なかよし2006年冬ラブリー感想

予告を見て喜びに飛び上がりました。
まさか夢の隔月間?いえ、春と夏の間に一号はさまるだけでもすごく嬉しいです。
本誌に余裕がないからラブリー自体をある意味自立した雑誌にしよう、という感じが透けて見えますが、また若手を切り捨てるよりはましですよ。
ただ、これ以上増刊が増えて、今後も本誌番外編が中心だったらレギュラーの負担が大きくなりそうでそれが不安です。

新人の作品もよかったですし、他の読みきりも新シリーズも珠玉、なんだか幸せです。
ベテランの小坂先生や有沢先生がすごくいい作品を描いてくれたのも嬉しいことです。
本当はもっと本誌連載に出る若手がいれば、と本音がささやいていますけど。

しゅごキャラ!(PEACH-PIT)ぼくらは恋する星の下(瀬田ハルヒ)けだものだもの(フクシマハルカ)キッチンのお姫さま(安藤なつみ/小林深雪)片思いの背中(咲良あさみ)ミラクル◆メーカー(青月まどか)かみちゃまかりん番外編(コゲどんぼ)地獄少女(永遠幸)山田さん(小坂理絵)イノセントワールド(山田デイジー)きららプリンセス(小鷹ナヲ/田中利花)私立ヤバスギ学園(恵月ひまわり)失恋Rings(有沢遼)男気イブ(長澤恵)ぴよっこガーデン(猫部ねこ)アクビGirl(上北ふたご/竜の子プロ)虹色パレット(ゆみみ)プティの日記(明日賀じゅん)魔法のおとなり(水無月真)ラブパズル(高上優里子)あっぷるポンタン(木村千花)メロディにのせて(幸凪優)通学バスのふたり(船山美帆)

しゅごキャラ!
気が多い?まあそんなもんですって。僕も小学校高学年の頃は複数の女の子のことを可愛いなと思っていましたよ。
しかしこれは意外でした…こんなのあり?というのが正直なところです。
ばあやさん、ちょっとうっかりしすぎです。こういう対応には慣れているのでは?
読み返してみると第一印象で「なでしこ…!?」と感じてしまうのも意味深長でうまいです。登場の仕方も印象的でした。
自分の気の多さに罪悪感を感じるあむちゃんは見ていて楽しいです。
「きょうはちがうんだっけ」もうまい、というか手の感触で気づかないものでしょうか?視覚・聴覚はともかく、触覚や嗅覚は騙しにくいのでは?
「「好き」ってどこから恋になるんだろうね」という言葉はすごく自然に染みこんでくるようで、僕自身もかつての気の多さに対する罪悪感をほどかれたような感じがします。
そうなると問題が、本当に恋に変わっていたかどうかですが…多分変わっていなかった…
本当の恋を経験する人自体、それほど多くはないのかもしれません。あ、情熱恋愛でなければ本当の恋じゃない、というわけではなく。
「ほんとうの王子を知って好きになったわけじゃない」…外キャラと自分の関係、というのも色々考えさせられます。
僕も、好きな人のことをほとんど知らなかった…僕が見ることのできた、ある意味断片的な外キャラしか知らない…彼女も他の人には…別の外キャラで接していた人もあったでしょうし、本当の自分を見せていた人もいるはず…
その話を「見た目とはまったくちがうかも」と、自分の正体も暗示するのがまた切ないです。気づいて欲しい、と気づかれたら困る、がうまく混じっていて。
ある意味残酷な家元制度、でもそれなりに充実しているようで…そして、男に戻ったときには逆にものすごくいい男になるでしょう。宝塚の男役がいい女であるのと同じように。
それを見るのも楽しみですね。

ぼくらは恋する星の下
中二の有李ちゃんは彼氏に別れを告げられ、より戻してください、と手紙とお弁当を毎日作っているけど、渡せないまま。
そこにいきなり雪球が弁当直撃、犯人の小学六年生、かのん君が昼食を自分のパンと交換して、と詫びてくれたが、直後手紙を入れっぱなしだったことに気がつく。
彼が厳しく優しく励ましてくれる彼に励まされてやっと電話したけど、元彼氏はきつい言葉で拒絶した…そして慰めるようにクリスマス、かのん君とデートすることに?

瀬田先生らしい、とてもパワフルでくすぐったくて踊りだしたくなる作品でした。
いきなり隕石か迫撃砲弾かと思える集中爆撃にはびっくりしました。
思い切ってどかんと大きな出会いもインパクトがあります。
お弁当が寄ったのは、一瞬でそうなるでしょうか?
手紙入れっぱなしを忘れて、一気に押されてつい弁当箱を渡してしまって後悔、というのはすごく面白いです。
彼の友達の小学生に、彼のことを聞くときの形相がまたすごいです。
待っていた彼女をかいがいしく世話して、しかもなぜかタメ口のかのんくん…なんかすごく嬉しくなります、この雰囲気。なぜかはわからないけれど嬉しくなるんです。
「茶匡進学塾」はさりげないいたずらでした。
直球で「手紙ならよんだぞ」もすごい。そして「あんた手紙かくときは親に見てもらえ?」と…親にラブレター見てもらう、なんてフランス王室は出産も公衆の面前だった(本当)というよりすごいのですが…
でもただビシバシではなく、「あきらめるし…」には優しく「なんで?」「お弁当おいしいんだから」と優しく励ます…いい男です。
両親とも自分の教育に高い金を払い、そのため苦労して働いている、と自覚していて、その分勉強して…ため息がつくほど偉いです。実際、そういう子も多いのでしょうね、これからの勝ち組には。
友達がそれでも見捨てないでいてくれる、というのもすごく幸せな話でしょう…
「ちゃんとえらいんだなー…って!」という笑顔で、ある意味初めて優位に立つ有李ちゃん、この二人の主導権争いがまた見ていてすごく楽しいです。
彼がわかりやすく真っ赤になるところも可愛い。
小学生たちとの交流も見ていてすごく楽しいです。
ガラス窓に激突してお弁当を渡すのもなんだかすごく楽しくなります。
必死で電話したらこの対応…う〜…ため息。
本気で怒ってくれるのんたんがまたカッコイイですが。
実は初デート、でドキドキして肩を叩かれて、すごく嬉しそうな顔で振り返ったら…え?
ちなみに彼の対応、それほど悪くはないですよね…彼女のけなげさに打たれたのですから…
といっても、「チビガキに目うつり」なんていわれると…ただひたすら口調が乱暴というか、まあなぜかいい気味という気はしますけど。
誤解されていないことが嬉しくて泣き出す、というか彼の小さな騎士っぷりがすごくカッコイイです。
ツリーを武器にするというのもすごい発想ですね。でも持ち上げるのも大変な物は武器になりませんよ?
そして、泣きやんでみたら「くんなっ」というのでパニックになったのもよく伝わってきました。
それで有李ちゃんが主導権を奪い返して、ここからの迫り方はなんともいえずわめきたくなります。
なんなのでしょう、このなんともいえない、体の中から燃えるような刺激は。
それで好きと言わせて、嬉しくて夢中になって「ませガキv」と繰り返すのをキスで主導権を奪い返そうと…さらに「も一回」と…主導権の奪い合いになっているのが最高!
もうなんでしょうこれは。すごい。もう…たまりません。

けだものだもの
ある意味黄金パターンとなっているような。単にハルキがとことんヘタレなだけですが。
保健室での先生のキスにはさすがに驚きました。
着替え中、といっても素肌にガクランはかなり裏地がべとついて暑いです。
姉妹?のチラシはもっと大きく見せて欲しかったような。
いきなりの変身は、もう懐かしいに近いかも。ガクランに女の体ってすごくいいです。
泊まりで旅行?大胆なことを考えて…いるのは女ハルキ?男ハルキはどう考えているのでしょうか?
キスを寸止めにしてスカートめくりも過激です。
準備とか、ってこっちも完全OKですね。ちゃんと避妊だけはしなさいよ。
純くんの攻撃もなんだかわくわくします。ブライダルショーって女の子にはすごく強烈ですよね。
衣装合わせも罠だな、と思うとさらにわくわくします。
写メールを送るというのもひどい…説明もさせないし…主導権とるのうまいです、こいつ。
女ハルキの、谷間+手から食べさせ攻撃も見ていて爆発します。
保健室での誤解もあってお互いどんどん感情的になる、これはちょっと見ていられないのが正直なところです。
ヨーコセンセー、誤解されて喜んでません?
「あきらめなよ」「将来結婚なんかムリでしょ」…この言葉、もうまるで巨大な壁にゆっくり押しつぶされるような圧迫感があるんですが…
「杉本くんを男にしてあげてもいいよ」という誘惑も過激でした。え、先生…正体を知って誘惑したのではなかった?
あれ?というか今、女ハルキなのにすごく気弱な態度をとっています。
背を向けたところを靴が飛んできて「あんたそれでも男なの?」はほっとしました。
キスしちゃダメよ、って虫歯でしたか。てっきり彼の体質を知って、それに関係してキスを禁じたのかと思いました。
キスしてヨクジョーしたかと思ったら今度は小夏が性別転換?うわあああああああ!

キッチンのお姫さま番外編
これは切ない話です…あまりにも楽しそうだからこそ。
それまでの空先輩の人生がいかに味気ないものだったかも想像を絶しますね。
いきなりぺかぺかの雰囲気、あまりの世間知らずと一杯の笑顔にどんどん魅せられていく…のが、逆説的にそれまでの空先輩の世界がどんなに悲惨だったか浮き出させてくれます。
見ていて楽しくて目がはなせない、というのがはっきり伝わってきます。
ぶつかって、ここでもう出会っていたとは…百円でもおいしい、になりうる…というか途上国のワクチンにするなら何人も助けられるのですが…
コーヒーとココアのブレンドは、少なくともインスタントだと飲んだときには確かにおいしいのですが、後でものすごく後味が悪くなったことがあります。相性が悪かったのかもしれませんが。
序盤の彼の言動が、こうしてみるとすごく新鮮に見えます。
最後の、空から見ているというのは…不思議な感じがします。

片思いの背中
モデルをしている同級生の白井くんに夢中の絵菜ちゃん。全然近づけないけれど、出席番号は彼の後ろだから結構近いのが嬉しい。
覚悟を決めてバレンタインにラブレターとチョコを入れたけれど、彼は全く反応しない、いや避けてしまう…そして何もできないまま別々の高校、彼はますます人気絶頂、でもどうしても忘れられない…

これはすごい傑作でした。
サブヒーローの動きが、ごくピンポイントだけなのにすごいとしか言いようがないです。
全体の、絵菜ちゃんのすごい情熱、それをうまく生かす…サフランのように華やかで、蜂蜜のように甘く濃厚な雰囲気がそれをうまく引き立ててくれてもいました。
冒頭の暴走と濃い雰囲気は正直ちょっと引きます。「注 あたしは変態ではありません」というのがまた効果的なスパイスですね。
折れないよう、指紋をつけないようめくりたいなら本の上のほうからめくりましょう。
「あたしはちがうの」というある意味無意味な優越感とか、ここだけを見ると妄想が勝っているような危惧も感じます。
想いが強すぎて中身が未熟かつ内気すぎるときの、僕と同じような…
ハンカチを貸すのに五年、ですか…僕だって家が隣なのに五年かけて一度も相合傘もなかったですよーだ。ふう。
頬をつねられていいムード、と思ったら加嶋くんの邪魔、これがさりげないのに意味深長です。
彼女を見つめる加嶋くんの視線も切ないですね。
そして高校が違うとわかって、それで告白の決意…告白自体はちゃんとしたのに…
精一杯の思いをこめて告白して、返事もなかったというのは僕も覚えがあります。手渡しでしたからこういう妨害の可能性は残念ながらありません。
それだとなかなか振り切れなくなってしまう…まあ、返事がなかったのは僕の場合は僕の人格が悪すぎたからですから彼女を責めてはいません。
しかし素敵な告白ですね。僕も、ほんの一言にしたほうがよかったかもしれません。
それからの雰囲気の悪さも、読み返してみればわかるのですが…
卒業のときも加嶋くんが同じ学校、とアピールしているのもさりげなくてうまいです。
そして思い切ることができない、そんな彼女をひたすら見守っている加嶋くん…彼の思いも痛いほどわかります。それから高校でも、いえないけれどずっと傍にいて包み、守ろうとしていたのも感じられます。
ずっと避けていて、大きな写真を見てしまって、ショックさえ受けてしまう…一年間も思い切れない、妄想とか未熟とかじゃなくて本物だった…思い切れない激しい思いも覚えがあるのでわかります。
それを見てしまった加嶋くんが、つい「あんなやつ忘れてオレにしろよ!!」と思いを漏らしてしまったのがまた苦しいです。
それで彼女の反応に、彼女の想いが本物だと確かめて…いや、そんなことじゃなく、もう罪悪感に耐えられなくて、というのもあるのでしょう。
どれほどの罪悪感を抱えてこれまで生きてきたのでしょうか。どうしても言えなかった…遺書を書いたのも一度や二度ではなかったでしょうね…彼の気持ちを思うと体が石になったようです。
加嶋くんの告白に彼女が感じる衝撃、でも…怒りではなく「話してくれてありがとう」…鼻の奥がつんとします。殴られるよりずっと痛いです。
白井くんと話して舞い上がっていた絵菜ちゃんを、加嶋くんがいつもどんな目で見ていたかがここで出てくるのがまた胸が痛くなります。
ここからの彼女の行動、邪魔が入った後の彼の行動…そして雑誌での間接的な告白も情熱に圧倒されましたが、やはりこの作品は加嶋くんの告白とそれに対する許しが最高でした。
というか、この作品は連載だったほうがよかったかもしれません。三巻、いや五巻ぐらいまでふくらませても充分楽しめましたよ、きっと。それなら加嶋くんの思い、篤也くんの思いももっとしっかり描けていたでしょうし。
もったいない気もします…これが連載だったらどんなに素敵な話になっていたでしょう。本誌連載、見てみたいです。

ミラクル◆メーカー
クリスマス当日にふられた羽奈ちゃんが自転車で、トナカイにぶつかった。若いサンタがお詫びに手伝え、と。
自然に抱き寄せるようにするし、当然のようにピッキングで各家に入っていくしで振り回されるけど…

華やかでとにかく楽しかったです!
クリスマスにいきなり誘われたと思ったら…うわああああっ!
といっても、羽奈ちゃんもずっと彼のことが好きだった、というわけではなく、単に学年で一番人気の彼というだけだったようです。
「奇跡なんて」と、奇跡というテーマが一貫しているのもすばらしいです。
この事故はどっちの責任でしょう…無灯火だったら自転車のほうが悪いですが、一応トナカイ…トナカイ橇って道交法上は馬車と同じ扱いでいいのでしょうか?
というかトナカイって相当巨大な動物では?自転車にぶつかっても、危険なのは羽奈ちゃんのほうでは…
サンタの雰囲気がまたいいです。
いきなり「じゃあこれ羽奈のぶんなv」と強引に、それでいていきなり抱き寄せたり…楽しい二人です。
コンピューターで場所を確かめてピッキングで侵入、というかここでの表情がまたすごい。
でもそれを、奇跡じゃないんだと失望する、と奇跡というテーマから外さないのがうまいです。
ソリが使えなくなったからだ、とつねるのも彼のいい性格がよく出ています。
「奇跡ならオレが全力でおこしてやるよ」という台詞は見事に決まりました。すごい迫力です。
ミスをして抱きしめられ、そしていい言葉を聞くことができて、と想いが育っていく過程をしっかり描いているのもすばらしいです。
「最近のセキュリティはすげぇな」は笑いました。恐ろしい人です。
それでお別れを意識してしまって…「好きなやついたんかよ」と彼の側の気持ちも描いているのがまたよかったです。
笑顔で「陸人に会えてよかったっ…」と、お互いに想いがあふれているのがよくわかります。
キスかと思ったら連絡、そして今度こそ別れ…ここで奇跡をまた期待し、それで失望して、「オレが全力でおこしてやるよ」という言葉を思い出して自分で奇跡を起こす、この決意の強さはすごかったです。
そして激しく抱きついて告白、それにオチまじりの、後ろからのキス!
かなり強烈でした。
というか、それからおじいちゃん待たせて、どこでどうしていたのかはツッコんではいけませんか?
いや、すごく激しくて芯がしっかり通っていて、華やかで迫力もあって素敵な作品でした。デビュー作から想像していた以上にすばらしかったです。
これからも期待大ですね!

かみちゃまかりんchu
自分の未熟さを認める強さはあるんですね、神くんも。
子供和音くん、前から見ると少し成長したようです。りりしくなりましたね。
ここで優越感を楽しもう、といやがらせに出る神くん、いい性格しててなんだか笑みが漏れます。
これで「女男」と言われたのが、ひょっとしたら和音くんの女嫌いの元かも…。
神化は和音くんにとっては本当に大切なこと、でも神くんにとっては…別にアイドルという大切な仕事もあるし、いろいろなことの一つでしかない、これもなんだか考えさせられます。
「会ったことないけど」って会っていますよね?子供といっても…見たらびっくりするでしょうね。
ツッコミを入れる神くんの気持ちはわかりますが。
特訓はどうやらかなりハードだったようで、でも楽しんだな、というのはわかります。
「正義のお兄さん」というのが実に楽しい立場なのも。

地獄少女
またいい話でした。
ただ、誤解しないように注意しましょう…厳格―寛容と邪悪は関係ありません。保守的で厳格であればいい人、と言っているわけではないのです。
保守的で厳格な人にも邪悪な人はいますし、逆に寛容に見えて邪悪な人もいくらでもいます。
どちらかというと校則が厳しい…保守的で厳格な場で邪悪の芽が育った場合、より悲惨なことになると思います。
学校でのこういう校則の厳しさは確かにみんな身に覚えがあるでしょうね。単に種明かしをすればいいのですが…近代学校の目的は?近代化のために工場労働者および(一世代前の軍の)兵士を育てること。
そのためには時間厳守、規則と上官命令に絶対服従、服装や姿勢などの規律、静かに体を動かさず他人の話を聞く態度などを徹底して叩き込む必要がある、ただそれだけです。
林先生の厳格さと落合先生の寛容さで、今回は林先生が悪役かな、と思わせるのは実にうまかったですね。そして「地獄におちちゃえば」をあい本人が聞いているのも。
この地獄通信に書き込んでもエラー、というのも読み返すとうまく違和感を育てています。
学校から締め出されて、それに噛みつくのを林先生が諭すシーンは読み返してみるとすごく深いものがあります。生徒を相手にしないのではなく、啓発に近い、本気でいう子には本気で応えている…
ただ「生徒のためを思って」というのは、この作品全体を読むと正しく思えますが危険でもあります。パターナリズムは邪悪に汚染されやすいのです…親子関係でも師弟関係でも、子供のことを思ってなのに取り返しがつかないほど深く傷つけ、また支配する側も自分の権力に酔って邪悪になっていく危険が非常に強いのです。
誰にでも邪悪な面がある、特に自分も邪悪になりうる、という反省ができない限り、本当に危険です。
ニセ地獄通信も、単にストレス解消になればいいのですが…逆にはまって現実と虚構の区別を失う可能性もありますね。でもそれをいうなら、ほとんどあらゆるものが危険です。
読み返してみると先生が突き落とされた事件の直後、落合先生の手によってニセ地獄通信について告発されるのも、自分が疑惑を免れるための巧妙なレッド・へリングだとわかります。
校長先生も、多分嘘の告発を真に受けたのだと思いますが、明確な証拠もなく生徒を疑うのは危険です。インターネットについての無知ゆえでしょう…アドレスの類がいかにあてにならないかを知らないのですから。
ここでの落合先生の態度も、読み返してみれば見事なまでにうまく彼女を陥れています。
「あなた高校に入れないかも」という言葉も一番の弱みをうまく使って追い詰めています。
真相は意外性もあり、非常に面白かったです。「本命の高校におちたのも」と、何かを人の性にするのも重要な邪悪の指標の一つです。
「自分の手をよごさないために」…と自分が地獄通信に記入するのはどうなのでしょう。
自分の生徒から邪悪な人間が出てしまったことに責任を感じている?子供の重大犯罪が多発したとき、自分の子供が人を殺したらその子を自分の手で殺して自分も自殺する、と言った有名人と同様?
でも…邪悪は生まれつきで変えられないことだとしたら、人間がそこまでの責任を負うこと自体が傲慢では?間違っていても責任のない世界は希望のない世界だから、ということ?
もちろん邪悪な人間が教師を続けるのは最悪ですので、それを止めようというのはわかります。
家族崩壊についての私怨もあったでしょう。
「あんなにどうどうとわたしに意見してくるような…」はすごく胸を打つ台詞でした。
林先生の教え子も邪悪とは限らない、というのも清涼感がある幕切れでした。

山田さん
祝復帰!こんなに嬉しいことはないです。しかもあんな長い年月がうそのように、絵柄も何も変わっていませんしキレはむしろ高まっています。
まず山田さんの長身をアピールし、ページをめくったら…知らない読者はさぞ驚いたでしょう。
風船は石にくくりつけておくのがあくまで善人。
草太イメージ図がまず爆笑!何年前ですかこの人の世界は…
それぞれのキャラに対するメモがまた楽しいです。「キョーミないからどうでもいい」がひどすぎますね。
無条件で助けるのが友だち…ううむ。
一緒に旅行すると言われるのは笑うほかありませんでした。気の毒に…自覚すれば楽になるのに。
孤独さに疲れて、それでも「番長は一匹狼」…むなしいのう。
いきなり「五万円…もってる?」はそりゃまあ…というか読み返してみれば、説明不足にもほどがあります。
「じゃあなんだ?さっきの」と疑ったなら追求すればよかったのに。
バイト誌の見方がわかっていないのをツッコムのがまた見事なテンポです。
メイドカフェは笑い転げました。
ドアを開けたらいきなりこれは気絶ものですよ。
「内面を見てもらえる仕事じゃないと」と見守っている目の優しさは苦笑するほかありません。
結構人気はあるといっても珍獣扱いでは…でも、彼女は自分の顔は自覚していますから、珍獣としてでも人気があればいいと?それとも…傷ついている?
「極悪だね」に草太くんの助け方は見事でした。山田さんの足を引っかけたのも、不器用な助け方なんですよね…というか不器用は似たもの同士?
星野くんに「似合うじゃん」と言われてキッチン希望は…やっぱり女の子ですね。
そのまま孤独を受け入れて、疲れたところでバイトの真相がわかるのは…タイミングがいいというかなんというか。
「これで友だちになれるかと思ってた」というのは、あまりの不器用同士に頭を抱えるほかないです。
というか草太くんがひたすら孤高に耐えていたのも、「子どものよーにヘソ曲げてた」だけなんですね。
執事喫茶は似合いすぎです。
まあ、何より祝復帰!やはり実力もすばらしいですし、これからもまた活躍して欲しいです。

イノセントワールド
連載向きだろうか、と思っていましたが、こういう手がありましたか。
教室がイノセントかどうかはともかく、誰もが見えない未来に悩んでいるのはそのとおり…
三カ月もつきあっていてキスもまだ、というのも確かにすごいかも。まあ人それぞれですが。「困るほどにエロエロですよ」というのがまあ正しいのでしょうけど。
「彼氏いないんだから英恵はだまってて!!」も苦笑。
いいかげんなぜキスしてもらえないのか惑ってしまう…不安感が伝わってきて胸が少し切なくなります。
しかも、彼女はそれを自分を責める方向に向けている…キスじゃなくてセックスでも、こんな風に女の子は自分で自分を追い詰めてしまうのか、と思うと禁止する方が賢明かなとさえ思います。
キスされるかと思ったら違ったのもすごくドキドキしました。自分がキスをしたい、ということにちゃんと向き合えていないのもすごく可愛い。
なんだか会話が続かないのが、彼の思いさえ不安になる…ちょっと愛情表現不足ですね、お互い。それが悪循環になる、と…なるほど。
男の子もまあこういう会話はもちろんあります。
彼も不安なのでしょう。
手をつなぐことのときめきもすばらしかったです。
やっと彼がキスを迫ってきたときの、画面から甘さがあふれるような感じはすごかったです。
やはり怖さもある、だから不安のほうが強くなって、それが暴言に回ってしまう…
「ただ…好きだからっていってほしかった」と、彼に言えばいいのに。
あまりにもお互い心が通い合っていなくて、思いだけが強くて…ため息しか出ません。
彼もずっと彼女のことばかり見ていますし、彼女も…
「ちがうけどでもそうだよ」というのが怖いですね。人はなまじ心の理論があるから、相手の心理を勝手に決めつけて、それで暴走することが多すぎます。
「ちゃんと聞いたら?」というのは素敵なアドバイスでした。これが有効な人は相当多いでしょうね。
お互いに会いに行こうとしていた、というのも素敵でした。
「だいじに…したかったから」と、なんでもっと早く言わなかったのか彼も。
キスのときめきも最高に伝わってきて、胸がすごく甘くなりました。
さて次にはどんな話が待っているのでしょう。楽しみです!

きららプリンセス
次は眠れる森の美女…
正装の魔法をかけたらきららちゃんはメイド服になってしまう、というのはすごいですね。生まれを察する力のある魔法とは。
オーロラ姫の美しさ…毎度ですが、ディズニーのキャラを違和感なく世界に入れてしまう力には脱帽です。
邪悪さを直感して、しかも意図的にではなくバラを潰してしまったのには拍手。
結局メイドの仕事をする羽目になったのも面白いです。
レイはちゃんと覚えてくれてはいますが、やはり大人気で別の世界の人…この切なさはたまらないです。
でも子どもにちゃんと向き合って一生懸命やったのはすごく素敵でした。
「上流社会で生きるってことなのよ」というシルフィの言葉も重いです。
ふっとたそがれていたときのオーロラ姫の励ましがまた嬉しかったです。
本当に認めてくれる人がレイだけじゃなくいる、というのがどんなに心強いか…
そして再度の敵襲、オーロラ姫をかばって、そしてレイ…頭から飛び込むことはないのに。
倒れたきららちゃんを見るレイの絶望の目がまたすごいです。
キスがきっかけであふれる光の力、そのときにきららちゃんの服がメイド服ではなく、貴婦人のドレスに変わっているのも感動的でした。
ガラス玉が宝石になるというのも素敵です。
このメッセージの強さと雰囲気のすばらしさ、毎回本当に魅せてくれます。

私立ヤバスギ学園
もうなんでもありですね。アイドルにそこまでさせるとは…次には軍隊が出動するでしょうか?
というか、この学校の暗闘はもう全国ネットで公開されているのでは?人権侵害のひどさが全国に知れ渡れば、さすがにある程度変化するのでは?

失恋Rings
やっぱり有沢先生のこういう作品、すばらしいです。
落ちた指輪、「かわりに捨てといて」…なんてうまい出会い。
しかもそれで、彼の気の弱さを気が強い彼女が見かねたように引っ張っていく、というのも飛び上がりたいほどうまいです!
不幸を吸い寄せる…確かにそれはあるかもしれません。
彼もただ気が弱いのではなく、カップルの間を突っ切るいやがらせをするという面もある…あ、独特の電車など風景描写がすごくいい雰囲気を作っているのもさすがです。
せーの、で投げようとして、やはり彼が気後れして手本を見せて、と言われ、そして…やはり投げられなくて「やっぱかわりに捨てて!!」と弱さを出してしまう、とこういう心の流れが波のようにひいては打ち寄せてくるのがまたすばらしい。
それで耐えられず、海に駆け込んで、それを…本当は捨ててなくて「ぜんぜんふっきれてないんじゃん」…胸を叩き、そのまま抱かれて…ここは息もできない、胸にすごく重いものがたまったようです。
本当は悪いのは彼女自身のエゴ丸出しだった、というのも胸が痛くなります。
彼の事情もすごく胸が痛いです。ひたすら人のことを思いやって…でもそれも間違いかもしれないのに…
「自分をけなすなって」というお互いに言い合う言葉が、すごく胸を…浸しながら、後から強酸のように焼いてきます。
彼は自分の指輪をちゃんと捨てたのがまたカッコイイです。
それで重くなった気分が、「シュラ場再びってのはキッツイ」と軽いユーモアで笑わせて、うまく和ませてくれるのもすごくうまいです。
「ちゃんとスッキリできたら…」も言い切らないのがまた素敵ですね。
柚月ちゃんが彼のことを吹っ切るのがまたすごく綺麗なワンシーンでした。
再会までこれだけ時間がかかったのも、それもまたよかったのかもしれません。
すごく素直に二人海へいけたでしょうから。
なんかもうすごい、としか言いようがないです。
やっぱりものすごい力のあるベテランですね。もっと活躍して欲しいです。

男気イブ
元気ですごく楽しかったです。
ハーフで超美形、でも完全に脳みそ江戸時代の日本男児…実にうまいキャラでした。
このすばらしい字は手書きなのかコンピューターなのかは考えないことにします。
「顔も手もキレイ」というか、多分心がきれいなんだと思います…と、心と同じく字が汚い僕には思えてへこみます。
「気やすく手をにぎるな!!」とかも全部照れ隠しでは?
女の子たちがかわいそうに思える、というのも苦笑します。
ふと、好きって言われたことがないから不安になる…とんでもないキャラなのに、本質的な不安はすごく普遍的なテーマだから共感できるのでしょうね、この作品は。
クリスマスを盛り上がりたい、というのも…あああああっ、思い出してしまったじゃないですか!今クリスマスイブなのにこうして感想を書いているということを…笑い飛ばさなかったら危険なので笑って忘れて感想に専念しましょう。
古今和歌集を読んでいるというのがすごいです。恋の歌でも作って彼女にささげれば喜ぶのでは?
恭夜くんの心の叫びは聞いていて実に気持ちよかったです。
なぜ「気持ちを知る」=「クリスマスデート」になるのか、正直不思議なんですが…心がガチガチに固くなっているのでは?
「二十一日なんてなんでもない日じゃ」というのも読み返してみると彼が傷ついたのはわかります。もちろんわかれというほうが無茶ですが。
なんでクリスマスを否定されるのが彼女自身を否定されるように思ってしまうのか…なんだか怖くなります。
大きなツリーの下で、という夢になぜそこまでこだわるのか…
部活にも身が入らなくなる、というのも辛いですね。誰かに相談できないのでしょうか?
そして、彼女のプレゼントに入っていた手紙から彼女の気持ちを確かめ、それに応える…このすごい行動はカッコよかったです!
校庭中使って「華江I LOVU YU」…これはやられました。
公衆の面前で抱きつくな、ってあんたがやったことに比べたらねぇ…
とくべつに、接吻…うわあああああっ!なんでキスというだけだと軽いのに、接吻というとこんな重い感じになってしまうのでしょうか。
たまりませんでした。

ぴよっこ・ガーデン
相変わらずの大暴走で楽しかったです。
レイジくんの登場はすごい…それが花嫁選びだったのはさすがに吹っ飛びました。
というかこの人たち、みんな誰が誰と結婚するか産まれる三代前から決まっているとかないのでしょうか?
セレブ園児というのもわかりやすいですな。
園児でクリスマスケーキなんて、体力的にきついのでは?
なぜ卵から豚の丸焼きができて…
低レベルの戦い、というのはまあ幼稚園だから当然ですが…
持病の腹痛とリタイアしたユミカちゃんの、ここだけなぜか異常に華やかになるのがまたすごい…
みみ子ちゃんもサンドラさんも案外強くて漁夫の利を得たのはおしん…まあ新しい友だちができたんだからいいですよね。

アクビGirl
イブはサンタを待って早く寝る、なんて可愛いですね。
でもこれ、どう見ても夜這いでは…
ソリ遊びが楽しみだった、というのも年相応で素敵です。

虹色パレット
うわ…結構重い話でした。
「その「あったかい家庭」にはよき夫が必要なんじゃ」というさりげないアピールがなんだか可愛いです。
母親との関係のよさは見ていて心温まりました。
「男一瞬ダチ一生」は爆笑!
離婚で母子家庭だったとは…まあ軽く言ってくれたからいいのですが。
そして夕日の色に「あんな色作ってみたいな」というセンスも素敵です。
うれしいことを見つけていい日にしていく、という姿勢も切なくなるぐらいすばらしいです。毎朝寝床で自分の死をイメージしてから起き、一日死人として、感情を閉じこめ放置してやっと生きている僕とはある意味対極的かも。
楽しいことを自分で作っていく…楽しかったことばかりかく…そのほうが多分楽しく生きられうのでしょうね。
突然の告白はある意味意外でした。颯くんもひなこちゃん同様、すごく純粋で汚れのない子だと…そう、二人とも汚れのない存在だと、いい意味で人間とは違う心の持ち主だと誤解していました。
好きといわれて胸が熱い、もう両想いだと思うのですが…
そして離婚前の夫婦喧嘩の心の傷を思い出して考えることを拒絶する、そういう子だったんですか…
この心の動きを描いている筆致は意外なほど冷徹です。
彼女の明るさは逆に、「かんがえたくない」と辛いことから目をそらしていることでもあった…ため息です。
「かんがえたくない」という返事は確かにきついです。でも「胸のおくすごいまっ暗」と表現できるのはすごいですよ。
それも友達がいるからなのでしょうが。
「失いたい人を自分のものにするのって…」この言葉も胸が痛いです。僕も人が好きだったときは独占欲がありましたから。
母親の励ましも素敵でした。
純粋に会いたい、という思いになるまであちこち彼を探して精製されるのもすごく胸に伝わってきます。
また寝ていて飴を放ってくる彼も、かなり感情的に「こまらせてごめん」と背を向けて、それでお互い感情が爆発するのも二人の未熟さが見えるようで、たまらない気持になります。
辛いような、どこか心温まるような。
ストーカー宣言は彼女にとっては一番嬉しいかもしれませんね。
「「あったかい家庭」の夢オレも参加させてよ」という完全にプロポーズも頭が煮えました。
それで二人とも恥ずかしくなって反対側に走り出してしまうのも可愛かったです。
明日はどんな日になるんでしょうね。

プティの日記
素敵な完結でした。この連載の間での明日賀先生の成長もすばらしかったです。
やっと才能を見つけたら恋の悩み、と忙しいですね。
妖精の小さい体には、この鳥の巨体は相当恐ろしいでしょう。
ディルの負傷と笑顔、そして真相、ショックをうまく盛り上げてすごく緊迫感がありました。
あ、この靴が葉っぱからできていることがなんとなくわかります。うまい。
好き、と告白してそのまま儀式も捨てて治療に向かう…やっぱりカッコイイです。
まあ優先順位は当然そうなりますよね。
出血で体が弱る、というのも実にリアルでした。
このまま二人とも儀式を放棄してもよかったかもしれませんが、ここでティンクの助け、そして…さらにクライマックスをみんなの力で強めていくのには脱帽です。
彼女自身の成長をアピールしてくれたのもまたすばらしかったです。
この儀式でキスして、そして才能の発表もすごく感動的でした。
こういう場が人間にもあればいいのですが…

魔法のおとなり
とにかくお疲れさまです!
「願いごとってなに?」と、この瑠璃ちゃんのラブラブな表情がすごくいいです。友達が見て思うように、ラブいねえとしか言いようがないです。
そこで窓に突然浮かぶ逆五芒、幸せ一杯の瑠璃ちゃんの表情から…突然姿を消したトイ…
鏡に出てきたキルシュの抑えた怒りが、なぜか彼女の美貌を際立たせてくれています。
死神の件がこう関わってくるとは…
それでいきなり瑠璃ちゃんが、うっかり魔界へ…というのがまた面白い展開です。
ほにゃ、と再会を喜んでいるのんきさもまたかわいい。
口げんかしていて、やっと「もう会えないかと思った」と本質に気がついて…ここはなんだか胸が熱くなります。あまり素直な思いに、もうため息しか出ません。
そしてトイがぎゅっと抱きしめて「百年幽閉されても退屈なだけだけど」という…理知的というかなんというか。
耳を探って「おそってるみたいじゃん」というのも色気がユーモラスに働いてすごく素敵でした。
トイが自分の命を捨てる気でいるのが感じられる、というのも緊迫感がありますね。
手錠というのも普通に暮らしている人は経験しませんから、かなり辛いものがあるのでは?そして…あ、魔界の食物を食べてしまったら致命的では?他にも水やトイレ、風呂は、というのは考えないほうがよさそうですね。
トイがせっかく冷静に運んでいるのに、瑠璃ちゃんが見事にぶち壊してくれました…
そして「悪魔のことばを真に受けるな」がまた、冷徹さと意地悪な雰囲気がすごく素敵です。
というか、日本人だからこそ契約の重さはわからないのでしょうね。外国では本当に神と人だろうと悪魔とだろうと人と人であろうと、契約はとにかく絶対です。それが全ての基盤です。
日本では農村社会がベースですから、集団の空気、瑠璃ちゃんのように人情が全ての基盤ですが。
卵を利用して瑠璃ちゃんを帰そうとする…というか瑠璃ちゃんが余計なことを言わなければ、万が一でも丸く収まっていた可能性もあったのでは…
そして瑠璃ちゃんがやっと言った本当の願い、泣きながら「トイがほしい」…本当に素直な子です。
どこへ飛ばされるかわからない…考えてみるとこの教会も、瑠璃ちゃんが暮らしていた時代、場所とは限らないですよね。ひょっとしたら二人だけで、違う時代で始めなければならないかもしれない…と思うと結構怖いです。まあ、魔界の知識があればいつどこだろうと食いっぱぐれはないでしょうが。
でもまあ、新契約が最高に素敵ですから考えないでおきましょう。
とにかくすばらしい雰囲気とテクニック、楽しさ…最高でした!次の作品がどうなるのかも楽しみです。というかもうさっさと本誌連載始めてください!

ラブパズル
この二人の仲の良さは見ていてほほえましいです。
やはり建物はもう…
十年前、突然の出会いでびっくりしてすごく雰囲気に引き込まれました。
「映画に出てみねぇ?」と言われたら普通嬉しいですが、悲鳴ばかりじゃ…でも可愛いです。
「奏のこといいなって思ってたんだぜ?」と、紛らわしい台詞ですね。いい感じです。
新作のシナリオを考えているときに仁美ちゃんが…それであのやりとりがあったわけですか。
伝説自体が映画のシナリオから、というのも面白いです。
天使の格好が妙に薄着で恥ずかしい、というのも可愛い。
「いろいろ気をつけてネンv」というのがまた…余計なことを言ったほうがよかったのか言わないほうがよかったのか。
ウソっぱち、でもそれでも…という映画というかフィクションの本質を突いてくれたのもすごく素敵です。
告白の決意をして、そして風邪をこじらせて肺炎までいってしまって不安になって…この連絡は嬉しいですね。
そして卒業式、告白しようとして部室へ行って…そこで告白するつもりなのに、何もいえなくなってしまう…しかもお互い…
想いが強すぎたのでしょうか。
ここでの再会と、十年越しの告白…なんだかすごくじーんとします。
すごく切なく暖かい雰囲気と色々な恋、すばらしかったです。今回の奏さんの豊かな表情が素敵でした。
次の作品はどんな作品か、楽しみですね。

あっぷるポンタン
いきなりのお誘い、まあ…どう見てもデートですね。
「当日急病にでもなるから」というのも親切な話ですね。
可愛い服でこだわりすぎて、こうなるのもよくある話ですね。
ペアルックは…まさか、彼も同じだったのでしょうか?
さっさとぬかみそくさい桜に結局選べないポンタン、となんか楽しいです。
つい帽子を脱いでしまって大爆発はもう笑うほかないです。それが「カワイイからつい」は爆発しました。もうハートの渦に溺れそうです。
もう手をつないだら浮かんでしまうのもこっちまで浮きそうです。
やはりうまいですね。

メロディにのせて
ピアニストの母親に、思いをこめて弾くと約束した亜希ちゃんはその言葉どおりに頑張ってきた。
でもどうしても勝てないライバルもいるし、それに…表現力がなかったこと、友達や客も無視してしまったことを、そのライバルの高宮くんに責められた。
でもある意味仕方ない、大切な母親を亡くしたばかりだから…高宮くんは強引に彼女を連れ出し、路上演奏を聞かせてくれたりしたけど…

すごくストレートでいい作品でした。
ライバル同士ちょっと仲のいい、というのがいい関係ですね。
むっと怒って、それが…どうしたのかな?を積み重ねていくので不安感が増し、それが演奏で一気に…
高宮くんが怒るのもなんかいい人ですね。
冒頭で励ましてくれたその母親を失ったから、それで演奏自体が…
高宮くんが強引に引っ張っていって楽しくやってくれるのがなんとも素敵です。
振り返っての高宮くんの笑顔もすごく魅力的です。
ライバルだからこそ、というのがまたとことんいい人です。
どんどん落ちこんでいく彼女を励ますのもすごくストレートな言葉ですね。
そして言葉ばかりではなく、演奏での表現力がすごく高いのもすばらしかったです。
音に包まれるような感じがしますよ。
そして亜希ちゃんの演奏のすばらしさ!下から見上げる視線からの拍手もぐっと胸を打たれます。
この二人の恋はまだまだこれからでしょうか…でもそれ以上にすごく素敵でした。
なんかもう暖かいものに包まれているような、なんともいえない雰囲気…酔わされます。
次回作ではどんな世界を魅せてくれるか、楽しみです。

通学バスのふたり
いつも同じ通学バス、左側前から二番目の席の彼。英語だけ得意な大山いろはちゃんも右側前から二番目の席。
彼女はひたすら窓を通して、彼は左斜め前に視線を固定して…
ある日、生徒手帳を落とした彼の名前を知ることはできて告白しようと思ったけれど、受験生でもあるしいざとなると…

最初にある程度、彼の視線の角度でまさかと思ってしまったのが残念なような、それがまた楽しかったような…
推理小説慣れみたいなものです。
センスも前評判どおり抜群でした。特に枠外ベタの効果が凄まじいまでです。
第一印象は、どちらかというと安野モヨコ先生を思わせる妙に平板な感じにびっくりさせられました。
いきなりチュチュで「あの目に見つめられたい!!」と想いが爆発するのもなんだかすごい。他にも地球を抱くようにするなど、大げさな表現もありますね。
受験の圧力の強さもすごく圧迫感があります。
初めは未熟さが目立つ気がしたのですが、ページをめくるに従って画面構成のうまさがどんどんわかってきて、話も彼女の先生になる夢、受験の圧力、そして恋心の切なさがうまくからみあって雰囲気を作っていて、すごく引き込まれます。
生徒手帳を拾うというのは確かに名前を知るいいチャンスですね。
そして触ってしまったのがどれだけすごいことか…
ありがとう、と受け取るときの接近もすごくドキドキさせられました。
緊張で吐きそう、というのもその前後の雰囲気からすごく共感できます。
でもいざ渡そうとすると、自分がやっていることがストーカーに思えてしまう…これも胸が張り裂けそうです。
彼の動きがまた静かなのにうまい。読み返してみると、彼自身の静かな想いがすごく強く伝わってくる…初読時にもさりげなく伝わってきていました。彼の立場で読み返すとまたすごいんです。このとき、もう彼女を見るのが最後か、手のあれはチョコかな?誰に…まさかオレじゃないだろう、オレの馬鹿妄想するな…もうついてしまう、時間よ止まれ…そんな想いがいやというほど感じられるんです。そして万感の思いをこめて振り返ってしまった…
窓の曇りにハートを書く、というのがすごかったです。そして目が合った瞬間の、黒の効果の強烈さ…
もう会えない、とわかってからの反省がまたすごいです。
まるで妖精のように「どこ見てるの?」と心の中で語りかけ続け、そしてついに…彼の席から見たときの視線の位置…ちょっと視線を動かせば目が合ったのに。二人とも!そう、二人とも…
僕が初読時冒頭でこれに気づいてしまったことが、まるでいい推理小説なのにトリックに気づいてしまったように残念でなりません。
それでももう終わった、という実感が反省になって…それを、先生という夢、受験だけは頑張ると前向きにするのがすごく素敵でした。
この運命のご褒美も、前向きになったからでしょうね。胸が深い息で一杯になります。
逆に新学期はどこもかしこも光に満ち溢れているのが素敵!
本当に素敵な作品でした。この力がもっと洗練されたらどんなに素敵になるか、今から楽しみでなりません。

目次へ

ホームへ

もえるごみへ