なかよし2022年4月号感想

やはり「さくら」の表紙はずるい。
かなり贅沢な記念付録、とても品がいいものです。

香るわたしにキスをして。(壱コトコ)ヴァンパイア男子寮(遠山えま)ぴちぴちピッチ(花森ぴんく)千紘くんは、あたし中毒。(伊藤里)どうせ、恋してしまうんだ(満井春香)ギフテッド(雨宮理真/天樹征丸)蝶か犯か(鳥海ペドロ)偽り姫の内緒ごと(桜倉メグ/雨川透子)カードキャプターさくら(CLAMP)新婚だけど片想い(雪森さくら)王子が私をあきらめない!(アサダニッキ)シャーマンキングアンドアガーデン(鵺澤京/武井宏之/ジェット草村)東京ミュウミュウオーレ!(青月まどか)どーも、運命のひと(あかちひろ)次号予告

香るわたしにキスをして。
一年前、中三の夏祭りで、下駄が壊れて困っていたところを助けてくれたピアスの男の人。独特の香りが印象に残っている。
高一の春に学校で見てすぐに分かった。香月亮という名前と一つ上の先輩、ということしかわからない。
ある日、友達に誘われて「聞香(もんこう)」というのに誘われた。そこで先輩がバイトしていると…
老舗の香屋。和服の先輩…その帰りに転びかけたところを亮先輩に支えてもらい、さらに匂いをかがれて名前を覚えた、と言われる。さらに家にも誘われ…

一読、すげえ!と絶叫。
考えてみるといきなり女の子の足に触るなんてイケメンでなければ、イケメンでも現実なら警察…いやもう防犯ブザー抜けって…
鼻緒の扱いがわかる、というのも伏線というのがお見事。
香りだけの印象、それがうまく世界を作っています。
すぐに再会させるのも面白いテンポです。
回想から思いをはせるシーンがまた丁寧に間をおいて素晴らしい。背中も印象が強いですね。
聞香、という読者のだれにとっても聞きなれない言葉。それで何?と思わせてさらに引き込み、和風の世界に入れて、和服の襟部分で期待を持たせる…なんて見事な呼吸。
香屋、というのは需要あるでしょうね。香道というものもあり、茶道華道でも、また仏事葬式でもお香は…香料の日本史・世界史・中国史それぞれ、ものすごいものがあるはずです。実際本があるべきですし、砂糖や茶にも近い規模でしょう。…特にビャクダンでの先住民収奪・奴隷・自然破壊はどこかで読んだことがあります。
…なぜその老舗で金髪ピアスが許されている、とは思いますが。
香道、という言葉はあえて使わないんですね。「香り遊び」ということで敷居を低めているんでしょうか。
視界に入らないか、というところで香りをかいだ時の表情を見られていた…
転びかけて支えられ、いきなり匂いをかがれる…いやイケメンでも防犯ブザーもの…
名前を覚えられる、というのがどれほどずるいことか。
香水初体験でやらかして…これは女の大半、男子も結構多くが経験しているでしょうね。
鳥を飛ばす演出はむしろ大胆です。北条司先生が、カラス・トンボでやる手ですし。
香の専門家なら悲鳴を上げて軽蔑しそうな状態ですが…優しいもので。
いきなり家に誘われて…風呂、で勘違いして…これは苦笑しました。身持ちのいいできたお嬢さんで…
ここで「一緒に入る?」と言ってくれるのもかなり強烈。
また匂いをかがれて「いい匂いする」、この壁ドンの連発とかスキンシップの多さとか…
調香師という夢、それはそれで大変そうです。
さらに服をめくったり…知らなければ…何をしてもエロ方面になるのがまた面白い。
桜の香りのイメージがまた素晴らしい。
さらにこちらから「嗅いでたしかめてほしい」…悲鳴を上げるような大胆な言葉と、激しめのスキンシップ。
とにかくすさまじい実力とパワー。連載できてほっとしていますし…ほかにも実力があるのに機会がない作家は…
どんな関係になるのか、どんな作品になるのか…「千紘くんは」と思いっきりかぶる話(美しいものを扱う男、エロ強め)、これでGoを出した編集部も大胆です。

ヴァンパイア男子寮
うわー…これだけの努力が今のところ無駄になっている…いやどちらが王様でも必要な努力には違いないですね。

ぴちぴちピッチ
前作の記憶が、そして歌うシーン。無駄な要素を入れないシンプルさは成長を感じさせます。
いや警察いけって。
プールに飛び込む、わざわざ飛び込みのフォーム取らなくても…
思いっきりほかの人の前でキス、やってくれます。
いいんだこの作品にストーリーは必要ない。裸と歌があればいい。

千紘くんは、あたし中毒。
方向性が見えてきた…さてどちらやら。
で、由那さんに二人で話、って懲りることを知らんのかあんたわ。
千紘くん、お礼を言いながら思いっきり銃の安全装置を解除してるw
で、こちらもはまったんでしょうか…うわあ。

どうせ、恋してしまうんだ
いろいろと複雑な関係で…
「おれがもらう」と背中を押してしまった…
とうとう渡せて、後ろから抱きしめられ…さあどうなるやら。
ここから未来…何があって今に至るのやら。

ギフテッド
ご霊前ご霊前。
拉致、ってどうやってここまで…そしてこのカメラ映像からでも犯人は追えるでしょう。バイク用フルフェイスヘルメットなんてそんなにたくさんあるものじゃなし。
レコーディング中、ならパソコンのどこかにデータが残るはず…
遠隔操作リモートワークが普及すると、パソコン操作をアリバイにするのが難しくなりましたね。
別の殺人を見てしまった?
分割…MOTOE?いやこんなことしなくてもみんな知ってますか。というかこの頭文字でわかる人はいるでしょうか…

蝶か犯か
小さいころ会ったことがある…
会長という後ろ盾が危ない、やはり抗争は多いようですね。中で結束の強い小集団があると、その外側は…
しわのないシャツを見るのが女性らしい視点ですね。
大人げない遊び、どれほど近い関係かも伝わります。
一本じゃない…別の道も示してくれる、本当に親ですね。

偽り姫の内緒ごと
大変な演技ですね。
町デートという思いがけない動き、それがどうなるのやら。
江戸時代程度のように見えます。悪臭で倒れそうとか、ハイヒール必須とかの西洋的なことはないようですね。
飢えた人が路傍に転がっている様子もない。大八車も相当高い技術水準で、木材枯渇にもなっていない…
演技プランで動いている…それ以前がひどすぎ。
盗人が陽動という可能性も考えるべきなのでは?
すぐには見えにくかっただけで、貧しい人もいる…
風呂といっても裸を恥じらう感情は文化・宗教で、地域・時代によってはまったくありません。

カードキャプターさくら
昔の…魔力の独占、というのはTYPE-MOON設定では?以前の「さくら」にもありましたっけ?
結構じっくりと過去話を描きますね。
…単純に、さくらちゃんに協力を頼めば、悪事でなければ承知するのでは?
というかさくらちゃんたちを利用、あるいは封印しようとする人がいないのも不思議です。
やっと話が動き出すんでしょうか…もう戻れない、というと「グイン・サーガ」で、リンダがイシュトについて血の海の絵に「もう戻れない」とタイトルがついたイメージの予知をしたことを思い出します。

新婚だけど片想い
ちゃんとしたデート、これは幸せですね。
動物をものすごく丁寧に描いているのも好感が持てます。
イチャラブデー、また殺傷力の強い…

王子が私をあきらめない!
やっておしまい…はは。
ダンス…なぜダンサーに。
美女初雪先輩をまた出してくるとわ。
で、聞いていた…よくもまあ、とあきれるような話になっています。

シャーマンキングアンドアガーデン
争って人を傷つけたら…別にそうなっても生きていればいいんですけどね。
ただ、落ちなければいい。何とも思わない怪物にならなければ。
この決断をするとは…
血の惨劇もうまく描かれています。
「迷わないヤツが異常」という言葉も重いですね。
致命傷を悟ってからの必死の言葉もすごいスピード感。

東京ミュウミュウオーレ!
宇宙船から地球を見る経験とは…
自分を度外視しているのが唯一の誤りでしょうか。敵も味方も自分も全員生きる道があれば…
死なせはしない、と思って死なせたことも何度もあるのでしょうね。
彼の心を実に繊細に描いているのが重いところです。
で、なぜここにみんな…
囚われて力を解放させて、さてそれからどこに回るのか…
実にスケールの大きい作品です。

どーも、運命のひと
赤い糸が見え、結ぶ力がある唯ヶ峰一族の結(むすぶ)ちゃん。
その天敵は糸を切る力がある錦小路一族の霧矢くん…
あるとき、結ちゃんはその霧矢くんと自分を結ぶ糸を見てしまった。

つい最近「赤い糸」話は読んだので頭が混乱していますが、これまたうまい料理法。
絵のバランスの良いかわいらしさもとても読みやすいものです。
このはさみは普通の人には見えない魔力でしょうか?でないと教師も警察も…
名前を守る、と権威主義の匂いをさせるのもバランスがいいです。
糸を否定する言葉がキーになって糸が見えてしまう、すごい展開に驚きました。
読み返して思いついて爆笑しましたが家の中の、彼の父親に糸が伸びていたら大変でした。
これでタイトル回収、うまい。
…切って、と頼むことはしないんですね。
「好きになった人と繋がってなかったら失恋確定」だったらこの能力自体呪うべきでは?
「自分信じてあげれば」も、本当は彼女が聞きたかった言葉かも。
なぜ今時この電話…
というかマッチポンプで両方が稼いでいる、というのが見えてしまって乾いた笑いが。…娘の相手が気に入らない親が切る依頼をして、娘が…というか政略結婚を成功させるため本来縁がなくても結ぶとか…
落ちそうになるのを助けるシーンはいい迫力です。
そして突然、糸を切る彼…そして過去、いや恋愛感情はなくなったけれど約束だし、で結婚したのでは?だとしたら思いっきり不幸にしてますけど?
そして結びなおしてしまう…ラブシーンも派手、そしてあの父親とあの祖母に、そこを描かいのが「鬼平犯科帳」の「密偵たちの宴」同様めちゃくちゃ後を引く面白さ。
ものすごい実力。もう本誌連載でいいですよ、お試しでも。

月号は「かみつかないで」の最終回、特に新連載とかはなし…いや四月、新学期ですよ?

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