なかよし2015年9月号感想

表紙はやっちゃったとしか言いようがないです。
「ちゃお」の、一人の表紙絵に完全に圧倒されてます。
店頭では常に「ちゃお」「りぼん」と並ぶことになる、それを忘れてませんか?

付録が万華鏡…その手があったか、です。

読み切りが多いのはうれしいです。W新連載はある意味詐欺ですが。

四コマ漫画があるのもすごくうれしいです。

あと、川村美香先生の記事も!うれしいうれしいうれしい。

黒豹と16歳(鳥海ペドロ)嘘つき王子とニセモノ彼女(美麻りん)ニンコイ(長谷垣なるみ)先パイ、教えてください(桜沢きゆ)小学生のヒミツ(中江みかよ)ピンポンドライブ!(吉田はるゆき)さばげぶっ!(松本ひで吉)初恋はじめました。(山田デイジー)かみかみかえし(遠山えま)伯爵さまは甘い夜がお好き(フクシマハルカ)出口ゼロ(瀬田ハルヒ)FAIRY TAILブルー・ミストラル(渡辺留衣)プリンセスプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)保健室の影(リオコ)予告

黒豹と16歳
高校生になったら、素敵な男の子ととびっきりの恋をするの…そう決意して上京してきた高千穂たいがちゃん。
彼女が見かけたのは、廃屋となった洋館で倒れている黒い青年だった。
つい窓を割って助けようとしたが、彼は床の冷たさを楽しんでいるだけだった。
そして彼に屋根の上まで連れ出され、町を見せてもらったり、花火を見たり…
しているうちに、彼は突然激しくキスしてきた。
翌朝、怒りに満ちた転校初日の彼女が見かけたのは、四人の絶対君主…その一人は、あの男…
彼はさんざんからかって、「ぼくきみのペットになったげる」と言ってきた。

冒頭から今の暑さそのままの暑さ…これを見ただけで死にそうです。
倒れている美形、まあ鳥海先生らしい唐突さです。
カラスとか、吸血鬼ものかと思わせますね。
棒を見てためらうのがうまい。心の動きがよくわかります。
関係が動いて行くのも面白いですね。
「お名前は」で何でこんな抱き寄せて壁ドン状態…
花火…時間の経過はどうなっているのでしょう。
昔の恋のことを思い出して今度こそ、と頑張っている、主人公を人間として深く描こうという姿勢はわかります。
ラムネというキーアイテムは…「なかよし」でいいのか、ジャンプSQにすべきじゃないかというぐらいエロ。
強烈な怒り、ってかなり情熱的に応えてたように見えますが、まあ体と心は別というわけで。
四人とは贅沢なことを。
「ペットに」はびっくりしました。
何というかとことん贅沢な…ええ、ものすごい質の、それぞれ個性が極端な宝石を一つの指輪にしろ、って感じですね。極上のルビーとエメラルドにブルーダイヤ、コンクパール……並みのデザインセンスじゃ台無しになります。

嘘つき王子とニセモノ彼女
ライターが海岸に漂着…それはありえますが密封が維持されているでしょうか?まあ、火花だけでもかなり楽になります。あ、木をこすりあわせて火をつけるのはやらない方がいいです。手を傷つけるだけで素人は手を出すなですから。
海や森に近づく時点で、マッチ・コンパス・ホイッスル・鏡・浄水剤・消毒剤などを密封ポウチに入れて持っておくべきでしょう。法律が許せばMPTもですが…
火の周囲の草を除いてあるのは注意深いですね。火事はとても危険なので正解です。さぞ重労働だったでしょう。
明りのない星空なんて今の子はめったに見られません。どんな大切なものが奪われているか…
食べ物より水ですよ。食べ物はなくても20日はもちますが、水がなければ数日と持ちません…気候によっては一日も。あと日焼け防止資材。
女が男を抱いて火を突破する、というのはすごい…そこで「はいカット」は大爆笑しました。
都合良くライターが漂着してた、という時点で疑うべきだったかも。
なんというかニセカノクビ宣言などなかったかのように平常運転…
で、なんか裏が動いてますけど…どうにかなるんですかね、ジーニアスたちで。

ニンコイ
幼いキス、「おっきくなったら結婚しよーね」という指切り…
むかしむかし、強い者と娘を結婚させたいと思ったお殿さまがたわむれにいいました。「唇を奪った者と姫を結婚させよう」…お姫さまの唇を守る者がいつもかたわらにいたのです…
室町の世から続く、日本一のお金持ち、城上紅緒ちゃん。彼女の家には「二十歳まで外にでてはいけない」という掟があった。
そのわがままに困った大人が、「友だち」を連れてきた…と思ったらチャラ男?
振り回されるが、屋根から外の景色を見せてくれたり、普通の人間そのものが新鮮。
そしてついに、家庭教師の一人の協力で外に出してもらえるが…

小さいころの約束と、昔話風の冒頭、どうなるか首をひねります。
そしていきなり…なんで801同人誌が?
日本一のお金持ち、ってどんな家だろうと皇室にはかなわないと思います。皇室財産って鬼ですから。
二十歳まで外にでてはいけない…すごい掟ですね。ええ、家の中に基準を満たす学校を作らない限り日本の容赦ない学制法からは逃れられないと思いますが…やったんでしょうね。
「声かけたらやるっていってくれて」「ほんとうはノリ気じゃないけどバイト料よくて」…こういう、柔らかい軽妙さは素晴らしいです。
「ちょっと…楽しかった」と素直に言えるのはすごく素敵な子ですよね。
外に出してくれるという山口さんの邪悪な微笑、これもわかりやすいですね。
そして万里くんの登場、お見事。迫力といいパワーといい…
忍びと暗闇で、って今の特殊部隊に「暗闇」は存在しません。スターライトスコープとフラッシュライトがありますからね。
彼が昔の約束の子、というお約束も心地いいです。
いや、この続きは読みたいです。面白い。
ちなみに、確認するまで「ニジコイ」だとタイトルを間違えており、おかげで忍者ものだと気づくことなく読み進められました。

先パイ、教えてください
あんころもちをもきゅもきゅ食べるかわいらしさ、たまりませんね。
イギリス風の本格お茶会…太りますよ。スコーンとクロテッドクリーム。
これを作る、いきなり厄介な試練ですね。
ヴィヴァルディの「喜び」…初耳の曲でしたが、つべで聞いてみたら素晴らしい曲で午後のお茶にはすごく合いそうです。
おにぎりを食べているのを見ての、昴流くんの回想はとても雄弁に気持ちを語ってくれています。
ほっぺというかほとんど唇ですよね…
お仕置きが必要、とかそんな性根では上流階級のイメージを悪くさせるだけですがね。
足りないものが、彼女自身?茶道の目から見れば見えるものもあるんでしょうね。
地面に座って手で…イギリスのある程度以上の貴族なら、インドの本当に手で食べる習俗とも交渉があると思いますがね。
和服の完璧な着付けと座り方…まあ着付け自体は華道の家元の人がついていればできるでしょうが、この姿勢は彼女自身が相当何かやってないと無理ですよ。
というか上層の人なら全員華道経験あるでしょうから、この手も定番の一つだと思いますけどね。
なれないことは決まっている…どうしてでしょう。フェアな勝負ではなく、前から決まっている?

小学生のヒミツ
男子と普通に話せない…
クラスの半分と話せないというのは不便ですよね。
プール教室、楽しそうですね。
強引なオレサマくん、でも初心者コースということは泳げないんですね?
手を引いてくれるとか…怒鳴られて心が委縮してしまうのと、怒鳴ってしまった反省、両方すごくはっきり描かれています。
「オレさまは道に迷った」とか、彼もすごくどうしていいかわからないというのがよくわかります。昔の自分の所業を思い出しそうになって壁に頭を叩きつけています。
受け入れて笑顔…器量の大きい男子ですね。
「かってにまこのこと決めんな」…これ以上優しい言葉もないですよね。
母親が背中を押してくれたのがまたすごく素敵。
ちゃんと手をつないだり、「オレいがいの男とはあんまりすんなよ」…友だち、じゃないですよねそれ。
そして転校生…あーもうたまりませんな。

ピンポンドライブ!
圧倒的な強さ、玉が椅子にぶつかって跳ね返るのはうまい演出です。
危険性は…大丈夫ですね、ピンポン玉は初速は速いけどすぐ空気抵抗で遅くなるので。
人を傷つけるのが趣味、わかりやすい悪役です。
部長はどうしたんでしょう。
…あがり症で公式戦ができない…厄介ですね、ある種のイップス?
この熱さ。基本的には少年誌と同じパターン…すごく開き直ってるのがわかります。
目の色が変わって、それでどうなるか…

さばげぶっ!
アイスでの悩み…悲しいですね。いや、ゼロにしましょう。そうすれば、「太らないですむ」と「節約」の一石二鳥なんですよ。
徳用なんてまずそうですが…
バケツアイスをしゃもじで…ええ、「芋粥」という話を読んでみましょう。本当にあんな冷たいものをしゃもじで食うなんて、ただの拷問ですよ?
「牛乳だ」はお約束ですが大爆笑。…砂糖や卵まで調達じゃなくてよかったですね。サトウキビを収穫し絞り煮詰めるのは、何千万人ものカリブ海先住民・黒人奴隷を殺しつくした悪魔の重労働です。
牛の反撃は大笑いですが、それただの虐待です…
解脱には大爆笑。
一杯の牛乳…せっかくですから乳粥にしたほうが仏教の説話に…

虫取りも金のため…養殖できないんでしょうか?できれば安いもの(コモディティ)になっているはずです。
角で読めない、というのは苦笑しました。
感動しすぎて落ちをつけるのを忘れる…時々テレビでやりますけど、本当にすごい。昔は生で見ることもあったんでしょうね。

初恋はじめました。
気にくわねぇ…要するにそれだ、と自己分析できて…止めないというのが恐ろしい。
姫子ちゃんの責任感の強さはさすがですね。
「少女まんがでもまきこまれるヒロインのこともすこしはかんがえてほしいものね」…ごもっとも。いろいろと思い出して笑い転げてます。
…少年マンガで一番迷惑をするのは一般大衆でしょうね。ほとんど戦争してますから。
「イヤなことこそ完ペキに」…どんな企業も一番欲しい人材ですね。
いきなり拉致されて練習に付き合わされる…まあ陸上部マネージャーの平常業務ですね。
努力はしている…それがどうこれから動くか、楽しみです。
「一位の人間もみんなと同じように筋トレするのね」という言葉、読者みんなへのすごく素敵なプレゼントだと思います。
…現実には人気競技のトップクラスは機材の価格とトレーナーの給料その他がいろいろ違いますけど。
ふっと顔が近い、この距離感がさすがに絶妙。
この二人だけじゃなく、たくさんの部員がいて、一人一人が一生懸命頑張っている人間なんだ…それを伝えるのがすごく素敵です。なんてさりげなく、なんてことをするんだ…というぐらい胸を打ちます。
抱きしめられ、嫉妬をぶつけられて…ここの、服と肌の質感の柔らかそうなこと!
そして、ケガの伏線が全く動かない…今のところはフェア…それもドキドキさせますね。
さてどちらになるか、ものすごい実力を全開にしてるのがわかります。
すごい作品になりそうです。

かみかみかえし
強烈なアクションシーン…ええと、これ少年マンガじゃないですよね?
ラスボスだと思われた人が子をかばう…やっぱり王道っていいなあ。
思いもかけない同盟関係もお約束。
ウズメがこれは以外なことを…「火の鳥 黎明編」のウズメのイメージが強いので。
やったかフラグもお約束ですね。
ヒノカグの母ちゃん、そりゃ会いたいですよね。
そろそろクライマックスに入るでしょうか?
旦那も出てくるでしょうか…
いや、やはりお約束っていいですね。

伯爵さまは甘い夜がお好き
ああ…感想書き始めたくねえ…飛ばそうかな…胸がおかしい…
なんか魂を抜かれたような感じですね。
雑巾がけ、というのも考えてみると不合理ですよね。モップなら楽なのに。
囲炉裏とトウモロコシ…それでカラメルポップコーン、うまく考えたものです。
とんでもないところから部屋に忍び込むとか、怖いもの知らずですねえ。
「きみを苦しめるなら」…思いやってはいますが、自分の苦しみで精いっぱい、という感じですね。
そして誠二郎の行動は…覚悟していたほど、肉体的な虐待は残酷ではない…でも精神的には苦しいです。

出口ゼロ
三日も閉じこもってからタブレットを全部没収…妙な動きをしますね。
でも、全員投獄して処刑するとか…エスカレートが極端すぎて、かえって怪しいです。
さらに反乱の扇動、考えてみると「看守」に、具体的な武器はないんですよね。
…冷静にNGワードを分析している、そして…いったい何が起きているのでしょう?

FAIRY TAILブルー・ミストラル
魔法で彼女を操っているのは、ビオラさま…うまい真相です。
「一発ギャグ五十個やりたい気分」すごい悪質な魔法使いですねえ。
男と男の議論を堂々とやってくれる…どちらも正しい、もうこれは、このネームを認めた編集の英断に拍手。
どのシーンもものすごい美しさ、心に沁みこんでくるように、すごく心を込めて描いているのが伝わってきます。
というか本部の仲間たち、今回も完全役立たずでしたか…
すごく質の高い作品になっています。それこそ「ハルヒ」スピンオフの「長門有希ちゃんの消失」がアニメ化されたように、思いっきりブレイクしてほしいですね。

プリンセスプリキュア!
かなり浮いた会話ですねえ。
二か月分ぐらいかかった話を一コマで解説しているような感じですね。
…木刀の握り方が正しすぎる。さすが。
こんなことで闇との対決を描くなんて、大胆なことをします。

保健室の影
保健室登校気味の大野さん、でも保健室登校にすることはできない…
ある日、同じ保健室登校?の女の子と話す。
深刻ないじめじゃない、ふとネットを見たら自分のことはなにもない、ある日試しに誰にも話しかけなかったら、誰にも話しかけられなかった…だれにも関心を持たれていない、それだけのこと。
会話の中から、「彼女となかよくなれたら、いままでぞんざいなあつかいしてきた子たちを見返せるかもね」といわれて、教室に入るが…

保健室登校とは違う、奇妙な違和感…
そして別の…「どれだけのことがあったんだろう」と思えるだけの心の余裕もあるんですね。
ささいなことから…「だれにも」をとことん繰り返すのは実にうまい。
安全地帯じゃない、という言葉も重いですね。
不登校と思われている、それが本人にとっては世界を崩すようなこと…それも共感できる人は多いでしょうね。読者には少ないかもしれませんが。
「自分の思いどおりにならない人は」から「色紙をわたす役をまかせることで」と、共感と分析を兼ねる…いい子じゃないですか。
「見返せる」という言葉に、なんとなく恐ろしさをかすかに感じます。まあ、ホラーだとわかって読んでいるからでしょうが…
アガサ・クリスティ作品を、作者がクリスティでミステリだと知らずに読んだら、どんな思いをすることになるでしょう。普通の生活描写から不穏さ、そして殺人事件でやっと「あ、ミステリか」と思う…
散らかった机…とことん無駄なインクを使わない、真っ白な描写と白と黒の対称、ものすごい簡素さです。
そして「どうしてほしい?」とホラーの世界に入っていく…
彼女の正体が実に面白いです。「あなたがいってほしいことばをいっているだけよ」…そりゃ誰であろうと壊せますよ。
逆に、彼女が救った人もいる…
非常に巧妙な作品です。水準が高すぎるんじゃないかと思えるほどに。人間の分析がすさまじい深さです。
…ホラーコミックスの作品の質がこれほど高いのに、これほど本誌掲載・連載の機会がないのは暴力のようなものです。
別にホラー雑誌を創刊してもいいですよ、これだけの作家陣があるなら!

デビュー作品が本誌、というのも増刊がないから…まあニコニコ静画よりはずっといいです、もちろん。
一つぐらいずっと、新人枠開けておいてほしいものです。ホラーでもいいので。

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