです。

前述の通り恋愛感情の発達は思春期における第二次性徴と軌を一にします。唯、自分自身でも抑制している時期は8歳位から始まっています。

思春期に入るのは女の子が11歳頃、男の子が13歳頃とされています。無論個人差があります。一般論として思春期に入る前には抑制のため性を意識することがまず無く、衝動も弱いままです。それ以前のおままごと&お医者さんごっこ段階ではメディアで知った大人の生活の模倣と単純な性に関する好奇心(フロイトは幼児性欲としていましたが現在においては否定的です)が見られます。が教育の結果通常これは抑制され、タブーとなることが多いです。昔はともかく、(昔は子供の組織がしっかりありましたから)現在は原則として少なくとも小学校までは男女混合生活です。それもまあ4,5歳位までの教育による抑制が与えられる前とその後に分けられるでしょう。その後は性については意識せずにすごしていますが、興味深いこととして性と無関係な羞恥心の存在(着替えは通常高学年までは共有されるが、多分教育の結果として下半身の露出に対する羞恥心は普通ある)、メディア、本などの影響下での自我形成、遊び仲間の男女分離等が見られます。これについては正式な文献で調べたわけではないのではっきりとは言えませんが、自我及び性役割を形成する際同一化の対象としてのメディア英雄の影響はかなり大きいと思います。(若者の精神構造が変化してきたといわれるのにも関係があるのかも。)女子の場合には現在は昔ながらの{王子様と結ばれた幸せな主婦}と{男と対等に働くキャリアウーマン}の二つの理想像が混在し、男の場合には基本的に{女を守る正義の味方}の像がありました。

ここは過去形を使わざるを得ないです。古典のジュニア版の名作の売れ行きについてはよく知らないのですが、いまの子供たちにその暇はほとんど無いでしょう。まあ我々の世代までの男子はメディアヒーローから{女の子を守る}規範を模倣し、それを核にした半ば以上空想の中での疑似恋愛をしていました。でも現在の、例えば新世紀エヴァンゲリオンで育った子供はどんな自我をもてるのでしょうか。そこがすごく不安です。子供のためには名作劇場と勇者シリーズは残しておいて欲しかったと強く思います。あと4,5歳までは新作を見せず、古い名作を見せるようにしないとないと正義感やモラルそのものが始めから生まれない恐れもあるのではないでしょうか。現在のようにモラルの嘘を告発する作品ばかりだと、確かに真実ですが始めからそれをたたき込まれては自我が形成できないのでは。碇親子を同一化対象として育った少年はいったいどうなるのでしょうか。少なくとも僕は幼い頃三銃士、トム=ソーヤーの冒険等の古典ジュニア版や銀河鉄道999、サイボーグ009、宇宙戦艦ヤマト、超電磁マシーンボルテスV、科学忍者隊ガッチャマン、そして何よりDr.スランプアラレちゃん等の元に育つことが出来て幸運だったと思います。

少しずれましたが、要はこの時期自我形成の中、大人と思っているメディアの模倣を通じて疑似的な恋愛やその想像をする、ということです。ここでパターンの再生産もしくは継承が生ずることに注意してください。パターンに従った作品で育てばその影響が将来現実の恋愛をするとき、そして作家になった者には特に強くあらわれますから。この時期は特にロマンチシズムが強く、自分及び相手を理想化した想像をします。注意すべきなのは本人は真剣であることです。そのことを無視して扱うと深い傷になります。

思春期に入ると肉体及び精神に大きな変化があらわれてきます。性欲の発達についてですが通常女子は抑制が強くロマンチック。男子は余り恥ずかしがらず極めて即物的です(これにはポルノメディアが氾濫していることもあるでしょう)。ただ、思春期前期では正確な性知識が無いため視覚情報にこだわります。肉体的な発達は女子のほうが早いです。そして、性意識が始まることがまず(教育的配慮の影響もあります)男女の分離を強めさせ、通常対立関係を生み出します。また、現実の同級生の異性は子供ですから(自分も子供なのですがそのことには普通目をつぶります)年上の異性に憧れたり、より大人な同性に特別な感情を抱いたりします。この状態が通例6年生から中1、2年まで続きます。

思春期の後期に入ると生物学的に一応成熟し(意味分かりますよね?婉曲語法です)、体力知力ともに著しく成長します。早熟な者の場合はこのころにもうあらゆる面で大人に劣らないこともあります。少女マンガの時期です。やっと同級生が恋愛の相手として不足はない段階に達したわけです。でも、特に女子では先入観と化し、仲間うちの規範になった同級男子に対する軽蔑が残っていますから簡単には素直になれません。恋愛にはやはり相手に対する理解と尊敬が必要なのです。男子もある意味同じです。やっと追いついてきたとはいえコンプレックスに近い形で先に成長していった女子に対するしこりがあります。また、ポルノメディアに親しんでいる者にとってはスタイルの面で不足でしょう。そんなわけで同級異性を意識したとき、まずそれを否定します。(男子が元から早熟な女子に憧れるケースもありますが。個人差が大きいですから)始めは恋愛感情の存在さえも抑制し、かえって反発的にふるまいます。でも相手のことを知るにつれて相手が自分の知っているガキじゃなく一人の異性だということを始めは心のどこかで、そして次第に意識の上でも認めるようになってきます。また、思春期後期においては性知識の充実も重要です。自分の性を自覚、受容することは簡単なことではありません。特に女子にとっては。それで大変なことは恋愛感情と性欲のバランスをどうとるかです。恋愛と性との統合は大変なことです。恋愛の相手を性の対象にすることは特に男子にとってはかなりの抵抗があります。性に対するネガティブなイメージがあるときには特に。相手に失礼で侮辱的だと思ってしまうわけです。上手くつきあい始めた後、幼年少女誌からはずれますがそのタイミングが合わずにいろいろと問題が起こります。つまりここでも相手に対する神聖視ー認識、混乱ー理解、受容と段階的な成長があるわけです。恋愛感情が育ち顕在化した後、恋愛の駆け引きそのものについての未熟も大きいです。羞恥心が無用に拡大し、自分にも自信が無く、感情の制御も特に難しい時期です。それで色々特徴的なトラブル(別章後述)が発生します。重複しますがこの時期こそ本人たちは何よりも真剣です。大人の無理解は致命的な心的外傷になります!!まとめますと、(正式な用語は知りません)幼児期における混合状態ー潜伏期における半分離状態及び自己像形成ー思春期前期の分離、反発及び憧れー思春期後期における反発、恋愛感情の潜伏(恋の芽生え)〜顕在化、受容(告白は通例この段階)ー性的、人格的成熟及び恋愛と性との統合となるのが理想像だと思います。

念のため繰り返しますが僕は専門家ではないので本当にそうかは知りません。そして結果的に極めて下品な内容になったことをお詫びいたします。それではこの辺で。

何か質問は?御静聴感謝。

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