りぼん2020年3月号感想

吸血鬼と薔薇少女が表紙というのも珍しい。三誌が並ぶ店頭では面白い対照になっていました。

付録もすばらしい。別冊付録は、感想書きとしては死にますがもっと増えてほしいです。普通に読み切りもあるなんて贅沢にもほどがあります。
簡素なポウチも実用的。

となりはシュガーボーイ(見沢さきほ)がんばれ!シロ先生(増田ゆな)くだらない僕に愛の手を(吉田奈波)古屋先生は杏ちゃんのモノ(香純裕子)初×婚(黒崎みのり)アニマル横町(前川涼)先輩の透明な感触(姫川恵梨)吸血鬼と薔薇少女(朝香のりこ)HIGH SCORE(津山ちなみ)ハニーレモンソーダ(村田真優)ハツコイと太陽(木下ほのか)ふたりのポラリス(柚原瑞香)絶叫学級(いしかわえみ)神様になれる日まで(熊乃すず)稲神村のRICEさん(梨乃あり)純情フレンドチック(密なつめ)次号予告

となりはシュガーボーイ
実に柔らかくスパイスもあり素敵なタッチ。
この可愛い絵で寮から追い出された、お姉さんがというとんでもない世界!
有能で尽くすのが喜びだったのが、彼がいると何もできなくなる、これまたわかりやすい。
…どうしてこれでプールに落ちられたのか、いろいろ計算したくなります。
もんのすごい力技作品。

がんばれ!シロ先生
強さのある絵柄ですね。
膝の傷がすごくリアル…
必死で治療してくれる、それが最後にコンプレックス直撃されて、この心の動きの緩急は絶妙。
それからの心の変化もすごく丁寧。最後までゆるみがないです。
とても丁寧に作られた秀作。

くだらない僕に愛の手を
これまた対照的な絵柄が選ばれましたね。
とんでもない世界の違い…ただ、お笑いを知らない人には少し辛いかも。
楽しみ、というものがない、それが正しい人間とされていますよね。
くだらない、という価値観を持つ親…心配ですね。
とうとう笑って、笑顔をほめられる。ここはとても分かりやすく力強いです。
中途半端が痛い、だから極める宣言…それはそれですごい。
で、彼女自身は全国一位を取って…とても分かりやすい。
とにかくとんでもない…なんか信じられないことにものすごい全力投球した、それでいて実力のバランスが高い。

本当に三つとも素晴らしい作品がそろったものです。

古屋先生は杏ちゃんのモノ
落ちた、そこでプロポーズ…うひゃあ。
そこに電話とは無粋にもほどがあります。そして東京の大学に奨学金…
ええと、指輪まで買ってプロポーズした…あんた受かると思ってなかったんじゃないか。なにげなくひどい。
何大学に受かったのかは明記しないんですね。まあ同志社第一でちょうどいい東京の滑り止めというと…
それぞれ受験の結果を踏まえて人生に踏み出そうとしていますね。
…まさかバレずに卒業式だなんて。いや卒業式でバレるというある意味伝説…
それすらなく無事に卒業…いや信じられない。本当に、本当にバレずに卒業しよった…
そしてこうきましたか。…卒業後編、「もうちっとだけ」続きそうですね…

初婚
自覚してしまいましたか。
これで皿をキャッチできたってある意味すごい。
で、何があったか…これまたやっかいですね。いやこういうことも多いでしょう。
あまりにもウィナーテイクオールが過ぎると、大半が意欲を失い人格攻撃に走る…
で、パートナー以外も落としてしまうと。
ガールズトークを全部聞かされるのはきつい。いやよく聞こえてますと言えたもんです。
で、ここで片思いと言ってしまうとは…もうあらゆることを考えてしまって脳みそ爆発。
靴の裏にインク、お姫様抱っこ…よーやるわ。
で、言い争いから思いっきり公開告白…逆に、他の人の目から見ればトレードのときになぜ、をこう解釈すると。
他の人も心と考えがある、というのは難しいですができると面白いです。
エクトプラズムを吐いている人とそのパートナーにはご愁傷様…
結婚は幸せでないと…何も言えません。読者の両親のどれだけがため息をついたやら。
羽生ちゃんも少し前向きに…
さてそれでどうしましょう。

アニマル横町
何をやるにも何回目にもなる長期連載…
ハガキ職人というのもすごい人ですよね。ファンロードという名前が出る年齢。
ジャンプ放送局という名前が出てくる作者も…
ワイロは爆笑。

先輩の透明な感触
完全に幽霊…
図書室に幽霊関係の本、どれぐらいあることやら。
何も覚えていない、というのも大変ですね。
そして予行演習、地縛霊だったら来れませんが。
男なのに金がないというのも情けない話で。
で、これまた濃厚なことに…
写真を撮っても、これは悲しいことに。と思ったら絵を重ねて、胸がいっぱいになります。
ただこの写真を他人に見られたら、彼氏がいないのがさみしい女の子が限りなくむなしいことをやっていると同情されそう…

吸血鬼と薔薇少女
うわーい寄付金高そー。
生徒会には油断するな、期待を盛り上げてくれます。
乱れてると思ったら…ええと、いろいろツッコミたいですが…
で、今度は昔の恋人?
血を与え合う異性を決める、というのもなぜか頭を抱えます。
行ってくる…いや危険なところに行っちゃだめでしょう。
で、行ってみたらこれですか…あ、本当に危ないようですね。とてもお約束ですが…

HIGH SCORE
男っぽくしようとしても可愛い、どうしようもないですね。
猫好きすぎる…
無茶苦茶言いますね、確かこの母親若いこr
どうしようもないにもほどがない、母親楽しんでますね…

ハニーレモンソーダ
ただのファン…確かに。
石から生き物、はは。
閉じ込めて仕事…芸能人のような。すごいですねえ。
他行からの参加者にもちゃんとフォローする、大変ですね。
「その時はオレが羽花を変えてた」はかっこよすぎます。
危ない侵入しますねえ…
しっかり鍵などは戻すんですね。
レモンソーダ…そして変身。息を呑みました。
そして花冠…言葉も出ません。そして激しすぎるキス…言葉も何もいらない…

ハツコイと太陽
そんなこと聞かれても、としか言いようがない。
「神経ず太いのにね」…いい関係してますね。二人とも精神年齢いくつだろ。
予想より雪がひどい、結構大変ですよね…
そう、親が帰れなかったら悪夢。
母親がまた…
螺旋階段は引っ越し業者にとって悪夢だそうです。
キスしようとして呼ばれる、ここはやってくれました…直前の表情がまた。
いや女の子にとってはそれが大変ですが大人たちにとっては地獄絵図です。
大雪って本当に災害…それこそ首都圏で何十日も大雪が降り続いただけで大震災どころか核爆弾のほうがましなことに…

ふたりのポラリス
何を頑張るのやら。
あ、少しでも対等に近いコミュニケーション…
それでもずれてる、というのが悲しい。
適度な距離感、という選択肢がある…賢明だと思っていた自分も実は異物だった、と気づいてしまう、なんとも水準の高い話です。
ひたすら無力感を感じさせる…どうにもならないことばかり。
なんというか、桁外れに実力至上主義の運動部で、天才以外は人間ではない、とされているように…人間関係ができる子以外価値がない、と。
何をされてもまだ…なぜか、身分という言葉が出てしまいます。いや、人種…それぐらい、頑張っても無駄。
なんてものを描いてるんでしょうねこの作者は。

絶叫学級
バトロワ…あの作品は、ほぼすべての子に、クラスメートだろうと親友だろうと恋人だろうと家族だろうと、潜在的に殺し合う相手と考える習慣をつけてしまったのでは。
まず男子を、その次は…そして最後…というかゲームマスターを襲う人は誰もいませんでしたね。教室には凶器はたくさんあるのに。
生き残った生徒全員が不登校になったらそれはそれで…

神様になれる日まで
乗り越えられていない…
みんなができることをしてくれる、そういうターンもありますね。
見える理由、それも何でしょうか。
閉じ込められる事故って結構危険ですよね。特に真夏では、幼児を自動車に置いたままパチンコと同じことになりかねない…
拒絶して、それに罵倒を返してしまって、飛び下りる…おそろしい。

稲神村のRICEさん
米パンってどう違うんでしょうね。ならトウモロコシでもジャガイモでも大麦でも…グルテンは?
何だこのバカたち。
いきなりテンションが落ちたRICE、どうしたんでしょう。
怖いの苦手とバレた…ははは。
男と手をつなぐほど怖いか…いや抱きつくほど…なんだこの腐得…
ごく自然に出ていますね。
まあ成仏はできたようで…ダメージは大変ですが。

純情フレンドチック
どんな関係なのやら。二人ともこれだけ育ってるのに小学生気分、これじゃたまりませんね。
なるほど、中学生の時はこれだったのがこれに…
…彼女も自分がどれだけ美しくなったか無自覚、ときましたか。うっわ…
昔通りに接して、と言われた直後抱きしめられる…うんだめだこりゃ。
「外見を通してとーまの内面のかっこよさに」が素晴らしい言葉でした。
そして昔の友人…意外と大変なことはない、高校デビューの話だけでしたね。
翌日「ただの友達」宣言、どっちが鈍感でしょうねえ。
手袋がなくて…ここまでやられてなぜ気づかない、…この作品絶対、男子の立場で読み返したら悶え苦しみます。
ここから一気に告白、もう決壊という感じです。
ラストの「いつのまにか男子として」「無自覚ヒーロー」というのがまた強烈。
そして男子の立場で読み返し…うん、扉に「この超鈍感美女どうしてくれよう」とでも書きたい。
まず、冒頭の頭投げるのが小学生男子状態のアプローチ。全力で下校デートに誘うバンカーショット手紙も添えて。
「モカがわいいから」と言っても自覚してくれない、危なっかしくてしょうがない。
そしてさらにアプローチ…またグリーンに入らず、なのに「カッコイイ」とか言ってくれるし。
「昔のままの俺だと思って」とヘタレてしまうのも彼女がきれいすぎるから…
必死でかばったら「かっこよさに」と言ってくれた…そっちはどれだけ可愛くなったと。
そして友達宣言…それで強引に手をつないだら「やめよう」と拒否された、どれだけ嫌われてるのかあきらめるしかないか…
と思ったらいきなり「好きだもん」って、そりゃ舞い上がって公然と抱きしめも…
本当にこの話の男の子側、描いてほしいです。
次回作すごく楽しみにしています。

近読み切りが大増量ですね。新人作家を育てるすそ野が広ければ当然山も高くなるというもので(「なかよし」に対する嫌味です)

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