なかよし2011年3月号感想

付録のカラビナボールペン、これはむしろ男子が喜びそうですが、女子の中にも男子と共通する部分はあるでしょうし。
ケースの完成度はさすがに高いです。

付録コーナーでの渡辺留衣先生、アンケートの進藤はるか先生のカットがとても見ていて心地いいです。
こんな小さなところでも力入れてますね。占いのあおいみつ先生も含め、三人ともいつでも本誌連載ができる実力はあるのです。

新連載の連発、なんだかんだいって本誌の雰囲気も変わっているでしょうか?
「甘い悪魔」「ミスプリ!」「ケータイくん」と、「執事」やそれに近いタイプの男子キャラが中心のお色気作品が三作品も入る、というのが雑誌の雰囲気をどう変えるか…あえてまともに「かぶる」作品を集めることで。圧倒的な甘さとスピード感はあります。
ま、それも柱が安定しているからこそでもあります。
増刊で活躍し、じっくり育ってきた作家が少ないのは個人的には残念ですが、本当に大切なのは面白いかどうかですから…増刊生え抜き作家のいじめ話より外で活躍していた作家の楽しく笑える作品、です。

わたしに××しなさい!(遠山えま)キミノネイロ(フクシマハルカ)非科学常識ケータイくん!(瀬田ハルヒ)AEISA(安藤なつみ)さばげぶっ!(松本ひで吉)恋と軍艦(西炯子)甘い悪魔が笑う(鳥海ペドロ)スイートプリキュア!(上北ふたご/東堂いづみ)ミスプリ!(青月まどか/Ruby Party)リンキョウリンプンテンシャホウ(タカハシマコ)先生に、あげる。(山田デイジー)予告

わたしに××しなさい!
な、なにこのカラー扉…
こういうときはキスは額に、紳士ですね。
「一晩じゅう看病」というのもいい嫌がらせです。
「そいつはいっしょにいてもへいき」さぞそれまでひどかったんでしょうか。
対人ストレスにものすごく弱い…
この母親もすごいキャラですねいろいろと。
「雪菜さんのお姉さん」…ちょっと露骨かも。高良家とか柊家とかでは素で聞きそうですが。
アイスを素直に喜ぶところはかわいいです。
看病がミッション…さてどんなことになるやら。
で、何で僕はこうなることがわからなかったんでしょう。看病にアイスクリームとなればそうなるのは、エロマンガでは当たり前のことなのに。
うわべの関係と実際の絆…それって、どう違うんでしょう。一方だけが絆と思っているけれどもう一方はうわべと思ってる…要するに騙されてる二人もたくさんいるでしょうし。
本当の絆があるとすれば、戦場で何度も死線を潜って確かめたものでしょうが、そんなことやってられません。
で…つきあってくれ、って?本気で?

キミノネイロ
このカラー扉、強烈過ぎて、逆に分かる人には男の娘だってわかりそうです。
ファーストキスを責任で捨てるとは…
この演技、男女逆とは…
鈴木くんのこんな顔が意外で見ていて楽しい。
リテイクの繰り返し、これもなんか実体験ありそうですね。
ここで鈴木くんが動いてくれるのも嬉しいですね。何もしない人形だったのが突然人間になったようです。
頬に洗濯バサミ、とそれほど眠くて切羽詰ってるんですか…
この、自分が一つの仕事を成し遂げた、という達成感は一生忘れられないものがあるでしょうね。
で、見てしまったこの光景はなんでしょう?だからこれまで動かなかった鈴木くんが動いたのでしょうか?

非科学常識ケータイくん!
今までの作品とは一変した塗り方、パワー、これは期待できそうです!
朝からいきなりのベッドシーンに顔寄せ、サービスサービス。
金剛寺美々杏…このセンスはむしろ茶匡先生のノリに近いですね。
ピンクダイヤ…貴重すぎて鼻血が出ます。
普通に会話が成立してるって、第一印象よりいい子ですね。
でるトコは出てる…サービスどうも。
低レベルな争い、って優れた家庭教師でもその点数って…
勉強アプリ…大笑いです。
携帯電話を冷蔵庫に…なにげなくひどい。その次はトイレの棚でしょうか。
助けるものは助ける、ここは気持ちいいです。
圏外、というのは笑うしかありませんでした。
この登場は待ってました、というか…時代劇感覚。
携帯電話を直してやってくれ、というのがケータイらしいです。
設定はやはりキス、でも…この再起動のところがやはり面白いです。
結構期待できそうな作品です。面白いし。

ARISA
これを手がかからないと思う担任が一番問題なんじゃ…
恐怖政治は道徳から入ることが多いです。
この恐怖感はかなり強烈ですね。
走りこみというのも洗脳の巧妙な手段です。過剰な肉体負担、勉強などでものを考える余裕を失わせ、破壊された精神に新しい価値観を叩きこむ…
つばさちゃんは自主的に、でも皆は恐怖で…本来なら、「死ぬ危険がある敵陣に突撃しろ。さもなくば死刑だ」という命令は奇妙です。突撃と反乱、どちらが死ぬ確率が大きいか、簡単には決められないのですから。
でも、人間の群れはそれで突撃を選びます。人間一人一人が、動物として遺伝子レベルで設定されているのです…人類、サバンナを小さな群れで彷徨う二足歩行類人猿は何百万年も同じ人類の群れとも肉食獣とも戦い続けてきたのですから。
しかもマッチポンプ…
緑くんの行動も疑ってしまいます。どんな裏があるのか…ここで恋愛感情がらみのゴタゴタがないのがある意味すごい。
この作品が読者に、洗脳耐性をどれだけつけてくれるか。読者が有権者になったとき、おそらく出ているであろう独裁者に反対票を投じることに役に立ってくれるか。洗脳の手法を使い恐怖と道徳とスケープゴートで社会を強化しようとする勢力に、対抗できる人材に育ててくれるか。
それを祈るほかありません。

さばげぶっ!
渋谷にも結構あるんですよね。はは。
で、この店…いや、実際にあるそういう店の店員は見た目普通ですよ。
初心者ならまずしっかりしたゴーグルとキャメルバッグ水筒。安全と水分補給が最優先。
茶か黒に近い普通の上着に、周囲の情景を見ながら適当な色の布切れを軽く縫いつければ充分簡易迷彩になります。迷彩は色とか模様じゃなくて、「人間のシルエットを崩す」ことが主眼なんです。
遊戯銃なんて、手動コックのポンプアクションショットガンで充分です。ガスとか電気とか余計なのがあると信頼性落ちますし。
MP7の縮尺おかしくないですか?
ゲームじゃない現実の、その言葉そっくり…ここは爆笑。
ファッション勝負に突進する強引さはいいテンポです。
MP5にサングラスはただの馬鹿です…突入用銃なんですから対破片ゴーグルでないと、閃光手榴弾の破片で失明しますよ。
むくむくのギリースーツ…そこまでの本格装備にM4はないでしょうが。ゴルゴじゃあるまいし。せめてバトルライフルの狙撃流用か、最近流行のブルパップ338ラプアとか。
ミリタリ系のグラビアって結構あるんですよね。そっちのほうの雑誌では結構多用されてます。
これをちらっとされたらそりゃ鼻血でKOですよ。わが人生に一片の悔いなし!
留年で十八歳、と恥ずかしいことをさらっと言うなっての…
いいこれでいい、とにかく笑い転げられるんですから。いやな思いする作品よりいい!

恋と軍艦
異質な雰囲気過ぎて逆にすごい。
道案内が紙…模範解答は110だと思います。
嫌なことを忘れて…ひたすら頭の中で妄想を積み上げるのも、まあ楽しいですよね。
こういう妄想と言っていい恋愛…僕は彼女をまったく笑えません。この年齢のときの僕は彼女の百倍ひどかったんです、思い出したらタイムマシンと狙撃銃が欲しくなるほどに。
万々一成就してたらどれだけ大変か考えてないことも、彼女と当時の僕は同じです。あれほど住む世界が違ったら、苦労なんてもんじゃなかったはず…当時僕が好きだった子と僕は、同学年でしたが町長と香菜ちゃんより住む世界は違いました。
会話がかなり圧迫感があって楽しいです。
この篠原さんはごく考えが深いんでしょうね…中学校の頃の僕には近づくどころか口を利く資格もないほど。
男の子の動きとか軽快なコマ使いとか、実に面白い。これが最先端の少女漫画…
今の僕はジャンプ・マガジン・サンデーも読んでません。ヤングジャンプもヤングアニマルも、半分も読んでません。大人向きの本格少女漫画なんて何一つ読んでいません。ずっとなかよし・ちゃお・りぼん…言い換えれば種村コピーの海に、十何年ずっと、どっぷりと漬かって過ごしています。信じられないほど僕の漫画を見る目はゆがんでいてもおかしくないです。
なにげなく家に誘われて…すごいですねこの本棚。ムーミンシリーズは今ちゃんとした訳で入手できるでしょうか?
というか大人だからこそ一度じっくり読み返したほうがよさそうです。
三分の一?普通の子は百分の一も読んでませんよ。
漫画の、字でごまかすのが実にうまい。
中学生には教育上よくない本まであるなんて…すばらしい。
そしてその作者が、あの…さらに町長さん…
なんというかいろいろすごい世界に入ってしまっているような。
しかし暗示がうまいですね。
…手紙は結局渡せずじまいになるように何でも賭けます。同じにおい、というのを考えれば。
少なくとも今回は徹底して、人は見かけどおりの存在じゃない、ですね…

甘い悪魔が笑う
冒頭からサービス過剰ですね。
これ…運転手がひたすら…
まあとにかく警察に通報して。
というかガチャガチャと多くの車が開くのには笑いました。
いきなり自分で車を蹴って「オレのせいで」という、予想を吹っ飛ばす行動にびっくりしました。
いきなり一目ぼれ宣言もびっくりしました。
「あやまったほうが負け」というのは確かにそうですね。開き直れば勝てることもあります。
それが仕事だと読まれてしまう、一心くんってどんな経験積んだらこうなるんでしょう。
靴を履かせるところの色気もさすがに凄まじいです。足や手の、先端の色気はきわめて難しく、成功報酬が大きいんですよ。
自分も同じ、と自虐的に…
いつのまにか車内、主導権を取り続けるのもホスト…
花を選ばせてプレゼント、というのも、ある程度獲物に自由に動かせながらきちんと手綱は持っている、と。
確かに制服に花というのはいいですね。
「女を連れてくるのは**がはじめて」…ここで彼の携帯電話を掏り取って、客に片端から電話して聞いてみたいもんです。
「ほかの男のことなんかかんがえんなよ」、さてここからどう責めるか…
素で感謝してるのか、と思って本気に、この男心の動きもうまく描いてます。
で、一心…ハルルの唇を挙げさせキスする振りして男の反応を見て、「あなたがおとされてしまったんですから」…たまったもんじゃないとしか言いようがありません。
それほどの名家出身だとも、なぜそのこともさらして?それほどまでして守るために?
大牙さんの再登場があるのかどうかとても楽しみです。
こういう人にも人間味があるというのはすごいですよ。

スイートプリキュア!
またものすごい華やかさとスピード感あふれる色彩感覚。
冒頭からカッコいい!この見上げる構図のスピード感は上北先生じゃないと。
菓子の質感も素晴らしいですね。
トムとジェリー、仲がいいのか悪いのか、そんな二人が…既にプリキュア、というのも話を短くするのには便利です。
気が合わないけれど共通の思い出だと爆発する、ここも気持ちいいです。
というかフルサイズの連載でやって欲しいですよ。

ミスプリ!
問い?どんな問いでしょう。いいですねこういうザ・思わせぶり。
こういうマナーというのは、逆に「考えずに手本どおりにする」武道が得意なら学びやすいと思いますよ?
晩飯没収は最強のスパルタですね。忘れないでしょう。
「かわいいしぐさを」…違う意味で鬼。
一度もほめられないのがおかしい、とか、この嫉妬がかわいいです。まあかっこわるいといえばかっこわるいですが。
基礎を何度も丁寧にやる、というのはさすがにわかってますね。
マナー自体は完璧でも、笑顔が足りない…きつい。基準が恐ろしく高いんですね。
基礎ができて当然、という厳しい世界も、武道の世界である程度慣れているから…
後ろから抱きついて、ぴしっと「あきらめるの」と厳しい言葉を突き刺す…強いですね。
バックヤードでの男たちの会話がまた気持ちいいです。
特別レッスン、そして「オレの百点はミスプリグランプリだ」…いいですねこのカッコよさ。
で、倒れてたら…ははは。確かにナイスタイミングです。
いいなあこのイケメンども。

リンキョウリンプンテンシャホウ
好き、と言おうとしたら倒れる…どんな呪いですか?
蝶の道…
しかしこの作品、前回を知らなかったらわけわからないにも…逆に記憶喪失状態で読んだら?
お化け屋敷とか、男子というのもかわいい生き物です。
これは怖いとかそんなレベルじゃないです。
それでバイト希望、というのも…それぐらい保険のうちでは?
幽霊だから怖くない、というのもどっちなんでしょうね。本当に幽霊だからなのか、役としてなりきっているのか。
こういう役をやるというのはどういうことなのでしょう。僕だったらどのあたりで、救急救護モードに入るか判断できるか不安です。
同じ時間同じ道、だから蝶道…連想がまたうまい。
突然彼女が恐怖を示すのは実に意外な展開でした。
実際の幽霊とかではなく、最初に告白した子だった…そりゃ、告白したら相手が倒れた、というのはトラウマにもなりますよね。
なんというかものすごい。
どれほど力のある作家なのか、それをそれまでより年齢層の低い読者がどれだけ真っ直ぐ受け止めて、体の奥で熟成させてくれるか…

先生に、あげる。
目が覚めても好きなまま…残酷ですね、それを簡単に変えられないというのは。
さらに学校からの呼び出し…
そして、教室で権威を失い…さらに、母親が娘の人格を根こそぎ否定する言葉、もう彼も神を恨みたくなるでしょう。
あまりに激しい冷たい怒りに、体が張り裂けそうです。
彼女を救うことができない。あまりに悲惨な状態にあるのに…
彼の独白は深みがありますね。
この電話も、彼女にとっては…多分僕が自分の指で片目をえぐるより必要な勇気は大きかったと思います。
そして辞表を置いて、覚悟を決めて…どこへ?ホテル…そして教会で、「必要とされる人間になりたい」…
あらゆる人の最も根源的な祈りの一つ。でも、そんな言葉を組み合わせてみたことはありませんでした。いや、重要な祈りなら記憶にないはずがない、僕は大学時代カール・バルトをはじめ何人かの大神学者の説教全集も邦訳ですが読んでいるのに。
そんな思いを言葉にするなんて、やっぱり山田先生はすごい作家です。
一生守る、という宣言、でも…たとえ覚悟があっても、運命そのものが敵だとしたら?
叫びだしたいような思いです。
これ以上この二人が傷つくところを見たくない…残酷すぎる運命を見たくない…

来月号は茂呂先生…前の連載での成長がどんな形で出てくるか楽しみです。
とことん新連載攻勢を続けますね。当然新連載があれば終る連載がなければなりませんが、それをどこで稼ぐかが難しいところです。

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