なかよし2011年9月号感想

表紙は例の総選挙、というか結果は見えてましたね。

ブランドコラボ付録で580円とかなり高額、この路線で部数や収益などでは成功しているのでしょうか?

そしてこの、無予告でのPEACH-PIT先生の登場など、次に何をするかわからないけどとにかく暗い…それで、どうなるのでしょうか。それで売れているのでしょうか?
芸術性のある作品を、すでに実績のある外様作家にどんどん出させる、新人賞からは特別なルートで出てくる若手に依存、増刊で連載など活躍している作家は本誌連載からは切り離す…そんな方針が感じられます。

荒野の恋(タカハシマコ/桜庭一樹)キミノネイロ(フクシマハルカ)クギ子さん(PEACH-PIT)甘い悪魔が笑う(鳥海ペドロ)AEISA(安藤なつみ)わたしに××しなさい!(遠山えま)さばげぶっ!(松本ひで吉)ふたりのヒミツ。(茂呂おりえ)恋と軍艦(西炯子)ミスプリ!(青月まどか/Ruby Party)スイートプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)非科学常識ケータイくん!(瀬田ハルヒ)予告

荒野の恋
中学校初日。電車のドアに挟まった少女を助けてくれた男子の手に「青年は荒野をめざす」という本。その「荒野」は彼女の名と同じ…
その、クールそうな男の子、神無月くんと同じクラス、しかもクラス委員をすることにもなる。
みんなに関心を持たれている、彼女の父親はかなり有名な小説家で家が大きく、ばあやがいるらしい…といってもいるのは若い女性家政婦、さらにその父親はすごい女たらしのようで…
メガネからコンタクトにしようか、とちょっと言い出したら、眼鏡屋の子だった神無月くんと彼の家に…そこいた美人はなぜか動揺して…
どちらも非常に実力の高いコンビ、どんな作品になるか…
冒頭の印象の深さはさすがタカハシマコ先生。
そしてやや田舎の駅の印象も、すごく透明感が強いですね。塗っていいところも塗っていません。
今日から中学生、という気負いを、大げさな表現ではなく言葉だけというのが抑え気味です。
電車の扉に服が挟まるなども、そりゃやるよなと共感します。それで服が脱げていくのはさすがにびっくりしますが。
そして、ごく自然に暴力を思わせる残酷さがあるのも、なんというか…らしいな、という感じがします。
ベテランそうな中年男性教師、というのも安心感があってよさそうですね。
いきなり女の子たちに誘われる、というのがなんだかすごいですね。
家の話とかがガンガン出てくるのもいろいろ楽しいですね。
ばあや、というのがこの若い女の人…
「いい年して真っ昼間から乳繰りあってりゃ」…「なかよし」にふさわしい台詞かどうか走りません。
ナプキンをサッカーボールにされて、中学校の頃の僕なら正義感を言葉にできず泣きわめくか、または何もしないで無視するかです。サッカーをしてる連中に混じることはありませんし、冷静な言葉を出すこともできません。
クラス委員としてはちゃんとやったんだからいいじゃないですか、単にナプキンという、異常に強い感情を男女ともかきたてる…それって、論理で考えると意味不明ですが、魔術的に考えればわかります。生理は生命を生み出す出産という、最大の魔術に通じ、また最大の穢れともされる、きわめて強力な呪術現象です。それに関わる品物にもきわめて強い呪力があるとされます…汚れていない生理用品でも。それだけのことなんですよね。
触られたときの叫び、そしてかみ合わない会話「親父になんかされたのか」といえてしまう、考えてしまえるのがある意味すごい。
…最後の印象も、とにかく何から何まで印象的で、普通の少女漫画とは全く違う妙な世界を作っています。
何をするつもりなのか、ただ緊張するだけです。

キミノネイロ
全力で脱ぎます…さあやってくれ遠慮なく全力で。
水、髪、ぬれた服…まあそれはそれで楽しいですが、それでも色気がないというのがいろいろすごい。
「はぁい」と部屋で布団にもぐってくれているのがまたすばらしい。
徹夜でゲーム、というのも辛い選択ですね。
どこを触るか、選べると言うのも親切なゲームですね。大抵のエ…いやなんでも。
で、寝ている間に服を脱がせると言うのも極悪なことを。
まあ一応公約は達成と思いましょう。

クギ子さん
クギという言葉には奇妙な印象があります。「ハリ子」「包丁子」「カナヅチ子」…そんな印象があるでしょうか。
釘単独では武器として使おうとしても殺傷能力は低いです。うまく握って刺せば、目なら傷つけられる程度です。
もっと、古いタイプの木造住宅工事が日常的だった頃は、釘が刺さったままの板を踏んで足を怪我する事故ぐらいはありました。
釘をハンマーで打ちこむ拷問はかなり強い恐怖感があり、奇妙なエロティシズムもあります。
釘バットという凶器の印象はあります。
この完全な白黒印刷も、あえて注文したのでしょうか?
先に「フィクション」「うそつき」を明言しておく…クレタ人のパラドックス。
編集者を登場人物として用い、普段発表されているプロフィールとはまったく別の「自分」像を出す、それもまた面白いです。
事実を知ってるのは、他の編集部にもたくさんいるはずですよ。
矛盾も何も、単にそれは…「話自体の真理値と無関係」なだけです。そして、それは話し手が誰であろうと、真理値は別に検証するほかないことです。それを忘れているほうが嘘なんですよ。
釘は重量物ですから郵便で、危険物ですからファンレターのチェックでも弾かれるはずです。剃刀レターをチェックするシステムがないはずはありません。
ランドセルに釘がいっぱいに入っていたら、そのランドセルは僕でも担げない重量になります。そしてランドセルというきわめて頑丈なカバンでも耐えられないかもしれません。
会っているのに目が潰れていないように見える、さて何が嘘なのやら。
なんというか、好き放題芸術方向に暴走してる感じです。

甘い悪魔が笑う
いきなり派手なことになってますね。
リボンを治してくれる、それだけで、まあこうなりますか。
他人の手にはキスする?
本人の前では笑顔、でもトイレでは…女子トイレを盗撮するなんて人の気がとっても知れません。そんな恐ろしい、地獄だの原発だのその他あらゆる恐ろしいところを盗撮するほうがずっとましです!
遊ぶ、って、まあ自分より格上の人間に圧倒されたことがないんでしょうね。
怪我したふり、なるほど。というかちょっとペンを借りるように…
怪我をした手で握る、と最初から嘘だと言うことを隠す気なし。
さて、ついてきたハルルちゃんはどうするのやら。
あれを着るのは大変ですよ。暑い臭い重い。そんな大変な苦労があって華やかな遊園地という世界は…まあ暑いでは製鉄所のほうがもっとすごいですか。
とことんわがままを言い尽くす楽しみ…今の僕には想像もできません、小さい頃にやりつくしたんでしょう。
ナンパされて「イヤなんだけど」と言えるの、ある意味カッコいいですね。
「オレの彼女に」っていってくれるのは、ここは素敵だと思いますよ。
「無鉄砲で頭の弱そうな」ってわかってるにもほどがあります。
首輪をつけるとは…えらい楽しみですね。というか猫は普通は首輪は…
嘘を暴く必要、あったのでしょうか?
本当の縛り方…でも、彼であってもはるかに上の存在にはあっさり縛られるでしょう。武力でも支配力でも、果てしなく上がいるのです。
「一線を越えてしまった以上」というのが強烈、というか魂盗みにもほどがあります。
で、これがキスの…確信犯にもほどがあります。
倒れたのは暑さで限界なのもあったでしょうね。

ARISA
ばれてるにもほどがあります。
会うって危険すぎるんですが。なんというか、「誰が真犯人でも、最低限自分が殺されたら真犯人が判明する」程度の保険をかけるという発想はないんですね。
あとありさちゃんを一人にするのも、というかとことんセキュリティのない病院…というか誘拐とかがどれだけあったか、病院も警察も把握してない…
キスには驚きました。
そしてつばさちゃんにもキスするか、と思わせて、いろいろとやばいです。
各国の首脳…それが最終目的でしょうか。
それこそ世界を支配するとか。

わたしに××しなさい!
キスによって傷を癒す…あーラノベとしては使いやすい設定ですね。
まあ『くるくるクリン』が真祖でしょうけど。
透けてるとかそんなのどうでもいいんですね。
友だちを連れてきたことが大事件になる、というのもいろいろと楽しい自体です。
この本の、と引っ張って「この本のラブをまねして」…これは見事にやられました。吹きましたし机に頭ぶつけました。
弱点…そういう流れで公約遂行というわけですか。
母親の暖かすぎる雰囲気、こりゃたまりませんね。
小説を褒められたら、そりゃ嬉しいでしょうけど…
さらに「おもしろくて徹夜で読んじゃった」なんて聞いたら嬉し死にに死ぬでしょう。
で、いきなりのごほうび?
一時間だけ…ただの膝枕ですか。
「愛してる」という言葉、そりゃもう…二人とも爆発してますね。
で、どうなるのやら…気がつくのかどうか。

さばげぶっ!
サバゲー部の夏はさぞ暑いでしょう。さらに蚊。その他虫。
というかこいつら、フィールドデビューはいつ?
べたべたべたべた、これは暑い。
変態のしりあいしかいない…それはきついです。
で、合コンで…どんなことになるか、まあ読めてはいますが…
三人とも美形すぎるんですが。
もう今の音楽がわからずAKというと…あの、それじゃ、僕と同水準とみなされますよ(はっきり言って死刑判決のほうがましなはずです)。
合コンテクニックをこんなところで出して読むこと自体がかなりすごいんですが。
なんというか、変な子とか言うレベルじゃない…
ゴキブリが出たのでエアガンを出して、そりゃもう人生終わりですよ。
しっかりトリガーに指をかけてないのがプロ…主人公はベレッタなのも仕方ないと。
そこでみんなが出てくるのも、いろいろと人生終わってましたよ。というかてっきり途中でみんなに邪魔されると思ったら、邪魔が入らないのに自分ひとりで自滅…
もう人生諦めたほうがいいですね。

ふたりのヒミツ。
「匠がぬいでる」「ありがとう!」はかなり笑いました。
普通に手をつないでる時点でまるでじゃなくて。
「お母さんみたいだね」とボケるとは。
あ、戻ることを考えたのですか。今更。
愛の鈴とか、いろいろなことがあるみたいですねここは。
まあこんな組み合わせになるのも仕方ないというか。
次々と的外れな人が来るのもいろいろ楽しいです。
カップル爆発しろ、ってニコニコ動画のもう少し古いネタですよね?
最後にわくわくさせて先生、というのも残念です。
中身が女の子なのに普通に話してる、というのもすごい。
自分が何を考えているのかわからない、と男の子の側の気持ちも細やかに描いているのがいいですよね。
鏡がない…というかコンパクト二枚じゃ無理でしょうか?
「お嫁にもらってもらおう」って、意識してないから言える言葉ですよね。しかし殺傷力高いです。
で、伝説のカップルが…えらいことになったものです。何の誤解、だったらいいのですが。

恋と軍艦
カラー扉がうまいです。
中学校の勉強、特に数学は死ぬほど抽象性が上がって難しくなります。
誕生日プレゼントでトカゲ、というのも小学生ですね。
溝の自転車、多分変なはまりかたしてるんでしょうね。
和菓子屋の誕生日ケーキなんて逆に贅沢ですよ。
デパ地下というのは…僕には永遠に縁のない場所です。
なんだか悲しくなってしまう、というのも厄介なお年頃です。
ノートパソコンすらあるのに…
からかって、遠距離から蹴られる男子もいろいろ楽しいです。
ほほう、カラー扉で予告されたナイスバディ…
小学生の女の子には、いきなり目の前にこんな乳が出てたらびっくりするでしょう。
「なにこのおっぱい」…いろいろすごい。
ついてきて、どうするんでしょう。
ロシアのチーズパンケーキ…結構ロシア料理って奥が深いです。
「強力なライバル」というのは誰のことなのでしょうね。
リゾートホテル…優麗、って幽霊…笑うしかないです。
別に止まったら何かあるとは限りませんので。十代から三十代前半ぐらいまでじゃない限り。というか泊まってなくてもいくらでもどうにでもできますし、ある年代以降は。

ミスプリ!
必死ですね、恋を否定しようと。まあ周りの人も違う意味で必死ですが。
クラシック百問、と問題になってしまうのが悲しいですね。そしてクラシックは、上を見るととことんきりがない世界…誰が指揮し演奏したかを知識に入れたら恐ろしいことになります。
しかしほんとに、こころちゃんの表情の豊かさは見ているだけで頭がゆさぶられるようです。
三人が完璧にやり込められるとは、相当レベルの高い人ですよね…
客の意識ごと変える、というのは接客の理想ですね。
桃くんが本気出すのも強烈ですね。「店の残りのケーキは」とごまかすのは苦笑しますが。
さらに「こぼしてしまいますよ?」と、みんなお色気全開過ぎます。いや見てて楽しい。
男女逆だったらどんなに強烈な誘惑攻めだか。
「ここの執事は主の命令を」って、絶対服従が当然の…まあいろいろ違いますからね。
こころちゃんが怒鳴り散らしてるの、結構理不尽な、それだけに女の子らしいヒステリーかも。
「おまえにだけ見せてるほうが素のオレだ」…そりゃドキドキじゃすみませんよ。
みんなを男の人として意識してしまう、そりゃもう容量オーバーですよ、初心者には。
この二人のパニックぶりは見ていてすごく楽しいです。
こういう、女の子のすごく素直な気持ちをぶつけられるのってすごい才能ですよ。

スイートプリキュア!
どちらかが悪の道に、というのも重い言葉ですね。
不幸のメロディを作る、というのも面白いですね。
セイレーンがプリキュアに、さてどんな…というかただすごいとしか。
お約束と言うのも強力です。
それにしても電撃拷問って便利ですね。苦しさを表現しつつ、火や刃、機械的圧力や打撃などと違って残虐にはならない・・・

非科学常識ケータイくん!
いきなりの最終回ですが、さてどんな…
ケータイコミック読み聞かせ、そりゃ強力ですね。
なぜビビアンたちがここにいるのやら。
「高級ケーキはもらっておく」…はあ。
新しいソフト、って本当は必要なものでは?
いきなり車にはねられるのはびっくりしました。…車をはねなかったのは自重ですね。
ビビアンちゃんも、ケータイくんのことをちゃんと心配してくれるのがすごく見ていて嬉しいです。
というか治そうとしたんですか、救急箱とドライバーで。
本体をリセットしますのでデータは失われます…ええ、僕も前にパソコンが壊れた時にデータは失われるって散々言われましたよ。
さらに復旧に出したら五十万かかるとか。
現実には、新しいパソコンとハードディスクをUSBにつなげる箱を買い、古いパソコンのハードディスクを入れて新しいパソコンにつないだら、一発で全データ復旧できました。
それどころか新しいパソコンを通じて古いパソコンのハードディスクをクリーニングしたら、古いパソコンも復旧できました。
僕が単に、ものすごく幸運だっただけでしょうか?
記憶がなくなってもいいから、生きているだけでいい…
新しいケータイ、ではすまないでしょう。
女の子を拉致するのはともかく…それは充分重罪ですが…車にはねられて放置、というのは悪質通り越してます。まあ救護義務がある車の運転者…
で、涙一つであっさり戻る。ああ…お約束って、本当にいいですね。
素晴らしい作品でした。何より面白いし熱いし。
次回作をとてもとても期待しています。

月号は「ご指名」…これだけやっといて本誌連載絶対なし、というのはどうなってるんでしょうね。
他にも増刊には素晴らしい作家が何人もいるのに。

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