りぼん2005年12月号感想

付録の手帖はとにかくすばらしいです。
がっしりしたハードカバーで外でも確実に書くことができ、一日一日のスペースがたっぷりとられています。
無駄がない実用品といっていいのではないでしょうか。

紳士同盟+(種村有菜)メルめるメ〜ル(萩わら子)ラブ・ベリッシュ!(春田なな)保育園へ行こう!(樫の木ちゃん)姫君のアイコン(小桜池なつみ)ブルー・リボン(持田あき)ホワイトキャロル(朝吹まり)STAR BLACKS(槙ようこ)HIGH SCORE(津山ちなみ)アゲハ100%(武内こずえ)Ya-Ya-Yahがやってくる!(北沢薫)スマッシュ1(藤原ゆか)次号予告

紳士同盟+
一気に盛り上がってきました…すごくわくわくさせられます。
いきなりのキス自体、いつもの閑雅じゃないのはわかるはず…というか読者にもわかりにくいので何か印を付けてください。
結局、本物の情念は「偽物 思い上がるな」だけでしょうか?だとしたらちょっとキャラとして小さくなってしまいますが。
完全に男として終わっている状態の草芽くん…
乙女な夢に埋もれている灰音ちゃんは、まあ女の子ってそんなもんだなと生暖かく見守りましょう。
で、「真栗うざい」といっているしーずんはどっちでしょう。偽物を地下牢から出した描写がないですから本物?でも本物だったら、これまでと急に違うことはできないはずです…やっている?
いや、真栗の言葉によると、どちらも人格までは演じていない?
郵便屋さんの参戦にはびっくりしました。
シンデレラについての誌的随想を交えるのは、種村節というか…ま、華やかな舞台仕立てでいいです。
いきなり押しのける行動には驚きました。本物だと気づいたのでしょうか?
魔法が剥がれる、という心象描写はさすがです。残酷なぐらいに鋭く、シンデレラを解体しているという意味もありますね。
「閑雅様になりたかった」という告白を聞いているのは本物と偽物、どちらなのでしょう。あ…もし、本物も前から灰音ちゃんを好きだったとしたら…そのほうが、感情のない単なる悪魔より面白いです。

メルめるメ〜ル
少し大人っぽい感じの絵柄になっていますが、弾けた部分は相変わらずですね。
男に免疫がない、メール大好きとキャラの特徴がしっかりしており、それが話の骨格になっているので、すごく読みやすい話です。
メールがそんなに好きとは…う〜ん。携帯電話メールを使わない僕にはわかりません。
女子高なのにみんな彼氏がいるというのもすごいですね。
男子が苦手で入れない、それでメールをしている最中に…入れ違い!結構僕、この{携帯電話の入れ違い}パターンが好きになっているようです。
ちるちる、まんまる・まるまる、と小道具というかキャラもいいですね。
入れ違いに気づいて、話は緊張するけれどメールは緊張しない…うん、これもいいです。
会うときに友達が間に入ってくれるのも便利です。そうじゃなかったら話せないでしょう。
携帯電話の交換で、手をいきなり握って…彼は結構女子に免疫があるのでしょうか?男子校もまた、女子に免疫がなくなります。
男子の集団にいきなり放り込まれるというのは…かなり過激なワクチン。
拒絶して疎外感、というのも悲しいですね…
メール(の中の自分)と、実際の自分とのギャップを自覚できたシーンはいいですね。それを理解し、制御できればいいのですが。
そして…小林くん、いきなり来てくれたのはやはりうれしいですね。苦しんでいるのを写真を撮って「キンチョーって超かんたんにとれるっしょ!?」はうまいの一語。
いきなり再登場して笑いを取れるって、みんなもずいぶんいい人ですね。
メール友達からどう進展するか、楽しみです。前作のいいところをうまく活かして発展させているようですね。

ラブ・ベリッシュ!
う〜ん、まあそりゃ…「Bカップに興味ないから」「人に殺意をいだいたのは初めてです」これは実にいい入り口です。
というかそれまで人に殺意を抱いたことがないとは、ずいぶん平和な生活をしてきたんですね。
梓くんは見ていたのに全く変わらない態度…
で、いやあまりに強引を通り越して自己中心的な行動に唖然とします。もちろん理由は梓くんに好きな人がいて、横恋慕しても傷つくだけだからなのでしょうが…
字は確かにきれいです。楷書というのが親切ですね。
「俺お前のそういうトコ大っ嫌い」にも、まあわかってはいても呆然としますね。
徹底的に行動を不可解にするのはまあ、このタイプの正統派少女漫画では定番なのですが…結構うまいです。これだけ基本に忠実に作ることができるなら、この作品当たるかもしれません。
さて、改めて思いを自分の中で確かめて…

保育園へ行こう!
うわ、ちょっとちょっと…すごくストレスがたまる展開です…
「こどもたちを不安にさせちゃだめ」というのは、支えにはなると思いますが逃げ場がない…あ、逃げ場があるとすれば高見沢くんだけ!うわ、これは辛い。
逆に、何が辛いとか…弱みを見せ合える関係じゃなかったのでしょうか、真広くんとは…お互いに。
五時おきというか徹夜なんですが…大変でしたね。で、子供の空気読んでない「ココちゃんはまひろお兄ちゃんとけっこんするんだから」には頭抱えました。
子供相手でも強引な行動を緩めないというのはある意味すごい。
ほよりさんも、解決策(強引にでも、他の全てから離れて二人きりの時間を持つ)はわかっているはずですが…それが不可能だともわかっている…
雨になったという時点で、なんとか父兄に迎えに来てもらうべきだったのですが、ちょっと強引な展開ですね。
おしりフリフリの歌はすごくいいですね。こういう、子供と接する仕事の魅力を、その子供の心を残している読者に…気恥ずかしさを与えずに伝えられたらいいのですが。
意外と弟妹想い、という陸ちゃんの別の面もしっかり描いているのはいいです。
心がついていかない…それはまあ当然ですね。
それを即察する高見沢くん、本当にいい男というか…ごく自然に、相性は今のペアのほうがいいということを示してくれるのがうまい。恋と相性が食い違った場合というのもやっかいですね…
「俺の前でつよがんな〜」この言葉は本当に彼女が求めていた言葉ですし。彼にだけは求めてはいけないとわかっているけれど…無償の愛でも構わない、とさえ想っているんですか高見沢くんは…それを思うとぞくっとします。
ちょっと『めぞん一刻』を思い出す台詞ですがね。
で、このメンバーで泊りって…それ、もう保育園のミスにされそう…

姫君のアイコン
ふむ…すごく興味深いです。{憧れから本当の恋}パターンだと思ったら、そうではない…この構図の中で居場所がない潤くんがどうなるかがこれからの鍵になりそうですね。
立ち上がって頭ごつん、ここは…あ〜あ、せっかく決めたのに。
「憧れなんじゃねぇの?」は、僕もそうなんだろうと思っていました。この怒りも図星だから、と。
潤くんの思いもちゃんと受け止めている、それはすごくいいです…家族の支えも素敵ですね。恋に関する悩みは、家族にも相談できないものですが…
走るシーンが少し動いてきました。やはり連載は作家を育てます。この連載が終わったときか、または続いたときにどんなに成長しているか楽しみですね。
ライバルの登場もうれしいですし、それが慎理くんと関わりがあるのもいい展開です。このキャラは生かしてほしいです。
本当は憧れじゃない、ということを何度も繰り返して示していくのはうまい。こういう本心は簡単に納得できるものではないですから、繰り返すというのはいい手法です。
唯ちゃんが絡むのは…ライバル思いからでしょうか?それとも…望みがないことをすぐわかってしまったから?
「昔から鈍いな慎理」というのは、二人がなぜ別れたかも暗示するうまい言葉です。
最後の、書道で右下に払うのがすっと決まったような描写もすばらしいです。

ブルー・リボン
ハートを取りかえたら、逆に彼がどれだけ彼女を愛しているかもわかってしまって色々罪悪感に悩まされるかもしれませんね。
ハートとハートを、LANでつなげればいいのですが…
いいことが多くて幸せだと、どんな反動があるのか不安になりますが、それは僕が読者という立場だからです。
友達のアドバイスも適切ですね。
そして、この公園の自然描写に実にうまく葵くんが調和しています。
というかこのいつも寝ているのって、病気と関係ないのでしょうか?心配です。
寝ているのをビデオでとってキス…そして、予定とは違うあまりに自然な告白の交換にびくっとなりました。
それが同時に、離れるとは…ああよかった、病気再発じゃなくて。
生きてるだけで嬉しかったんですから、何も求める必要はないのに…胸の痛みだけは伝わってくるからたちが悪いですね。
撮影のほうもトラブルが起きて、そして…このマネージャーさんすごいですね、ちゃんと認めていて…
「心配もさせてくれないの?」という言葉もずきっとします。お互いに守ろうと必死になって、それがかえって心の距離を作ってしまう…その最悪の形が『春にして君を離れ(アガサ・クリスティ、ウエストマコット名義)』かも…
あの映像も消えてしまい、群衆の中の孤独で痛いほど思いが募って…もちろん生きているだけで十分なはずですが、それだけでは抑えきれない…
「それがどれだけ情けないか知らないだろ」と、そこまで彼が心を開いてくれたのはすごいチャンスだと思うのですが…二人ともすごく思いが強くて、でも通い合えない…たまらないもどかしさです。いやそれって『保育園へ行こう!』とも共通しますね。

ホワイトキャロル
期待通りすばらしいです。
昔のことにこだわっている美香ちゃんと、今別の生きかたを選んでいる宮下くん…という構図で読み始めました。
覚えてはいるけど…サックスのことを聞いてしまったのは、もしかした彼を傷つけているかも、とは思っていないのでしょうか?
簡単にやめられないことをやめたとしたら、それはどんなに大きな苦しみだったか…
ついサックスを手に取っているシーンから、やはり宮下くんは本当はサックスをやりたいんだと察することができました。これで構図ががらりと変わります。
フルートを吹くシーンを繰り返し挿入しているのも、よく美香ちゃんの思いを伝えていますね。
そのオリジナル曲で初めて心の扉を破ってしまって…でも、美香ちゃんはそれが彼にとっては辛いことなのでは、と思いやってはいないですね。ちょっと自己中心的かも。
くだらない、とは言えるはずないですよね…失敗の痛みを知る同士なのですから。彼も、痛みを知る同士だとわかっていないのは鈍いかも。
美香ちゃんが、触れられたくないし思い出したくない、という宮下くんの主張をまったく受け入れようとしないのはどうだかな、という気もします。今の「サックスのことに触れられたくない宮下くん」はまったく無視して、美香ちゃんの心にいる…そして実際の宮下くんの中では押し殺されている「サックスを本当はやりたい宮下くん」しか見ていませんね。
痛みはわかっている、でも閉じこもるのを許すことができない…癒す時間を与えるという選択肢も彼女にはない…
親や師は子供が嫌がることでも本当に子供のためになることなら強制していいか、という問いにちかいかもしれません。
まあ、個人的には押しつけすぎている気もするのですが…というか、将来二人とも音楽で食べていくのは無理だと悟ったときどうやってそれを乗り越えるのか心配ですよ…結果オーライはとても感動的でした。
東京タワーを背景にしたキスシーンもすばらしいです。

STAR BLACKS
…まあ、その気になればヨハネ黙示録でもタロゥ(タロット)カードでもヘブライ文字でもいくらでも注釈書は書けるのですが…それは感想ではないですし、だれもそんなの読みたくないですよね。
よくわからない、というのが正直なところです。
魔剣の話なら『エルリック・サーガ』や『折れた魔剣』、アーサー王伝説や北欧神話でもコミック化したほうが面白かったでしょう。簡単には本家本元は超えられませんから…
さて次回作はどんな作品になるか…まあこれだけ表現力は高めたのですから、とんでもない化け方をするかもしれませんね。

HIGH SCORE
確かにいいトレーニングキットは結構高いです。でも買っても使わないことが多いですよね。やる気があれば床と縄跳びと走れる道だけでも十分運動はできますし、やる気がなければジム全部持ってても無駄です。
僕も、懸垂鉄棒+パラレル・ディップ用の平行棒、水泳やランニングができる環境は欲しいのですが。
指輪が10kg…原子番号何番?でも指輪をくれたこと自体はすごく嬉しいようですね。しっかり左手の薬指許してますし。というか、リボンをつけている京介に赤くなっていたり今回のえみかちゃんはかなり可愛い女の子です。
で、えみかちゃんもめぐみちゃんも…大変ですね。

アゲハ100%
あ、モデルの投票ですか。そういえばモデル同士の葛藤が解決されていませんでした。
内心を描くアゲハと、流行にあわせて演出するスパイダー…実にわかりやすいメッセージです。
全校生徒の前で「ママ!!」と叫んでしまった時点で、ある意味人生終わりのような気がするのですが…ははは。
なぜ強引にデモンストレーションだと話を持っていったのやら…もうアゲハなんて公認だとばかり思っていたので、別にかばう必要はないと思うのですが。
初代が凛ちゃんの母親だというのは読者にも見え見えでしたが、否定するとは…色々事情がありそうですね。
「ママ人前でスッピンって大丈夫なの?」は笑えました。
あ、やっとリラックスしましたね。
如月くんも…どちらも抱き寄せもキスもしないでハイタッチ、というのがなんだかいいですね。
で、正体を突き止めても…今更のような…でもそういう、軽い悪意の方が恐ろしい結果を生み出すものなので油断は禁物です。

Ya-Ya-yhaがやってくる!
笑点のようにすごい商品…?
いきなり今回は皆ボケ炸裂です。
熊田さんも災難ですね。「中高生男子に将来を心配される女」も爆笑。
テレビで告白するシチュエーション…って、断られたらすごく恥ずかしいのでは。
熊田さんももっと悲惨な災難ですね。
対決は、妙に暑苦しくて…というかこの企画には、芸能人じゃなくて普通の中高生を引きずりこみたいです。
しかし、まあこういう作品があると癒されますね。特に疲れているときに何にも考えずに楽しめます。

スマッシュ1
ものすごい情熱がある、すごく素敵な作品でした。
氷のコートというのは少々『魁!男塾』や『キン肉マン』に近い気がするのですが…ま、もともとこの話ってスーパー系スポ根ですから…でもどうせそれなら派手な必殺技がもっとあっても…
試合の迫力はさすがにいいです。
そして、絶望的な状況で見える輝きもよく見えてきますね。
第三セットタイブレーク…ちょっとまともな戦術のように見えて、これがやりたかったんだといわんばかりの派手なスマッシュ!これだけ決めてくれれば十分満足です。
ドラマも決めシーンもとことん楽しませてもらいました。
キスシーンもエピローグもすごく嬉しかったです。
さて、これだけいい作品を出したのですから…次はもっと、と欲張るのは当然です。頑張ってください!

来月号の新連載、世代逆行?とこけました。でも実力は最上の作家には違いないです。そうそう新人作家の連載ばかりというわけにもいかないですよ。
付録でマフラーというのはすごいですね。

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