なかよし2007年秋ラブリー感想

今回の増刊からは強烈な「勇気と気迫」を感じました。
多くの作品に題材選びなどすごく勇気があって、また絵全体、画面全体、作品全体から強烈な気迫を感じます。作品の読み応えはかなりすごいものがありました。

反面、作家がやや固定気味になっていることがやはり気になります。

今回から次回にかけてこれまでラブリーを支えてきたシリーズが多く終わるようですが、それからはどうなるでしょう。
成長著しい若手作家陣からまたシリーズラッシュがあればいいです。
ただ問題は、前のシリーズラッシュで水無月先生や高上先生、ゆみみ先生のシリーズが単行本化されていないし、山田先生も本誌連載には至っていないことです…本誌に空きがないので増刊シリーズの先の見通しが悪いんですよ。難しい。

あと、普通の読みきりにしてもどうしても作家が固定気味になるようですね。
完全実力主義で逆に出る格差…十面プール、部員四十人の水泳部で「毎週テストして上位十人がプールを独占する」システムのようなものでしょうか。水泳は野球やサッカーと違ってプールがなければいくら練習してもうまくならず、練習するための資源が希少ですから。
本来は十分成長した作家がすぐに本誌に行くことができればいいのですが、本誌の枠不足はどうしようもない状態ですからね。
これはこれで、増刊ではなく姉妹誌だと思ったほうがいいのでしょうか。
やはり新人・若手にとって、増刊が増えても厳しい状況は変わらないのでしょうか…

インターネットに比較的ページが少ない作品を掲載すれば、増刊枠にも届かない作家も最低限の費用で作品を完成、発表できるかもしれません。

金色ハーヴェスト(桃雪琴梨)メガネ王子(水上航)ぷちっと!てのりくま(ゆみみ)もどって!まもって!ロリポップ(菊田みちよ)イノセントワールド(山田デイジー)ポジティブをきみに(あおいみつ)ふあふあコットン(ハタノヒヨコ)かみちゃまかりん番外編(コゲどんぼ)きららプリンセス(小鷹ナヲ/田中利花)私立ヤバスギ学園(恵月ひまわり)リトルレボリューション(明日賀じゅん)君が好きだよ(瀬田ハルヒ)ぼくのスター☆(栗沢じゅん)恋するカメラ(とぐさ壱耶)ひとりじゃないこと(春瀬サク)ひめりんごの告白(水無月真)Yes!プリキュア5(上北ふたご/東堂いづみ)教室のあたし(高上優里子)はじまりの電車(茂呂おりえ)空が泣いた日(福月悠人)SUN☆DAY(麻カヲル)

金色ハーヴェスト
 ド田舎農家の千穂ちゃんは早朝は肥桶(人の糞尿、有効な有機肥料)をかついで田畑の世話をして、都会風のおしゃれをして学校に飛び出す毎日。そのおしゃれも必死で情報を集め、自作したもの。自分の家が農家だということも秘密。
 そんな時、都会の男子が転校してきた!それも想像以上の超美形、超おしゃれ。彼の前では苦労して自作したルーズソックスも、もう化石に過ぎなかった…
 そしてなぜか彼とつきあうことになってしまい、ボーっとしすぎて肥溜めに落ちて、どうしても臭いが取れず彼を避けてしまって…

な、なんという…底知れない作家ですね、やはり。今まではエロの印象が強すぎたのかもしれません…本当はこういう…はは。
見開きカラー扉、冒頭の文字を無視したときの美しさと、「金色」の裏の意味には吹っ飛びました。
いきなり肥桶担ぎにはめちゃくちゃに吹っ飛びました。戦後しばらくまでは、人間の糞尿が貴重な肥料だったんですよ…寄生虫というデメリットもありますが効果も高く、水や市街などの汚染を防ぐ結果にもなりました。
学校では都会っ子のふり、というのも切実でしょうね。
大地主とかのイメージはなんというか頭を抱えます。
自分で作るというのも器用ですね。
都会の男…といっても都会の男がみんなカッコいいわけではないと思います。多分。
ルーズソックスは十年前、ということを知らない…テレビもパソコンもない…でも衛星は?収入水準も低く、自給自足に近く冬場の出稼ぎが頼りの生活?
毎日腹筋百回というのはいい根性しています。それに農作業もあるのですから体力は渡河一個とは桁が違いますね…3kgのダンベル!こういうネタの細かさがすごい。
何がダサくてなにがいいのか、情報がまるで入らなければ難しいですね。
コンビニも学食もない、となると途方にくれるでしょう。
いろいろ集めて食べているのはすごく楽しそうです。
いきなりの告白、かなり展開は早いです。
それで…いきなり肥溜めに落ちるとは!(糞尿はそのまま田畑にまくと悪影響のほうが大きいので、しばらく肥溜めに溜めて熟成発酵させるとよりよい肥料になります)というか糞の胆汁色素が「黄金」の裏の意味…だとは…うう、考えてみて吐き気がしてきました。
どうしても臭いが取れない、というのもまあ地獄ですね。
田舎の人たちでもそういうのは嫌がるんですね。そこが少し面白いです。
もんぺもはずかしくて生きていけない…田舎の人間だからこそ、違うというのにはこだわりたいのでしょうか。
都会の人にはむしろ衝撃、というのが面白い反応です。
男子が肥やしをボールにして投げているのは…うう、吐き気が…
「ショックではやまったり」には苦笑しました。でもまあ…というか悠くんが落ちたらどんな反応をしたでしょうね。
ダサい自分を隠すのが苦しくなるところの描写はすごく切なさが伝わってきます。
そして…追ってきた悠くんがぴんときて、金色の中の彼女…ここの美しさはすごかったです。
稲の中での追いかけっこもきれいでしたし、ぎゅっと抱きしめるのも…
最後の「もんぺ姿にも萌えた」がまた爆笑でした。
しかし…なんてネタを!

メガネ王子
またびっくりさせてくれました。
冒頭の誕生日パーティもなんだか素敵でした。
幸子ちゃんのメガネフェチぶりも相変わらず暴走していて楽しいです。
いきなりもう一人の、そっくりのメガネ王子…わくわくさせてくれます。
「どのツラさげて」というシーンも読み返してみると大笑いさせてくれます。
王子同士の決闘の妄想も楽しいです。
一彰さんの軽めで楽しい態度もすごく女子から見ると魅力的でしょうね。
彼の身の上話の、あまりの嘘のすごさにわかってみると大笑いです。
女装して「彰彦くぅんv」とかなぜか喫茶店でラブラブドリンクとか…はらわたよじれました。
「あいつに会うのなら」という台詞も強いですが、…というかなぜ彰彦くんは真相を言わないのか…
「絵になる美メガネ兄弟はいない」のが本音ですか。
小さい頃の話、写真…そりゃまあ引っかかりますね。
四歳の女装写真、これはまあ…ご飯四杯はいけますね。
「おまえはメガネだったらだれでもいいんだな」という言葉、確かにひどいと思いますが読み返してみると結構納得してしまいます。
そしてここで抱きしめる一彰さん…女の子にとってはかなり強烈な誘惑です。
「例のあの人」…ヴォルデモート?
そしてキスされかけたときに飛んでくる鉄拳、これは嬉しかったですが…幸子ちゃんも拒んでなかったですよね。
真相には爆発爆笑…あ、真相を言わなかったのは、「兄」とは彰彦くんは一言も聞いてなかったんですね。
涙をぬぐってくれたのもなんだかすごくうれしくなりました。
なんというか、すごい一族です。
なんなのでしょう、このどうしようもない面白さは。

プチっと!てのりくま
やはりゆみみ先生らしいですね、いろいろな意味で。可愛らしさと面白さ、深刻さと後味のよさのバランスが本当にすばらしいです。
女の子にはこのてのりくまは倒れるほど可愛いでしょうね。
詩音ちゃんの性格も、なんだかすごくわかる気もしますし、それだけにくまたちの態度には心が温まります。
声を出そうとしたら倒れるとかどうにもならないドジとか、見ていてなんだか…僕は声は誰よりも出るのでわかりませんが、ドジはわかります。
でもアイスにコーヒーをかけて子供にうまく対応するのは見事でした。優しいし頭もいいんですね。
「ムリに換わろうとしなくても」というのもなんだか素敵でした。
というかすごく可愛い子ですしね。
タイアップでショートなのが個人的には残念に思っていますが、もしかしたら結構ゆみみ先生の持ち味には合っているのかもしれません。

もどって!まもって!ロリポップ
今回の話はむしろホラーのような気がしました。
まあメインはフォーちゃんのコスプレラッシュだと思いますけど。
この格好で飛び出すのもすごいです。さぞナンパされたでしょう。
イチイのところがかけこみ寺…というか駆け込み寺って本来は女が…
男としてみて欲しい、というのも当然ですね。
ここでのニナちゃんの暴走は見ていて面白いです。
お化け屋敷用の二人の格好はすごく素敵でした。フォーちゃんは実は極上にいい男なんですよね。
3バカトリオ(+1匹)には苦笑しました。「オレたちには止められないよ」というイチイくん、わかってますね。
怖がっているフォーちゃんと平気なサンちゃん…ここで男女の役割を思い出して、男らしい態度を取る…というか男の勇気とやらは、性別が意味を持たない世界でどれぐらい出るものでしょうか。単純に勇敢な人間と臆病な人間しかいないとしたら…怖いですね。
男らしいフォーちゃんに守られるサンちゃんも、結構幸せそうです。
あ、ゼロがニナちゃんの肩抱いてます…ボッシュートさらないでしょうか。あと「だれよもうホラーハウス入ろうなんて」ってあんたです。ゼロも珍しく忍耐強いですね。
大好き、といわれてキスしたら彼女が怒ってしまった、これで困惑し、絶望し、罪悪感に駆られ…彼の心を思うとなんだか辛いです。
また笑顔満面のコスプレ大会、強烈です。
そしてニナちゃんの正論に、サンちゃんの反応…かなりびっくりしました。
かわったら壊れてしまうかも…だったら、今心中すべきです。
僕にとっては痛いほどわかりますよ、子供のままでいたいというのは。僕もすごく強くそう思っており、実際に中学を出る頃まで、自分の心も外での態度も、徹底して精神年齢を引き下げる努力をしてきましたから。
でも…どんなに心や態度を幼く抑えても、体が勝手に成長するのは抑えられません。そして…あまりに未熟なままの心では、変化した体が求めるものを得られるはずもなく、一番大事な人さえ傷つけるだけでした。
気がついたときにはもう手遅れでした…大人になりたくなかったら、死ぬしかないのです。
というか、ヘッセ作品などにあるように青春に、疾風怒濤に入るのが怖い、それを拒否して死んでしまいたいというのは普遍的な心理の一つです。
フォーちゃんはサンちゃんの思いを理解し、それに合わせるつもりのようですが…今はよくても、いやもう…二人とも体の成長はあるのでは?そしてあのキスを、記憶は失われても体は覚えているのでは?
幸せの形は人それぞれ、といっても、自然な成長を拒んで時を止めてしまうことは許されるのでしょうか。
そのままを選び続ける二人…いっそのこと、二人とも石像になってしまえばいい。そのまま二つとも砕いて土に混ぜ、そしてその土からは白と赤の二本のバラが芽生えて、そのバラがいつか絡み合い、一本の限りなく美しい花を咲かせるバラになればいい…
それでいいのでしょうか?成長に背を向けるのは、僕は…光の方向のメッセージとは思えません。

イノセント・ワールド
気がついてみると絵がすごく成長しているのでは…不思議な甘みがとても心地よいです。またデフォルメ絵もすごく可愛らしく、わかりやすくなっています。
いきなり強引に委員会に誘われて、なんだかびっくりする始まり方でした。
みんなに彼氏ができてしまったら…いるでもいないでも、とにかく少数派は辛い、と…。
何もしていない東くんのキャラクターもなかなか見えてこないのが読んでいて嬉しいです。
カップルを見つめて切なげにするのは、普通は横恋慕ですが…
「いっしょに幸太くんのこと待てない」というのもややこしいですね。読み返してよく考えてみれば、今までずっと、女の子二人で一方の彼氏が来るのを待って、来たらカップルだけさっさと帰り、自分は一人で別方向に遠慮する…か、まさかカップルから一歩引いていたか…うーっ、考えただけでもややこしそうです。
元気になっている英恵ちゃん…友達も心配している、そして「東くんのおかげ」とは言わないのが少し、苦笑のもっと軽く嬉しいのが出てきました。
みんなの仕事まで引き受けてしまうとは…なんというかお人よしな。これは苦笑しました。
「ガマンしすぎじゃね?」と頭を撫でて去るシーンがすごく素敵です。
何もいえないのは僕も同じ…でも、僕の場合言ったとしても皆が不幸になるだけだとわかっていますから…全部ぶちまけることで、誰かが幸せになれる可能性がないんですよ。
幸太くんが先に帰っちゃったから英恵ちゃんと…第二志望、というのもすごく嫌でしょうし、そして約束していた誕生日もキャンセル…「いつでもっていつなんだろうね」と、抑えている怒りと悲しみが吹き出して来る、ここの描写は薄手だからこそすごく説得力が強いです。
ここで、泣ける場があっていいですね…東くんという。
電話も拒否して、そのままふてねして…あやまってほしいわけでもない、おこってるわけじゃない…どうすればいいのでしょう。どうしようもない…
ふと、「東くんはやさしいね」と出てしまうのもすごく印象的なシーンです。
そして、「やっぱり…さびしいんだ」と思いを言葉にして、また頭を撫でてもらって…ここの東くんの優しさがすごく胸を暖めてくれます。
ぎゅっと飛びついて、全部言葉にして…うらやましいです、言葉にできれば解決する問題で。
そして強引に「誕生日はオレとデートしよっか」と軽めに行くのもいいですね。
本質は友情が彼女にとってはメインだった、というのもすごく素敵です。

ポジティブをきみに
 夢乃みなみちゃんが、遅刻の罰で星華祭の実行委員を押しつけられた…でも自他とも認める超ポジティブ人間だから大喜び。でももう一人の佐多くんは超ネガティブ人間で、すごく落ち込んでいる。
 でもみなみちゃんの超ポジティブに刺激され、佐多くんも少しずつ変化して…

すごくわかりやすくて、まっすぐ光のメッセージを伝えてくる作品でした。
冒頭からすごく明るいエネルギーがあって、絵もそういう方向に順調に伸びていますね。全体に光が満ちています。
文化祭…と思ったら、全部まとめて?なんかもう笑うしかないですね。
そして、もう一人が誰なのか、が黒に「ああ…」と、これだけのシンプルで小さいコマが妙に表現力高いです。
対照的な超ネガティブ人間、これはこれで親しみが持てます。
仕事の山に喜んでいるというのは…さすがに僕も呆然とします。どこの企業もこんな人は欲しいでしょう。
そして落ち込みすぎて破壊音、ついでに「ガン(ダム)」と入れてくる小技も結構効いてきました。
いきなり風船に埋まっているのも見ていて楽しいです。
そして風船を口に当てて黙らせ、ここの穏やかな微笑みがすごく可愛いです。
嫌なことは逆に考える…確かにそれは有効です。限度はありますけどね。
「佐多くんとわたしこうして話せた」ことがいいことだ、という…これって無条件の存在肯定ですよね…世界も変わりますよ。
カウントダウンしながらの奮闘もすごく見ていて楽しいです。
そして佐多くんが、できていないクラスに言ってすごく強い態度になる、この極端なまでの変化もすごくわかりやすくて素敵です。
魔女などのコスプレがあるのも話をうまく盛り上げてくれました。
そして演目など、さりげないところで佐多くんがすごくしっかりやっているのが、読み返してみるとわかります。
その変化もじっくり描いているし、それが夢乃ちゃんの恋心にもつながるというのがうまいですね。
そして花火でのミス…瞬間切り替えスイッチ内蔵は長所でもありますが、誰かフォローする人が必要なのでしょうね。ローダンにアトランとグッキーがいるように。
花火が濡れてしまって、夢乃ちゃんもすぐ自分で認めて謝るのは好感が持てます…そしてここでの佐多くんカッコよさ!
夢乃ちゃんの切り替えと迫力もすごいです。
そしてこのパーティのアイデアもすばらしかったです。絶妙の演出でした。
不発が爆発した瞬間の告白も、ちょっと間抜けでしたが素敵です。
なんというか…すごく明るくてエネルギーに溢れていて、ものすごく元気が伝わってきたようです。
このパワーがシリーズとか本誌とかでもっと生きてくれればいいのですが。

ふあふあコットン
部屋にキノコ、ってコットンも結構毒舌ですね。
見たこともないようなキノコ…まあ、全てのキノコは多くの犠牲者を出しつつ毒の有無を試されてきたのですし…ほんの少し食べて様子を見る、という手が通用しないほど強い毒を持つキノコは…頑張れ先駆者。
耳があるキノコ、それも胞子か何かを吹く…まあフクロタケのように胞子を吹くキノコはあります。
ネズミ状態に小さくなっちゃったネルは確かに可愛い…いいなあ。
まじない師が大きな猫なら、別の誰かに聞いてもらえばどうでしょう。そのキノコも持っていって。
この二人羽織、というか…『エリア88』を思い出しました。
まじない師の外しまくりが実に面白いです。実際こんなもの…大体の人に当てはまることを言って、ディクソン夫人効果でごまかしていたのでしょう。
ネズミを追いかける猫の迫力はかなりのものです。
最後まで推測が外れるネタがあるのも期待を裏切りません。
そして動物語がわかるように…実際わかれば便利でしょうね。伝説に出てくるほど得することは少ないかもしれま…いや、犬は臭いで早期ガンでも見抜けるそうです。だから犬を連れてガンを確実に診断できれば、ものすごい金になるはずです。

かみちゃまかりんchu
これってすごく重要なことですね…差別は劣等感の裏返し。
女は女は、でケンカしていて種を使われ人格交換…いきなり花鈴ちゃんの顔で「目が覚めたか」といわれるの、ぜひアニメでもやってほしいシーンです。
トイレで苦笑する中身花鈴ちゃんには爆笑。
「じゃあオレもトイレに」で殴ってアイマスクというのも最高…ちゃんとふけるでしょうか。
前にくっついたときも含め、こういう状況でのちょっとエロい部分もしっかり描いてくれるのが楽しいです。
スカートとかの女の子らしい動きというのは、それこそ男役十年ですね。女がうんざり…というのは生理がきたらもっとすごいのでは。僕も男なので知りませんが。
神くんが中身花鈴、外和音くんにぽっとなるのも…サービス過剰では。
ミッチーは気づいたでしょうか?「スカートだし」というところの表情が、なんかわかっているような気がします。
いきなりプールで、女の子も結構こういうのは恥ずかしいんですね。なのになぜ女にとって男の裸が、男にとっての女の裸ほど価値ある商品にならないのかが不思議ですが。
「着がえ手伝って」というのも…わかってやっているのでは?つい一緒に殴ってしまう神くんも危なくて楽しいです。
そして…男子の憧れ、女子更衣室!うらやましいぞこのやろう殴らせろ!というかサービスありがとうございます。
女は力が弱い、という当たり前のことに気がつくのが結構うまいです。
五百メートルというのは相当きついのでは?女子に二百メートルも。
中身和音が無茶するのは苦笑しました。
じぶんが作り物の人間だと知ったから、だから…つくりものだけど男だ、と…
まさにそれが差別の原点ですね。特に弱い人間、また…財産や社会的地位では強くても、それでは埋められない弱さを抱えた人間が、それを「自分は〜じゃない」で埋めようとする…あまりにも悲しいことです。
女の強さを認めたときに指環が反応し、元に戻れた…和音くんが素直に反省しているのも素敵でした。
オチの、「男の子は力持ちってわかっちゃった」がまた苦笑します。

きららプリンセス
結構壮大な話ですね…
パラディソスを一気に浄化する力の描写はすごいです。
古代においては、王族は神秘的な力を持っていると信じられていました…日本でも皇族はおろか貴族の入った風呂の湯が万病に効くと言われたり、西洋でも王が触ればどんな病気も治るとされてきたのです。
レイの素直な愛情表現がすごく素敵でした。
そして実を与えれば失われた感情が戻る、というのも…特に子供達の扱いがすごく秀逸でした。
ここで剣を抜いて力を集めるのは…中立の力と思っていいのでしょうか?非暴力主義者にとっては、これは民衆を戦争に動員する権力だ、と批判してしまうでしょう。でももしアヒンサー…非武装、非暴力不服従を選んでいたら…でもそれはそれで多くの犠牲を強いることには変わりありません。
なぜ普通の民が剣を使えるのかはツッコまないでおきます。
「人間は支配されてこそ幸せになる」というのも一面の真実です。人間は群れる動物であり、その面では羊や牛同様家畜でもあるのです…もし主人に飼われるなら、そのほうが楽です。
問題は自我という余計なものがあり、また人間を飼えるようなより賢い存在が、今のところないということですか。
人は間違うこともあるけど自分で考える…それしかないんですよね。どうしようもなく。同じ人間に過ぎない支配者に支配されるのは愚かなことです。
力を合わせると強くなれる…でもその力は悪い方向にも使えてしまいます。一人一人はほぼ善意で力を合わせて、多くの森林を破壊し、固有生物を絶滅させ、先住民を滅ぼしてきたのです。
貫いても通用しない、というと…どうすれば殺せるのでしょうか。
そして子供達を助けるために炎の中に飛びこむ、その高貴さと愛の強さには圧倒されました。
最終回…なんというか、結構すごい作品だったかもしれません。

私立ヤバスギ学園
いや…なんというか、よくもまあ…本当に呆れて何もいえません。
何度も繰り返してきましたが、「面白い」という点ではすごいんですよ。こういう下品な話し自体が子供には面白く思えることも確かです。
でも…いくら痛快な逆転があっても、それまでに女の子たちが踏みにじられてきたことはかわらないんですよ…
そして全てが単なる親子喧嘩だった、となると、もう母子まとめて地獄に落としたくなってきました。
でもこの作品ですごく伸びたはずです。次回作がどうなるか…こっちの路線か、それとも…とにかく次回作が楽しみです。

リトルレボリューション
 イケてる中学一年生をめざしている藤原良ちゃん、でもくせ毛だし、何より皆にいろいろチェックされるのがなんだか辛い。
 難関私立のこの学校に入ったのは大好きな高校一年の幼馴染、春本卓二くんがいたから。
 でも抜け駆け禁止とかいろいろうるさい…ある日、春兄の友達とケンカして知り合ってしまい…

すごくうまい話です。
冒頭の「スカートもさがってる」というのは非常にうまい皮肉でした。生活指導教師に服装をチェックされるのと、クラスメートにチェックされるのとどう違うのでしょう。僕から見ればそれは同じです。
幼馴染でもぬけがけはダメ…この女子同士の禁止ルールも、下手をすれば校則での男女交際禁止と質的には変わらないですよね。クラスメート同士が作ってしまうルールのほうが、変化の可能性がない分校則より息苦しい気がします。
だからおしゃれに大人っぽくなれば春兄に近づける…と、読み返してみればそれが間違った方向でした。
いきなり見知らぬ人とトラブルになるところはなんとなく不思議な面白さがありました。
「制服着てても中身は小学生」なのは自分も中一の頃は同じだったのでは?その頃の所業のビデオを良ちゃんに見せてあげたらどんな反応をするでしょう。
ガキガキ強調するほうが、結構中身が幼かったりして。彼もすごくモテてハーレムがある、というのがまたすごいです。
「中一だからって」という言葉も読み返してみるとうまい伏線です。
その後に責められるのも、なんというか不快感が強いですね。どこまで監視しているのか…結局村社会なのか…
コンビニで春兄と大島さんを見て、とっさに隠れて、このシーンはかなり強いショックがありましたし、大島さんの幸せそうな表情も印象に残ります。
ここで「うわーせつねー!失恋じゃーん」などと笑っている吉井くん…相当中身ガキですよ。
孤立してしまっている大島さんを見たときの感覚の表現は強烈でした。
言葉にはできないんですよね…簡単にそれはよくないことだ、と言葉にできてしまえたら意味はないです。でもへんじゃない、とわかるだけいいですよ。
制服の嫌がらせで大声で「ちがうだろ」と叫んだのはすごくカッコよかったです。こう叫べる人が何千人に一人か…僕はこう、はっきりした形じゃなく、違う方向に叫び続けていたようです。ちょっとそれが悔しいです。
いきなり吉井くんと鬼ごっこになったのがなんというか面白いです。やっぱり吉井くんも子供ですね。
あんなところに置くとは…
「こーいうときなにもしないのってヤだから」というのはカッコいいです。というか、先生を呼ぶのが正解、命綱をつけて取りに行くのが次善。
飛びそうになった制服に飛びついて…よく死ななかったものです。
いきなりぎゅっと抱き寄せるのも面白いですね。
「やっぱり心配になったのかな」というのが、ほっとすると同時に怖いです。悪い人間ではないのにあんな…どこまでもエスカレートするとは。
髪を短くする、というのもうまいです。
「いつもどおりにもどしてあげる」というのも傲慢ですね。
短い髪の彼女はすごく開放感があって素敵です。
吉井くんとの関係をこれ以上描かないのもこれからを楽しみにさせてくれますね。

君が好きだよ
 移動教室で座る机に書かれた恋のポエムが気になるいつかちゃん。その詩を書いていたのは小説家の息子の輝木先輩。
 なんとなく詩にコメントを書き加えたりしていると先輩に話しかけられ、つい彼の恋を応援し始める。
 そして自分でも詩を書いたりしているうちに、先輩は告白する勇気を出すが…

これの勇気には驚きました。
カラー扉はちょっと甘い感じがしますね。
机の隅の詩というのも懐かしいですね。僕も何度か書いたことがあります。
いきなり一方的にさよなら、というのも…笑うのわかります。
ぶつかられて土下座状態も見ていて面白いですね。
「小説家の息子でプチ有名人の?!」というのはちょっと説明的すぎたかも。
木の葉が邪魔で見えない…ことを見て、この子供っぽい書き込みは苦笑しましたが、でも字そのものは結構きれいですね。
詩が面白い、というのもある意味衝撃です。
輝木先輩との出会いもなんだか印象的ですね。
机ごと詩を持っていくというのには爆笑しました。で「ヘタレになっちゃいますよ」というのも強烈というか怖いもの知らずというか…二人の言葉のレベルの違いがすごく面白いです。
詩人のイメージも笑ってしまいました。
机を通じた文通というのも面白いですね。
小説見れば詩のかきかたわかるように、というのもその通りです。
こういうときに何を読めばいいか、ちゃんと導いてくれる存在がいればいいのですが。
詩を書くのに資格がいるか…それを言ってしまえば、それこそ現代人に詩を書く資格がある人など一人もいないでしょう。
ドキン、とするところをあっさり描いているのもすごく自然で好感が持てます。
会いに行きたくてためらうところもちょっと可愛いです。
いつかちゃんの「詩」には正直びくっと体が跳ねました。輝木先輩の配慮と自制はすごいですね。これをばっと突きつけてしまう作者の勇気がとにかくすごいです。
でも僕にいつかちゃんを笑う資格などないです…僕には書くことができないのですから。
語彙力・国語力を自慢する資格も僕にはないです…僕は康煕字典の1%も書けませんし、十分の一も読めないでしょう。せいぜい百人一首しか暗誦しておらず、書ける漢詩は一つもなく暗誦できるのもわずか、規則はろくに知りません。現代詩についての知識も読んだ量も事実上ゼロです。もちろん英・仏・独・露・古代ヘブライ・ギリシャ・ラテン語詩も全く知りません…日本語訳もわずかしか読んでいません。
教養がなければ詩を書く資格がないというなら、どれだけあればいいのでしょう。万葉・古今・新古今から現代までの和歌と俳句、近現代の膨大な口語詩文、詩経・唐詩選、シェイクスピアからランボーまで西洋各国語の莫大な質量の詩、古典の旧約聖書の詩篇・ギリシャ・ラテンの叙事詩や膨大な詩を全部原文暗記していなければダメなのでしょうか。それでも尚、現代文明に魂を汚された者に古典の人たちの創造力・霊感はないのだから詩を書く資格はない、とさえ言えてしまいます。
先輩達の音楽もなんだか楽しそうです。
なぜ歌詞が輝木先輩だとわかったのでしょう…言葉についていいセンスを持っているのでしょうか?
そして輝木先輩が好きな人は早苗先輩だ、と気づいて泣き出すところ、すごくきれいな描き方でこころに染みてきます。
それで「告白するトコ」とテンションの高い早苗先輩に、てっきり輝木先輩だと思って…いたら別の男の子…このシーンの切なさも強烈です。
それで涙が止まらず、まっすぐ気持ちをぶつけるいつかちゃんの、激しい思いがすごく伝わってきて胸が一杯になります。
それでメモ帳に何か書いている輝木先輩、もう根っからの詩人ですね。
「詩にウソがつけないから」という言葉はすごく素敵です。
遠まわしな表現ではなく、「いつかちゃんが好きだよ」とストレートにぶつけるのも素敵でした。
ぎゅっと激しく抱き合っているのもいいですね。
なんというか…作家にとっては「絵」をさらすのは本業ですが、「詩」には別の気恥ずかしさがあると思います。にもかかわらずそれを押し通してしまった勇気と気迫は本当にたいしたものです。
話自体もすごく面白かったですし、言葉も楽しめました。というかマンガって本来、言葉がすごく大切だと思います。その言葉にこれだけ真正面から向かい合うなんて…
やはり力はある作家ですね。それで勇気と気迫があるんですから、無敵ですよ。

ぼくのスター☆
 芸能科一年、だけど全然売れていない森田まりちゃんと鹿野真太郎くんのコンビ。
 でも真太郎くんがある日代役で抜擢、びびっている彼をまりちゃんは励まし、自分もどんな仕事でも頑張っていて…彼女にも子供番組の仕事がきたけれど…

「ぼくの」シリーズというのも何かと面白そうです。
芸能界のこういう方面を舞台にするというのはうまい題材です。
いきなり怪我でチャンス、というのもすごい幸運です。それでやっかまずに応援してくれる、悪友かもしれませんが本当の親友ですね。
かなりひどい仕事をしていても笑顔を絶やさず、マネージャーさんにもまっすぐな優しさで、すごく素敵な人ですね。
真太郎くんが一気に注目されるようになり、まわりの反応も違う、ここは少し心配になりました…一気に傲慢になっていないか。彼のまっすぐな笑顔にはほっとしました。
いきなり寄りかかって眠るのがすごくドキドキします。なんだか柔らかい感じが伝わります。
それで膝枕!熱暴走起こしそうでした。
子供番組のアシスタントで…うわ…正直笑ってしまいました。この格好で真太郎くんの撮影シーンを見ていたら、それは…ポジティブというのも、結構「自分にうそをつく」面があるのかもしれません。最初の、まっすぐに応援するシーンも…本当は心の底はどうだったのかと…
「なにかいわれたのか星花に」という言葉も、すごくショッキングでぐさっと刺さる感じがします。
ここで暴走してしまったのは、普通に物を食べていてものすごく苦い何かを噛んでしまったような感じがしました。
やつあたりをしてしまった自分にショックを感じ、それで「好きなのに」と自覚してしまう、ここはすごくうまい描き方です。
それで下着姿で楽屋荒らしを捕まえてしまうのはちょっと苦笑しました。
下着姿の彼女をぎゅっと抱きしめるシーンはカッコよかったです。
それに…もう人前なのにかまわずキスして抱きついて…もう熱すぎてとろけてしまいます。
なんというかラブラブすぎます。そういえば、ここはパパラッチからは安全地帯なのでしょうか?
最後の、まりちゃんも人気を得たところはすごく快感がありました。
なんというかまっすぐでいい感じでした。

恋するカメラ
 写真部の美奈ちゃんはいつも幸太先輩に元気にアタックしている。
 でも彼には別に好きな人がいる…あんなに好きでアピールしていたのに、そういうことには気づかない?
 それでいろいろ暴走していたら、その先輩が好きな人も別に好きな人がいることを知って…

扉絵からすごく印象が強いですね。冒頭もすごく元気が伝わってきます。
いきなりカメラで撮って「一日一幸太」…なんか楽しくなってしまいます。
「こんだけアピってんのに」と告白するシーンはなんともいえない気恥ずかしさがありました。
それで「好きな人いるんだ」と言われて、恥ずかしさに走ってしまうのもわかります。ずーっと見ていたのに気づかなかった、というのも…僕も好きな人のことをずっと見ていたのに、彼女の子は何も知らなかったと言っていいです。
「好きでも気づかないことってあるんだなァ」というか、好きだからこそ気づかないのかもしれません。
それで感情が怒りに転ずるのは、なんだかうらやましいです。
現像代返せとアルバム叩きつけたり、さっと好きな人を察して「芦屋さーんっじつはコ」…この行動の激しさには笑いしか出ません。
それからカメラを奪うまでの言動も全部、ものすごいエネルギーが伝わってきてこっちがパンクしそうです。
そして、つい…芦屋さんにも好きな人がいると聞いてしまって、そして幸太くんが告白しようとする…どうなるかすごくわくわくしてしまいました。
「芦屋さんには好きな人いるんだよ!?」「うん知ってるよ」この会話のショックもすごいです。
その幸太くんの告白シーンをあえて描かないのも素敵ですね。
「幸太のことずっと好きだよ!」と叫ぶのも、もう制御不能のエネルギーで体が一杯になった感じがします。
とにかくものすごいパワーでした。
ものすごく成長していますし、これからどんな作品が飛び出してくるかドキドキしながら見守っています。

ひとりじゃないこと
いや…燕ちゃんも春瀬先生自身も、すごく成長しているのがわかります。やはりシリーズの力ってすごいですね。
笑顔で圧倒してしまう冒頭はちょっと苦笑しました。
柴坂くんへの気持ちがちょっとふわふわした状態で留めておく、というのもなんだかいいですね。ここの表情が素晴らしく魅力的ですし。
任期というのも…なんというか、不思議と複雑な感情があります。どうしても続投してしまう、というのも、なんというか知事多選問題さえ思い出してしまいます。結局続けるのが誰にとっても一番楽だから?
心にもない正論を言ってしまい、自分で後悔している燕ちゃん…なんというか、半分怒りながら苦笑しているような感じです。
「さびしいのはみんないっしょでしょ」という真知ちゃんの言葉に、燕ちゃんがはっとしたのがわかります。
最後だからこそ最高の仕事を、というのも素敵ですね。
安いのを自分で染める、という工夫はうまいです。「佳にだけ?」という言葉も嫉妬かな、と胸が軽く躍ります。
屋上を開放するのが怖いのは、落ちる子がいたら学校の責任問題になるから、です。もっと根本的には人間はバカ、子供はさらにバカだからです…危険であればあるほどふざけるのが子供です。そして本人の責任ではなく学校の責任、という非常に嫌な社会システムがあるからです。何があっても自己責任、というのが社会全体に徹底していればどこでも開放できますよ。または全員にしっかり命綱をつけるか。
商店街と来場者を取り合うより連携、というのもうまい考えですね。
生徒会の問題児二人と先生の会話はものすごく胸が熱くなりました。
そして前日、柴坂くんと二人で帰るシーンの、不思議な甘やかさにはなんだかとろけそうになりました。
いきなり抱き寄せられ、手をつないだまま、ここでつい「好きな人とか」と聞いてしまって、この流れもすごく切なくなります。
「すこしは見習え燕を」と、その呼び捨てもまた誤解を助長したか、と思ったらまた…ふふ。なんかもうたまらないです。といっても結局その誤解は出てこなかったようですが。
「楽しかった時間に傷なんてつけたくない」…そういう逃げもありますか。
それぞれの思い出が、このささやかなシリーズのいろいろなところを回想させてくれます。
見上げる花火に、なんだか…僕自身の中学生活さえ、すごく凝縮されたエッセンスとして触れられるようで…
そして柴坂くんを追って、ふと泣き出してしまって…あふれ出るような告白の切なさがすごく伝わってきました。
エピローグの、きれいな書道の右払いのようにふっと流れる余韻もすごく素敵です。
とにかくお疲れ様でした。この大きな成長が無駄にならず、次につながることを心から願っています。できれば単行本化も考えてほしいですね。

ひめりんごの告白
 恋バナに興味がなかった由花ちゃん。でも長谷川くんに、学園祭の係りでパンフ作りで組む、といわれたとき過剰反応をしてしまった…ある日、ひめりんごの木の実を取ってもらったときから。
 その仕事で一緒にいるようになったある日、そのひめりんごの木を見ていると、彼に「告る相手いんの?」と聞かれる。そのひめりんごの木は告白スポット、実は七不思議にもなった「言霊の木」だったのだ。
 その言霊の威力は、何の気もなく部活休みになってほしい、といったら本当にそうなってしまうぐらい。
 でももうすぐ仕事は終わり、そんな時告白がどうの、と話していて転んで抱き合う形になり…

お久しぶりです。絵の感じがかなり変わった気がします。目が円に近くなったせいか、ぐっと可愛らしく表情豊かになっていますね。少し幼くなった、ともいえそうですが。
冒頭のさりげないエピソードで「スイッチがはいっちゃう」というのがもうたまらないです。
恋バナにのらない、はずがいきなり激しい反応、そして係での二人きり、友達には見ていてバレバレ…さすがにうますぎる!
確かに告白ははじまりですよね…というかそれがラストに響いているのもすごい!
ひめりんごが告白スポットで、七不思議で「ことだまの木」…言霊については井沢元彦氏の著作を参考に。ただし、井沢氏は主にデメリットを語っていますが、大きなメリットもあります。
ふとひめりんごの木を見上げていたら長谷川くんにボールでつつかれて、それで本当に願いがかなってしまうことがわかる…そしていきなり「やっぱココで告んの?」じゃ…というか今がチャンスでは?想像してもだえちゃいましたよ…「うん…長谷川に!」とか!
あっさりパンフ作りも終わってしまって、またただのクラスメートに…というかそのただのクラスメートって、中二の頃の僕にとっては死ぬほどうらやましかったでしょうね。そして中三の頃の僕には、同じ学校というだけでも…ここの少し切ない表情もすごくいいです。
当の本人に「告っちゃえば?」と言われるのもなんというか複雑ですね。
その、言葉にならない感情が交錯して…転んで一瞬抱きしめられ、「オレが高月になんかすんのっ」という言葉、彼もわけがわからなくなっている…もう…うわーっ。
それでふと木の下で、「原稿が終わらなければ」と言ってしまって…まさか本当にそうなるとは。
そして、「あとまあ…気分的に」と、彼が一緒にまたパンフレットを作り直すことを拒む、ここはものすごく強い圧力を気持ちにかけてくれました。
告白もすごく素直で、強い気持ちが伝わってきて…胸が締めつけられるようです。
それでいきなり原稿が出てきて、また転んで抱き合うように…彼が力強く握ってくれる手から伝わる温もりさえ感じられそうです。
おわり、と言おうとするのを口をふさいで、木を見上げて「はじまりはじまり」というのがまた、前半の告白は始まりだということとうまく響きあって…
やっぱり抜群にうまいです。
これだけの圧倒的な実力があって本誌連載がないのがつくづく不思議ですよ。

Yes!プリキュア5
いきなり何が起きたのでしょう。びしょぬれで怒っている…
炭酸砂糖水での乾杯というのも恐ろしい眺めですね。僕自身コーラはよく飲むので人のことは言えませんが、それに入っている砂糖を取り出してみたら…
こういうパジャマパーティも結構面白そうです。「オレたちも」ってあんた…まあ女子専用の風習ということで。
「真実か挑戦か」ゲームというのも面白そうですね。
幽体離脱ネタは爆笑でした。
なんというか、ちょっとくどい感じもしますがこの五人の絆がいろいろわかってすごく楽しいです。
逆に現実の学校でも、戦いほどでなくても何か達成感のあるイベントができればいいのですが…たとえば数人で、決められた地域を開墾して作物を育て上げるとか。
解散はしたくない、という言葉になんだか胸が熱くなりました。

教室のあたし
 母子家庭のりんちゃんは、母に心配をかけたくないから一生懸命頑張ろうとしているけど学級崩壊に悩まされている。
 元凶は暴力事件で私立小学校を追い出された転校生の森原あげはちゃん。
 彼女とぶつかりそうになったときに、小学校の卒業生だという変なお姉さんが助けてくれた。彼女は担任が長期休暇に追い込まれた、その代理の西園寺先生。
 新しい先生は教師イジメにまけず、強烈なパワーでクラスを引っ張っていく。
 そしてなぜか、りんちゃんはあげはちゃんとフリースローで対決することになり…そこでの事故で、少し心配してくれたあげはちゃんが気になるように…
圧倒されました!ものすごい勇気と気迫。学級崩壊、児童虐待、母子家庭といくつもの大きなテーマを同時に扱うということが大胆です。そして、その全体をまとめて一つの話にしてしまう力量ときたら…凄いです。
絵も微妙な変化があるような気がします。無駄がなくなったというか。
りんちゃんに母からかけられているプレッシャーの大きさが最初から凄く強い緊張感を話に与えてくれます。
この学級崩壊、そして「元凶はこの子」と最初に悪だと刷り込むようにしておくのが後でうまく効いてきます。「暴力事件を起こし私立小学校を追い出され」と、さらにその凶悪さを強調し、そしてりんちゃんが彼女達を恐れていることが…僕自身が、とても強い恐怖心を感じてしまいます。
そして何の気なしに、ストレスで缶を蹴ったらあげはちゃんにぶつかってしまい、びっくりしたら…いきなり豪快なお姉さんの登場にびっくりしました。
なんというかすごく強い人だな、というのが強烈に伝わってきます。非常にスタイルのいい大人の女性、というのもこれまで高上先生が描いてこなかったことですね。
「ぜんぜん楽しそーでもないクセに」というあげはちゃんの台詞に、あげはちゃんの…本質的にウソが嫌いな面が読み返せばわかってきます。
そしてりんちゃんの強さも繰り返しさりげなく描かれていますね。
教室に入ったら、最悪いじめが始まるか…と半ば覚悟してみていたら、代打教師にあのお姉さんが!これはすごくうまい展開でした。
そして…読み返してみると心苦しいのが、あげはちゃんにどんな痛みと理由があっても、彼女達が前の担任…一人の人に深い心の傷を負わせ、職歴を破滅させたことには違いないんですよね…。
綾女先生の登場からすごく声が大きいのは感じました。
そして、いきなり牛乳をぶつける洗礼に、この強い対応にはびっくりします。現実にこういうやり方で通じるかどうかはわかりませんが…人間の陰湿さは底なしですから。
バスケシーンもかなり迫力があって、綾女先生の強さが強調されています。
隅でさりげなく、りんちゃんがリーダーシップを取っていることも描かれているのがいいですね。綾女先生もしっかりそれを見て、それで勝負の相手にりんちゃんを指定する…ここの声の大きさがわかるのがいいです。りんちゃんのびっくりした表情も可愛いです。
「しっかりしてる」と言われるとスイッチが入ってしまうのも面白いですね。読み返してみれば、綾女先生は彼女も救おうとしていたのでしょうか?
蹴ったボールがりんちゃんの足に当たる、それで心配してくれたことで、それまで悪役の面が強調されていたあげはちゃんの位置が微妙に逆転し、そしてノートを届けようとして…
この児童虐待シーンのショックは凄まじいものがありました。
ここで行動できるりんちゃんの勇気もすごいですし、綾女先生の強さには圧倒されました。実際にはこの行動は綾女先生にとってもすごくリスクのある行動だったと思います…
そして公園で、投げ出されたように一人ぼっちのあげはちゃんの姿には…前半での凶悪さと対照的に、なんというか体が張り裂けそうな思いになります。
「ぜんぶあたしがわるい」…子供はどうしてもそう考えてしまいますね…やり場のない怒りが爆発して頭が痛くなります。
そして真相には驚かされました。それをわざわざ調べ、よその私立校の元担任を問い詰めてまで真相を聞き出す綾女先生の行動力がとにかくすごいです。
反面…こういう、超人でなければ彼女達を救うことはできないのか、と思うとまた心苦しいものがあります。
あげはちゃんの苦しみがどんなにひどいものだったか、想像したら気が狂いそうになります…それでも、井口先生を破滅させ、皆をおびえさせていた罪が消えるわけでもないと言うのがものすごく理不尽ですね。
「服の下は全身あざだらけじゃないのか」という言葉も驚かされます。僕にはここまで心の中に踏み込む言葉は口にできないでしょうね。
ついに出てきた「たすけて もうつかれたよ」という言葉に、りんちゃんもこれまで戦ってきたプレッシャーを思い出して同情以上の思いから…このシーンの暖かさ、「トモダチ」という言葉の胸にしみこむような…痛みと甘さには言葉もありません。
そして二人おなかがすいて、というのもすごく素敵でした。
それからの、あまり変わらない日々…あげはちゃんがすぐいい子になったわけではなく、綾女先生と元気に追いかけっこしているのはむしろほっとします。
アルコール依存症で入院…逆に虐待者さえも犠牲者、という…なんというかやるせなくなりますね。
習字に「希望」と書かれているのがまたすごく素敵です。
とにかくすごいです!これだけ大きな題材をいくつもまとめ、それできっちり話を構成した事も。それぞれのキャラの迫力も、そして悪役だと思わせておいてひっくり返すのも。
これだけの実力が本誌で生きないのももったいないです。

はじまりの電車
 立花実佳ちゃんはいつも同じ電車で学校に行く。少し早めなのに…いつも彼がいるから。
 あの日、目が覚めるとなぜかクラスメイトの黒田くんと手をつないでいて、その手のぬくもりからか彼が好きになって…でも彼はすごくもてていて、いつもまわりには女の子がいる。
 そしてある日、隣に座って…つい寝ている彼の手に触れた瞬間握り返され、「さいきんオレのこと見てるよね」と逃げようがない追求をされて好きと告白してしまい、そして彼はかなり強引に「立花さんにだけ」とキスしてきた。
 でも彼の態度…とりまきも変わらず、どうしても悲しくなる…

最近の「なかよし」には少ない絵柄にむしろ驚かされました。不思議な、寒さと切なさが漂う雰囲気がすごくいいです。
朝目が覚めたら、電車でクラスメイトの男と手を握っていた…なんというかとんでもない状況ですが、それがごく自然に感じられるのが不思議です。
電車内という不思議な空間の魔力を感じますね。
そしていつ見てもまわりには女の子がいる、というのが苦笑させます。
寝ている彼の隣に、少し開けて座って…おずおずと手に触れる、このスキンシップの妙がすごくドキドキします。
手を握って温もりを楽しんでいたらぎゅっと強く握り返され、「痴漢ですか?」…パニック状態になりそうなのに、不思議と許されるような雰囲気です。
そしてそのまま普通に手を握り合い、「なんで見てんの?」「好き だから」…なんというか信じられない感じと、繰り返しますがそれが不思議と許される感じ…何の魔法がかかっているのでしょう。
電車内での強引なキスもすごく、胸が騒いでときめきます。
また電車では手を握り合うのが習慣になっている、というのもすごく胸が熱くなります。
でも学校では相変わらずで、遊ばれていると思って避ける、という心理もなんか面白いです。
屋上での強引なキスもなんというかすごく不思議な感じがします。
電車でもまた手を握っていたり、このスキンシップの密度の高さはすごいですね。
そして告白を立ち聞きして、キスを迫られて…それで嫉妬で逃げてしまうシーンの切なさもすごく強いです。それで電車を別にして避けてしまう、という不安定さも、なぜかすごく強く伝わってきます。
そして手袋という…キーアイテムがいまさら出てくるのが少し残念。
寝ている黒田くんにまたつい近づいてしまい、その手に触れようとする…「どんな手袋よりもあったかかった」と、温もりを…スキンシップの心地よさをすごく強調しているのがすごいです。
また手をつかまれて捕まえられて、ここからのやりとりはむしろコミカルにさえ思えます。
気がついたら手を握っていた、って現実には許されない行為ですが…不思議とこの作品にかかっている魔法が、それを許してしまいます。
最後に二人、手を…今までとは違う恋人つなぎにつないで、寄りかかって寝ているのも素敵です。
電車という不思議な空間をうまく活かしていますね。
なんというかすごく面白い作風です。これからどう成長するか、どんな作品が出てくるかすごく楽しみです。

空が泣いた日
 長瀬俚緒ちゃんの日課は、放課後校庭の芝生に座って陸上部の練習を見ること…山内先輩を。
 同じ陸上部でクラスメートの季咲くんがよく話しかけてくるけど、なんというか先輩の話をすると怒ったり、ある日手を引っ張ってくれながら先輩はクッキーが好きだと教えてくれたりわけがわからない。

とにかく第一印象が…言葉になりません。冒頭の見開きを開いた瞬間、十数秒時間が止まったように呼吸も忘れて魅入られてしまいました。なぜこんなに印象が強いのでしょう。
話そのものは、それこそ四ページで先が読めてしまいました。
でも山内先輩のことが好きになった瞬間の描写からはすごく純粋な思いが伝わってきますし、季咲くんのそっけない愛情もすごくよく伝わってきます。
山内先輩に彼女がいるか聞かれて、ふと俚緒ちゃんを見て言うのをやめ、いろいろ聞かれて机を叩きつける、ここはもう苦笑が笑いになって崩れ落ちてしまいました。
そして机を叩きつけて、どうするかと思ったら「くる」と一言だけ…こう、間合いを外すというか抜くのがまたうまい。
やはり山内先輩に彼女がいることがわかって、ここからの季咲くんの言動は期待通りで読んでいてすごく楽しいです。俚緒ちゃんが本当に小さいことでもすごく嬉しさを発散していい笑顔を見せてくれるのも…痛々しいというか、ため息が出てしまいます。
手をつないで走るのもすごく素敵なシーンでした。そしてそっけなく「クッキーが好きだとよ」という言葉に、彼の愛情がすごく伝わってきます。
そしてクッキーを何とか渡して、告白すると盛り上がって…初読時はとにかく山内先輩がどういう人だかわからなかったので、どう反応されるかドキドキしていました。
あっさり彼女がいることを見てしまう形になりましたか。
雨の中、何とかそれを俚緒ちゃんに見せまいとするのがまた胸が熱くなります。
そして…そっと上着をかぶせて雨からかばい、「もしも好きなヤツが」という…俚緒ちゃんに言っているようで、彼自身の思いでもある…ため息が深すぎて、呼吸がそれからしばらく止まりました。
そして告白して、ここでの山内先輩の返事はまともに見えましたので、その後の部室での会話はちょっと後味が悪かったです。
でも季咲くんが怒ったのはパターンとはいえ気持ちよかったです!
彼のところに駆けつけての、言葉にならない会話も…お互いの切なさがすごく胸に伝わってきて、心が壊れそうです。
最後の、肩を抱き合った状態での後ろ姿や「そっとふきぬけた」という言葉もすごく、優しく熱い思いを伝えてくれます。
しかし本当に不思議な作家です…とにかく冒頭の見開きの印象の強さ、あれは何なのでしょう。
どんな作家になるか、想像もできません。次回作はどんな作品でしょう…。

SUN☆DAY
 ブロンド白人の美少年転校生、アベルに大騒ぎの教室。
 でもその教室には普通に…二本足で立ち、ガクランを着て前足で握手を求める馬がいる。
 一人暮らしの家にも座敷わらし一家がいたり、何かと大変。
なんというかものすごい世界ですね。
いきなり最初から、「おいオッサン!」と吹っ飛ばしてくれました。
馬だとか座敷わらし一家とかの、なんとも言えない奇妙さと自然さ、強い暴力性と不条理…いろいろすごいです。
とにかく四コママンガの復活は嬉しい限りです。

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