なかよし2008年8月号感想

付録のタローカードは期待はずれでした。
小アルカナがないという時点でタローカード(タロットの末尾のtは発音しません)ではないです…小アルカナは非常に重要なのです!またあるカードも、他の付録タローカードと比べても霊的な力をこめていない感じがします…特に重要な象徴を略しすぎ、キャラクターの都合を優先しすぎています。
象徴を無視するぐらいなら、いっそ数字だけにしたほうがましなぐらいです…タローカードは

ただしこの方は、或る程度普及しており、容易に入手し得るにもかかわらず、すべての書物のうちで最も秘められた最も知られざる書物である、それというのもこれは他のすべての書物を解明する鍵を内に宿しているからである。一般大衆に知られることなく広まっており、世人は実際在るところにこれを見つけだすことを考えつかず、その存在に気づいても在りもしないところに探し求めて何度も時間を無駄にしているようだ。この書物は、おそらく「エノクの書」よりも古いが、かつて訳されたことはなく、さらに全体が原始的な文字で、古代人の書付板のようなばらばらな頁の上に書かれている。世間に名を知られていない優秀な一学者が、その秘密とまではいかずとも、その古さと、そしてそれが不思議なくらい原型を保存しているという事実を明らかにした。いま一人の学者、緻密さよりむしろ豊かな想像力の持ち主が、この書物の研究に三十年の歳月を費やしたが、その非常な重要性に気づいた程度にとどまった。これは、実際、ピラミッドの構造のように単純で堅固な、それ故同じように永続する、特異な不滅の作品である。あらゆる学問の集約であり、さまざまな組み合わせ方法によってあらゆる問題を解決しうる書物。考えさせつつ語り掛ける書物。あらゆる可能な着想を伝授し統合する書物。おそらく人間精神が産んだ傑作であり、古代がわれわれに残した最も素晴らしいものの一つと云ってよいだろう。幻視的学者ギヨーム・ボステルによってその名称がはじめて会得された、万象の鍵。その冒頭の文字だけでもサン=マルタンの敬虔な精神を陶酔におとしいれ、不運な哲人スエデンボリを正気に復させたともいわれる比類なき文献。この書物については、後ほどあらためて取り上げるつもりでいるが、その厳密な数学的証明が拙著の不備を補ってくれることであろう。(高等魔術の教理と祭儀 教理篇/エリファス・レヴィ著/生田耕作訳/人文書院刊)

というものなのです。

今月号から大きい変化が起きそうですが、ナビ・ルナが期待以上によかったので楽しみです。

妖界ナビ・ルナ(菊田みちよ/池田美代子)しゅごキャラ!(PEACH-PIT)AAA(フクシマハルカ)サファイア(花森ぴんく/高橋ナツコ)ギリコイ(山田デイジー)なでしこシュート!(神崎裕)小川とゆかいな斉藤たち(茶匡)Yes!プリキュア5GoGo(上北ふたご/東堂いづみ)ココにいるよ!(遠山えま)マジカルダンス!(小鷹ナヲ)キッチンのお姫さま(安藤なつみ/小林深雪)ただいま、勉強中!(三浦瑞希)地獄少女(永遠幸)ビデオカメラ〜旧校舎の怪〜(原明日美)予告

妖界ナビ・ルナ
ゆるせる心とまわりの人を好きでいること…事実上イエスの教えと同じですね、神を愛せよがないだけで。
ヒトにはあまりにも難しすぎます。
絵の素晴らしさには驚きました。気がつかないうちにここまで成長していたとは。
冒頭から食べ物の話というのも読者にはすごく親しみを持たせます。
サエちゃんもすごく第一印象が強いキャラクターです。体格の頑丈さとその影の女性的な早熟など、まるで…小学校のころのクラスメートにこんな子いたっけ?という気がします。
星の子学園…この設定の意外な重さにびっくりしました。
やきそばを抱えているときの笑顔と目の輝きはすごいですね。
「チャエのこと好きだよ!」と自然に言えてしまうのって…なんというか無敵ですね。今の彼女がどうなっているか最新作を読むのは興を削ぐでしょうか。
みんなの勘違いも面白いです。
都和子先生の美しさは恐ろしいぐらいです。彼女の再登場が楽しみですよ。
ゆるせる心…でもそれだけでは、子供たちの中でも…子供たちだからこそ直接出てくる邪悪に対抗できないのでは?僕は…ごく小さい頃、邪悪と戦う方法を何も知らずに小学校に行ってしまったため取り返しがつかないほど傷つき、周囲にも迷惑をかけてしまいました。
月に願いをかける、というのも…こう言いたくはないですが孤児らしい切ない心が伝わります。
ほとんどルナちゃん一人で掃除をしている、というのは見ていていろいろ辛いです。
「ちいさい島がしずんだ」というのがどうやらキーですね。
サエちゃんが怒るのは…そんなんじゃやってけないよ、という心配をうまく言葉にできないから…もどかしいです、サエちゃんもすごくもどかしいのでしょう。
いきなり二階から入ってきて「伝説の子なのか」ってあまりに無茶です。
そしてペンダントを見ていきなり姫様…確かにどっちがバカ。
「おまえをまもりにきたんだよ!」…「まもロリ」の、繰り返される守る宣言が上手く活きていますね。このセリフをこれほど上手く描ける作家はいないでしょう。
いつのまにかペンダントを掏り取っているというのは…ひどいですね。
ペンダントの秘密をしっかり守っていたルナちゃんの思いの強さをしっかり受け、それで外に走り出す…ここは彼女の思いをうまく伝えてくれます。
夜間外出禁止、というのはどこの家庭…実の親子でも同じですが、こういう施設ではどうしても規則というシステムになるのが難しいところですね。
二人が妖怪という正体を見せるところがすごくうまいです。
いきなりサエとルナが襲われる…ここの邪悪さもよく出ています。
次からどうなるか、すごく楽しみになってきました。

しゅごキャラ!
あむ、唯世それぞれが感情の束縛を逃れ、論理的に考えられるようになる過程の描写がまた見事です。
でも大人との直接対決は、やってよかったのでしょうか?
本質的には…子供が大人を説得してしまっていいのでしょうか。現実にそのようなことはあるのでしょうか?
子供がどんなに説得しても、大人が切ると決めた木は必ず切られるのでは?
でも…そう思うのは僕の人間不信の強さかもしれません。あえて人間を信じようというメッセージを出すならば、それはそれで正しいのでしょう。
ヨルがずっと秘密にしていたのも失敗でしたね。といっても、あむちゃんがある程度知ったとしても…彼女たちに大人の味方はいるでしょうか?天文台長?
いっぱいいっぱいだから頼ってくるな、というのもすごくわかります。
小さい子供の、おやつはいらないという言葉はすごく深いです。
本当におやつは必要ないです…特に家から出ない今の子には。昔のように午後は野外で激しく体を動かす遊びをするのが当然だったらともかく。
大量の糖分・炭水化物・脂肪を求めるのも、それこそアフリカのサバンナでガゼルを追ってマラソンをしていた頃からまるで変わっていない肉体と脳です。
空海が唯世くんを支えるというのはすごくうまい展開でした。彼以外にできる人はいないでしょう。
この昔話はすごく胸を打ちますね。
「きらいって気持ちで〜だいじなことを見失って」という省察はびっくりします。そして「あの月詠イクトでも」という言葉…空海の話だけからここまで大きな成長が?
空海は助けに行かないのでしょうか?いや…みんなを集めてタイミングを見計らって助けに入る?
自虐の悪循環にとらわれているあむちゃん…それを救ったのがしゅごキャラたち、そして歌唄からのメール…ここもすごく素敵です。
唯世くんが真実を知りたいなら、歌唄ちゃんから話を聞けばいいのでは?あむちゃんが歌唄ちゃんから聞いた話を聞くだけでもかなり違うはずです。
専務の言葉からは大人らしさはまるで伝わってきません。
信じる心、甘え…おやつがなかったら、困るのは企業の側です。
本来生きるためには別に必要でないおやつを大量に、食べきれないほど供給して消費者皆を合法的に麻薬中毒に等しい状態にし、その大量消費を続けなければ共同体に参加できないように社会構造を変え、さらにその麻薬同然の無駄な大量消費を続けて共同体に参加するために過労死するまで働かせ仕事中毒にもさせる…その消費と仕事という二つの中毒は、共同体に参加し隣人に見栄を張り続けたいという人の心がなければ機能しません。
人間が完全に生存のため合理的に行動する存在だったとしたら、今のような企業は存在できませんよ。
あと「人を信じる気持ち思いやる気持ち…やさしさってきっとおやつといっしょ」という言葉には僕は同意しません。
信頼がなければ…従業員は工場から盗みをしないと信じなければ、監視カメラに膨大な費用をかけることになります。
思いやる気持ちがなければ、それを国家主義・戦友愛・軍に対する愛に変形させて戦争をさせることもできません。
やさしさ…群れ動物としての心がなければ人間は人間ではありません。企業が儲けることはできないでしょう。
それらはおやつではなく、ビタミン同様必須ですよ…企業にとっても。
ここでのエンブリオの出現は何をもたらすでしょうか。まだ当分クライマックスという気配ではないのですが。

AAA
…ちょっとアホすぎましたが力を抜くと楽しいです。
なんというかいい運動になっていそうですね、こういうケンカも。
青依ちゃんって同じ学校の子にも当然もてるんですね…常に彼女はそれどころじゃないで済ませちゃってますが。
自由と思ったらまたいつもどおり呼び出し、まったくどうしようもないです。
…確かに夏休みですね。
「安っぽい名まえのアイスより」って、これは彼女なりに思いやってやったことだと思います。ただしそれで相手がどう思うかは考えてませんが。
黒田くんたちも感情はおいといて食べてみればいいのに。
面倒ですね、感情というものは。
子分やめる、と怒鳴るのもなんか分かります。
いきなり網で捕まる…結構網って強力な武器ですよ。
助けに来るのを期待していたら…というかPSPって防水性あるんですか?
黒田隼人ホイホイには呆れるほかありません。僕なら本当に有効な…確実に死ぬか数日間の地獄の苦痛の末身体障害者になる罠を教室の資材で五種類、技術室を含む学校全体の資材で三十種類ぐらい作れます。
女とばれていきなり窓から黒田くん…なんというか間抜けすぎというか犬が可愛いです。
もう写真の脅迫なんてどうでもいいですね。

サファイア
今回は絵にものすごく小宇宙を燃やしているのが感じられます。
カラーはちょっと暴走しすぎてバランスを崩している感じもしますが、特にP26のサファイアの体には恐ろしいほど柔らかさを感じます。
ちちしりふとももが欠かせないなら、とにかくそれに小宇宙を全力でこめるしかないですよ。
どんな形でもとにかく命を捨てて小宇宙を燃やし尽くして…そうしなければ原作の偉大さに圧倒されますよ。
もっともっと!他に言葉はありません。

ギリコイ
やっと家庭関係が少しでも飲み込めてきました。
美羽ちゃんと陸は血のつながりのある兄妹ではないかとさえ思っていたんですよ。
陸くんがキスできず抱きしめてしまうというのがすごく複雑な思いを伝えてきます。
心情を出さなかった美羽ちゃんも、やっと少し気持ちを出してきたようですね。
からかい半分に家に行ってみたら女の子がいるというのは…あまりにもいたたまれないです。
いろいろなカッコいい怪我…わかります。
ここでやっといくつかの言葉が伝わってきましたが、人のゴシップ好きを思えばもっと細かい情報が真央ちゃんに伝わっていてもよかったのでは?
女子だけの花火大会というのも楽しそうです。
浴衣で陸くんのことを思う姿がすごく切なさが伝わってきます。
バーカ、と叫んでしまうのは強烈に気持ちよかったです。
転んで怪我して涙が出てくる…強さにこだわりすぎていますよ。誰か、そこを包んでくれる人がいればいいのですが。
会いたかった、というメールも胸がきゅうっとなります。僕だってどれだけ、いつだって会いたいというメールを送りたかったか…僕の時代には携帯電話もなく、あったとしても使えなかったと思います…多分平均一週間で誰かに盗まれるか破壊され、すぐ諦めることになったでしょうし、それがなくても携帯電話で人にメールしたりする勇気はなかったでしょう。会いたいという感情を言葉にする能力がなかったのだからどうにもなりません…昨日、ふとブクオフで思い出の曲のアルバムを手にしてしまって激しい思いに圧倒されたんですよ。
飛んできてくれた陸くん、靴を借りて…彼は裸足でしょうか?
手が触れてからためらって手をつなぐのも胸が痛いです。
そして美羽ちゃんが陸の家で暮らす…確かに彼女はそれを一番望んでいるでしょうが、父親の近くで暮らすことに危険はないでしょうか?
もちろん世間体の問題も大きいです。
というか美羽ちゃんが…善悪が見えなくなってしまうのが辛いです。

なでしこシュート!
うわもったいない!というのが正直なところです。
いくら五輪本番が近づいたからってこんな強引に進めるなんて…。
単行本が出るのはいいのですが、単独の作品としてもすごくいいものなのに、中略が大きすぎますよ。
いきなり本番の大きい大会で梨々ちゃんが代表に入るなんて…
それまでの過程、特に彼女がモデルをやめる経緯が全く描かれなかったのがすごく残念です。
なでしこの迫力もすごくしっかり伝えてきました。澤さんの人柄と雰囲気、そして素晴らしい技術力もよく伝えてきているのがわかります。
体力的にも今はかなりついていけているようですね。そこまで行くまでもすごく苦労があったと思うのですが…じっくり読みたかった!
モデル側も、これほど大きな話題性を手放すことはないと思います。そちら側からの描写がこれだけで、経緯が描かれていないのが残念です。
大観衆の前での試合で…そりゃ韓国は殺す気で仕掛けてきますよ。他のどの国より日本に負けたら許されないのですから。
それでもひるまずに競り続ける闘志はよく出ています。
パスをカットされ、そのままカウンターで危うく…ここで次はこのミスを取り返す、と必死で…その決意が逆に体を縛ってしまう、というのはなんだか全身が痛くなりました。
心理的にボロボロになっているときの澤先輩の励ましがすごく熱くて、伝わってくるものがありました。なんか涙出てきそうでした。
これで終わりじゃない…もっと先がある?
どんな形でしょう。とにかく楽しみです!

小川とゆかいな斎藤たち
ここまで短いとこれほど面白いとは。
潮干狩りで罠というのが爆笑。
これだけ深く砂浜を掘るにはものすごい体力が必要です。
みんなが苦労してどんどん獲物を投げてくれるのはすごすぎます。
なんというかいろいろ楽しそうですね。

Yes!プリキュア5GoGo!
適度な色気のある水着です。
動きがすごくしっかり描かれてますね。迫力が凄まじいです。
ぼろぼろに疲れてムードも何もない海…それ以上に楽しいことなんてないですよ。
足でついハートマークを描いてしまうというのは可愛いですね。
ふっと影が一つになるのはすごく素敵でした。

ココにいるよ!
それでKUROウサギでしたか…
あのヒマワリが無事につぼみをつけてほっとしつつ、まさかやはり切られるのかという心配も沸いてきました。
ちょっと剣の手の内は問題がありますが、よくある癖の範囲内です。
輝くんが頭をに力を加えるのは苦笑しました。まったくです。
ちょっとずつ輝くんも意識しだしている気もします。
それを素直に「すごくやさしい人なんだね」…困った子です。
ヒマワリのことをきこうとせず、輝くんのことを聞いてくる日向くん…夫婦でもこんなすれ違いはあるよな、としか言いようがないです。
つい二人を見て嫉妬で集中が乱れ…剣道は実際危険ですよ。うっかりすると失明クラスの怪我…死さえもありえます。今の面にはアクリルのアイガードがありますから安全性は高いのでしょうが…
「日向くんを元気にできないかな」…ほとんど男殺しですね。
「にげつづけてた」という言葉はため息しか出ません。とんでもないやぶへびになりそうです。
輝くんと正面から対決し…水をぶっ掛けるというのは豪快ですね。
昔の回想はなんだか楽しいです。
ウサギの可愛らしさも絶妙です。
これを見て通り雨、というのはボケすぎで、わざとかとさえ思ってしまいます。
…というか普通の女子が第三者の目で一連の会話を聞いていたら、ひかげ悪女疑惑が当然出るでしょうね…

マジカルダンス!!
リロ&スティッチの魅力が最大限出ていました。
いきなり「つきあってほしいんだ」で手をつないで…これで違う解釈をする人はいないでしょう。というか好きでない子にこんなことできる男はいないですけど。
同じ表情、同じポーズをするティンクが可愛いです。
画面いっぱいのリロ&スティッチはなんか気持ちよくなります。
みんなだらけまくっているのは頭を抱えました。大抵は習い事って無理やりなんだ、というのを思い出します…どうにもなりません、小さい頃やらなきゃ身につかない、小さい頃はその楽しさはわからないし進んで意欲的にするなんて無理…
身振り一つ一つに意味がある、ということを楽しめるのはリンちゃんの年齢だからかも。
リロとスティッチが暴れ始めるのはなんだか気持ちよかったです。
そしてリロが怒るのも…僕にはよくわかります。
必死で練習しているリンちゃん、そして「オハナ」に入れてくれるスティッチ…うわ、ここすごく素敵です!
そして背中からリロを抱きしめて…すごくあったかいのが伝わってきます。
一人一人の子供にわざわざ訪ねてまで頭を下げる、というのがまたすごいです。
ここまですることないのに…
なんとか楽しさを伝えようとポップミュージックを利用して、ティンクも楽しんでいるのがまた素敵です!
なんというか…すっごくまともな、ひたすらプラスのメッセージを伝えてくる話で…これこそ「なかよし」だとさえ思いますよ。

キッチンのお姫さま
クライマックス、ですね。
パリの空の下、プレッシャーとうまくつきあい…シンデレラというカクテルも素敵ですね。
そしてやっと「キッチンのお姫さま」というタイトルが意味を持ってきましたね。
こんなときに最終的に星夜くんに返事をするなんて…
そしていきなりの電話で萩尾先生が…コンクールを放棄して帰国するとは、確かに事実上親ですが…これには判断はできません。実の親だとしても。
ここでの彼女の表情もなんだかすごいです。
コンクールで緊張していたときの茜ちゃんからの電話…やっぱり僕は好きなんですよ、こういう…余り者同士のカップリングが。批判があるのはわかりますが。
でもとにかく先生が無事でよかったです。
もう一人の男の子…大地?この思い出の場で…虹のふもとの宝物…なんというかこの畳み掛けるような演出の妙、すごいですよ。
もう何も言うことはありません、ひたすら最終回を楽しみにしていましょう。
発売日までは死ねませんし、第二次関東大震災にも起きて欲しくないです。

ただいま、勉強中!
 どうしようもなく成績の悪い坂本奈保ちゃんは素敵な男子に優しくされて恋に落ちた…が、彼は「おれアホな子きらいだから」の一言で斬って捨てた。
 常に主席の要隼人さまでした…彼女は諦めずどんどんアタックするけどドジの連発、それでなんとなく一緒に勉強するだけ、と居座って距離を詰めてしまう。
「オール5とったらつきあってもいい」という彼の言葉を真に受けて真剣に頑張るが、先輩は女先生とキス?

とにかく嬉しいのが、全体にすごく熱くてプラスのメッセージがとてもたくさんあることです。
絵の可愛らしさと魅力も素晴らしく、服にほぼコンスタントにある種の色香が感じられるのもよかったです。
冒頭の泣き顔から表情豊かですね。
「だってあたしアホだもん」という言葉、僕も含めてどれだけ多くの読者が共感するでしょう。最初からしっかりテーマがあるのがすごくいいです。
優しく引っかかった髪を解いてくれる…そりゃまあ一発で恋に落ちますね。
「おれアホな子きらい」って、多分「あたしアホだもん」という叫びも聞いてましたね。
いろいろ複雑な乙女心も見ていて楽しいです。
というか「絵にもかけぬ美しいお顔で」だけで要先輩とわかるとは…
ダメじゃなくてムリ、という突っ込みも楽しいです。見ている分には。
ここの思い切った空白もうまいです。
奈保をアホちゃんと呼ぶのも楽しいですね。
両方炭酸を爆発させる、というさらに印象を引き下げるのも楽しいです。
そして一緒に勉強すると居座る…ここに持っていくのがうまいです。
あくまで「だからはやくでてって」という要先輩もいい性格してます。というか要先輩が何を勉強しているかも見てみたいです…次の模試で満点を取るための勉強なのか、それとも一日も早く学会最先端に追いつくための学年を無視した勉強なのか。
車がブーブーというのはさすがに崩れ落ちました。車はカーだというのは雑誌名とかもろもろから…
「オール5とったらつきあってもいいよ」といわれてそれを本気にするというのがすごい…でもそういうのって、ある意味バカですがそれがある人のほうが成功します…それがないほうがバカでは?
みんなに呆れられながら勉強する姿もよく伝わってきました。
おそろいのメガネというキーアイテムを入れて、さらに一時間ケンカして見せに連れて行ってもらう…というかもう完全に奈保ちゃんのペースになってますね。
要先輩を見ながら読み返してみるともう…十字を切って合掌するほかない状態です。完全に押し切られているというか、蜘蛛にぐるぐる巻きにされた獲物を見ているようです。
「おれのなにがそんなにいい」という言葉が後の告白シーンに関わるのもうまいです。
先生と濃ゆい話をしている…あ、ここで「最近スラスラ問題解けるように」と、ここのところが惜しいです。ほんのわずかでも、具体的にどう勉強が楽しくなるか、何かを新しく知ってそれを楽しいと思うことを具体的に描いていれば、勉強というのは楽しいものなんだ、と伝わっていたはずなのに。学年関係なしにビジュアルで伝わるような…その一点だけがものすごく惜しいですよ。
要先輩は友達が多い、というのをうらやましがっているのでしょうか?
奈保ちゃんの想いが本物になっていっていることも、特にP18あたりで上手く描いています。
成績が意外なほど上がっていて泣くほど喜んでいる、ここの感情描写も絵をあえて簡略化しているからかすごくよく伝わります。
それで先輩と先生の誤解…
恋は頑張っても意味がない…それが一番重いんですよね、どんなに頑張ったからって恋は努力でかなうとは限らない…でも勉強はある程度までは努力の成果が確実に出ます。
「しょせんおれらはアホじゃん?」と…そういうのは…勇気がないだけですよ。なんだか子供たちの間には、必死で勉強するのはよくないこと…「みんなでアホでいようぜ」という空気、言葉にならない道徳みたいなものがある…それを切り離して勉強する側になるのってすごく勇気が必要です。
あと、アホというのがむしろ…自分達の中では誉め言葉のようになってしまう…不思議とプライドと結びついてしまう…
奈保ちゃんが昔は自分もそうだったと気がつき、でも勉強したら成績は上がったことが自信になる…
根本的に違うんですよね、どちらの側の人間か。
そしてまた走って、メガネを落として…「おまえキャラ的に足ふみはずすと思う」というのは爆笑でした。
で「あれがないと告白できない」…うまくキーアイテム使って、もうすごく熱いこと叫びまくって…体がすごく熱くなりましたよ。
窓の外からのキスもすごかったです。
結晶がすごく好き、というのもなんかずれてますけど、特に数学の対称性・群論の美を含めて考えるとすごいものがあるんですよ。
…どうせ結晶もキーアイテムにするなら、先輩が勉強の裏技として群論を教えてくれて、それと結晶の関係に気づいて勉強が楽しくなるとかあればよかったのに。またメガネもキーアイテムですから屈折と変分、「近道」…それを幼稚園児でもわかる絵にするのは非常に難しいかもしれませんが。
「あんなオバさんやだよおれ」には苦笑しました。
で、「つきあってくれるですか」「ヤダオール5とったらっつったじゃん」という落ちも大笑いでした。
とにかく…頑張る側の人間になれ、というすごくまっすぐな大きな光のメッセージと全体の面白さに圧倒されました!素晴らしい作品でした。
これからの登場もすごく楽しみにしています!

地獄少女
…何を伝えたいのですか?何をしたいのですか?
確かに人間集団は、人間はそういう代物です。でも…何の救いもなくそれを示すことに何の意味がありますか?
人間であることを嫌いになって生まれたことを呪って自殺しろ、と言っているとしか僕には思えません。
一回でも早く終わって…永遠先生をこの呪われた作品から解放して、永遠先生らしいプラスのメッセージ、光に満ちた作品を描かせてください。それだけです。
吐き気しかしません。

ビデオカメラ
これまた何がしたいのやら…いつも暑いぐらい熱いプラスのメッセージを伝え続ける原先生らしくもない。
友達と言っても本当の信頼はない、なんとかうまくやらないと壊れてしまうような不安感を感じている…そのもろさが痛いほど伝わってきます。
読み返してみるとビデオ画面の余計な人とか、いろいろ楽しいです。
いきなりドアが閉まり、足をくじき…と不安が重なるのから一気に魔の世界に入っていく、ちょっとペースが速すぎるぐらい。
壁に触れたら血の海というのもすごい…と思ったらひっかけだったとは、そうほっとさせて…うわ強烈。
草の中で朽ちているカメラが見事です。

来月号のエンジェルブルーはわかっていましたが、萌えキュンには少し驚きました。
あれにそれほど人気があるとは…でも可愛らしさはいろいろすごいことになりそうです。
「キッチンのお姫さま」の最終回も楽しみです。

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