なかよし2016年9月号感想

今月は三誌ともそれほど強い印象がないです。
付録は、「さくら」が復帰したんだなと懐かしく…もしかしたらどこかの段ボールに、さくら関係の付録が大量にあるかもしれません。

これが「さくら」を支えるラインナップ、と考えていいのでしょうか。

ハタノヒヨコ先生の、「マンガで英会話」が単行本化されるのがとてもうれしい知らせです。
絶叫ライブラリーの新刊に、また知らない名が…あ、スーパーノヴァか…リストなどの更新は月末まで待ってください。

一つ浮かんだ、ぜひとも「なかよし」でやってほしいこと。
「人魚姫」をまとめたコミックス。
「なかよし」系だけでも多くの少女漫画家が、「人魚姫」に関する作品を描いています。
どれも傑作ぞろい。
それをまとめれば、素晴らしいコミックスができるでしょう。

青葉くんに聞きたいこと(遠山えま)花と忍び(長谷垣なるみ)黒豹と16歳(鳥海ペドロ)さばげぶっ!(松本ひで吉)同級生に恋をした(美麻りん)ゆずのどうぶつカルテ(伊藤みんご)出口ゼロ(瀬田ハルヒ)カードキャプターさくら(CLAMP)初恋はじめました。(山田デイジー)小学生のヒミツ(中江みかよ)マホタン(伊咲ウタ)魔法つかいプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)初恋スイートオレンジ(伊藤里)予告

青葉くんに聞きたいこと
(カラー扉)…この子めちゃくちゃいい体しとる。
ピアスの男に強い印象を持つところが実にうまい。
試合の描き方も、足元と上半身だけ、という表現が面白いです。まあちゃんとしたパスやシュートを描いていない、ということでもありますが。
そして、恐れていた再会…
裏切者、ってひどい言葉もあったものです。
この励ましがまた熱い。
しりあいにばれる、というか恋敵の話を聞けって無茶な話もあったものです。
「おわったって思ってないから」「泣きそうです…」が大笑い。
あーあ、問い返すなっての。
本当にこの子聞き屋に向いてない…逆ハーレムの主に向いているかもしれませんが。

花と忍び
いきなり当主、って教育とか訓練とかは?
なんというか、超金持ちだからこそ本人の権力は低いんですね…というかあのおじさまがめちゃくちゃ有能、と。
「忍と主の身分はぜったい」…そういう社会だと、小さいころからちゃんと教わっていればトラブルが起きなくてもよかったんですけどねえ。
「誰が敵になろうと」…若いですね。そして相手のことを何も知らずに…
そしてもう一人、強い味方もできてしまったようですが…恋愛面でもややこしいことになりそうです。
「永遠に追われる」と実に簡単に言うもんです。彼の再登場はあるんでしょうか。
敵は多いですが、全シリーズで作った味方がまた多いんですよねえ。

黒豹と16歳
犬に邪魔されて…食べたキノコが丸のまま口から出る、ってもうギャグマンガですよねえ。
ああそうか、この作品は最初からギャグマンだがったんだ。
いや、僕も食べた野菜や肉の塊が何時間もたってから、消化も腐敗もなく、普通の吐しゃとは違い胃酸もなく食道から戻る体質ですが。
いや、なんて格好で外を走ってるんですか。
そして杏璃くんがいない…翌日に持ち越される繰り返しギャグが実によい。
洋館もなくなっている…
そしてとんでもない再会、帰ると思ったら…ダッシュで殴り倒して「帰るわよ」…恐ろしい女。
強引なキス…叩けない手、いや三角関係でない方がおかしかったのですが。
まあこれからは、ギャグマンガと思って読めばどうなろうと大したことじゃない、と。

さばげぶっ!
こんなのトークバラエティに出たら…いや、それは事務所が仕事選べよって話です。
楽屋から振りを支持する…それが認められるこの番組がいろいろとすごい。
というか台本というものはないんでしょうか。
人のトークを容赦なくつぶす、こりゃ恨まれますよねえ。
怒ってる言葉じゃなくて耳からはバカ話…というか実際それでどんな感情の動きになるんでしょうね。
イヤホンが防水じゃないのは不運でした。
共演者たちの勘違いが実に面白いです。この人たちも苦労してここにいる…そういうのを描いてしまう隙のなさがこの作品の恐ろしさ。
全国に恥を…というかなぜ助けず見捨てた。

サプリは味わうものじゃないと…いや、時々うっかりと味わうことになります。カプセルビタミンC錠剤を。たとえようのない味ですよあれは…
野菜嫌いの長生きを延々と検索していた人もごくろうさま。
というか妙な生活状態で長生きする人も結構いるんですよねえ…

同級生に恋をした
ホットケーキパーティ、これは幸せですね。…とても太りそうですが。
アンケート結果は大笑いしました。
イメージアップ…料理のうまそうなことといったら。
サッカー部全員分、って大変ですねえ。
試合シーンが結構しっかり描かれているのが好感度大。
…この異様なイメチェン、なんかわけがありそうな…
文句ばかり言う女の子たちの拒絶から、奇妙なトラブルが…さて、どう動くのやら。
「小原(あいつ)はここでにげるようなヤツじゃないんで」と信じてくれる言葉がうれしいです。
まあ、大変だったでしょう。あと予備のお金持っててよかったですね。
その場ではさんでサンドイッチを作る…面白いことを。
佐田くんのこともわかっている…イメージアップのダメ押し、すごい。
やっぱり元彼…さて、どんな話があるのやら。
とにかく圧倒的に楽しくてパワフル、いい話です。

ゆずのどうぶつカルテ
並木通りのいちばん奥、空色の屋根…動物病院が今日から柚ちゃんの家。
母子家庭だったのが、母親が病気で倒れ、動物病院をやっている叔父の世話になることになったから。
動物が苦手な彼女は苦労しているけれど…

妙に不安感がある始まり方ですね。
たくさんの犬猫…描写は可愛いです。
事情が少し複雑です。
かなり進行した肺の病気…ガンだとしたら助かる可能性は低いですし、結核だとしたら子供どころかそのクラスメートすら心配です。
チワワはそりゃ看板になりますよね。
肺炎も併発、という言葉も不吉です。
いじめっ子を追い払う大型犬…すごくかっこいい、でもリスクのある行動ですが。
「やさしい目で男の子を見る ちょっとお母さんの目に似てる」というのがすごく鋭くなりそう。
動物だけでなく、家庭まで見ているとは…
…起きたトラブル、もっとひどいことにならなくてよかったです。
死を受け入れられない勇気くん…
それで、「わたしもお母さんにおなじことしたんだ」と気がつく…心の組み立てが素晴らしくうまい。
勇気くんは逃げたのではなく、いじめっ子たちに立ち向かった…
この構成はお見事。
とても面白い作品になりそうです。最初からいきなり死を描いたように、辛いことが多くなりそうですが。

出口ゼロ
台本もあるのがきついです。
理事長が出てくるとはものすごいことに。
これほどからくりが多い施設、メンテナンスに必要な人でも莫大でしょう。いつどうやっているのやら。
機械の修理点検、必要備品の補充など、それこそ月に一度は全員追い出して徹底整備しなければならないのでは。
理事長の側から出口を作ったかと思うと、さらにインプロ…負けたぐらいで動揺しないレディ・クイーンの強さが光ります。
「愛子を助けたあとでね」、ここでイエス・アンドを忘れずにできるのがまたすごい。
レディ・クイーンの圧倒的な迫力、すさまじい表現力です。
倒す…なんという死亡フラグというかよくて相打ちで別の敵が出現するフラグ。
今回は完敗した夕日ちゃんがどう失点を取り返すか…
本当にこれほどの作家・作品が埋もれているのはもったいないですよ。

カードキャプターさくら
だめ、と言っているのは…?
まあ、覚めることができてよかったです。
他の魔法使いたちは探知しているのでしょうか。
ファザコンぶりも相変わらず。
ついに封印解除…そして新しいカード。真の名を呼んで自らの力にするのは同じ…
小狼くんが、何かを隠している…いや、絶対見抜ける人が何人もいるんですが。

初恋はじめました。
なにがあったか、自分でもわからない…
恋じゃない、となぜそこまでこだわるのか…
海外…?
「三十分でいくから」この怒鳴り声、ひたすら静かだった話が一気に動いて楽しいです。
「理由もなくなにかする人ではないから」…相手をかなり知っているし、信じてもいる…
女の子の静かな会話がすごく優しいです。二人とも本当に優しい子なんだな、とすごく伝わってきます。
「きいてくれるの」…ああああ。
で、合宿の話…というか図書館…
「ハルキがいなくてもオレはべつにいーんだけど」そんなツンデレいりません。
「いま自分がどんな顔してるかわかってんのか」…強い感情が一気に伝わってきます。男の子もしっかり描けるのが、強みですね。
「よくも牧野をキズつけやがったな」…そして「好きにしろ」という言葉…
呼吸が苦しくなりますね。なぜ、あの彼がここまで…両方に心を閉ざしているのか…

小学生のヒミツ
おくれてる、というのも辛いですね。
こういう二人きりもある…なんて素敵なシチュエーション。
このキスギリギリのシーンの色気はものすごいものがあります。それに「好きだ」って…うおい。
それで席が隣って…ああああ。
「おはようっていったらうれしいかな」と思えるのがすごいです。女の子ってこれだからこわい。
…相手が喜ぶことをしてくれる…彼の心中を思うと、手を合わせることしかできません。
で、とんでもない言葉を聞かれてしまう…いや、彼を否定している言葉ではないんですが、勘違いしてしまいますよね。
教室での花火鑑賞…噛みあっていない会話が実に面白いです。
そしてひたすら「好き」…花火に合わせて…たまらん。
いや…読み切りとしてもめちゃくちゃ完成度が高い、これが続いてくれるんですか?うれしすぎます。

マホタン
アリスくんとの会話は実に楽しい。
人間…ニュートンのゆりかご、っていうんですよね、いくつも鉄球吊るしてぶつけるの。正確な図解が楽しい。
挿絵家の趣味とかえらくマニアックな話題ですね。
交渉決裂、と思った瞬間えらくタイミングよく事件が起きましたね。
おすすめが詳しい。かなり質のいい図書館です。いや何番の棚に何という本があるのかわかってるのがすごい…
ナイフを安全に持つには、紙を刃に密着させて巻くのがおすすめです。簡単には切れませんし、紙筒の強度は先端が突くのも防ぎます。もちろん皮革や、ちょうどいいサイズの塩ビパイプなどがあれば最上ですが。
口をきけない…アンハッピーエンドの話は解決が難しい、となりますか。…あれとか例のあの本とかそれとか出てきたらどうするんでしょうね…
人魚の出現はかなりの迫力です。体の線もきれいですね。
「見事な尾は」人間の脚線美は人魚にとっては醜いだけ、というのがまたうまい。
無言のダンスの美しさも驚嘆します。
言葉が出ないから、ダンスですべてを表現する…一つ一つに激痛があるというのに。
「本好き失格」…それに感謝する優しい人魚姫…
多くの少女漫画家が、人魚姫という作品に向き合い傑作を作っています。
これもその一つですね。

魔法つかいプリキュア!
ものすごい豪快な省略ぶりですねえ。
温かい家庭での成長、これ以上のものはないですね。
バトルなしでもやれてしまうのが上北プリキュアの凄いところです。

初恋スイートオレンジ
いつも他人優先の凪ちゃん。
ただ、小学校から一緒の見吉くんとは気を使わずに接することができる。
ある日、見吉くんが別の女の子を見つめていることに気づいて、応援するが…

冒頭部の余白がすごい。
コンビニのアイスコーナーという、もっとも親しみのある背景もうまく世界を作ります。
他人優先…周りの人がそれほど悪人じゃなくてよかったですね。悪人はそういう弱い人を見つけてとことん絞りますから。
彼の視線の先を見て、楽しそうに応援している…今はただ楽しい、というのが伝わってきます。
「たまにいいたいことガマンしてるだろ」の一言で一気に話が転換する、この…絶妙な一発芸のような、話を一つに絞ったうまさは素晴らしい。
少しずつ、男女としての意識が強まっていくところも丁寧に描かれていて、じりじりと導火線が焼け進んでいくように実にじらしてくれます。
明らかに両想いの二人を見てしまい、胸が痛む…柔らかい笑顔から思い切り泣いて、そして一気に走る…この絵の丁寧さ、服の質感と躍動感、生気…素晴らしい実力。
告白シーンもストレートで胸を打ちます。
そして彼の答えもすごく優しく、素敵でした。
このことが、彼女の成長になっているということも…
水墨画を思わせる徹底した無駄のなさ。この上なくわかりやすいストーリー。
年齢を考えると信じられないほどの実力です。次回作が楽しみでなりません。

月号はデビュー作本誌…うれしいですが増刊がない弊害ですよねえ。
タッチはすごく真っ直ぐで期待できそうです。

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