なかよし2009年夏ラブリー感想

ここまでシリーズが多いと、逆に普通の読みきりが少ないんですが。
本誌連載番外編・シリーズ・新人賞受賞作発表でない読みきりが三つしかない、というのはいいのでしょうか。
さらに「魔術師にくちづけを」がないのは、もう本誌同様枠よりシリーズのほうが多くて定期的にどれか休載させて回す、という状態になっているのでは?
色々な作家が読み切りを出せる枠をたくさん作るのが増刊の目的のはずなのに…まあ昔の増刊が三つしかなかった時代よりずっとましなのは確かです。
次号からは更にフクシマハルカ先生まで加わって…僕は厚さが倍になっても嬉しいだけですが、小学生読者にはきついでしょうし。

地獄少女激こわストーリーや恋愛オムニバスで、新人作家が単行本で出ることができるのはとても嬉しいですが。

しかしそれがなんであろうと、ラストがホラーというのはやはりちょっと後味悪いです。最後にわんころべえかなにかで毒抜きしたかったですね。

新地獄少女(永遠幸)オオカミ少年(水上航)小川とゆかいな斉藤たち(茶匡)妖界ナビ・ルナ(菊田みちよ/池田美代子)夢みるエンジェルブルー(白沢まりも)にげない。(高上優里子)おんたま♪(美麻りん)あずきパティシエ(ゆみみ)サファイア(花森ぴんく)名探偵夢水清志郎事件ノート(えぬえけい/はやみねさとる)電流がかける少女(明日賀じゅん)恋するイニシャル(みつき成流)若おかみは小学生!(おおうちえいこ/令丈ヒロ子)ラブ・リスト(とぐさ壱耶)デリシャス・トラップ(水沢友希)マグネティックvラブ(紺のんこ)虹の予感(紫月あさみ)蜘蛛女(秋本葉子)

新地獄少女
他に手はあるだろう、としか言いようがありません。確かに医師の信用は強いかもしれませんが、警察・マスコミなどすべてを抑えこめる超権力者でも、あらゆる盗聴盗撮狙撃をすべて見抜いて対処できる万能スパイでもありません。
最初から他の選択肢はない、という前提が間違っています…何回でもあえていいます、自分の手で殺すことのほうが地獄行き確定よりずっとましです。もちろん殺す以前にも合法違法問わず手段は無数にあります。

オオカミ少年
すごくリアルなオオカミというか犬の描写がカッコいいです。
親同士は仲良しなのにすごく疎遠、というのが興味深いです。男女だと距離ができちゃうこともありますよね。
家の前に入ったらどろどろの犬が倒れている…読み返してみると盛り上げ方がうまい。
お風呂の読者サービスもありがたいです。結構ボリュームありますね。
犬を洗うのは…よほどの信頼関係がないと噛まれないでしょうか?
でも思い出しますね、今は亡いですが…今日あたり洗おうか、という話になって家に入れると、普段は家に上がるのを喜ぶのになんとなく逃げて、「おふろ」と言って捕まえようとしたらもうちょこちょこ家中逃げて…そして洗ってすぐ、濡れた状態だと体の線や皮膚のピンクが出てしまってちょっと情けないんですが、しばらくしてふわっと乾いたときの真っ白に茶班が混じる、無論目のふちの目やに汚れもない美しさときたら…でもすぐ、まだ濡れているうちに地面に転がって汚すんですよね…だめだ、思い出すと…あんな可愛い子…柴とスピッツの混血か、チワワやパピヨンがそのまま一回り大きくなったような…
尻尾を引っ張っていきなり変身、というのは…この状態じゃどうにもこうにも…笑うしかないです。
裸の出し方隠し方がまたうまいです。尻尾を踏んだらまた犬に戻る、と。犬の足を踏んじゃったときの声と、そのときの僕自身の苦しさも思いだします。何回やってしまったのやら…今からでも謝りたいです。
山神の息子、というのもニホンオオカミ絶滅と矛盾していなくてうまいです。
いきなり「オレひよりをお嫁さんにする」ってストレートですね。
ネズミを見るとすぐかみつく、いい犬じゃないですか。でもまあ…汚いと思うのはわかります。
引き出しの下着をあさって…まあ確かにここを見られたら、「おジャマしました」としか…終ったにもほどがあります。
もろに犬食いだったり、というかこいつの父親も人間界にやるんでしたら人間の不利をするのに最低限必要な作法を…まあそれで超ジェネレーションギャップ、完全に江戸時代の武家の礼儀作法だったら逆に悲惨です。
ま正直に「ひよりの好きな人って冬真?」まあこれが乙女にとってたまったものじゃないのはわかります。
それでただの幼なじみ宣言…なぜ冷たくなったのかもいろいろありそうですね。
怒られてもすぐ落ちこまず、「そーゆーときはスカッとするのが一番!」と飛び出すのは気持ちいです。そうですよね、人間の論理に従う必要はない…人間だって動物の面のほうが主なのですから!
山から見る景色、そしてたくさんの花…これは笑うしかないです。やっとただまっすぐに気持ちを出す礼王訓を認める、ココはすごく素敵でした。
いきなり涙をなめるのはびっくりしますけど。
しかしなんというか…冬真くんもわざわざ探しに来て言うことがこれですか…何と言うか前途多難です。

小川とゆかいな斉藤たち
どうなっているのでしょう?本誌連載は終って増刊連載に?
カナヅチもある意味お約束ですが壮絶です。
成田さんもですね…ごまかすのが…うまいと一瞬思いましたが下手ですねこれは。わざわざ勝負なんてしなければいいのに。
イルカやクジラとたわむれる、それはすばらしい。
大喜の必死で「教えてーんだよ」というのもなんだか可愛いです。そして小川さんの水着姿を見ての鼻の下伸ばしまくりも。
クロールだのバタフライだの、参考にはなりませんねこりゃ…
水の外で普通に息を止める練習をしたら?
このカナヅチのすさまじさはすごいです。
いきなり予定を早めて今日対決、って別にそれに応じる必要ないんですが。
両手両足に浮き輪…どこでそんなの売ってたのでしょうか。
むちゃくちゃでも何とか泳げている、というのはすごいです。
というか成田さん、そのままゴールしていれば勝っていたのでは…
で、確かにこれは犬上家…
プールでのホラーと言うのもあれば面白そうですね。水は元々魔界の出入り口ですし。
いっそ、「プールサイド…。」をマンガでフルにやってしまってもいい挑戦になって面白いかもしれません。

妖界ナビ・ルナ
やはり菊田先生は番外編になると素晴らしい切れ味を発揮…というかこれ、原作の池田先生の原作書き下ろしもあるのでしょうか?
いきなり美女に声をかけられてびっくりしました。というか逆ナンとは思わなかったのでしょうかね。
カッコいい、といわれたら簡単に浮かれてしまうのもわかりやすくていいです。
人違いしないよう、ちゃんと目印を示し合わせておけばいいのに…オフ会の初歩ですよ。
実際こういう、ネット恋愛って怖いですよね。「やさしい文章」といっても実物がどうだかはわかりません。でも…そう、顔だけで相手が優しい人かどうか見抜くのも難しいでしょう。
「シュウちゃんが帰っちゃってたら一生うらむ!」という女の子の勝手さ…僕は可愛いなと思いますが、若い男の子はすごく腹が立つのでは?
それでこのイケメン…ここまでくると、僕にとってはもっけの立場で読めますが、本来の読者はどんな立場で読んだのでしょう…
もっけの行動が実に楽しいです。
そして…真相はそういうことでしたか。ここからの展開は熱くて実に楽しいです。
カッコいい男の条件は自信、というのはかなり真実です。
なんというか後味がすごく複雑で極上、実においしくいただきました。

夢みるエンジェルブルー
現実とのギャップは毎度笑わせてくれます。
まあみんなで原宿に行くのは最先端に触れる意味でもすごく大切でしょう。
青磁くんは気の毒ですが。
色んなファッションが実に楽しいです。
スーツケース…ああもう、留学フラグ…わかってしまう自分が悲しいです。
というかクレープをひとくちもらうとか結構仲いいですね。
くまぐるみというのもわかりやすく面白いですね。
このくまちゃんの冒険も楽しいですね。
迷子は不安ですが、今は携帯電話がありますからそれほど不安がないのが正直なところです。
ただし原宿から一歩入ると、思いもかけない町並みがありますので注意しないと。
葵センパイの蹴り&抱きしめはすごく嬉しかったです!
胸倉をつかむ、というのはなぜやるのか僕にはわかりません。返し技が多すぎるんです。目を指ではたいてその隙に肘を折る、すねや股間を軽く蹴って脇固め、指を折ってそのまま一本背負い…。
しっかり手をつないでいるのも嬉しいですね。
猫が逃げた時にあのくまがまた手に戻る、というのもすごく素敵な奇跡です。
また手をつなぎなおすのもすごく嬉しかったです。
青磁くんもしっかり抱きついてますね。
「のみにいく、子供はまっすぐ帰りなさい」が楽しかったです。
さてさて、次当たり留学でしょうか?クライマックスに向けて盛り上がっていますね。

にげない。
今回はなんというか…仲間を増やす、というのがちょっと露骨に出てしまいましたね。
でも悪意・憎悪の表現としてはすごくうまかったです。
絵がまた変わろうとしているのでしょうか?なんとなくそんな感じがします。
テストの順位表、というのは僕は経験ないです。
羽菜ちゃんも微妙な立場ですね。全面的に奈子ちゃんさえいれば孤立なんか怖くない、というほどの強さはないんですね…リアルです。
いきなり阿澄くんが声をかけてきたの、なんだかこの子たちもちょっと頭はいいけど中一なんだな、とほほえましく思えます。彼女の勇気に憧れつつ、それを素直に出せなくて…って伝わってきます。
どうしても敵が多くなる、というのもそりゃしょうがないですね。
読み返してみると、奈子ちゃんに聞いてくるのは悪い噂を広めるのと情報収集となかなかうまい一石二鳥です。
みんなに一見溶け込んでいるようにも見えますね、これは。
消しゴムにカンニングペーパーを仕込んで、というのはうまい冤罪のかぶせ方です。
筆跡を出せる冷静さ、それがあれば…地獄少女の歴代被害者たちも…
奈子ちゃんの体操服の質感がしっかりあって嬉しいです。
でもそこから…これできましたか。
奨学生のどこが悪いのでしょう?どう見てもすごいじゃないですか。
「貴族じゃない」というのはさすがに言えないようです…
かんぺきじゃなければいけない、弱みを見せたらみんなうらぎる…それもすごくわかります。でも奈子ちゃんはそういう人々とは違うんですよね。上野谷くんも。
「やっぱりこのままおわれない!!!」という言葉がすごく強い感じがしますね。
確かにこれは腹が立ちますね。
糸川さんの言葉は強烈にカッコいいですね。阿澄くんの言葉も。
阿澄くんと糸川さんの、恋心かな?と感じられるかどうかの匂いの淡さがまた心地いいです。
やはりすごく面白いです。今回は軽めに楽しめました。

おんたま♪
絵がますます可愛らしくなっていますね。
合唱の合宿などやって喉がかれないでしょうか?
どハッピーな音、というのがなんだかわかりやすいですね。
悲劇のヒロインに、ってどんな曲なのでしょう。
しかしおんたまってすごく表現力ありますね、いろいろと。
鼻濁音とか破裂音とかは僕も苦手な分野です。音楽や発声理論、言語学などはなぜか頭に入りません。
優奈ちゃんの態度もさわやかで気持ちいいです。
きれいすぎて動けない…それもすごく伝えてきますね。
「今のが表現力だ」というのは読み返すとうまいごまかしです。
それでドキッとしてしまうけどまだ自覚してない、ってこのあたりが楽しいです。
自分では歌わない…説明すればいいんですけど無理ですよね、人にはプライドがありますから。
優奈ちゃんの「レベル低い中で歌うってストレスたまる」というのは自分の経験なんでしょうか。
「おまえに関係ねーだろ」に傷つくの…でも彼もすごく傷ついている、というのが彼の立場で読み返すと強烈に伝わります。
悲しみを歌に変えられるってすごいですね。
歌いたいし才能もあるのに喉が弱い、というのはもどかしい通り越しているでしょうね。
「最初は見えなかったもんが向き合うことですこしずつ見えてくる」…僕はそれ自体期待もしていません。
いきなりのおんぶで、それも全部預ける形の…
さりげなく、小さいですがいろいろ努力しているのが見えるのがすごくよかったです。国語辞典で歌詞の意味を調べる、というのも…そういえば前に、宝塚で若いけど歌が抜群の人(あえて名前出しません)が声はいいけど表現力が低いから歌詞を何度か自分の手で書き写せ、と批判されていたのを思い出します。
思いがおんたまに集まって、おんたまが成長しているのがはっきりわかるのがすごく素敵でした。
ここの絵の迫力はすごいです。
それで抱きついて…相変わらず天然で男を惑わすというか先輩にとってはきついことしますね。
でもやっと恋心も自覚したようで…これからがますます楽しみです。
「春に」という曲は僕は知らなかったのですが、ちょっと調べて聞いてみました。確かにいい曲ですね。知らなかったのは世代の違いとかでしょうか…僕は「気球に乗ってどこまでも」「大地讃頌」の世代、ということなのでしょうか。

あずきパティシエ
洋風の可愛いのが大好きな和菓子屋の娘、愛菓ちゃんはいつも頑固オヤジとケンカしている。
そんなとき、隣のケーキ屋の大洋が弟子入りに押しかけてきて、愛菓ちゃんは交換するようにケーキ屋に転がり込む。
互いに相手の家を手伝いながらいろいろ学んでいくけれど、どちらも自分の親が大好きで、子供なりの理想を持っていることが…

久々の人間サイズ!かなしろにゃんこ先生や「りぼん」の福米ともみ先生もですが、素晴らしい力の持ち主が動物・ショートばかりになってしまうのって見ていて辛いので、こういうのはすごく嬉しいです。
話そのものもすごく、将来が気になってくる頃の子供たちにとって力がある作品だと思います。
うわあ…畳にちゃぶ台、なんて素晴らしい…
和菓子もすごく可愛いのもありますが、そっち路線じゃないんですね。
生まれる家を間違えた、ってどちらもですか。この面白さは最高です!
「しぶくて男らしいところに」…こりゃもう昭和の男には…
それで交換家出となるともう笑い転げました。
フローリングとたたみにそれぞれ萌えているのがすごく面白いです。
道で親同士が話しているのを聞いて窓越しに怒鳴りあう、というのも…この二つの家のいつもの姿が見えているようで楽しいです。この二人のこれまでの話も見てみたいですね。親が子供を子供扱いしているのが読み返すと少し切ないです。
メイド服で手伝う、というのは思いがけないサービスでしたね。
とっつきやすさの違い、父親の店が寂れていることに寂しさを…でも特に葬式関係の需要はでかいですし、味に定評があって上流の長い顧客がいれば、一般の来店者を頼りにする店とは桁外れの金が入ることもあるでしょうね。
洗い物をちゃんとやるとか、さすがにしつけがしっかりしているんですね。
それをちゃんとほめてくれるのが現代的な父親、ですか…向こうの家では当たり前のことでも。
「男女」と自分の父親を言うのが読み返すとちょっと切ないです。
子供同士の、よく先を考えている会話がすごくいいです。考えているんですよ、子供も。
洋樹お姉さんともうまくやっているようで、シリーズとして続くのなら結構重要なキャラになりそうです。
大洋くんも昔から本気だったんですね。
大洋くんの父親もすごく一生懸命に頑張っている、と伝わってくる…そして「なんで大洋にはこのスバラシサが」という言葉を聞いたときの父親の表情…表情を殺していますが内面がよく出ていました。
大洋くんも真剣に修行している、というのが胸が熱くなります。こっちはこっちで、欲しかった息子ができたような思いなんでしょうね。
それでまたケンカになってしまって…
「あたしだけいらない子」と泣くのもすごく気持ちが伝わりますね。
「自分の話をきいてほしいんだろ」と大洋くんもすごくわかってる…精神年齢高いですね。
大洋くんは理解がありすぎる親が不満だった、とそれはそれで贅沢な悩み…と。
ありがと、といわれてドキッとしたのを「こわっ」とごまかすのが可愛いです。
それで二人でのこの行動、あまり素敵で声も出ませんし息もできません。
泣きながら「邪道だ」といっている愛菓ちゃんの父親…笑うしかないですね。
読みきりでも良かったかもしれませんが、これから何があるのかも楽しみです。学校でどんな友達がいるかとかも楽しみですし。

サファイア
とにかくお疲れ様でした。
もっと好き勝手ができていればよかった、全部花森先生に任せてしまうことができていたら、と個人的には思います。
どれだけ小宇宙を燃やし尽くしたでしょうか?ただそれだけですよ。評価できるものではないです。
さぞかし大変だったと思います。

名探偵夢水清志郎事件ノート
とにかく受賞おめでとうございます!何度繰り返してもいいです。
今回のレーチおいしすぎますよ。
何でも知ってる、というのは僕もそのタイプなので、この態度は懐かしいです。
広い城というのもすごいですね。
ヒイアカさんの雰囲気と胸の強調は迫力ありました。南方の人は動物としてこちらより強い、という感じがしますね。
複雑な歴史、と一口で言いますがものすごい悲しみがあります。
万能財団事件からでしたか。
遺産の処理についても直截に聞きますね。
「父に愛されなかった」というのが、解決で違うとはっきりするといいですね。
クリスマスのプレゼント…メリーゴーラウンド、そのスケールの大きさと悲しさが重いです。
父親が出かけたのも、何か重大な意味があったのでしょうか?解決篇が楽しみです。
犬が死んで産めた時の、穴掘りという肉体労働のありがたさを思うと父親の気持ちがよくわかります。
まあこれで一人は怖いでしょうね。
調査する気ゼロ、海水浴前提…レーチ気の毒ですが後がおいしいですからね。
この老人の存在感も大きいです。
教授の態度も強烈な印象を与えます。
三人とも結構大胆な水着、というか三人とも体も順調に成長してますね。
それにしてもレーチってハワイに詳しいですね。
それで「こんなことしに」と切なくなって「だからなんで」と、こりゃからかいたくもなりますよ。
「解けてるでしょ」にはびっくりしました。「あたしたちがついてくるのを止めたでしょ?」も素敵でした。
ゆっくり楽しむため謎解きをしない…ってそんなはずはないですよ。いつも、変な行動は全部関係者全員が幸せになるため、間違っても死人を出さないためです。
レーチの水着姿を印象的に描くとは大胆なことをしますね。男女逆なら男子は女体に興奮しますが、女子は…
この白人美女…うらやましい。でもこれも謎解きと関係あるんでしょうね。なんかメモ渡してますし。
この失踪は教授の予定通りのようですが…解決篇を楽しみにしていましょう。

電流がかける少女
このシリーズもずいぶんノっていますね。
かなり派手な外見ですが、読み返すとずいぶん印象が違います。というか今回の彼女の能力はかなり強いですよ。訓練次第でX-MENのジュビリーぐらいには…いや、調べなおしてみたらジュビリーはかなりいろいろすごいです。アニメの影響で凡人だと思ってました。体操オリンピック選手級の運動能力とか、全力出せば核融合級だとか…
告白の決心をしたら彼が告られた…ほんの一瞬遅い、という、これは切ないです。普通の話では自分に告白する勇気がなかったのが悪いとされますが、これは…
それで、携帯電話を充電する能力とは…結構地味に便利というかみんな欲しがる能力ですね。
エネルギーそのものは弱いんですが。
電気を自在に操るってジュビリーよりむしろ…マグニートーに近い能力ですね、これ。
というかそれを操るときの色々なすごい表情が面白いです。
この力で彼女から…積極的に使いますね。
結構いろいろがんばってますというか…マグニートーを敵に回したらこうなるのかというか…
水島さんに優しくされてかえって対抗意識と、かすかな罪悪感…二人両方の不安、これはチャンス、と…
エレベーターに閉じ込められてもこの能力があれば全く怖くない、っていろいろすごいです。
彼女からの電話、「玲来といっしょだから」はまずいでしょう…顔が引きつりました。
彼も…自分の気持ちしか考えてないですね、当然ですが。玲来ちゃんの気持ちはまったく…
というかエレベーターを出た瞬間気づいたのでしょうか?
そして、一気に会場中の明かりをつけてしまう力はかなり迫力ありました。
光の中二人が出会うシーンも素敵でした。
送ってからなぜ倒れている玲来ちゃんを…彼はどんな動き方をしたんでしょうか?水島さんにもう一度告白し、それで水島さんを送ってから会場に引き返して…倒れた状態で何時間いるんでしょうね。
体を離す形のおんぶも遠慮してますね。落ちた涙に彼女の気持ちを確信しての「ごめんな」…すごく心がじんわりします。
能力も恋も充電が必要、というのもすごく素敵なメッセージでした。
やはり実力は抜群ですよ、つくづく。

恋するイニシャル
(前作と同じ舞台で)同じ天文部のユウキ部長と両思いになりたい、と「Y.I」「A.K」で相合傘を書いた春日亜弥子ちゃんを、同じクラスの不良の池ヶ谷くんがにらんで、いきなり「つきあってもいいよ」と…彼も「Y.I」だったので勘違いしたのである。
怖くて真相が言い出せなかった亜弥子ちゃんだけれど、彼は怖いけど笑顔は素敵だし、ちょっと二人で勉強したら簡単に学年三位とか…

絵が妙に魅力的になっています。すごくスパイシーな甘さと、時々見せる強い透明感…
男女の目の大きさが極端なぐらい違うのもわかりやすいですね。
壁相手に…熱心すぎます。このお供えモノはどうなるのでしょう。というかメロンってどんだけ…
池ヶ谷くんのいきなりの行動、一つ一つの動きが彼にとっては当然でも彼女には全く意味不明で、とんでもない言葉、と彼女の驚きと恐怖が見ている分には実に楽しいです。「殺られる」というのは…
イニシャルが同じだから、というのは笑うほかないです。
彼も翌朝からまめですね。読み返すとどんなに素敵な男かわかっているのですが、最初は恐怖感だけが強まってきます。
強引に手を握って…壁に文句を言われても壁も困りますよね。
部長に対する表情のとろっとした感じも可愛いです。
つきあってるのを公開するのが恥ずかしいからだ、との都合のいい勘違い…でもここの彼の笑顔はものすごく素敵でした。さらっとしてそれでいて迫力あって…なんとも。
自分が不良だと思ってない、というのもすごいですね。好きなことを好きにやっているだけ、反社会感情はない…
逆に亜弥子ちゃんも笑顔を見せて、それが池ヶ谷くんの心をときめかせて、彼の恋心が育つところもしっかり描いているのがすごくよかったです。
やってみると勉強が楽しくなって…いきなり三位は笑ってしまいました。
彼が急に人気者になって嫉妬する、と…亜弥子ちゃんの心がちょっとずつ動いているのをしっかり描いて、つくづく組み立てがうまいです。
「彼女はあたしなのに」って…自分の気持ちがわからない、ということがわかれば十分ですよね。
池ヶ谷くんの優しさ、プラネタリウムのシーンの美しさもすごく印象が強いです。
「とらえかた一つでいくらでも人生楽しく」…素敵ですね。
そして帰すと思ったのにイヤじゃないし、手をつないで帰るのもデートの誘いも嬉しい…「ホントに好きになっちゃったかも」と、ここの表情が二人ともすごくいいです。池ヶ谷くんの照れた笑顔と亜弥子ちゃんの自分の気持ちへの戸惑い…
ここで部長の告白、というので…すごく頭がごちゃごちゃになって、どうなるのか胸が痛くなります。
思わず違う、とあの時は本当だったけど…自分の思いを本当に自覚したときの画面構成とか表情とか、すごいですね。
また壁に、というのも苦笑しますけど、見事に通じましたね。彼のほうからも告白しようとしたのがよく読むとすごく嬉しいです。彼の側の心情も終始すごくしっかり描かれているんですよね…
とにかく笑顔と感情表現がすごく素敵でした。
思った以上にこの二作での成長が著しいです。これからどんな形で出てくるか楽しみでなりません。

若おかみは小学生!
なんというか子供らしくて可愛い話です。シリアスはどこへ。
ムカムカオエオエが永遠に続く…確かに非常にイヤです。人間にそれをやる能力がなかったのが幸いでした。
このうるうるした可愛い表情って、進化心理学的にいえば、資源節約のために子供は最低限を残して殺したい群れ・親・先に生まれた兄弟姉妹と、自分を生きさせて欲しい幼児自身のある意味軍拡競争の結果だそうで。
派手なことが大好きだから、いろいろなお客を…子供が善意で強い力を持ったらろくなことになりませんね。
で…温泉あらし、という存在には背筋が寒くなりますね。あらゆるシステムを利用して脅迫する…
ふふ、花の湯側の対応はまさに見事です。
さて、おっこちゃんはどうするのでしょう。

ラブ・リスト
突然ぶつかった男の子が好きになり、「彼女になりたいな」と口に出してしまったさくらちゃんに、その椿くんは「オレの好きなトコ二十個以上いえたら」と条件を出してきた。
積極的に彼に会いに言って少しずつ彼の好きなところを見つけていくけど、ある日彼の元彼女に会って…

冒頭からすごく雰囲気が明るくて楽しいです。
いきなり男の子に押しつぶされる、結構これ高さがあるのでエネルギーでかいですよ。
あっさりお姫さま抱っこ、でちゃんと介抱してくれて思ったまま「彼女になりたいなー」ってでちゃう、この始まり方が実にうまいです!
一歩間違えたらストーカー、って確かにそれがありますね。でもストーカーにならずに恋するのってどうすればいいんでしょう。
自販機の隙間にもぐるというのもすごいですね。
涙目で見上げている隣にウォークマンで音楽を聴きながらいて、そしてそっちを見たら目をそらして、そして逃げようとするのに捕まって引きずられる、ここがなんとも面白いです。
「あたりも暗くなってきて」って心配が先に出てる、本当に心配していますね。中一と高二の、ぎりぎりの年齢差がまたいいです。
おごり、と言っておいて「中学生(コドモ)にオゴってもらえるか」と出すところは確かにカッコいいですね。
さくらちゃんが「ロリコンじゃないです!」と大声でいうところもカッコよかったです。
確かに二十個たまってますね。
あの元彼女とまた会って、それでどうなるんだろう…とちょっとドキドキしました。この人の優しく率直な態度も嬉しいです。
今は笑顔で言っていますが、結構きつかったのが…ぼやけた影からわかってきます。
本当に思ってくれているのか不安、というのは…人は人の本当の心はわかりませんからね。それを不安にしたらきりがありません…制度や儀式でごまかせた時代じゃないと…
それでさくらちゃんがパニック状態になるのは子供にはすごく伝わるでしょうね。
でもせいいっぱい思いを伝えよう、とたくさん…あまりにたくさんの思い、「つきあえなくていい!」と何も求めないのがまたきれいです。
彼がぎゅっと抱きしめるのもすごくわかります。彼自身が、すごく不器用で思いを伝えるのが苦手で…もしかしたら、描かれていないところで元彼女に、同じ間違いを繰り返しちゃダメとかいわれていたのかも、と想像するとすごく楽しくなります。
最後の「しらなかったわたしもみつかる!」という言葉も素敵でした。
独特の味がある作風で、すごく素直に思いがしみてきます。いいですね…
オムニバス単行本デビューもおめでとうございます。これからがますます楽しみですよ。

デリシャストラップ
テニス部一のイケメン、カズ先輩がラブリーランドの恋人同士しか入れない限定チケットで誘ってくれて幸せな、甘いもの大好きなあおいちゃんがいきなりデリシャス同好会に強引に誘われた。
高校生パティシエNo.1決定バトルに参加したいのだが、三人しかいない部員の一人を辞めさせたから試食係として参加してくれ、と。
甘いもの目当てと限定チケットで脅迫されて引き受けたけれど、いきなり基礎のスポンジ作りから修行させられ、恋愛も邪魔され…

お久しぶりです。水沢先生の実力はつくづくずば抜けていますから、たまにでも出てきてくれるだけで嬉しいですよ。
大量のケーキ…カロリー計算したらぞっとします。胃袋というより脂肪細胞と代謝系が謎です、なぜ太らないのか。よほど練習熱心なんでしょうか。
呼び出されるとつい行ってしまう、というのが困ったものですね。
いきなりとんでもない頼みでしたね。試食係として、というのが面白いです。完全に数合わせでしょうけど。
人のカバンを勝手に開けて脅迫、って別に彼女である必要ないのに…奇妙な巻き込まれタイプの話ですね。
基本は徹底的にやるんですね。
僕も一度スポンジケーキを作ったことがあるので、なんだか懐かしいです。
家でもしっかり努力しているのが熱心ですね。
デートのはずが強引に引っ張られるというのも…先輩もよく妬きませんね。あ、あとで妬いてます。
親が死んで店を閉めた、って…結構そういうケースもあるんでしょうね。自分が資格を取ったらまた開業する…できるのでしょうか?
この設備の減価償却だって大きいのでは?かなり不自然な形ですね、現状は。
先輩が嫉妬を見せてくれるのがなんだか嬉しかったです。
はちみつレモンはいろいろ便利です。
お菓子の美しさがまた素晴らしいです。
そして子供を助けて…というか確実にこれ、カズ先輩にはふられますよね…
笑顔を運ぶ仕事、というのもカッコいいですね。
三位入賞までも結構あっさりしてますね。
あ、カズ先輩怒ってなかったんですね。
結局また、となんというか…これで終わりなのがもったいないというか、三巻ぐらいの連載が詰まってる気もします。
本誌連載で出てこないのが残念ですね。

マグネティックvラブ
佐藤桜空(さとうさら)ちゃんは家族もみんなイニシャルS.S.でもそれがダブルS、ショートショートとなるのは、身長135cmのミニはじゃない身には辛い。
身長といえばクールノッポと名高い、中一にして170cmもある野方紀績(のかたのりつみ)くんのN.N.と、磁石のN極とS極みたいに引き合うんじゃないかという話になって、前に「あんな身長ほしー」「ちっちゃい」とぼそっと互いの言葉を聞いたことを思い出して今でも腹を立てている。
そんな時、いきなり野方くんとぶつかって、直後彼にがっちりくっついて離れなくなってしまった…本当に磁石?というか科学者である彼の姉の実験が理由らしい。
色々苦労して彼が彼女を家に送ってくれ、その間色々彼のやさしさを知って…

ものすごく楽しかったです。
気の強さがすごく強く伝わってくる絵ですね。
低い背を強調して後に舌を出してる全身像がすごく可愛いです。
中一で170…僕も確かそれぐらいありました。高二ぐらいまでは一番高かったと覚えてます。
NNとSSだから…そりゃ面白いですね。
昔の回想シーンが楽しいです。
ぶつかって、彼の対応は優しいのに…次の瞬間がちっと、くっつくにもほどがあるというか。
しかしすごい力ですね。僕だったら手段を選ばず離れようとしますけど。滑車とか使って。
読み返してみると野方くんの冷静さもわかります。ホントに効いたよとかそんな感じでしょうか。
SとNで、というのは笑えました。
桜空ちゃんの対応の早さもすごい。
悪口なら言われなれてる、なら自分だって、と…すっきりした性格がよく出てますね。
怪我人とそれをおんぶする…頭いいですね。
回想が誤解だったとわかって、それから猫をなでさせてくれるのも楽しいですし、桜空ちゃんの気持ちの変化としていいですね。
というか怒ってるのに尻尾を振っていて動かない猫が可愛いです。
二人きりでいきなりトイレ、しびんというのは爆笑しました…冷静すぎます。結構生々しいのにべたつく感じはせず、あくまでからっとしているのが魅力的です。
電気を帯びる薬を弟に飲ませるってすごい。
「この状況…つらかったから」と、その言葉が心ないことばだと、読み返してわかっていてもこれは辛いです。
それでめちゃくちゃ怒って、でもすぐ冷静になるんですね。
「消えろネガティブ思考!って叫んでそれができてしまうってすごいです。
木に登って入り込もうとするのもすごい。真相は意外でびっくりしました。間抜けな告白ですが…というかこうあわててよく落ちなかったですね。
ショック、でしたか…でも別の感情を掻き立てるには…ホラー映画を見て恐怖とかは?
めいわく、というのに傷ついて飛び込んでいって、ここからのスピード感は強烈でした。
姉の登場はかなりお邪魔でしたけど…強烈な人ですね。
というかこのおさんぽジェット、今でもすごく多くの人が研究してまだ実用化はできてません。多分、この宇宙の物理法則・物質の制約で不可能なのでしょう。水素酸素反応でも無理、まして核分裂にせよ核融合にせよ小型化は無理ですから。
最後まですごくすっきりしていて、喉ごしが抜群に良かったです。
次にはこの心地よさがどうなっているか、すごく楽しみにしています!

虹の予感
「おまえたちってつきあってんの?」「まっさかぁただの幼なじみだよ」…大好きな貴幸くんにふられた、と落ちこんでいる沙夜ちゃん。
告白する、と決心したけれど、カメラバカの彼には伝わりそうにない…そこでなんとか昔の思い出から、虹を出そうといろいろやってみる。
でも彼は雨を降らそうとする彼女の努力を嫌がって…

すごく柔らかみがあって温かい絵ですね。
崩れるところはふにゃっと柔らかくてすごく心地いいです。
というか見てると量思いに見えるんですが。
どっちかじゃない、と見せられた立て札も面白いです。
回想もすごく可愛い、というか二人とも変わってないですね。
本気だとそれだけで魅力的なんですね…
これだよ!と行動開始するときの笑顔がなんだか魅力的です。
いろいろしまくるのもかわいいですね。昔の自分を思い出します。
インターネットをもっている今の子供って、考えてみると贅沢なものです…
膨大な逆てるてる坊主とか、可愛いですね。
彼も「やめちまえよ」なんて乱暴ですね。将来の亭主関白が見えるようです。
二人の気持ちが一瞬通い合わなくなるところがなんだか重いです。
なんとか機嫌をとろうといろいろな写真を見せて…ここもすごく思いの強さが伝わってきますね。
消火栓まで使って、無茶といえば無茶ですが…
「心配してんだよ!」という言葉、彼の立場から読むと、どうしてそんなに逆てるてるを止めるのか、いらだつのかもすごく、言葉とかじゃなく直接感情としてわかっちゃいます。
やっと見えた虹、そして撮ったのがその泣き笑いの表情…水溜りに写るキスが素敵過ぎます。
落ちもいいですし…いろいろと輝いてる部分があり、これからの作品がどんなのが出るか予測できない感じがします。大化けしそうな予感もありますよ。
次作がすごく楽しみです!

蜘蛛女
う〜ん、アンハッピーエンドと決まってしまうとスリルが半減するのが正直なところです。
嘘がわかる方法はありますよ。細かな表情や体のしぐさを分析するシステムは人間には備わってます。個体差ありますけど。多分人間の知能と言うのはその副産物でしょうね。
嘘を言うときの顔の崩れ方はすさまじいです。
これをここで断れば巣から逃れられたのでしょうか?そんな気がしないから困ったものです。
何もかも嘘だ、ということがわかってくると人間不信に陥る…これはすごくわかります。
みんなが同じ思いをすればいい…
でも誰かを守る嘘、誰かを助ける嘘、また嘘のおかげで頑張る…人間にとってどれほど嘘が、もはや欠かせないものであるか…天皇制や、それこそ社会そのものも嘘の塊です。僕が社会に我慢できないのは、その嘘がいやだからなんですけど、完全に嘘を排除した人間社会は成立しないこともわかっています。
教室に帰ったときのパニックがまたすごい。
この落とし穴は…もう先がわかってしまいます。
嘘じゃなくて擬態、なるほどそういうことですか。
結構早い単行本化、シリーズは続くようなのに単行本に番号がないこと…
確かにこの作品のコンセプトは悪くないですが、結果がわかっていると単調になってきますね。
平行してでも、ラストがわからないスリルや色気をもっと楽しめる独立短編も読みたいです。贅沢ですが。

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