りぼん2018年9月号感想

さくらももこ氏死去、心よりご冥福をお祈りします。
「りぼん」という雑誌にとって、漫画史にとってもどれほど重要な作家だったでしょう。
今の「りぼん」にとっても、時たまの登場が大きな力になっていました。毎回とても楽しみにしていましたよ。

おいしい、と強く伝わってくる大胆な表紙。
付録もさりげなく大胆です。

あまりの分厚さ、重さだけでギブアップと叫びそうになりました。
できるだけ短い感想にしないと絶対無理。
というか製本技術…いや、より高年齢層の漫画雑誌にはもっともっと分厚いのは多数ありますね。

暴力の臭いが強く暗い作品に雑誌の運命をゆだねるのは、読者をなめていないかというのが正直なところ。
もっとも恐ろしい小説は、暴力も殺人も皆無の『春にして君を離れ(アガサ・クリスティ)』なんですよ。

さよならミニスカート(牧野あおい)ハツコイと太陽(木下ほのか)6月のラブレター(春田なな)ハニーレモンソーダ(村田真優)HIGH SCORE(津山ちなみ)古屋先生は杏ちゃんのモノ(香純裕子)愛ともぐもぐ(優月うめ)恋ばっかりの世界でわたしはキミと(柚原瑞香)きらめきのライオンボーイ(槙ようこ)アニマル横町(前川涼)絶叫学級(いしかわえみ)ラブゾンビ!?2(森乃なっぱ)群青リフレクション(酒井まゆ)ぼくらのクロノスタンス(大詩りえ)ヒーローのいない世界(熊乃すず)Say the name!SEVENTEEN(柚木ウタノ)生徒会長の条件(行村コウ)次号予告

さよならミニスカート
さてどんな作品なのか…
スラックスで黒髪の女の子、これがさきほどのアイドル?
それにしても、どのページにもすごい緊張感と…何とも言えない血の臭いというか。
実際に変質者が出た?それとも幻?ナイフの握り方は…よく解釈すればワンハンドオープンの直後、握りを決める以前?とするならサムスタッドが見えませんが。
手の傷、古い…トラウマの元になった古傷、そのトラウマで幻覚?
…やはり、ナイフの握り方が…ブレードデザインは悪くないんですがね。
女であること自体が罪…それは人間社会の、とても深い本質ですね。それほどに深い深い男女差別、構造的暴力。
というか犯人が有能すぎですね。ナイフの握り方が下手なのに。…料理番組の包丁や、テニスラケットと同じでいいんですよ。いや、ハンマーグリップでも初心者なら問題ないです。
とりあえず次がひどかったらやめます。

ハツコイと太陽
男子に興味がない…男子トイレにも平気で入れる、とても分かりやすい話です。
絵も本当に感じがいい。
そして罪を告白しようとするのをかばってくれる…なんかやたらと某12歳。のかほりが…
「あ、ありがと」というシーンの空気の柔らかさ、たまらないものがありますね。
背中に字を書くのもたまらない、なにもかもが…
そして髪を触られて気持ちが止まらない…
ガラスの件は、結局真相は消えてますよね。というか見てる女子真相を言えっての。教師も女子に聞くべき。
反省文もつきあってくれる、さらに「一緒に帰ろう」って…
待っていてくれた彼と一緒に…ここの空気感はもう叫び出したいほどです。
「りぼん」でこれほど正統派の作品が読めるとは…大感激。次回すごく楽しみにしてます。
…同時に悪い方に行くなと祈るような気分…

6月のラブレター
せっかくの朝なのに、やばい話題になってドキドキを楽しむどころではない…
「体貸して」というのは苦笑しますね。
そしてしっかり教えてもらう…なんかここまでくると嫌な予感がします。妙な三角関係やそれ以上の多角形…
あまりのことに呆然としている、でもいいところを見つける…指導者の素質ありますね。いや先輩として指導してきたのかも。
バスケシーンの美しさは相変わらずです。
海岸清掃も喜ぶというポジティブぶり…
「藤田さんの事しか考えてなかった」、なんという罪な男。
…今更ですが、真昼ちゃんが体に入って、筋力・持久力トレーニングを死ぬほどやれば筋肉痛を代償にかなり戦力は上がるのでは?
シュートだって足腰体幹が強まれば届きやすくなるでしょうし。
それにしてもこの作品、女の子の体を横から描く絵が多くて胸が大きいような…何とも言えない色気がすごくあります。

ハニーレモンソーダ
凍ってますね。大丈夫でしょうか。
これはなんという説得力…
界先輩の彼女、でねたまれる…なんというか今彼女何で生きているんでしょう。
そしてしっかりと紹介をする…
似ているという噂の子、教科書が溝というのは泣きますよね…
なんというかめちゃくちゃ気が合っていますね。実にうまい。
で、「石森さんのことが好きです」まさに脳みそ真っ白。
待ち受けがロックの写真、そのお返しにメイド服…ここは大笑い。
「怖いくらいだ」この不安感、そこらのホラーマンガより上ですねえ。

HIGH SCORE
とんでもないコンテストだからこそ友達…
このアイコンを「カッケー」という彼氏も相当な…ここまで強ければそれはそれで偉大な人間ですね。
…この女子会にあの人が来たらルパンダイブかましそうです。というかこの女たちみんな元彼女だったりして。
キノコに毒…いや腹痛が治ったと思ったら数日後内臓ぐちゃぐちゃで確実にもだえ死ぬドクツルタケとかもありますから…

古屋先生は杏ちゃんのモノ
ほんっとーにクビになってないのが不思議でありながらいやというほど納得してしまいます。
海辺でチューを目撃されたらどうなるかひとかけらも考えないってすごいですよね。
赤いというのは重大な情報ですよ。朱を重視するのが中国のいつとか。中国歴代王朝のどれがどう朱を重視したかとか。五行との関係とか。「あおによし」奈良との関係とか。その赤の素材は何か…水銀・酸化鉄・植物などのどれか。沖縄でどんな塗料が得られたのか、それとも中国からの輸入かとか。
「デートなんてしぃひんで」と大声で叫んでいてクビにならないというとっても謎時空。
「流行ってるスタイル教えたるわ」は期待が大きいですが、何を着て行っても彼女は喜ぶでしょう。
すぐに結果を出してくれたのが実に楽しい。
食事をおいしそうに描けるのはいいですね。
こんぶが沖縄に落ちていたら江戸時代にも北海道からわざわざ輸入する必要はなかったと思いますが…まあ僕も沖縄海藻に詳しいわけではないですし。
そして見事に一言決めてくれましたねえ。
思いっきり熱いキスシーン…いやほんと、目撃されなかったのって奇跡ですよね…

愛ともぐもぐ
「お願いだからどっか行って」「オブラートに包め単細胞」が大笑い。
「さっさと当たってくだけろ」って完全に応援ですよねえ。
コスプレ衣装を貸す、それは考えたものですね。
お化け屋敷にこの二人で行く羽目に…さてどうなるか。
カップル写真として張り出されたら、彼にとってもダメージなんですよね。
そしてそれを処理してくれる…
炭酸…そういうことですか。
なんというか楽しそうな青春ですね。

恋ばっかりの世界でわたしはキミと
かわりがいない、足りない…きついですね。
「女子じゃなくって一果だよ」これはうまい一言。
観覧車のコレ、かなりの危険行為では?何トンの部品が、何馬力で動いているんでしょうか?
まあ今回は一応悪意の塊ではない…

きらめきのライオンボーイ
妄想なのにずいぶん布の多い水着ですね。でも奇妙にセクシーなデザインです。
「ご注文は以上でしょうか かしこまりました…」この流れ、呼吸は絶妙です。
「絶対ないから」と言ってくれるのはうれしいですが、肝心の彼女が聞いていないと…
「あんた神?」も苦笑しました。
で、風呂には入ったのでしょうか?…入ったようですね。避妊が心配です。
なにからなにまで絶妙な、詩のような、小さい菓子をまき散らすような…

アニマル横町
チュートリアル…
あみちゃんの父親初登場とは。
まだ登場してない人も…
まあ僕にとっては、それこそ生まれた時からこの通りのような感じでしたからねえ。

絶叫学級
ここで出てきて…足が傷だらけになるのが結構リアル。
なんかもうめちゃくちゃに複雑ですね。
花火を雨になぞらえる…なぞらえる、という魔術の根幹ですか。
まあ、前後編などだとハッピーエンドなのが、今回も引っかけをせずいつも通りハッピーエンドにしてくれたのがありがたいもので。

ラブゾンビ!?2
なんというゾンビ映画の王道。
質問しちゃいけませんよ、大喜びで説明が始まります。一番喜ぶのは作者でしょう、これで自然に解説ができると。
公安案件とは…
そしてとことんまでゾンビの王道。それこそガンアクションゲームにしてもいいぐらいの。

群青リフレクション
今回は圧倒的な表現力で見事に押し切った、すさまじい実力を見せつけてくれました。
この三人の微妙な関係、実に楽しい。
それで集中できなくなり…
裸足なら…当然こういうことにもなりますよね。めちゃくちゃ痛そう、というのがはっきり感じられました。
「人生ごと棒に振らせることは」と言ってくれる、いい人ですね。
一発勝負…アーティスト魂ですね。
「責任は俺が取る」もカッコいいです。スマホも利用するのがすごい。
痛みから演技力が一気に増していく…前もそうですが、彼女が覚醒するところを描くのが本当にうまい。
そして強烈なシーン…夕鶴さんもさりげなく魅せてくれます。
そしてこのお姫様抱っこの迫力ときたら!
ここで次回に続かれるのも爆発しますよ。どうなったんだと叫びたくなります。

ぼくらのクロノスタンス
ぐちゃぐちゃで、ただ「全然嫌じゃなかった」だけ…
「犯罪じゃないの」って何をいまさら。
父親を監視していた…そのほうが重大ですね。
知りたいだけ…すごく緊張感のある言葉、表現も実に深い。
一気にクライマックスに持って行くのも実にうまい。

ヒーローのいない世界
復讐したいとか、本来はそういうことじゃなく…食べ物が足りない、それにつきます。
単純に人助け、と思ったら「妖らがあの子を突き落としたんだ」となるのはしっかり考えていますね。
絶望が、憎悪が勝つ可能性をしっかり示して…
巨大に変身するシーンは実に豪快でした。
逆にこれって脅威としても大きいということですが。
ただ、これだけで解決するかどうか…より上の権力が妖の迫害を強制するかもしれませんから。
祭り、でも死んだ人がいる…その幻が祭りに案内してくれたのも泣かせてくれます。
ここで終わらせるのも見事ですね。
しっかりメッセージがあり、それをきっちり伝えきった、名作として数えられる作品だと思います。
次回作は何をするか、楽しみです。

Say the name!SEVENTEEN
こういう企画でカラー32ページ投入するのは「りぼん」では珍しいですね。「ちゃお」では結構ある、「なかよし」では思い出せない…
男子ばかりの困難な作品ですが、高い実力でしっかり描き切ってくれています。
伝えたいことも工夫してしっかり伝えています。
自主制作という面、また一人一人のしっかりした紹介と、ページ数という物量をしっかり生かして出し切っています。
ストーリーもそれなりにあるのがまた見事。

生徒会長の条件
そういう背景があって、自然に生徒会長になると…
隠れてる人が多すぎるでしょう。
前の学校での、特別扱いが本人にとっては辛い面も大きかった…それに彼がかけてくれた「もう変われてんじゃん」という言葉、また素敵ですね。
小さいころからの店、これがまた楽しい。
親がちゃんと心配してくれている、そういうところも描いているのが丁寧。
くっだらない政見放送…ここで彼女はどうするか。
学園のとんでもない秘密…ええ、僕も高校の時、修学旅行というものはありませんでした。
そりゃもう投票必要ないでしょうね。
そして選んでもらう…笑うしかないです。
恋の動きも実にあっさりしたデザート感。
のどごしのよさと柔らかさが実にすばらしく、時々重みもあって、すごくいい作品でした。
次回作も楽しみにしています!

月号の、「校則ギリギリ」付録は面白いですね。まあ厳しいところは単にアウトにするだけでしょうが。
池田先生の新連載と新人読み切り、またどれだけ分厚くなることか…

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