りぼん2013年1月号感想

何よりも。種村有菜先生…ゼロ年代最高の少女漫画家。デビュー以来、「なかよし」の投稿生さえほぼ全員が種村コピー。今も「なかよし」にさえも、その影響は強いです。
「りぼん」も読むようになって、初めて実物を目にしたときもすごい衝撃を受けました。とてつもない、としか言いようがない圧倒的な力量でしたから。

表紙は正直言って、種村先生でないのが不思議で仕方ありません。

このシャーペンとイラストペン、どちらもすごく使いやすそうです。
膨大なお手本シートも豪華ですね。その中から、次代の種村先生が…という祈りがこもっているようです。

僕の家においで(優木なち)ひよ恋(雪丸もえ)チョコタン!(武内こずえ)シュガー*ソルジャー(酒井まゆ)流れ星レンズ(村田真優)ロマンチカクロック(槙ようこ)絶叫学級(いしかわえみ)たまたま!きんぎょ荘(岡野小夏)まりもの花(香純裕子/秋元康)夢色パティシエール(松本夏実)CRASH!(藤原ゆか)スターダスト☆ウィンク(春田なな)アニマル横町(前川涼)HIGH SCORE(津山ちなみ)花めぐりあわせ(持田あき)桜姫華伝(種村有菜)COJI-COJI(さくらももこ)次号予告

僕の家においで
一見なんでもないようで、おそろしくえげつないタイトル。優木先生らしいです。
新聞配達とは健康的な…貧乏、というのも今の時代、リアリティ強いですよね。
めちゃくちゃ自己評価が低い、まあ今の日本は貧困層には容赦ないですからね。
「同じ空気を吸わせてしまって」は半ば攻撃に近い言葉ですので、僕は常に思っていますが口にするのは我慢してます。
人並みになりたい、って先月で終わった作品のようなことを…
ええと、この事故は…どちらが悪いのか、はっきりわからないです。
「人工呼吸して」って言えるなら問題ありません。
歯磨き粉なし、って別に問題ないのでは?僕は小さい頃から、とある本の受け売りで歯磨き粉使わない主義、それで37歳で失った歯はゼロ、神経抜いたのも一本だけです。
「視力を失ってませんか」というやりとりがまた笑えました。
ちゃんと金は返す気でいる…こういう、勤労意欲・道徳心が高い貧困層が、日本にとっては宝であり…同時に、政治や経済全体がそれに甘えてしまうために、前進できないんですよ。
ええと、こういうマンションは普通オートロックで、訪ねていくことは不可能なんですが…
それからの展開もまたすごいとしか言いようがないです。
おにぎりとか、…強い愛情飢餓を誘惑の仮面で隠す男、誘惑も愛情飢餓も気づくことができない、自分の「貧乏が恥ずかしい」だけでいっぱいの女…これはきついですね。
そして箱に入ってしまう、それを「拾う」という発想がとんでもないです。
理屈抜きの面白さは最強ですね。

ひよ恋
…ついにこのときが来てしまいましたが…しかも結心にも聞かれて。
それで倒れる、ってビクトリア朝女性のような、って倒れたのはコウくんかい。
冗談、でごまかそうとするのを止める結心、男ですね。
りっちゃんが聞いた噂には大笑いしました。
ひよりん、そりゃ謝るしかないですよね。
四日も休む、ってヘタレにもほどがありますね…
で、礼奈ちゃんが「結心と付き合ってなかったら」っていったところに結心…これもまた大笑いしました。
「私が行く」っていえた強さ、いいですね。
「決着をつけに」って面白がっている先生にも大笑いしました。
ここに送ってきてくれた結心くん、考えてみるとかなりこの状況、シュールですよね…
お姉さんの扱いがまた面白いです。
というか、本当に風邪がひどくて休んでいたんですね、精神じゃなくて。
泣き出すのも、単にいっぱいいっぱいだから、なのですが…誤解されかねないですね、これ。
自分の気持ちを誤解しないようにしてほしいものです。
というか今回、とことん面白かった…クラスメートの立場で見てたらもっと面白いです。

チョコタン!
犬にほえられてこの反応、よほどやましいことをしてたのかと思いますよ。
いきなり美少年どうしの絡みになってしまうのは頭痛くなりました。
で、芸能人が…
「ファンだもん」「リーダーの湊の…」ここは大笑いしました。
だったら口止め料にそのリーダーのサインを…
ドラマがどうこう、それ社外秘じゃないでしょうか?
ひとりでこれる公園、ってことは結構近くに住んでいるんでしょうか?
犬のサインをよく見て近づけばいい、って簡単に見えて結構難しいんですよね、それ。
チョコタンにこんな怯えているのは笑えますけど、でも軍用犬に本気で襲われれば、…死ぬのでトラウマにはなれませんか。
荒療治…
おなかなでて、というのは本当にすごい勇気…首筋を差し出すようなものですか。
というか、普通の哺乳類にとって急所である腹を前に出して暮らしてる人類って、欠陥品では?
僕はどれだけ、飼っていた犬の気持ちを受け取っていたのか…ずっと、あの犬には僕は、いくら言っても聞いてくれない変なの、と思われていたと思います。
ナオちゃんの母親もリーダーのファン…涙目ですね。
で、「ナオに会いに」…これからも出てくるんでしょうかね。
あ、「CRASH!」とのコラボでしたら大歓迎です。

シュガー*ソルジャー
実質的なネグレクト、ですか…
日本ってつくづく、児童福祉に無関心な国です。施設優先が間違っている、先進国は里親が標準なのに…
そして、知らない家に引き取られ、以前との境遇の違いで「嫌われてはいけない」「あの部屋に戻ることになる」…子供の論理をよくわかっていますね。
一誓くんも、そういう縁でしたか。
自分がちゃんと人に優しくできない、という自覚は…きついですよね。自分の欠陥は決して癒されない、という…
「生命維持に支障をきたすレベル」というのが笑えました。重い話がそれで少し軽くなると言うか。
徹底的に男の、それも異常な育ち…といっても常に一定数いますが…の内面だけを描く、というのも大胆ですね。

流れ星レンズ
なんでライオンと百合。かなりギャップのある絵です。
「呼ばれたい。」「いや知らねぇよ」ここがいきなり苦笑しました。
あちこちに視点が動くのも面白いです。それぞれ動いてるな、って感じがします。
好きな人の教室に入るのって、そりゃ緊張しますよ。
飴もってる、で「先生ー!花籠さんがお菓子」も仲いいな、と笑いました。
そして、飴で遊んでるのを利用して、名前で呼べ…いきなり一気にラブラブの段階が上がってしまいました。
「今言うとは言ってない」ずるい。
お互いに相手をすごく神聖視してる…脳みそつなげてやりたいですよね、お互いがどんなにお互いを好きか、少しでもわからせてやりたいです。
それが見えてしまう、読者って立場も大変ですよ。

ロマンチカクロック
お茶の時間…このケーキ、一個何カロリー…
確かにこれは気味が悪いですね。しかも理由、「香鈴のことどう思ってるか」も読まれきってます。
廊下で寝てしまっているのを、お姫様抱っこじゃなくて引きずるのも容赦ないです。
漢字テスト…書けてる漢字は結構多いじゃないですか。僕は徹底的に、わかってるけど書けないタイプだったので。
「わからないから勉強嫌い」その通りです。
「今はあんたの勉強みてるのよっ」って、なんというか…ぶれない人ですね。
可愛くなーい、といわれてずいっと詰め寄って、「わかってるっ」…ここはかっこいいですね。
ごく軽く叩いて「君はなんて傲慢なんだ」といえる…ここ、すごい。
「好みだよ」って、好きだよ…とは違いますよね。
そして、「だからわかる」…彼の言葉もすごく温かいですね。頭のよさと心の深さが同時にある、というのもすごいですよ。
寄りかかって寝ているはずが、「あ地獄に落ちたわ」が苦笑しました。
なんともいえない雰囲気ですね。

絶叫学級
トンネルは確かに怖いですね。というか現実問題として、事故があったら逃げ場がないですから。
それは橋とかも同じですが。
班で登校する、というのも面白いです。
トンネル工事とかでは、昔は事故死者が大抵いたようでしたね。技術水準も人権水準も全然違う、というか人命の重さなんて、簡単に変わってしまうんですよ。これからの日本だって…
恨みが溜まっているから、お札に到達できた…逆に、単なるいたずらでは姿を見せない、と。
なんというか、なんともコメントしようがない話ですね。
みんな消えてもなんとも思えません。みんながクズで、人間ですもの。

たまたま!きんぎょ荘
なんかいろいろ変なことになってます。まあ平常運転という感じです。
それだけの活動、金銭的には…?
「冬の増刊号も」は笑ってしまいました。
サムくんがライブ…演歌とかでしょうか。
サプリと野菜って、どっちが金かかるでしょう。今は白菜がありますが、季節によっては安い野菜がとことんないことがありますからね…
「自分のおばあちゃんが若い男のヒザの上で」も力抜けました。
そしてサム…ええと、料理って毎日やらないと腕落ちますが、どこでやってるんでしょう。バイト?
しかしこれほどの腕の料理でも…
「オレたちにできないことを平然とやってのけるッ」というのは、僕にはそりゃわかりますよ。でも「りぼん」読者がどれだけ…読者の父親なら知ってますけど。
というか、完全に野菜を避けると…ピザとハンバーガーもだめです。スパゲッティミートソースも。ソースのトマトも拒否ということになりますから。
台所で二人で…もう夫婦ですね。
「みんながパックし終わった野菜は私が炒めて食べる」…確かにムダではないです。でも引きます。
それで、珠姫ちゃんが輝いて見えるようになってしまう…至誠イケメンに通じてしまいましたか。
なんか楽しすぎるんですが。

まりもの花
ストレートな告白ですね、お互いに。
家族みたいな愛情、本当にそうでしょうか?
「太郎」「本名で呼ぶな」の繰り返しギャグがまた楽しいですね。
バケツ取り出して「全部受け止めてやる」というの、バカでカッコイイ、マサルらしいです。
そして流星…思い切り腹に一発ぶちこんで「まりものこと頼んだぞ」こっちは徹底的にかっこいいです。
なんというか、自由気ままと言うか…後味いいです。

夢色パティシエール〜ア・ラ・カルト〜
すごく楽しみにしてました。
ブッシュ・ド・ノエル…そりゃこの季節、ケーキ屋さんにとってはもう悪夢に等しいほど作りまくってるでしょうね。
この季節と、日本ではバレンタインデーは誰もが忙しいから助けは得られない、と。
すぐラブシーンになるラブラブカップル、そこに子供の目が…はは、これは恥ずかしいです。
で、小さい子からの依頼…また楽しいことになりそうです。いちごちゃんは根っからこういうのが好きですからね。
樫野くんは家族に反対され続けたから「いいおばあちゃんじゃないか」と涙目になってる、これも懐かしいネタです。
そして、直接いろいろと調べに行く…このヒマとお節介もいちごちゃんらしいです。
1942年…フランスは当時日本とは同盟国となるのでしょうか、と言っても、外国人への偏見と憎悪は…どうだったのか、知らないというのが本当のところです。場所によって全然違うでしょうし。
ケーキつくりのところも相変わらずしっかりしてます。
そして、本当に忙しい予約100個…
できたケーキも実に素晴らしい。
「じゃあ私が描く」、これは胸がすごくジーンとしました。
ラブラブになろうとしたらまた邪魔が入る…いや、もうたっぷりと甘いのを堪能しました。
たまりませんね、これは。
この作品、僕はすごく大好きです。

CRASH!
なんというか冒頭からものすごいものを…
メンバーのことをどれだけ知ってるかとか、いろいろと遊んでますね。まあ楽しい世界ではあります。
「私よりメンバーさんのほうがカズくんのことよく知ってるのかも」は苦笑しましたね。
そして、初恋の女の子…いいトラップです。
「歴代のオンナ全部」言われたら大変なことになりそうです。
二人を離す順平くんもいいリーダーですね。
男のスリーサイズってかなり無茶ですよね。そして、ここで怜さんが桐くんを信頼してバトンを渡すとは…
いろいろと罠を警戒しながらやってましたが、一隊なんだったんでしょうね、これ…

スターダスト☆ウインク
いきなり暑いことになってきました。
強引に説教して引っ張ってきて、なんかいつもどおりになった、って感じです。
颯くんが、日向くんのことも嫌になってしまったと、杏菜ちゃんが考えてしまった…?
「私が原因で颯も日向も気まずくなっちゃってごめんね」…それ、確かに言葉にまとめると学校中の女子に確実に刺されますね。
のんびり茶…うまいですね、ここ。
そして、颯がやっと全部ぶちまけ始めて…彼の立場で思えば、『何だこの女。もういいや、全部ぶちまけちまえ…後先なんて知るか』ってな感じでしょうか。要するにぶちきれて。
ここで抱きしめる杏菜ちゃんも、とんでもない子ですね、いろいろと。
「したいようにしていいなら」…えらいことになりますね。
のんびり茶がいい演出になってます。

アニマル横町
あけましておめでとう、と。
五歳の子に現金を渡すことはあるでしょうか?まあ、現金に初めて触ったのが中学二年の終わり、というのが変なんでしょう。
かなりすごいしゃっくりですね。
息を止めたら昇天しそうになったのは大笑いしました。

HIGH SCORE
くつろいでますねえ。天国ですね。
ミッキーじゃなくてコタツに会いに来てる、って正直ですね。
えみかコタツ…まあ、前にちょっとエロい漫画で女の子が人間コタツ、ってかぶさってきた、というのもありましたっけ。
「ただいま」は確かにひどいですね。
そして、やっと片付いたら…愛情と優しさいっぱい、これはほっこりしました。

花めぐりあわせ
んなことしてる暇あったら勉強しろ。
なんというか身分違いというのはどこに行ったのでしょうか。
親の恩のために生きている…この時代、まだまだ大抵の人は誰か、何かのために生きていますからね。
戦後憲法は個人主義を謳いましたが、それもどこまで浸透したのか…そして改憲したい人は、その個人主義が諸悪の根源だ、と全てを昔に戻したがっていますが、それもどこまでできるやら。
仕事は全部、「やりました」…そして自発的に仕事を見つける、と。かなり強いですね。
今できることを、といっても積極的というか、見ていてすごくハラハラします。
三社祭…こういう楽しみがあるから、庶民は苦しい暮らしに耐えられるんですよね。
そして、とても細やかに気持ちだけを描いておく…
そうそう奥様、この子と慧一郎の仲が心配なら、この子をいいところに嫁に出してやるのがいちばん手早く確実ですよ。いじめたりしたら逆効果にしかなりませんから。

桜姫華伝
つくづくお疲れさまでした。
琥珀は元気でよかったです。
疾風…厚かましいにもほどがあります。そりゃ殴りますよ。
朱里も、どこでどうしているのやら。というかどっちを選ぶんでしょう。
命より大切なもの…というか、人間は所詮生物、利己的遺伝子の乗り物ですからね…子孫永続だけのはずなんですが。
「命より大切なものをみつけるためにみんな生きているの」これが、りぼんっ子への最後のメッセージ、ですか。
右京も、みんな元気ですね。というか右京って、生前より死後のほうが存在感が大きいような。
そしてためらう青葉に、「早く行かんか」と怒鳴る…ちょっと笑ってしまいました。
何もかもが圧倒されるほど美しい…凄まじいまでに。
やっと「りぼん」という枷、居心地のいい鳥籠から解放された大器、どれほど大きく羽ばたくことか…楽しみでなりません。

COJI-COJI
冒頭、さくらももこ先生らしい、ぼんやりした、それでいてどこか辛辣な部分がある始まり方です。
かっこよくなりたい、に理由がない、というのがいいですよね。
大抵の人は、本当になんとなくなんですよね…
いきなりバンドをやろう、というところで…今度は現実世界の、内気な女の子?
でもすごく可愛いんですが。
メルヘンの国に、とお月様に頼んで本当に来られたら、実際にはすごく面倒で嫌なことになるでしょう。
本当に往復する暮らしができてしまう、というのがいちばんすごいです。
普通はメルヘンの話の場合、メルヘンの世界はいつか卒業するものですから。

月号は「魔女とハツコイ」の番外…あれ好きだったのですごく嬉しいです。
そして新人読みきり、またはつらつとした、口の中で軽く弾けるようなタッチ!楽しみです。

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