なかよし2018年3月号感想

とことんスタンダードな、少女漫画らしい表紙。
付録も迫力があります。

 

先輩!今から告ります(慎本真)青葉くんに聞きたいこと(遠山えま)カードキャプターさくら(CLAMP)ゆずのどうぶつカルテ(伊藤みんご)キスしたいってねだってみろよ(三月トモコ)HUGっと!プリキュア(上北ふたご/東堂いづみ)キスする街角(西炯子)黒豹と16歳(鳥海ペドロ)同級生に恋をした(美麻りん)ねこ色保健室(松本ひで吉)はちみつトラップ(甘里シュガー)くちどけビターチョコレート(兎乃心)予告

先輩!今から告ります
いきなり告白…「どこに?」はわかっていても大笑い。鈍いとかそんなレベルじゃない…
「すごい幸せな別世界の人に見えて」…それですよね。
この脅迫はかなり死活問題ですね。というかそんな男性がいる状態であんな告白しまくってたんかい。
それを先輩に相談するってもう笑いが止まりません。すごい、すごすぎる。
「1gぐらいです」「…梗ちゃん…」がまた笑い転げます。
「おまえそれ絶対梗ちゃんに言うなよ」「梗ちゃんが気の毒だからやめてやれ」…同情しまくっている先輩…
そしてここを目撃し、さらに…「用があるのはおまえ」…さあどうなるか、想像を絶することをかましてくれそうで腹筋が心配です。
今回めちゃくちゃ面白かった。

青葉くんに聞きたいこと
「荷が重すぎる相手さ」さすがベテラン。
練習になってないってそれがやばいのでは?
上を見たらこれ、嫉妬作戦が延々と続いていますね。
…で、額にキス…豪快なものです。
手をつないでいるのも苦笑。
さらに声が聞こえてしまって、そのまま…というかもうこれで解決でいいのでは、という気がします。
単にしばらくいちゃラブカップルを演じれば、演技から心が動くことも…
結局面倒の泥沼を掘り下げますか。何が埋まっているのやら。

カードキャプターさくら
「呼んでね」…なんていい子たちでしょうね。これだからクランプ世界は。
日曜日の予定で、この嬉しそうな笑顔。
そして変なデートに…
愛情に満ちた世界に、不協和音。どんな決断が待っているのか…

ゆずのどうぶつカルテ
置物と思ったら猫、それも野良…
自由を奪いたくないから、という思いやり。でもそれが現実には…
人間だって、好きなだけ食べたら肥満して糖尿病などになる。猫だって…まずネギ中毒というリスク…
保健所、という恐ろしい言葉が出てしまう…現実が次から次へと重なってくる。
結果的にハッピーエンドでほっとしました。
重い現実を乗せながら幸せにしてくれるこの作品が大好きです。

キスしたいってねだってみろよ
朝からこれは笑うしかないです。…でも現実には、どちらも朝起きた時にはさすがに口などの臭いはありますよね…眠って口が乾いて口の中で『はたらく細菌』たちが、ちゃんと歯磨きしていてもそれなりに頑張って。
練習相手、これはこれで…というかちゃんと読み合わせていない契約は無効ですが?
一日いろいろ頑張って「ふざけんなよ」はないですよねえ。
「遊んでたんでしょ?」…お互いにずれていますよね。激しい感情がよく表現されています。
というか、この状況でほかの選択肢を考えない彼女がおかしいんです。両親に助けを求めることを絶対に自分に禁じている。契約の不備を学ぶことも考えない。法知識がある大人から見れば完全に騙されている状態なのに。
そして実際には演技を練習していた…これはまあパターン通りですが…
まともな大人の助けが絶対にない、まともな選択肢が絶対に禁じられている…この状態でのストーリーは、どうしても不快感が胸に残ります。
というか「運命の人になる」って、人生の墓場確定なんですが。

HUGっと!プリキュア
駅とかではオールスターがあります。
相変わらずの華やかで楽しそうな話。
赤ちゃんを育てる、これもある意味少女漫画の定番…激しい心の揺れ、変身の恐ろしさ、短くても素晴らしい話です。
今回は戦闘がありなのかなしなのかも気になりますね。

キスする街角
もう長くない…いや、父や母がもうすぐ死ぬ、という可能性もあるのでは?
虫刺されで、一時にせよ顔が醜くなってしまうことってすごく深い傷になりますよね。まあ命があってよかった。
だから、次に角を曲がった人が…よかったですね、まあ美形で。あらゆる違うパターンが頭に。
それで伝言を使うとは…うわあもう爆発しそう。
長く生きられない、そのことも言ってしまうとは。
一生懸命に尽くしてくれる…なんていいやつ。
運命の人のはずなのに違和感が、ここはわかりやすいというか。めちゃくちゃに見えてしっかりした話なんですよね。
自動写真機に引っ張りこんでキス、ここの激しい衝動の爆発は強烈でした。
とんでもない勘違いだった…そして実は超美人、何というか見事すぎて。
ため息しか出ない作品です。実際には完全にパターン通りの王道作なのに、そんな感じがしないのが…

黒豹と16歳
ゴミ箱の中で足だけビチビチ…いやこれものすごく疲れるでしょう。
飛び出して「ひさしぶり」…なんかもう次のページめくるのやめて外を走りたくなってきました。
やっぱり居心地が悪くて、そこにみんなが来てくれた、ほっとしましたけどそれまでのわずかな時間がトラウマもの。
ヤンキーモードでの拳がまた大笑い。
芸能人以上って喜べませんねえ。
おこさまつきあいがまた楽しいです。いっそ読み切りでじっくりと…
で、浜松ラーメン…うぉい。
「かわったな…」ってとんでもないにもほどがあるんですけど。
黒鉄くんとの、キスまでの流れが見事にエロい。
なんというか、まあ終わりが良くてよかったです。…枕に叫ぶ記憶はたくさんできそうですが。

同級生に恋をした
いや、いいライバル関係ですね。
「おまえ先につぶすほうが」いつから少年誌になったんでしたっけ。
桁外れのフィジカル戦、地味ではあっても強烈な迫力。「オレならふっとぶわ」「うん死ぬ」がうまくそれを強調していますし、絵もそれを説得力を持って見せています。
そして臨時マネージャー、おいしいところを…
「わたしがテーピングする」…笑うしかない状態ですね。というか周囲の人はこれをどう見ているのやら。
賭けが盛り上がっている気もします。
見ていて次々と変わる表情、これで試合を表現するのもすごい。
クライマックスの迫力は強烈でした。
そして聖奈ちゃん…あのー、読者はある程度わかってますけど…どっちの女生徒から見ても殺したくなる行動だと思いますよ全力で…
なんかもう違う形で決着がついちゃいましたねえ。
男子のカッコよさを期待以上に出し切った、それが今回の最大の収穫です。お見事でした。

ねこ色保健室
柴犬は天使です。スピッツは大天使です。その雑種は熾天使です。
スパゲッティってネタが古すぎますよ。
とんでもないジゴロ…
と思ったら。丸くて緑色、で…そして別の人がとんでもない金額を使うことに…お気の毒に。

はちみつトラップ
スランプって単に本気になっただけじゃないですか。病気ってそれ…お医者様でも草津の湯でも…
「めんどいから帰ろう」がまた大笑い。
そして期限が迫ってますが…絶望的では?なんという無駄な頑張りを。
お茶のやけどは怖いですね。
彼がどれほどそのコンペに注力しているかを見ていないあづちゃん、ちょっとそこが見ていて悲しくなります。
咳までしてますし…やっぱり高熱…まあちゃんと「百倍大事」って言ってくれてほっとしました。
看病、これは実はポイント高いですよねえ。
「病めるときも」…これが実に胸を打ちますね。
ベッドに引っ張りこまれるのは強烈。
ここでこういうことに…うまくクライマックスに向けてくれます。

くちどけビターチョコレート
幼なじみの美空ちゃんの、本命チョコ作りを毎年手伝わされている春輝くん。

冒頭からしっかり世界を作っていて期待させてくれます。いや、扉がかなり大胆ですよ。何がか、と言われると難しいですが、正統的じゃないというかアルコールが強すぎるというか…
僕は読み切りはあらすじを書くために一度読んでから感想のために読み返しますが、あらすじが一行で終わり追加することが何もない…ネタバレしないようにすると。それでこの豊かさですから。
男の子が主人公というのも面白い試みです。
冒頭で「春輝と夫婦とかヤダー」とひどいひどすぎる。
手をつかんで「女じゃん」というシーンも、ものすごく思いがこもっています。どれほど胸が張り裂けそうな思いか。
口内炎を見せて激辛ラーメン、この…なんというか女の子ってこんな生き物なのかな、と妙なリアリティがある振る舞い…本当にすごい作品だな、と思ってしまいます。
そして榛名くんとのカラオケを止めてしまう、これもまあため息が出るような感情の爆発。
頼ってばっかだったのが、成長している…これもすごい鋭さです。
マヨネーズを入れて「おいしく頂きました」は大爆笑しました。どんなおぞましい味になったのやら。
「おまえといた時間ぜんぶがキラキラしてるよ」って、完全に告白なのに通じてない…うぎゃああ。
「美空があしたもわらっていますように」…この愛情の深さも、胸がいっぱいになります。
「ことわった可能性もあるじゃん」のやりとりも、彼がその日一日何人も断ったことを示唆し、しかも描かない、話にすごく深さを与えてくれています。
「まっすぐな人好きになれてよかった」がまたたまりませんね。
思わず抱きしめてしまう、それでもまだ思いが伝わっていない…そしてチョコケーキでキスに近いことを…たまらない告白ですね。
はっきりした返事はないけれど、二人の絆の深さがすごく伝わってきます。
なんて作品、圧倒されました。とんでもない実力…
というかそれが限られた本誌読み切りしかないって恵方巻の大量廃棄よりもったいない!増刊を!せめて恋愛系オムニバスコミックだけでも!無理ならさっさと活躍できる雑誌で若いうちに素晴らしい作品をたくさん描いてください!

う何年前にも思える「×しな」…とおやまつり時代が再び。
遠山先生もデビュー以来何年、圧倒的な支配を…その間それほどの新人が育たなかった…
まあ、「さくら」にいまだに誰も勝てない時点でどうにもなっていませんが。
雨玉先生の前後編に佳作、まあ新人読み切りがあるのはうれしいです。
それでもやはり、増刊なしに新人は育たない可能性が高いと思いますが…

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