パターン分類10-9

んちゃ、講義を始めます。出席カードを回してください。

今回は本当に遅くなりました。どこから手をつけていいかわからなくて、しかも僕の好きなジャンルではないので、作品を読んだ数も少ないもので・・・。しかも実際に手を付けてみたら場合分けの段階で爆発してしまいました。何よりも、家庭の問題は主人公のキャラクター分類や状況等と分かち難く結びついています。ここで早急にやるべきテーマではありませんので、今回は項目分けに(ある程度進めてしまったところもありますが)止め、次回から非行とからめて学校についての議論を始めていきます。このまま家族にこだわってはいつまでたっても進みませんから。

というわけで今回は、家族について、非行以外の状況の項目をまとめてみます。

前回にはトラブルごとに分類しましたが、それ以前に家族の具体的な状況についても考えるべきでしょう。それは前回家族間の葛藤で表現しようとしましたが、それがまとまって家族という状況を作っていることを忘れていました。それによって家族環境全体も類別できると思います。これは本来作品の背景で、それ自体に重点をおいて分析するのもなかなか大変なのです。

相互の葛藤ですが、最も重要なのが両親である夫婦間のものです。次いで主人公と各構成員、そしてそれ以外となります。それ以前に家庭の状況それ自体を分類してみますと、具体的な構成については既述ですが、一番大きい分類として家庭が機能しているかどうかがあります。機能している、というのは、ここでは「家族の構成員相互の精神的な交流がある状態」としていいでしょう。一方的で歪んだ、例えば子供を母親の自己実現の道具として見ているお受験のための過保護等をこれでは「相互の」という言葉で排除している、とします。ただし、何らかの擦れ違いまたは事実関係の誤解があっても互いに思いやっていれば機能はしているとします。

機能している状態での問題は、感情的なすれ違いや誤解、不満の爆発などです。

これらも家庭の構成によって大きく異なります。まず両親のいる家庭か、違うなら母子家庭か父子家庭か、主人公である子供の年齢はどれくらいか(普通小学校高学年から高校だが、幼児も一種のジャンルとしてみられる)、兄弟姉妹はいるか、祖父母は同居しているかなどです。

家庭が機能しており、両親がいて、更に子供が幼い場合には両親の間、子供と母親、子供と父親、子供とその兄弟姉妹となります。

子供が大体小学校高学年から中学生、高校生が一般の少女マンガの主人公の年齢層ですが、これを一くくりにするのはとても乱暴です。どう分ければよいかも分かりません。問題が微妙すぎます。それについても家族それぞれと問題が発生します。

機能していない状況では、問題にほかならない状態が常態化しています。それはそこの構成員の精神構造にも様々な影響を与え、特異なキャラクターを形成したりしています。細かいところはキャラクター論とつながりが深いです。解決は非常に難しく、解決してからも性格レベルで刻み込まれた傷はずっと残ります。

家庭の構成にもよりますが、家の階層が上流と中流、下層で大きく問題が違います。上流普通に見られるのは、両親が離別していて、引き取ったほうも仕事の為に子供を顧みていない、というパターンが特にヒーローのほうに圧倒的に多く見られます。極端を許す歴史ものなどでは子供の養育が乳母や養育係に任されるなど、始めから家庭が成立していない状況もありますね。中流では母子家庭又は父子家庭と両親がそろっている状況に大別できます。母子家庭では子供に愛情が持てない母親と子供の乖離またはその逆の溺愛に隠れた過干渉、父子家庭では仕事による父親の子供に対する放任、両親がそろっている場合には両親の夫婦間問題が深刻になり、家庭内離婚の状態にあって、両方が仕事に没頭して子供に対する関心を失う、と言ったことが多く見られるケースです。下層で典型的なのは仕事もしなければ家事もしない、酒とギャンブルに溺れている父親による子供の経済的な放置、場合によってそれ以上の様々な虐待等が主に問題とされます。

具体的な問題については非行についての分析が必要でしょう。まとめのところに回します。

外的なトラブルも重要です。特にこれがあると、今まで押さえ込まれていた不満などの問題が表面化し、一時的な家族の崩壊からの再構成となることもよくあります。

主人公にふりかかる外的なトラブルは学校がらみとそうでないものに大別できます。学校がらみですが、これが家庭に直接関係するのには非行や問題行動が多く見られます。他には恋愛や成績が多いですね。

そうでないものには単なる健康上の問題、個人的な悩み(恋愛、友情を始め様々)等があります。

非行については別章後述とし、その他学校にまつわるトラブルもその時に。

健康上の問題ですが、これには単純な事故、大したことの無い病気、致命的な病気、難病、身体障害等があります。犯罪によるものは余り描かれませんね。単純な事故は交通事故などで、起きることは病気と同じですが、加害者がいる場合があります。病気で入院したときには家庭が機能していれば家族が看病に当たり、その接触が元でトラブル解決になることもあります。また、家庭が機能していないときにもその延長線上で家庭の機能を取り戻すパターンも多いです。完全に機能していないとき、放置に近い状態で取り残されることもあります。

両親に降りかかるトラブルには健康上の問題による行動不能、何らかの(主人公の誤解も含む)恋愛にまつわるもの、仕事上のトラブル、御近所付き合いのトラブル等・・・。それ以前に母親と父親のどちらに直接ふりかかるトラブルかです。母子家庭か、専業主婦か、共働きかで問題が微妙に違います。

母子家庭の場合、行動不能は家計においても家事においてもかなり深刻な影響があります。子供が小さい場合には最悪他の親戚を頼るなどして、家庭が解体することもあります。恋愛にまつわるものですが、これが意味しているのは母親が誰かと恋をしたりすることです。この場合、相手は元の夫か昔の友人か、または関係の無い現在の知人です。これにおいて、大人の恋愛についてのパターン分析はここですることではありませんが、重要になるのが相手の男性を「恋人」と言う意味以上に「子供の父親」として評価してしまうことです。それについての子供のほうの反応ですが、素直に幸せを祈るか反対して反抗するかに分かれます。仕事のトラブルも母子家庭の場合、稼ぎを依存している分大きいです。

専業主婦の場合、仕事上のトラブルがありません。その為、家庭内部のことと近所との付き合いが大きな比重をもちます。

共働きではやはり仕事上のトラブルが大きく関わっていきます。また、夫の負担を考えられる分、行動不能などのときに夫を利用できます。いざというときには子供を頼る他無い母子家庭との差です。

父親についてのトラブルも項目は同様です。仕事の比重が圧倒的に高いことが特徴ですね。人間関係も大半が仕事関係です。

父子家庭のときには一般に母子家庭より子供が家事に慣れており、行動不能のときだけではなく普段も頼まれます。

兄弟姉妹とのトラブルは性別や年齢層によって大きく異なります。これについては同じく子であり、主人公に起きるのと同じようなことを傍観者の立場で観察し、そして励ますなど様々な形で関わっていくことになります。

祖父母のトラブルですが、一番基本的なのが死を含む健康問題、介護の様々な段階、相互の葛藤ですが、最も重要なのが両親である夫婦間のものです。次いで主人公と各構成員、そしてそれ以外となります。

今回は本当に中途半端ですが、ここまでにします。何か質問は?御静聴深謝。

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