りぼん2004年8月号感想

読みきりで出てくる若手作家作品の多くは正統派学園恋愛ものなのに、連載の大半は違うのはなぜなのでしょう。
その違いは…うまくいえないのですが瀬戸先生や北沢先生、槙先生に強く感じる、正統派が柔らかく自然な感じならそうでないのは…濃厚で刺激的、ガラスの破片のような硬さ、もろさと不安定感、鋭さがある…。題材についても単純な学園ラブコメではなく、痛みを強調するのが多いです。
現在は増刊を含めると圧倒多数は正統派学園恋愛ものなのに、そうでないわずかなメンバーが本誌レギュラーを独占しているという形では?

それは正統派の作家が多数事実上無駄にデビューするということですから、根本的に不合理だと思います。
作家本人から見れば避けられない残酷な挫折を味わうことになります。努力して正統派としてのレベルを上げても正統派である限りレギュラーにはなれない、逆に本誌が求めるような鋭い表現を中心にしようとしたら、自分の持ち味が失われる…地獄です。
同時に雑誌から見れば本誌レギュラーになれない新人のために貴重な誌面を浪費することになります。そして、もし正統派が本当に人気がないのなら、正統派の比率が多い増刊の売り上げ減少にもつながるはずです。
そしてレギュラーが少数である正統派でない新人作家から選ばれるならば、それは競争率もレギュラー入りまでの掲載枠も少ないということです。それは必然的にレベルの低下を招くはずです。
ならば正統派を少なく、正統派でない作家を多くデビューさせれば、レギュラーは多数の正統派でない作家から十分な枠で育てられつつ厳しく競争してレギュラーになれるわけです。そして正統派作家は最もレベルが高い人しかデビューできないから不毛な競争の中挫折する人は減ります。

正統派学園恋愛作家は要らない、何か特殊な輝きが必須というならはっきりそう言ったほうがいいでしょう。
投稿者の圧倒多数が無個性(?)な正統派だとしたら…一見どうにもならないですが、正統派でない手本が数多く出れば時間が解決するでしょう。

ベイベ アゲハ H.S. サボテン ドラみら ラブわん カリド 永田町 天陸 E系 てっぺん 七歩目 めだか 予告

愛してるぜベイベ
ちょ、ちょっと…呆然とする展開です。
マンガなんですから、わざわざそこまで現実的にすることはないじゃないですか!
リアリティがありすぎて見ていて辛いですよ。
ゆずゆちゃんが「お姉さんがママを連れて帰ってくる」ことに、結平と別れる恐れと同時に強い期待を抱いていたことは明らかです…そうでないこと自体、とてつもない混乱でしょう。
それを「ママにきこえちゃったんだ」と、自分を責める形にするのは子供の心理を…わかりすぎています!僕は、書物からしか子供の心理を知らないのですが、幼児の心理を覚えている子供の読者がここを読んだらどう思うでしょう…考えただけでぞっとします。
そして妊娠問題も、抜き差しならぬところに来ているようですね…怖いのはわかりますが、確定診断は必要です。
「こんなことで嫌われたくない」には、怒りと衝撃でガタっと立ち上がりたくなりました。こんなことで嫌う男に愛される資格なんてない、という簡単なことがなぜわからないのか!
「うちらも人事じゃない」というのは、彼女たちも性体験があるのでしょうか。なくても周囲を含めれば結構身近で切実な問題なのでしょうか。
「一発殴られなきゃ現実に気づけないの」という言葉がずきっと胸を刺してきます。そう、なぜ避妊しなかったのか…保険やがん検診を嫌う心理同様、自分だけは大丈夫、自分には関係ないと頭から追い出しているのでしょうか。それほど危険なことはないのに。やはりそれも「嫌われたくない」からでしょうか?それともファッション的な、要するにきちんと避妊するのはダサいということでしょうか。強い怒りが内向きに噴き出してきます。
というか、ここまでリアルな少女たちの心と体を突きつけられては絶句するほかありません。
お姉さんが細かい話をするとき、僕は…やはり弟か母を起こして、ゆずゆちゃんを監視させたほうがよかったと思います。子供は放っておくと肝心な話に限って、それも部分的に立ち聞きしてとんでもない解釈をする生き物なのですから。
男と一緒、ゆずゆちゃんを本当に捨てていた…これはショックで呆然としました。これまでずっとゆずゆちゃんの母親を信頼していたので…そうさせたミスリードを思い出してみると、またそれも見事なものでした。
無言の回想シーンの痛みがまた見事。
ゆずゆちゃんが起き出した時には、もう…ホラー映画で後ろから化物に迫られている、殺されるとわかっている被害者を見ているしかないような心境でした。
忘れさせなさい、って…この状況の模範解答は何でしょう。
母親を忘れさせ、うちの子だと思わせるのが一番いいでしょうか…その場合には必ずどこかで現実と向き合わなければならない時が来ますし、それまでの痛みの積み重ねがどんな反動になるかわかりません。
ずっと待たせておくのは?それも多くの嘘を含みますし、自分が悪いという感じを強める恐れもあります。
今あなたは捨てられたのよ、と告げるのは論外でしょう…
ゆずゆちゃんの痛みの描写も見事。だからこそ、これが幼い読者に与える影響を考えると怖いのですが。
お姉さんの悲しみも胸を打ちます。ただ…「わたしにとっては奇跡だわ」でも、実際に誰の支援もなく赤ん坊を育てる…妊娠出産の苦痛、産後に体型が変わることのショック、終わりなき睡眠不足と重労働がどんなものか、彼女は知らないでしょう。「おばさんより淋しい人はもっといっぱいいる」のは、お姉さんにとっては真実ですが…比べること自体が間違っています、淋しさ苦しさ、不幸は主観的で、本人にとっては絶対なのですから。
お互いに相手の苦悩は絶対理解できない、だからこそ本来なら互いの思いやりが必要なのかもしれない…矛盾はわかっています。
皆で暮らせたらいいのですが、その影で…結平だけは能天気な顔をしていますが、ゆずゆちゃんも心ちゃんもどんなことになっているか、わかっているのでしょうか。
ゆずゆちゃんの笑顔はぎくっとしました。
「皆に言ったら殺す」といっても、親や弟にある程度は話さなければ仕方ないでしょう。それは自分で言うのかもしれませんが…まさか両親も、彼女の不妊とその事情については知らないのでしょうか?
母の写真が入ったパスケースを捨てる、本当に忘れている…これにはショックで心が止まりました。
これからどうなるのか…あまりにも重い荷物を、事実上一人で二つも抱えなければならないとは…もちろん一つは自業自得ですが!!
そして何より恐ろしいのが、それを考える自分も、そうだとしたら槙先生も悪魔と叫びたくさえなるつながりです。お姉さんの不妊の原因が中絶の後遺症で、心ちゃんもそうなるとしたら…
何のためにこんな話を、ここまでして何がしたいんだ、責任は取れるのかと編集部と槙先生も責めたくなりますよ。

アゲハ100%
持ち味が本格的に出てきましたね、肉汁が弾けるような濃厚な感じが。
凛ちゃんの内気な部分とアゲハの強い部分、キャラの使い分けもとてもよく伝わってきます。冒頭から凛ちゃんの照れ、戸惑った表情が出てくるのがとてもいいです。
「しょっぱなからごめんなさいです」は引き込むのにとても有効でした。
そして如月くんも面白いキャラクターですね。
変装してまでそばにいたいとは…好奇心だけでしょうか。
如月くん(女装)がアゲハだと思うのはお約束の小ギャグですが、効果的です。
メイクの魔法は序盤では軽く、後半の二度目で派手にという繰り返しもいい構成です。
女の子は、やはりこういう…メイクの魔法に憧れているのでしょうか。特に校則が厳しく、化粧やおしゃれが禁止されている進学校では。
僕は元々おしゃれに興味がなく(ただ、合理的で楽な服装、バッグになどにしたかったです)、女の子のおしゃれにも反対…まぼろしの影を追いてうき世にさまよい うつろう花にさそわれゆく 汝が身のはかなさ(賛美歌510)…なのですが、どうしようもない心理かもしれません。
変身した菜花ちゃんがほめられているのを見てほんわ〜としている凛ちゃんの表情、そして敬語がとても可愛いです。
そして皆に冷やかされ、如月くんにからかわれてどぎまぎするのは人格変わりすぎですが結構可愛いです。ちょうど子犬のような感じですね。
「メイクして外見だけとりつくろっても」と、それに付随する回想…これは相当重いものがあります。
僕も、「外見だけとりつくろっても」という言葉に本来は賛成です。でも、こうして泣く、死んでしまいたいほど恥ずかしい思いをしている子供を僕に救うことができるでしょうか。
メイクは心を変える力を持つ…だからこそ恐ろしい面もあります。メイク、すなわち変身は一つ間違えると、『はてしない物語』に描かれるように本来の自分を見失って元帝王たちの都に落ち込む危険もあります。でも…本来の自分が成長し、こんなからかいをはねのけられるようになるにはあまりにも長い時間と不断の努力が必要です。このからかいは、その努力を積み重ねる力さえ奪う力があります。不断の努力は罰や捨てられることに対する強い恐怖か、とても強い自信と自我がなければできませんから。
どうすればいいのか…答えは出ません。
今の状態で、凛ちゃん(とアゲハ)は如月くんに恋愛感情を持っているのでしょうか?
「あなたはキレイになりたい?」という言葉は恐ろしい誘惑です。そうでない人などいるでしょうか。でも、桜さんは…あ、信念を持ってアゲハの存在を拒絶しているのではないようですね。
外見だけじゃなく、何かが変わる…でもそれは正しいことなのでしょうか。上を向いて歩く自信…誰かに想いを告げる勇気…それはメイクのみから、努力なしで得ていいものなのでしょうか。強い危惧を感じます。
如月くんは、「凛ちゃんは癒し系だね」と凛ちゃん自身も魅力的な女子として認めているようですね。
「大切なパートナーなのです」という言葉、結構天然でたちの悪い誘惑かも。
そしてハイタッチのときのくすぐったい感じもすごくいいですね。
これからこの独特の味をどう活かすか、そして…『ビューティーポップ』と同じ魔法のモチーフでどう差を出すかという一番難しい問題をどう克服するか…考えてみるといきなりちゃおの看板、そしてあらいきよこ先生という実力のあるベテランに正面から挑むとは編集部も武内先生本人もすごい賭けをするものです。

HIGH SCORE
面白い関係ですね…確かにリカちゃんとめぐみちゃんのまともなツーショットは売り物になるかも。
いきなりナマコはかなりホラーでした。というかナマコを持ってうっとりしている美少女って…
「イザというときはあたしが止めなきゃ」と銛を持っている彼女、結構過激な人かも。
同じ七光りに悩む同士、共感できる…と思ったら変な形で対等に戦うことになるとは…面白すぎます。
間接チュー、って敵である女とキスすることを考えて鼻血を噴くって一体。
で、タフさに惚れる竜崎先生…確かにカッコいいです、とことん対決する姿勢は。ただし絶対勝てない、たぶん無用に青春を浪費するだけでしょうが。

サボテンの秘密
夏川くんの黒さが出てきて楽しみになりました。
冒頭の、弟との会話もとても楽しいです。こういうディテールは無駄にしてほしくないですね。乱暴な言葉がものすごくリアルです。
いきなり花束攻撃はびっくりしました。「君なら分かるんじゃないかなこの気持ち」も結構強烈なせりふです。
藤岡にちゃんと謝りながらチロルチョコ、というのは喝采しました。その気持ちよく分かります。
髪の毛のことも気づいてくれる、ここまで差がつくと…なんで藤岡なんだろう、と頭を抱えたくなります。
彼女の変化に藤岡は気づいたのかどうか…「夏川くんにホレた?」ってこういうところは鋭いというか。まあここは、自分の内心が分かっていないからですが…怒るのはわかります。
皆で最低と歌うのは僕も唱和したくなりました。
夏川くんに気持ちが動いたことを必死で否定していますが、ここで分かってほしいのは…恋愛感情は常に一人だけに向けられるとは限らないことです。微妙に他の人にゆれることもあるのは、ある意味仕方ないですよ。人間は一夫一婦として創られた動物ではないのですから。
ここの心情描写は丁寧で、夏川くんが…ここはどうみても、精一杯彼女に優しくしているようにしか見えないのですが。
停学の理由はなぜでしょう。夏川くんが何らかの形ではめたと思うのですが…なんか許せてしまえそうですね。夏川くんの善悪がなかなかはっきりしないのはうまいです。

聖vドラゴンガールみらくる
このカラー扉、いいですね。おもちゃのカラフルさ、こういう純粋な子供向けは今どきのちゃおなかよしりぼんでは貴重ですからね。
みんなが会長の微笑は自分のものだと思うのは笑えます。まあそんなものです、僕も一体どれだけそんな誤解をしたか…ふっ。
危ない写真セットは笑えました!
女装とはうまい逃げ方です。美人なのはお約束ですね。
杏樹ちゃんが会長を意識する気持ちも分かりやすく描いていますね。
そしてコタローくんの登場、それでペンダントが三つそろいましたね。後一つ、朱雀は…あ!心配になってきました、青竜だけでなく、朱雀も狙われていてもおかしくありません!

ラブわん!
う〜ん気持ちいい終わり方です。作者がとことん楽しんだとコメントにありましたが、読者にとってもすごく楽しい作品でした。
トラくんが台車を押しているのが普通に描かれているのがすごいですが…というかこの街では、のあちゃんの特殊能力も含めて普通のことなのでしょうか。
アニメ版ミルモの楓たちの街並みに超常現象慣れしていますね。
そんな普通の日常から、いきなりこんなことに…犬男爵にツッコミを入れる暇がないです。
まさかそういうことだとは。このどんでん返しは思いつきませんでした。
あっさりと「これでいいよ」と思い切るのは、やはりふじまろの件もあったからでしょうか。
そして…あえて正体を明かさず、遊ぼうとだけ告げるのも潔くて素敵です。
皆で楽しく遊ぶ姿は見ていてとても気持ちいいです。こんなふうに人と犬が一緒に遊ぶことができたら…いや、犬に変身しなくてもできますよ!
人間であっても、犬のためにできることはいっぱいありますよね…なんだか胸が一杯になります。
そして、告白ではなく「そばにいてほしいの」「協力犬だし」と恋愛未満のままですませるのも、これからに期待が持てて胸いっぱいに喜びがあふれてきます。
すごく素敵な作品でした。本当にお疲れ様でした!次回作、これ以上の笑いと感動を楽しみにしています。

カリスマ・ドール
ずいぶんあっさりとばれましたね。
沙良のほうは好みじゃないのかと落ち込んで、それで自分の気持ちに気づく…ここもすごくあっさりしていますね。本来ならそれで半年、正体がばれる前に脅迫されてもう半年は引っ張れるのに。
片側だけ焼ける、日焼け止め…この会話はある意味怖いです。
身長とはうまいところをつきますね、体格は変えようがないですから。それでいて、後姿で人を見分けることができるように結構固体認識にかかわっていますから。
桜田くんの努力もいい脇筋ですね。「欲しいから買うんだっつの」この言葉さえあればどんな辛いことにも耐えられるでしょう!
十五枚とは豪気な!
「歌で金もらえるだけでもすごい方だから」という言葉もしびれましたね。よく現実を見て、そして明るく前向きに頑張っている人の青春群像…思いっきり泥臭く堂々とやってくれたらすごくいいのでは?
目の前で捨てられるのをよく耐えられましたね。これが現実…たぶん本当は暴れたいぐらいなのでしょう…
切れたときの沙良ちゃんは多分、半ばSALAに…あ、SALAも元々沙良ちゃんの一部…変身アイドルものとは違って、ある程度ですが意識的に使い分けているのがいいです。
迫力はさすがでした。
そして…恋愛面でもややこしいことになりそうですね。
競演で浮かれていたらいきなり、って裸じゃなくて良かったですね。
さて…ばれたと思うのですが、どうなるでしょう。

永田町ストロベリィ
……うがー。深読みしすぎました。
朝起きたときにもげ太郎が落ち込んでいるのが笑えます。
「あたしが好きなのは夏野だし」ってもう、なにげなくバカップルマンガになっていませんか?とっくの昔ですか…
病室でノートパソコンをいじっている秘書山さん、やたらとじじむさいのですが…まあ年齢相応といったところでしょうか。
リンゴをむこうとして失敗しているのはお約束。というかここの治療は夏野に譲るべきでは。
いきなり「気持ちには応えられません!」は吹っ飛びました!
やはり一ノ瀬首相のモデルは小泉首相のようですね、いろいろな意味で。というか…もう三年経っていますから、ある程度の読者にとっては物心ついたときから小泉首相では?
「恩人の娘に手ぇ出すほど困ってません」って、どこで満たされているのでしょう。一つ間違えると総理にも迷惑がかかりますし、議員になってから面倒なことになるのでほどほどにね。
彼女の母親に対する複雑な感情はある程度察していましたが…
そしていきなりこんなことになるなんて!
治療シーン、特に多数の注射器は子供には強い恐怖感を与えるでしょう。
ショックを伝えるのはさすがにうまいです。
金で手術ができない、というのは…もちろん呆然としました。もちろん首相がそのことを知れば出してくれるでしょうが、これ以上人に頼りたくないのも分かります。
ただ、そういう場合の福祉制度などはなかったでしょうか?本当に頼れる大人がいないのが面倒ですね…秘書山は本当に頼れば頼れる人ですが、年齢などで頼りにくい存在ですし。
学校を辞めて、それでどうにかなるでしょうか…「自分が高校行くことよりオレの命を選んでくれた」という言葉は『ベイベ』で心ちゃんが迫られるかもしれない選択と、合わせて描いた言葉なのでしょうか…?
それで一体どうなるのか、胸が痛みます。

天☆界☆陸☆上
それは当然燃え尽きて…まだ燃えているのですか。
好きだから巻き込みたくない、好きだから放っておけない…これはどうしようもないすれ違いですね。
そして炎に包まれた森を走り抜ける、って自殺行為以外の何者でもありません。
まずゴムの靴底が溶けて足を焼き、髪や衣服が燃え出し、高熱の空気が気管や肺を直接焼くことになります…煙にむせ、窒息する以前に。
一つ一つのシーンは、絵としては素晴らしく美しいです。でも…何か入りにくいものがあります。
ダムを破って洪水になるシーンは羽衣伝説の後半モチーフをうまく使ったな、と感心しました。
あっさりと人間界に来るのは苦笑しますが、まあ炎の道を抜けるのが試練ということで…なんともいえない作品でしたが。

E系☆ハイブリッドガール!
ええと…なんか呆然とするというか吐き気がするというか…
R指定の世界に二百万乙女(昔の話ですね)、りぼんっ子を案内しないでください。
なんかもうわけがわからない…
「倉田圭…わざわざしちめんどくさい事に〜」と皆が彼女を認識しているのがすごく面白いです。
電話している総理は一ノ瀬首相でしょうか?でしたら、夏野くんをモデルに売るのと引き換えに手術代を(忘八)…
「全力でやった仕事は全部一流」というのは残念ながら、部分的な真実でしかありません。逆にその時認められた仕事だけが一流、というのも、例えば不遇な画家の作品が死後何十年もたって認められることもありますし、超一流の職人が完全自己満足で作って人知れず封じた仕事もありうるので部分的な真実でしかないですが。
マネージャーに素直に謝るのはすごくかっこいいです。子供なら反発し、言い訳をして当たり前、まして今回は全くの不可抗力だったのに。
この突然の登場はうまいですね。
「お前もスゲェが教師もスゲェな」という台詞は同感であり…僕はまさかこれくらい今どき当たり前なのか、と沈み込みそうになりました。
「人を見る目は健在」なら「未来ある人間にまかせて早く引退」する必要はないのでは?人を見る目があるなら十分やっていけるでしょう。共存できない因縁がありそうですが。
神崎ヨネという名前はびくっとしました。その美的な表現はとても素晴らしいものがありますが…逆に色気を意識的に排除している気がします。
勝負といってもどうするのでしょう?

てっぺん!
色々な意味でカッコよさが素晴らしかったです。
序盤で三人の関係が、まるで霧雨が染みるように自然に分かるのが素晴らしい!
一日二百本…神さんの半分にも満たないです。ただここはレギュラーというよりスタメンでは?
創ちゃんに向けた視線を敏感に知り、コンプレックスを闘志に変える…これは見ていてわくわくします。
がんばるとごほうび…そういわれたら、男の子の考えることは単純です。どんなにこのジュース一つに彼がハッスルしたか、男の僕にはよく分かります。
ひいきという中傷ですずちゃんに守ってもらって…これは絶対勝たなければならない、とすごく強く決意したと思います。
でも何もできず負けた、ってそんな残酷な…それが現実なのでしょう。
試合や敵について、具体的に描かれていなかったのが少し残念です。プレイシーンを見たかったとここでは強く思いました。
「いつになったらすずは兄ちゃんよりオレの方をみてくれんの?」という言葉、あまりに自然でびくっとしました。僕だったら絶対言えないです、それより壊れることを選ぶでしょう。
本気の恋心をぶつけられて戸惑うすずちゃんの姿もうまく描かれています。
そして、創ちゃんに彼女がいたこと、知らない男の子のように思えたこと…本来ならそっちを軸に話を作ることもできますね。
そのショックを短く片付け、武市の優しさをじっくり描くのはそれはそれでありでしょう。
武市くんの反省はすごいです。昔の僕に、そこまで自分を冷静に見ることなんてできませんでした。
この1on1は納得できる流れです。ここで激しいドリブルのフォームを丁寧に描いているのは、ここで出すために試合自体を描かなかったのかと納得し、感心しています。
必死で目をそらさず見つめているすずちゃんの強さ…子の応援があれば何度でもできますね。
公開告白になってしまいましたが、この告白は胸が一杯になりました。
本当に皆カッコよくて…夏の暑さがまぶしいです。この熱さをそのままに、これからも登場して欲しいものです。

七歩目の未来
また素晴らしい作品です!
絵も不安定な部分もありますが、とても印象的な輝きと表現力があります。
このタスキがどれだけおかしいのかは、僕にはあまり分からないのですが…というか頭巾のほうが変。
「美しくなりたいと願う女性のために死力を尽くす」のは確かに崇高ですね…
「君はこの人に告白したいんだろう?でも自分に自信がない」というのは…確かによくある話ですので、そう早とちりするのも分かります。
「いい女になって…あの人に一言言いたいの」という言葉、初読時と読み返している今ではずいぶん印象が違います。初読時には、彼はてっきりひどいことをしたのかと思いました…彼女から彼を責めている感情が感じられたので。
まだ終わっていない…確かに失恋も、それはそれで難しいものですね。僕なんて失恋に十年もかかりましたし。
「前を向きたい」という言葉には感動しました!これだけの依頼、半端な覚悟じゃうけられないですよ。本当に死力を尽くさないと。
うららとみっちーも、結構変人として有名であってもおかしくないような…
実力はあったんですね、三人とも。というか一人でも依頼者がいれば、実力が分かれば依頼は殺到すると思うのですが…
『アゲハ100%』でもそうですが、外見を変えることが人の心を変えてしまう力は恐ろしいものがあります。だからこそ僕は、それはアヘン同様濫用してはいけないと思うのですが…
一週間でこれだけのことをするのは…ちょっとここはギャグですね、マラソンも料理も一朝一夕では無理です。
でもこのお弁当つくりで、圭吾くんとの思い出が出てきて…ここで、「いい奴じゃん」に驚くような表情をしたのが…読み返してみると、ここから魔術のようなこの作品の、構成の妙が始まっているのが分かります。
四日目から一つ一つ思い出を反芻し、そして…言いたいことが分からなくなるって…
あ!マラソンなんて付け焼き刃に決まってるのにさせた、勉強も付け焼き刃と分かっていてさせるのは…マラソンはストレスを吹っ飛ばして気持ちを切り換える力にするためだったんだ!
ふられた衝撃でショック状態だったのが、一つ一つ思い出をかみしめて…「最後まで誠実だった」という言葉に衝撃を覚えました。
ここが本当にすごい。二人とも別に悪いわけではなく、ただ別れた…それを受け入れきれない彼女に、じっくりと…こういう形で自分と向き合う場を与えることができたなんて。
いい女部の皆はそれを計算していたのでしょうか?それとも一生懸命彼女にいい女になってもらおうとして、それで自然に?
幸せだった…過去形、もう大丈夫…
そして「今までありがとう〜幸せになってね」という言葉、息もつけないほどの感動です!
最高ですよ…部長と「考えてみてください」が余計に思えるぐらいに。
本当によく工夫された、素晴らしい作品でした。次作が楽しみです!

めだかの学校
「魚なんかになれるわけない」って、確かに魚にはなっていませんね。
ヘルメットは爆笑しました。
しかしそれでも泳げないとは…どういうことでしょう。
解剖しちゃダメと暗示をかけるのは笑えました…そんなに解剖したいなら、殺された人などを解剖する医者にでもなれば?
このヘルメットにはとても注意はできませんね。折れた魚というのは本当に不気味なものです。

来月号の種村先生の復活は「ただの恋話」をどんなふうに調理するのか、とても楽しみです。元気なエネルギーが一杯あふれてくれると嬉しいです。
そして香村先生の連載もとても嬉しいです!とてもいい作品でしたし…そして正統派の枠が少しでもできるのは、それだけでも嬉しいです。
カーニバルの二人もとてもいい作家ですし、楽しみですね。
すごく楽しみが多い来月号です。
付録の時計は…いくら百円ショップにもあるとはいえ、むしろ呆れます。豪華すぎますね。

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