りぼん2008年12月号感想

付録のネックレスはデザインはいいですが、安全性はどうでしょう。

これから一気に誌面が刷新されそうで、逆に「CRASH!」と「株式会社ラブコットン」と若い作家の作品がいい柱になっていて、すごくいい流れのような気がします。

MOMO(酒井まゆ)アニマル横町(前川涼)ぷちパレード!(大岡さおり)HIGH SCORE(津山ちなみ)フライハイ!(小桜池なつみ)CRASH!(藤原ゆか)ちびまるこちゃん(さくらももこ)夢色パティシエール(松本夏美)株式会社ラブコットン(樫の木ちゃん)絶叫学級(いしかわえみ)君は坂道の途中で(持田あき)こもれび。(えばんふみ)次号予告

MOMO
いきなり幼児の首を絞めようとする、というのもすごいものを見た気がします。
死んだりしない、って本当に締めたらどうなるのでしょう。ターミネーター2の液体金属みたいになるのでしょうか?
彼女が起きていたというのは胸が痛みます。
バイトも元気にやっていますね。こういうのは見ていて気持ちいいです。
いきなりこの三人がいてこけるのは、冒頭のシリアスが嘘みたいです。
「モモちゃん待つのだ」というのが可愛い。
叶歌くんが肩をもんでくれるのはびっくりしました。ここまでスキンシップに抵抗のない男女って…この二人の思春期ってどんなだったのでしょう。というかまだ思春期が来ていないとか?
「なんだあれ夫婦か」「むしろ姉妹」にうなずいてしまいます。
絶対喜んでくれる相手が待ってる…だから人は家族を求めるのかもしれません。
「いつもバカみたいに口開けて笑ってればいーの」…たしかにそれってすごいことですよね。笑うことには伝染性がありますし、それ自体にすごく強い力があります。
いきなりの超能力大戦にはびっくりしました。
モモちゃんの嫌そうな顔も可愛い。
スターブレイカーというとなんかすごくちゃちな感じがします。三十年前の低予算ドラマみたいな。ワールドレッカー(宇宙破壊者、エドモンド・ハミルトンのあだな)よりスケール小さいですし。
この二人の子供の会話はいかにも女の子と男の子という感じで楽しいです。
四十三億年…太陽系の年齢…
プラネタリウムを最優先するモモちゃん、ここは子供らしくない合理性ですね。
夢ちゃんは帰ろうとしたとき、どこに行こうとしたのでしょう。何があったのかいまいちわからないです…彼女はちゃんと仕事をしたのか、「気をつけてお帰り」と挨拶したのはバイト先なのか別の人なのか…
いきなり空に連れて行かれるのはびっくりしました。
「まともにポイント集めて救われた星なんてこれまで一つもない」というのは、彼が言っているだけです。何の証拠もありません。
そのことが見えなくなるのは困りものですね。
この誘惑は重いですね…僕としては、そう聞いたら不安を「なんとか地球の生物のあらゆる遺伝子情報・人類の文化などを地球外に送る」努力にぶつけたいですが。
いやそれ自体はそれこそスターブレイカー関係なしにやるべきです。いつだって偶発的核戦争・ナノマシン研究の暴走・巨大隕石の衝突などはありえるのですから。
もちろん地球人に生き残りがいる場合も考えて、最低限の植物の種と必要な知識の書物を固めたカプセルも世界中できるだけ広く多くばらまいておきたいです。それこそ全人類に「文明崩壊後のための書物」を配りたいぐらいです。

アニマル横町
この耳当てはなんだか懐かしくなります。小学生のとき少しだけ使っていたことがあるんですよ。
こたつからはトイレでも出たくないならおまるを…はは。
散らかった状態がベストの配置ということは実際よくあります。ただし…それを容認してはいけない理由は一つ、もし将来工場でその状態にしたら、それは少なくともあなた一人にしか最適ではなくあなたがある日怪我をしたら誰もあなたと交替できない、また散らかった状態は普段はよくても、何か思いがけないことがあったときには自分にも仲間にもとても危険な状態になるから、です。
こたつのなかで謝っているのは苦笑しました。
机の奥にそんなものがたまるのは、もう何年かしてからですね。楽しみです。
ベッドの下に魚…よく蝿の一個師団が育たなかったものです。
ケンタに突っ込めないのはわかります。
で写真から漏れてしまったのは…というかカメラを許されているとは贅沢な幼稚園児もいるものです。

ぷちパレード!
何か微妙な言葉にならない違和感も甘く心地いい可愛らしさも相変わらずで嬉しくなります。
子犬っぽいギャグ絵もまた可愛らしいこと!
いろいろな手芸が好きというのは器用で根気のある性格が見えます。
滝口くんの入り方は強引なのですが、普通に読んでいると自然に感じます。
この旧図書館は正直暴れたくなります。メンテナンスもなしにこんな大量の本を…どれだけが腐ってしまうことか。本は生物ですよ。
かわいい物を作るほうが大事で楽しい…まあ仕事に困ることはなさそうです。
表紙がピンク、中身が白紙の本、そして乗っていた台…ってその中身は本ですよね?罰が当たりますよ。
このふよふよには「なかよし」の某作品のことを思い出してしまいましたが、まあそれ以前にいろいろと…
滝川くんがいきなり「妖精だ」「恋愛経験ないだろ」…結構すごい人かも。
妖精について調べているとはいいご趣味で。
「じゃあ私がこの子たち助ける!!」って…その、何をすれば助けたことになるのかがわからないのですが。動物ならとりあえず餌と水、ドライヤーと毛布で大抵助けられますが、妖精にはそんな「動物である」というような共通のものさえないのです。
「確かにかわいいけど」というのは滝川くんの意外な面ですね。
いろいろ行動するのもしっかりしています。
ずっと満月というのは確かにすごくおかしいです。日が沈まないと同じぐらいおかしいです。
滝川くんもえらくいろいろ調べていますね。
やってみなきゃわからない…確かにそうですが…
池を作るというのもすごい根性ですね。うまくいっているのがすごい。
プールから引き込まれて月の世界…よく正気を失わずにすんだものです。
「いいもの見れない」ってわかってますね。というかうっかりここで何か食べたり余計なものを見たりしたら帰れなくなります。
二人はびしょぬれで帰ったのでしょうか?光に包まれているだけ?
月がピンクというので泣き出すというのはうらやましい感性です。
妖精の本、妖精が本に入って図鑑になる…ポケモンなどに近いし昆虫採集やそれ以前の、人間の博物的知能に、子供の感性に合った発想かもしれません。
図鑑を完成させると願いがかなう…別に自分の願いでなくても「もう誰も飢え死にしたり虐殺されたり奴隷にされたりしないで人類がずっと平和でいますように」でもいいですよね。
滝川くんの願いは何でしょうか。リーマン予想を証明し、超弦理論を実験で証明できる形にまとめて万物理論にできる頭脳?
可愛いものが大好き…といっても僕は妖精は可愛いとは限らないと知っています。
でもこの作品なら可愛いものばかりでしょうね。
どれほどかわいい物を見られるか、楽しみです。

HIGH SCORE
後ろを振り返ってはいけない…この恐怖は爆笑でした。
「ママの顔にはしわもしみもありません」は余計怒らせるのでは?
惨劇一歩手前もすごいですね。
きょーこさんがめぐみとレイジの仲良しに嫉妬しているのは可愛いです。
子供時代の話も面白いです。確かにこういう話は子供には受けるでしょうね…特にめぐみちゃんのような子には。マッチ売りの変形は、そんなたくましさがあの子にあったらとどうしても思ってしまいます。といってもあの時代は幼児でも強盗は絞首刑か、よくてもっと悲惨な流刑だったでしょうが。

フライハイ!
発売日以来、ずっとこの作品のことばかり考えていたような気がします。心に傷を残してしまい、何度も何度も振り返って考えてしまう…
どちらでもない道、と言うべきですか…無力さを痛感させることはやる、でも何かが違う気がします。
わかりやすく「力」を描くのがテーマでしょうか?
あと彼らは一体何がしたいのでしょう。絶対的な支配を楽しみたい?それはどんなに満たしても満たしきれないです…はっきり予測できます、支配が完全になったら、次には支配している人たちに忠誠競争をさせ、互いに潰し合わせて上から見て楽しむぐらいしか残されていない…生きながら地獄に落ちるようなものです。
それとも将来政治の世界で、自分たちがヒトラーになるつもりでその練習をしているのでしょうか?まともな頭があるならそれを制御できるかどうか、それが理性だけでできるかどうかはわかるはずです。自殺願望でもない限りお勧めしません。
「株式会社ラブコットン」の手伝いに行けば、少なくとも退屈は絶対しないですよ。どんなにがんばっても、完全に正しいことをやっているはずでも一寸先は闇なのですから…それこそ今回に描かれているように。それをお勧めします。
知性を誇るならば超弦理論を理解するのに必要な数学分野をいくつ知らないかぐらいは知っているでしょう。知らないとしたらバカですし、この年で超弦理論を理解できるならここにいるのは人類にとっても本人にとっても損失です。それにフェルマーの最終定理やポアンカレ予想は落ちましたがリーマン予想とP=NP問題は残っています。他にもいくつも未解決問題はありますよ。
学校など無視して、そんな最先端の知性と自分を比べるべきです。
わからないのが「花壇を荒らした」動機です。単純に自分たちの欲求不満を激発させただけ?
許せない、という敵味方思考が浅い…相手の動機を理解しようともしていません。
アクションシーンは結構カッコよくなってきましたね。線が切れています。
一瞬学校が変わるかもしれない、と期待を持たせておいて的確な、まるで詰め将棋のような詰み方は見ていてきついです。
まず鮎沢先輩の強さを見せ付ける…いや、彼がどんなに強くても、集団に刺激性液体のビンを投げられれば絶対に倒されるはずです。
「一対一以外のケンカと弱いものいじめは許せない」と、その方針を広く広めることができていればよかったのですが…
「他の生徒はおまえの言うことなんて聞かねーぞ」という言葉は理解できません…丸で彼女に「力」について教えているように思えます。作品の外から見れば、読者に力について教えているだけなのですが、作品の中ではこの言葉に意味はない…最悪、芽留ちゃんが「力」を理解してより大きな脅威になる可能性ができるだけです。
この女子サイドの問題は、確かに人間はバカですが…なんというか、妙に理性的過ぎる気がするのです。人をハブにするようなことは、人間の動物としての面が強く関わることのはず…なのにここは、「影響力」というのを物理的に測定できる力のように扱っています。
どんなカリスマでも、「本人が望んでいない」ことをさせることはできません…ヒトラーだってユダヤ人に対する差別感情がヨーロッパに蔓延していなかったらあんなことはできなかったはずです。
千夜ちゃんを非常に悲惨な立場に落としてしまった、ということが芽留ちゃんにとって罪悪感になるのがいつか、千夜ちゃんが裏切るのがいつか…それも気になりますね。
「お母さんにばれたら命はない」で、完全に大人に相談する道が絶たれたのも残念なことです。やはりこの作品には意味のある大人は終始一人もいないでしょうか?たとえばどんなに鮎沢たちが強くても、大人…暴力団や機動隊、企業や公安警察から見れば数匹のアリに過ぎません。
ルカくんについても注目が早いですね。
ちなみに学校については違います…どんなに頭がよくても「日本式の社会規律を身に着けること」が学校では要求されています。全員を軍隊・工場に適応させるのが日本の教育のアルファにしてオメガです…いくらそれが、今の現実の社会とは乖離していても。
そこまで指摘してから寝てください。
ルカくんの言葉も、「力についての教授」ですね。
力の正しい使い方…それを知っているならなぜこんな使い方をしているのかが謎です。こんなことをしていても人間の根源的な部分は満足しないし、自分の才能と貴重な時間を浪費しているだけなのになぜ気がつかないのでしょうか。力中毒は麻薬中毒同様何も生みません。
それぐらいなら奨学金をもらって外国に留学して飛び級で学ぶか、ラブコットンに入るかするほうがはるかに充実しているはずです。
面白くない…ルカくんの原理は面白いかどうかでしょうか?11歳でプリンストン大…なら今の年齢には、数学や物理はそれなりのレベルまで行っているでしょう。だったら好き勝手に学びたい分野を学び続ければいいじゃないですか。
日本の公共図書館だってバカにしたものじゃないですし、今のインターネットでならプレプリントネットワークにスマートフォン一つで入れます。授業時間を研究に使うことを説得するのは難しいかもしれませんが…
彼には鮎沢たちを理解できないのでしょうか?
肝心の武力でも勝てない、というのは完全に詰んでいるように見えます…ココから動逆転するのか見えないほどに。
問題は、相手が「力」をあまりに分析的に扱っていることです。武力・影響力・知力が分断されていますから、彼らの間を分断すれば…
また、人間には運や感情的不安定があります。僕なら彼らの感情的な鎧の弱点を突いて、動物的な部分をむき出しにできる自信はあります…僕が彼女のそばにいられないのが残念ですが、「今の僕の知識と情緒の制御を持つ中学生」は存在できません。中学校のときの僕は残念ながら彼女の力にはまったくなれないでしょう…彼らは動物を飼う技術には精通しているようですからね。
あまりにきつい作品ですが、これがどうなるか…「りぼん」の将来を動かしますよ、これは。理知的すぎることさえ解決できれば歴史的な傑作になるかもしれません。

CRASH!
見事に「スキュラとカリュブディスの間」をくぐりましたね。拍手。
Darkの強さが徹底的に正統派、まるで剣を大上段からまっすぐ振り下ろすようなけれん味のないものなのがまずすごいです。ちょうど『男塾』で決して、剣技の単純な優劣が描かれないように、純粋に優れているかどうかはマンガでは描きにくくけれん味の優劣でわかりやすくするのが普通なのに、あえて大上段から…たいした度胸ですし、描写がしっかりとそれを出そうとしているのがわかります。
花ちゃんがそれを悟り、それに対して変なけれん味を出そうとせず詰んだものは詰んだと認めるのも現実的でしっかりしていますね。
特に理知的な怜・侑吾も詰んだことを理解している…絶望かと思ったとき、ここで桐くんの叫びはしびれました。
こういうところでは、理性を超えた力のある彼みたいな獣型が出てきますよね…と、こうキャラの特徴を分析していると、この五人を五体合体ロボに乗せてみたくなりました!剣魔法ファンタジーでもいいですが。番外編でやってみてくれませんか?
花ちゃんは諦めてはいない…彼女には理知的な面と獣的な面がバランスよくありますね。
Darkの強さの本質、けれん味なく「客を楽しませる」ことを、自分も楽しむことで…頭じゃなく五人が体で理解したということがはっきり伝わります。
客を楽しませよう、とより高く力を解放されたのが一気にライブシーンから伝わりますよ。
それが、離れたDarkのところまで気合が伝わってしまうなんて…向こうが認めたシーンもしびれました。
若い人たちがそれを見て学んでいるのも気持ちいいです。
勝負のギリギリまでの、この開放感…すごい臨場感です。まさに最高のライブにいるようですよ。
終わったときの感動もすごい。
「勝たせたかった」の一言で伝わってきた敗北…ここで勝たせてしまうと一気に説得力が落ちてしまいます。ちょうどよかった…まさしくカリュブディスの渦を乗り切った…
回想もしっとりしていていいクールダウンです。
Dark側の励ましというか、すごく静かな言葉も重さがあります。「潰す」という言葉はそういうことでしたか…ホンモノ以外は認めない、という強烈な誇りが伝わってきます。こうして一気に悪役から転換するのも力がありますね。
「客を楽しませることだけやねん」という言葉もまさに大上段から切り下ろす正剣…
桐の負けず嫌いぶり、あくまで対等の立場に立とうとする負けん気が気持ちいいです。
潰されるはずだったのがプラスになる、というのもうまいですね。
さてここから…というか盛り上がるとこれが最終回でもいい、という感じになるのですがどうなるのでしょう。
いやたいしたものです。

ちびまるこちゃん
まさかあれの続きが来るとは。
実にうまい、すごく音が響く感じのあるラブストーリーですね。
クラスメートの笹山さんも好きだけど、という気分もわかります。あの頃の男子は多分一人だけが死ぬほど好き、というほうが少ないのでは。
確かに彼らに相談しても…はは。
恋の悩みといわれてわかりやすい反応、ここはくすくす笑ってしまいます。
笹山さんのことも知られていたのが悲惨です。
親身なのか意地なのかわかりませんが、結果的にはありがたいですね。
ラブレターというのも…彼女たちの年齢じゃ、そんな言葉を言ってみたいだけでは?
「A面で恋」というのはわかりません。
卑怯と自覚しているのは辛いですね。人間としては卑怯以上に悲惨なことはないですから…
姉もきついですね。
このメンバーじゃ確かにどうにもなりません。たまちゃんは入れないんですね。
大野くんと杉山くんも逆に遠いのでは?
卑怯と書くかどうか…僕なら書いてしまうでしょうね。そしてよさが出てこないというのもすごい。
山根くんもある意味悲惨です。長所がわからないってよっぽど…
卑怯だけど優しい、というのも面白い人ですね。
さぞすごいラブレターになることでしょう。
…大野くんの潔さはさすがです。
まさかこんなかんちがいでうまく…まさかこのシリーズ、続くんですか?
なんか壮大なシリーズになりそうです。

夢色パティシエール
スイーツ精霊たちもそろって楽しくなりました。
「人形ごっこみたいで」というのがまた楽しいです。
一人だけ男子が男子についている、という男女の組み合わせのずれも面白いですね。といってもミルモも男女のずれはありましたが(結木〜リルム、松竹〜ムルモ)。
王宮パティシエ、というと四人ともこの表情!そういう目標があるのも王制のプラス面かもしれませんね、オーストリアで音楽の称号が生きていることも思い出します。
三人がそれぞれの夢を語るのもいいですね。
歓迎パーティも贅沢な話です。いちごちゃんの表現力はすごいですね、小さい頃からどんな本を読んできたのやら。
目ざわりだったら見て技術を盗むとか、「あたしにも教えて」と入るかすれば?
子供が手ごわい敵、というのはリアルで面白いです。
子供の反応を見るのを楽しんでいるのが
孤立している子に同情してそのこのために工夫したらそのアイデアを盗まれる…ココはすごく胸が痛みました。
でもなぜ説明しないのでしょう…これはいちごちゃんに対する嫌がらせにとどまらず、関係ない幼稚園児も被害に巻き込んでしまうということを。
言葉が出ない彼らがもどかしく思えます。

株式会社ラブコットン
成ちゃんが必要ないというのは苦笑しました。
最高のテナント、といっても読み返すと即決しなくてよかったです。
「悪いことは言わない」というのが親切なのが痛いです。
ちゃんとした事業に関する書類を持ってきたほうが説得力は高かったでしょうね。
都会の怖さ…確かに大きいですよ。
「どんな不可能も可能に変える」と豪語する事業者がすべてを失って破滅するのを、この不動産屋はもう何人見てきたことやら…結局は博打、パチンコの玉の一つに過ぎない…
家賃を滞納したままたてこもっている、というのもすごい問題ですね。
この出会いは悲惨なはずなのに妙にユーモラスです。
学校でも評価が高かった、というのは実社会ではなんでもないんですよね…旧軍のハンモックナンバーはともかく、というか戦場では意味がないとどれだけ証明されても出世はハンモックナンバーで決まってしまった…
なぜ自分が失敗したのか納得できない、というのは辛いですね。
あらゆる理由を分析し、解決して…すごくがんばっているのに全くダメ、ほとんど謎ですね。
店が目に入らない、人の流れ?…日本にマクドナルドが初進出するとき、「人の流れ」のリサーチにものすごい時間をかけたという伝説を聞いたことがあります。
でも本当にこの店がそれで大成功してしまったら、ラブコットンが東京進出する意味は…彼をラブコットンに入れて、東京支店長にするのでしょうか?
なんかすごく面白くなりそうです。

絶叫学級
今回の問題は、まず根本的なメッセージがちょっと納得しにくいのです。もう一つは改心が救いにならなかったことです。
今回は「食べ物を粗末にするな」が絶対に正しいことのように感じさせますが、そんなことはありません。
それは近代…「軍および工場」の要請に従った学校イデオロギーの一つです。
人間がある食べ物を好み、ある食べ物を好まないのは本質的には人間の本能、視覚・味覚・嗅覚が「これは毒だ」と判断しているからでもあります。
それを押し殺して「嫌いなものも食べ」なければならないのは、まず実際に人間が食べられる食物の範囲がきわめて広いこと、また食文化が多様であったからです。
近代以前、人間が生まれ育った村から一生出ないで暮らせた時代は幼児期から食べ慣れた、自分の生まれた食文化の物を好み、またタブーに従って食べ続ければ何の支障もありません。飢饉の時には救荒食物を食べなければなりませんが、それは飢えているのですから食べるでしょう。
ですが近代に至り、世界中のあらゆる食文化を受け入れ、また特に軍隊や工場では日本中あちこちから集めた兵士や労働者に非常に安く質の悪い食物を画一的に配給しなければなりませんでした。交通の発達で移動がきわめて安価になったのです。
そのときに、「これは生まれたときから食べてきたのとは違う=嫌い」と言い出したら最悪反乱につながって軍が成立せず国が滅びます。
だから学校では「好き嫌いなくなんでも」食べる訓練をする必要がありました。また、より深いレベルで「肉体を精神に、精神を国家…法・命令・権威に従わせる」高い規律訓練が求められるのが近代です。「自分の体の主張」「自分が育った伝統」よりも「国家」を優位に置くよう命じられているのです。
本質的には近代という特異な、そしておそらくは古いイデオロギーの問題で、それを超えた普遍的な善悪ではないのです。
ただし学校というところは、古いイデオロギーを自覚なしに絶対視しているので、好き嫌いを主張し続けると大きなペナルティを支払うことになります。
本当は食べられるものを拒否するのは緊急時の生存率を下げることも確かですが…本当の緊急事態に、単純な好き嫌いで命を失うことはあるでしょうか?
「好きで好き嫌いしてるワケじゃない」というのは真実なんですよね…好き嫌いというのは非常に深い体が言っている言葉ですから、それを無視するのは大きいストレスになります。
食べられないものの多様さには驚きますが、僕も食べられないものは結構多いので理解はできます。
あと、偏食にはさまざまな理由があるので…精神分析が有効かどうかは知りませんが。嫌いなものというのは経験上、ある種の心的外傷になっていますから、その治療技術が有効かもしれません。彼女の偏食の多さは傷の多さかもしれませんね。あと現代生活では幼児期から食物の多様性が少なくなるのも問題でしょう。人工食物の微妙な毒性も関わるかもしれません。なぜ何が嫌いになるかは複雑な問題ですよ…
人形にあげる、というのも子供らしい発想です。
「食べたくても食べられないカワイソウな」が彼女に全く響いていないのは確かです。響かない言葉というのはあるんですよね…僕が上に書いた言葉も、彼女を納得させることができるかどうかは不明です。
本当に全部きれいに食べてくれるメリーちゃん…問題は食べ物を床に落としていることですか。
大人の裏をかくのが楽しくて仕方がない、というのは、彼女の好き嫌いが本質的には…体が毒を拒絶していることより大人に対する反抗のほうが強いことをうかがわせます。
どうすれば、その大人に対する反抗そのものを受け止め、解決することができたのか…罰を厳しくしても無駄なのは確かです。どうしようもなかった、という結論だけは受け入れたくありません。
完食を善とする価値観のばかばかしさになぜ大人は気づかないのでしょう…
ぜんぜんおなかがすかない、という体の命令には従うべきでした…といっても「嫌い」というのが深い体から出た言葉なのか、大人への反抗という比較的浅い心から出たものなのか子供には絶対分析できないです。大人にだってそんな分析はそうできません。
この分岐点…正しい道を歩み始めているのに結局破滅に終わったことも納得できません。
闇に触れた時点でもう死刑執行令状には署名してしまっていた、改心は意味を持たない…これは子供に与える正しいメッセージでしょうか?魔に対する防御の知識があれば結果は違ったでしょうか?
人形に変わっていく恐怖感は激しいものがありますが…
二重にどうかと思わされます。不条理がホラーの本質には違いありませんが…
あと、「好き嫌い」系のホラーとしては松本洋子先生の「にんじん」という最悪の古典を見てしまっているので…あと人形入れ替えも松本洋子先生の得意技でしたっけ。

君は坂道の途中で
日常描写がすごくいいですね。
二人とも赤点…いいカップルですこと。
「進級なんかと比べられないお前でいてくれよ!!」には猛烈に咳き込みました。
ちゃんと治療費は全額出すのが男のけじめですか…う〜カッコいい。
店長のリアクションは楽しいです。
「前の彼女の治療費」と堂々といってしまえるのがすごい。
キッチンをほめられるのは嬉しいでしょうね。
亜由ちゃんの親というのも厄介な問題ですね…
手作りシルバー…シルバークレイ?ロストワックスは難しいでしょう。
「ちょっと嫌v」というのがかなり明るい分悲しいですね。
ユカリさんの名を出してしまうのは確かに悪いのですが、それぐらいいやということでしょうね…
彼もそれはわかってくれると思います。
女の子二人で泣いているのはいい眺めです。
というか千治、すねるなって…子供か。
このクリスマスケーキは嬉しいですね。
そして自分の話がクリスマスプレゼント、というのは胸が痛くなります。
父親は…自分をちゃんと理解していたのでしょう。でもなら結婚するな、と叫びたいです。結婚して子供を持つことに根本的に向いていなかったんじゃないか、と。
キスの雨がどれほど救いになったか、それでもどれほど痛いか…
そして今更両親が来るとは、どうなるのでしょう。

こもれび。
お疲れ様でした。最後までペースを崩さなかったのがよかったです。
手が絆創膏でいっぱいな理由は二つしかないです。料理はないでしょうから…
いきなり動物と話す能力を失う、というのは怖いですね。何かタブーを破ったのか、と思ってしまいます。それとも初潮でしょうか?
能力を失ったことを素直にいえない、というのもわかります。
仕事はちゃんとできましたね、動物と話せなくても。
泣き出したのを強引に連れて行ってくれて、これはなんというか悲しみを吹っ飛ばしてくれますね。
下手に慰めるより別に忙しい仕事を与えるほうがよさそうです。
「責任とれ」ってプロポーズですか?この素直じゃないっぷりが実に聞いていて楽しいです。
犬の幽霊とまた話せたら…何人もの読者が同じ夢を持っていると思います。
すごく情感がこもった二度目の別れでした。
いきなり「充くんも好きだよ」はびっくりしました。
次回作もこの調子でしょうか?まあ珍しい作品が描けるのは貴重ですから…楽しみです。

来月号の種村先生の新連載、今月号の予告といい満を持してという感じです。
どこまで暴走してくれるかもう好き勝手爆走してください。楽しみにしています。
武内先生の作品も明るく楽しめそうです。
もっと新人が出てきて欲しいですが贅沢は言わないでおきましょう。

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