なかよし2006年夏ラブリー感想

ちょっとシリーズが増えすぎて、読みきり枠を圧迫している気もします。「るんるん」に近い感じになっていますね。
そのシリーズ自体は非常に嬉しいのですが…複雑です、若手のシリーズも新人の読みきりも、どっちも読みたいんですよ。
だとしたら隔月にするか、別に読みきり専門の増刊を出したほうがいいかも。

読みきりは目立たない作品が多かった…ホラーやエロなど、強い印象を与える要素がない…ですが、恐ろしいほどリアリティが高くさりげなく熱い血が流れています!
やはり「なかよし」の作家陣は恐ろしいほど実力があります。

地獄少女(永遠幸)かみちゃまかりん番外編(コゲどんぼ)ふたりはプリキュア(上北ふたご/東堂いづみ)ロリポップVSみるきゅ〜と(菊田みちよ)きららプリンセス(小鷹ナヲ/田中利花)小川とゆかいな斉藤たち(茶匡)ぴよっこ・ガーデン(猫部ねこ)杏仁小娘(川村美香)プティの日記(明日賀じゅん)アクビgirl(上北ふたご/竜の子プロ)魔法のおとなり(水無月真)けだものだもの(フクシマハルカ)私立ヤバスギ学園(恵月ひまわり)SHOCKIN'ベイブ(瀬田ハルヒ)クリームソーダの夏(山田デイジー)ラブパズル(高上優里子)真夏の奇跡(原田侑果)イケイケ!スクール・ライフ(とぐさ壱耶)AMY(咲良あさみ)あっぷるポンタン(木村千歌)空も飛べるはず(春瀬サク)わらって盆ジュール(菊井風見子)

地獄少女
やっと本筋が出てきました。
妙にリアリティがある話です。地獄少女が結果的に、人を破滅させる方向に力を使っているのも理解できました。
冒頭のカップルの話はむしろついでで、呪われた彼氏の名前が閻魔あい自身に関わる…これまで、アニメ(僕は見ていません)と違ってあえて閻魔あい自身については何も触れなかったので新鮮でした。
わら人形を返す判断自体は正しいことです。
異能を持つ者に対する迫害、そして「村のため」…人間なんてみんな地獄に落ちちまえ、としか言いようがないです。人間そのもの、社会…群れで生き、しかも中途半端な知性をもってしまった存在の業ですから…
長雨の次はひでり、というのは単純に気候の問題です。今の僕は気候の基本的な原理は理解していますし、きちんと学べばより深く理解できます。まあ厳密な予測は原理的に、制御は使える力の問題で難しいですが。でもそれを知らない当時の人たちは、神のたたりとするほかない…それに仕方がない、とは言いたくないのですが。
今の僕は、気候が安定しないのは当たり前なのだから米単作に頼らず、日照りに強い作物や長雨や冷害でも育つ作物…あわ・ひえ・麦・サツマイモ・蕎麦・栃なども作ってリスクを分散すればいいし、また不作の原因には土地の肥料分不足などもありえるから空中窒素固定能力があるマメ科緑肥を農閑期に植え、水田以外は連作をせず輪作すべきだ…などと言えますが、当時の人にそれを要求するのは無理です。
迫ってくる飢えが、仙太郎にプレッシャーを与えているのも上手い描写です。
彼らを見つけた村人が振るう暴力は信じられないようにも思えますが、前のページを見てください…「このままじゃこのコは冬越せないよ」。彼らも多くの犠牲を払い、飢えに苦しめられているのです。それが憎悪というはけ口を見つければ…こうなるのは人間としては当然のことです。
彼らを責めることはできない、責めるべきなのは人間そのもの…
また、この作品では…超自然の存在を認めていますから、本当にあいを生贄にしなかったことが不作の原因と考えてもよさそうです。
仙太郎の裏切りが最終的な絶望になる…ここのショックはすさまじいまででした。
そして、何よりも悲惨なのが、なぜここまでやられた彼女が…地獄以上の罰を受けなければならないのでしょう。そう決めた閻魔大王か何かが一番たちが悪いです…要するに、人間として当然である「集団の要求、規範」はたとえそれが自分の悲惨な死であろうとも恨まず従え、と?
また、その村人たちは地獄に行ったのでしょうか…本音で言えば地獄行きだった、と思いたいぐらい憎悪があります。でも…その村人たちは「普通の人間」であったに過ぎない、ともわかっています。人間であったことが、地獄行きに値する罪だと…
あいがここで完全に切れて、自分の憎悪で行動している…この、人間らしい面は見ていてほっとします。
昔の仙太郎が寺を立てて供養した…といっても、それは「何か悪いことを弱者に押しつけ、犠牲にする」集団としてのシステムを否定はしていません…それを否定するのは人間には難しいのでしょうか。やるせないです。

かみちゃまかりんChuサマー番外編
実は彼女人気あったんですね…花鈴ちゃんの人魚姿を描きたかっただけのような気もします。
全部割ったら全部食べろ、というのは爆笑。さらにおしっこガマンもあれば、スイカはほとんど水分の上に利尿作用があるからもっときついかも…
水着ぽろりが男に起きてしまうというのも悲しいです。それで神化して上がるとは…着替えと勘違いしてません?
まあ錦織くんがトップになりますね、これは。
水上相撲…なんかもう、これってどこかのくだらないバラエティー番組では?
相撲としては、多分胸に頭をつけられて上体が起きた時点で負けなのでしょう。
確かにこの格好で沈んだら非常に危険ですね。
人工呼吸、かと思わせて目が覚めるのは苦笑しました。
キスのプレゼントは…まさか本当にやるとは。
多分これ、一年対象にしたイベントで、本当はどうなのかは絶対一年には内緒なんでしょうね。

ふたりはプリキュアSplash☆Star
滅びの力で世界をおおいつくす…簡単ですよ、「環境問題は嘘だ」と教育のある層全員に思い込ませ、「経済成長が全てだ」と思わせれば。いや、何もしなくてもほぼ間違いなく世界は破滅します。
ひまわりがイベントの中心になるのも面白いですね。満と薫も浴衣じゃないのが残念。
滅びる定めなのに…というのは個々の人は必ず死ぬこと?それとも自分たちが人類も滅ぼすのだから、という意味もこめて?またはいかなる種も永遠ではありえない、どんなに頑張って、たとえ今の人口、環境、化石燃料枯渇などの危機は乗り切ったとしても最終的には生命は滅ぶ、という予測?
「花が咲いたってその先は枯れるだけ」ということは、個々の生命を問題にしているようですね。
ひまわりなどは人間のようなバカと違って、種を残せればそれでいいんです。
無駄な葉っぱは一つもない…そう、枯れて地面に落ちた葉っぱも、膨大な土壌微生物を養うことになる…
満薫がだんだん流されていくのは見ていて楽しいです。
そして戦いのシーンも…満薫の迷いが、余計な悲劇を生まなければいいのですが。

ロリポップVSみるきゅ〜と
予想外な面白さでした!このコラボがこんなにうまくいくなんて。
翼とニナちゃんが平行して妄想しているのがまず楽しくて、あれっという気が正直しました。
ぜんぜんムード無しのお子ちゃまゼロにいらいらするニナ…これが基本パターン、というのはなんか妙な疲労感が…
セナがフォルテを誘って、サンがそれに怒って…とわけがわからない組み合わせに…なぜサンとフェトが?という気もします。
お姫様抱っこでひょいひょいは、観客にとってはキャーッでしょうね。
ゼロもしっかりニナちゃんの期待を裏切ってくれました。
翼&みうが手をつなぎっぱなしなのも可愛いです。
ふっくんもかなりすごいですね。そしてサンちゃん…
カップルは別々のドアから入って、一番に二人でたどり着いたら…これは上手いイベントです。実際の遊園地にもあるでしょうか?
翼&みうをうらやましがるニナちゃんには苦笑しました。
利兎さんの妨害はお見事。
イチイも大魔王の娘を相手においしいところを持っていきましたね…そしてみんなそろっての無差別大破壊はすごく気持ちよかったです。
「彼氏じゃねーよ」はさすがに傷つきますよね…ひどい。
花火で手をつなぐのが精一杯、というゼロの純情ぶりには最後に悶えさせてもらいました。

きららプリンセス
幸い手元の「Angel Voice〜一路真輝の世界(TCAC-44、宝塚クリエイティブアーツ)」に「美女と野獣」が入っていたので、エンドレスで聞いています。ああ…酔うなあ…
今度は美女と野獣の世界で、しかも…結構強引に新キャラが出てきましたね。
フロディソス国は今のところ無事なのでしょうか?
こうしてみてみると、きららってレイの…説明不要。それでシルフィが引き裂くのは笑うほかありません。もうラブラブすぎます…
今度は美女と野獣のベル…伝説自体の筋は(小学校の頃よく読んでいた、母が小さい頃から持っていた色々な花の伝説についての本で)知っていますがディズニー版のストーリーはよく知らないので新鮮です。
「そこの絵画なんて」は恥ずかしい…そういうのは結局生まれつきじゃないとどうにもなりません。
カップとポットがしゃべるので慌てて指輪を飲み込んでしまい、それで…剣がどうのこうので野獣とトラブルに…うまく厄介ごとを作ってます。
きららちゃんの奇麗事にシルフィが反発し、真実…傲慢な言葉ですが、真実です…を暴き立てる…これまでにない、結構面白い切り口です。
ベルが召使だ、ということが一番野獣にとっては弱みになってしまう…うまいですね、いろいろ。
きららちゃんがシルフィをひっぱたくのは…みんなすごくもどかしいです、誰もちゃんと伝える言葉を持っていない…
レイが迷わずきららちゃんを追って…
きららちゃんの「自分が傷つくことがないから」という言葉はやっぱり子供です。シルフィはああいう絵画などの趣味がわかる、それは逆に…厳しい躾で子供らしい自由とは無縁な、きららちゃんからみたら地獄のような、奴隷より悲惨な子供時代をすごしてきたということでもありますから。
ベルはわかっているようですね…
夕食での、ベルとレイの大人の対応にきららちゃんの、子供の行動…
ひたすら愛情を注ぎ続ける…ただ、相手が愛のブラックホールのようになってしまっている…境界性人格障害…場合、それは共依存という状態を生み出しかねず非常に危険でもあるのですが…
でも愛が奇跡を生む可能性だけが、人を救う可能性かもしれません。境界性などの人格障害も、決して人間と種類が違うわけではなく、その要因は誰にでもありますし。

小川とゆかいな斎藤たち
祝シリーズ。いきなり冒頭から小川さんらしいドジと自己嫌悪…
友だちと出かけるのがはじめて…その気持ちもわかります。
目線があさって、「サボればOK」…爆笑。ここからのみんなの反応も面白いです。
この崩れっぷりも見て楽しいです。
三年生を教えるというのも無理な話ですね。マイナスイオンを出すってすごい能力じゃ…
保茂くんの容赦なさ…やれ、っておしおきが輪ゴムなのがまたかわいい。
実験薬って何の薬でしょう。できるだけ苦しい死に方で、しかも体内で完全分解されて証拠が残らない毒…?
計算は量をこなす…小川さんもけっこう…というか頑張っていますね。
で、結構成長しているのに「ちょっと解けたぐらいでいー気になるなよvv」が崩れ笑いました。
追試でこれだけ盛り上がれるというのもなんだかすごいです。
小川さんのほうがテンションが上がって心配になってきて…この最終日、出だしがごくさりげないんですよね。
ここで壁破壊で大騒ぎ、それで…今までも冤罪を散々押しつけられて人を信じられなくなっている大喜の言葉…
小川さんがついに切れたのはすごいカタルシスです。
しかし姑息なことをしますね。
大喜が吊るし上げられるのもむしろ気持ちいいです。
このストレートさはいいですね。

ぴよっこ・ガーデン
ユミカちゃんの文句に「子どものおゆうぎよ」「おゆうぎ会だし」この会話はお約束ですが気持ちいいです。
台本を書き直して、これのどこが赤ずきん…
人気者だから友だちいっぱい、と思い込んで…女子高生編って…
特訓と称して女子高生に混じろうとするのがなんかすごい。
先生の台本書き換えもこれはこれですごい…まあ赤ずきんはそのままやったら、オオカミがひどい目にあいますから…

杏仁小娘
無防備すぎて困ってる…これはこれで面白いです。でもそれ、「だぁ!だぁ!だぁ!」の彷徨くんも相当…
風呂場で、見られてキャーじゃなくて彼女は平気だけど彼が一睡もできない、それを彼女は怒っていると勘違いする…杏仁ちゃんに刻まれるほうがまだましですね。でもここのタオルはちょっと不自然では。
非常に嬉しいハプニングばかりだと思うのですが、それを怒っているというのも面白いです。
落ち込んでいる気持ちを込めたら料理が悪くなる、というのも困った体質です。
じっと見つめられる、というのは今読み返すと面白い勘違いです。
そして今度はほわほわが料理にこもってしまう…まあいいでしょうか。
恋する新しいメニューをカメラに収めて…ああ、なるほど。
これは…客がどよーんとなってしまって…このわかりやすさが川村先生の最大の魅力かも。
凌くんもそれを食べて悲しい気持ちが伝わってきて…この解決は強引ですが、ショーとしての楽しさはありました。
条件が「無防備な生活をしないこと」…「キズつくのは〜女の杏仁のほーなんだからなッ」…確かに胸が暖かくなるような優しさです。
で、結局これですか…あ〜あ。

小さな妖精プティの日記
妖精たちが遊んでいるのが、なんだか泥臭くなるのが明日賀先生らしいです。
「いままで自分の才能がみつけられなかった妖精なんているの」と、それを聞ける大人はいないのでしょうか?
プティちゃんのケーキを食べて猫が倒れる…すごい。
友達ができたら気分が良くなる、というのは理解できます。
笑い声が行方不明、という事件で…自信がないからこそ手柄を焦る気持ちもよくわかります。
自信、実力がないなら地道に努力すべきだというのは、自信と実力があるからこそできることで…自信と実力がない人間には地道な努力は、やっても何の成果も上がらないようにしか思えないのが現実です。
ティンクの優しさは嬉しいです。
結局笑い声はすぐ見つかっていた…それで泣き崩れる思いもわかります。能力的に低い子は、どうしてもこういう見当違いの頑張りをして笑われるものですから…
トムテが暴れたときのアクションシーンはすごい迫力でした。
「かわいそうだけどみんなの安全のためだよな」というのには、「地獄少女」誕生の話さえ思い出されて吐き気がします。所詮妖精も人間と変わらないのか…と思うと、これ以上ないほどイメージが壊れますよ。
ディルが大人に逆らってまで飛んできてくれた…でも、何か歯車が狂えば「地獄少女」の、昔の仙太郎のように集団を優先するかもしれない…ここではみんなが飛んできてくれましたが、むかつきは変わりません。
チクタクワニがプティの作ったケーキで沈んでいくのはすごい。
「わかってなかったのはわたしだ」という言葉も、彼らが「地獄少女」の村と紙一重なんだと思うと素直に受け止められません。
もちろん、思春期の孤独感には根拠がないことが多く、心を開けばいいことも多いともわかりますが…

アクビgirl
宿題は…というツッコミがとにかく笑えます。
このシチュエーションは結構すごいです。
波と風の音とバイオリンの音色だけの浜辺…これで十分では?
真夏の太陽の暑いキスがいや、とか贅沢いうからすごいことに…まあ、いとしくんにとってはこれは一生忘れられない夏でしょう。違う意味で。

魔法のおとなり
ちょっと絵の感じが変わりましたね。線が太めになって…
友達に彼ができるとそういうことに…ふむ。
「クラスメートでさそえよ」と、このシーンはなんだかすごく暑くなりました。一瞬セミの声が聞こえた気がします。
また別の悪魔が登場、いきなりキス!うわ。
「先祖の棚ボタ〜」は、確かにはしょればそうなりますね。
結局夏合宿で祭りはパー…「来年までに男がほしいって願いごとか!」からの二人の口げんかは楽しいです。
この種でいきなりすごい人が変わってますが…気づかないトイも間抜けです。まあ悪魔は間抜けなものですが。
この人形を用いる魔法も面白いですね。そしてトイの表情も…
人形が蔓をはやして大暴れする展開もすごく迫力があります。
その人形がトイの姿になって、優しくしてくれる…で、トイから人形の姿を隠そうとしてだきしめ、結果また痴話げんか…勝手にやってろ、と石投げたくなります。
「合宿もそうだねつぶしてあげる」と、願いを無理にかなえようとしたらどうなるか…初めて彼女も、その意味がわかったでしょうか?
そして…瑠璃ちゃんは本当は、ただトイとお祭りに行きたかった…という気持ちに気づけたでしょうか?
絡まって密着、それをあっさり切り落として落下…ここのリズムも実に楽しい。
これからどんな形でキルシュが出てくるか、楽しみです。

けだものだもの
こっちのシリーズも当分続くのでしょうか?大変ですね。
彼女のビキニの上が取れていて、とっさに手でカバーしてしまう…憧れのシチュエーションかも。
いきなりの変身…もろ見られちゃいましたね。
女版ハルキの物分りのよさにひっぱたくのはわかります。でも…この状況でどうすればよかったのでしょうか、殺人以外に。
服をここから選んで…ある意味女の子にとっては夢ですね。
ハルキくんのヘタレっぷりはむしろ気持ちいいぐらいです。
全然楽しんでいないですね、小夏ちゃん…
ライフセイバーのふりをして割り込み、強引にさらったのはかろうじて男…いや、“おと”ぐらいですね。
水着を見せるのが裸を見せるのと同じように恥ずかしいことになっている、というのがまたいいです。
しかし、ここでまたハルキがヘタレて…しょうがないなあ…まだ“お”じゃ。
ワカメ男となってしまっているのは笑うほかありません。
蓮くんもカッコよかったですね。で…結局活躍できるのは女モードですか…
「あの二人ムカツク」という言葉がまたあらためて刺さってきます。というかそんな暇はないんじゃ…心の穴を埋めるより勉強しなければならないのでは?
で、結局こうなりますか…まだまだややこしいことになりそうです。

私立ヤバスギ学園
あ…もう…どうでもいい。というかあまりに卑小で…はは。

SHOCKIN'ベイブ
すーやん(南素晴)とヒデ(藤乃屋愉英)はラブラブカップル…父の会社が倒産して以来すーやんは貧乏で、公園でのんびり話しこむぐらいだけど。でも誕生日には、確かに彼がいてくれるだけでいいけれど…ヒデがお祝いしてくれる、となった。だが、彼は実はとんでもないお坊ちゃまで…
格差社会がこうして少女漫画に関わってくる時代に…また、昔の身分がどうのパターンが復活しそうです。
まあそういうくらい予測を吹っ飛ばすパワー!
公園でのんびり一時間話しこんで、そして両親は忙しいけれど家庭は崩壊していない…それはそれで幸せかも。
ちゃんと祝う、と家に招待するのは、彼にとってはすごく覚悟がいることだったのでは?
いきなりセレブモードになった彼、すごく人が変わっちゃってるんですが…おこづかいが普通に二百万とか…
一体公園でどんな話をしていたのでしょう。
あまりのお坊ちゃまぶりに混乱するところ、家が広かったり虎の毛皮…それにプランどおりにいきなりエステ大会…シンデレラの定番と化していますが。
オークションって…バースデーケーキに…どうせならもっと激しいスケールで、とも思いますが…
運転手さんの反応はちょっとひどすぎますがわかりやすいです。だからこそ「ぼくの大切な人に無礼は許さないからな」がカッコよく見えるのでしょうね。
逃げたところで、メイドさんにぶつかってとっさに…その反応で救われるのもわかりやすくうまい構成です。
すごくまずいケーキを無理にごまかしてキスして…あまりのラブラブに言葉がないです。
すーやんの両親もすぐ利益を考える人じゃなくてよかった…まあこれから苦労はあるでしょうが、この二人の深い愛があればどんな高い波や壁も…

クリームソーダの夏
進路調査票がを出していない美咲ちゃん…補習にはヤンキーの高島くんもいる。
美咲ちゃんは母子家庭で経済的に厳しく、保育士になりたいという夢も私立高は無理だろう、と諦めて何をする気も起きない。
そんなとき、ふとできた空き時間に高島くんと会ってしまって、なんとなく一緒にいてしまった。それからなんとなく仲よくなって…

恐ろしいほどのリアリティの高さ!あまりの閉塞感に潰れそうでした。
「勉強したってしょーがないし」というのもわかります。ちょっとやそっとの勉強では何の報酬もないのです…winner takes all, all or nothingの新自由主義社会では。
ある程度以上の二世三世は全く違う意識で、小学校から私立で死ぬほど勉強して…特に、受験技術という金で買える学力をたっぷり与えられて…さらに文化自体が違って。それに勝てるはずはないです。
高島くんににらまれるシーンはちょっと迫力ありました。
公園で子どもたちと遊ぶ、というのがさりげなく保育士という夢とつながるのも、家が暑いのはクーラーがないからだとも…こういうところはうまいです。
将来に希望がなかったら、今を楽しむほかはない…それを責めるのは酷ですよ。
しゃぼん玉に惹かれて屋上に行ったら高島くんを踏んでいて、それで…なんとなく近くに座って…
翌日の会話も、ごく表面的なところから…でもいきなり核心でしたね。
「まわりが見た目できめつけることに」…確かに。でも、それは逆に見た目さえちゃんとやればかなり大人を騙せるということでもありますが…
「大人ってさ―あたしたちの表面しか見てないよね」という言葉もすごく、僕の子供の部分は共感します。
でも…大人の部分はこういいます。当たり前だろう?と。表面しか見えないのは当たり前だから…確かに小さい頃は泣けば親は全部わかってくれたかもしれません。でもそんな親は幸運であり、また…どうしても大きくなれば嘘を覚えてしまうものです。どうしようもないし、もどかしいのは親も同じです。
このしゃぼん玉とクリームソーダの比喩は見事でした。
美咲ちゃんを先に行かせる気遣いもいいですね。
そして進路調査票の話で…高島くんが中学受験失敗で…多分それで父親がひどい反応をして、それで「親父にきらわれてる」と思い込んだのか…
美咲ちゃんの母親の期待しなさすぎの言葉もすごいです。本音なのでしょうが…まあ昔みたいに末は博士か大臣か、よりプレッシャーは低くていいのかもしれませんが…複雑です。医者になれないバカな子はいらない、といわれるのとどちらがましか…どちらにも不満を感じます。
あきらめている、といわれて泣き出して…ただしゃぼん玉で…胸が痛いです。
そして預かった子どもが急病、それで…どうにも…
ここで高島くんのほうがすごい壁をぶち壊したのが素晴らしかったです。むしろこの話が彼にとってのドラマだったというのがうまい。
人のことで頭を下げられる…そのことで認めてくれた父親に、なんだか涙が溢れてきました。本当に。
それで美咲ちゃんも一歩前に出て…どちらの親も、子供には…とにかくちゃんとした意志を持って欲しかったのでしょうね。高島くんの親はただ闇雲に反抗するのでは何を言いたいのか、何をしたいのか伝わらないし…美咲ちゃんの親から見るとあまりに遠慮しすぎで…
いきなり両思いになってしまって二学期が始まった…さあ目標と支えあえる人がいるのですから、勉強だって決して辛くはないでしょう。
とにかくまず自分を見出して欲しい…絶望で壊れ、意思を失って自分でものを考えられなくなることだけは勘弁して欲しいですよ。社会そのものも、なんとか子供に希望を与えるようにして欲しいですが…

ラブパズル
今回の話は仁美ちゃんがちゃんと生きているキャラだったのが成功でした。
いきなりカメラにへばりつく男子キャプテン…そして二人の口げんか、見ていて楽しいです。
今度は三角関係まで、常磐津が燃えるのわかります。
やっぱりこの征服、第一ボタンを外した襟元がすごくいいです…気合入ってますし。
「告白されてフッてますよね?」というのも、読み返してみるとうまい…。
練習では二人で、あえて友だちの距離感を保っている…どっちもそれが心地いいからでしょうが。
相合傘もすごく嬉しくなりました…彼のほうももうちょっと態度に出して欲しかったですが。
で「合宿の夜」はどうする予定だったのでしょう…やはり伝説?それとも…花火とは、かわいいものです。
「どうしてもお話したいことがあって」で盛り上がって…単にマネージャーになるだけでしたか。
でも、この作品のキーになったのが仁美ちゃんが爪を短くした、ということです…本気なんだ、とすごくひしひしと伝わってきました。単なる嫌な子じゃなくて…
結局約束の夜、こんなことに…ムードないですね。
「モロバレな状況でやるヤツいねーって」だからこそ盲点になった、と。
微妙に二人の関係が変わっていて、それで…単なるタオルで嫉妬して…ここはちくん、とします。
みんなでわいわいやって…楽しそうですが、全国という雰囲気じゃないですね。
二人とも「最後の合宿だった」という言葉が出て…自然に映研の部室に誘われて…
やはりここの暗さはすごくいいムードになります。そして橘さんの抜群のスタイルも…ドキドキします。
結局そういう誤解でしたか…逃げた彼女を追おうとして転んで、この格好悪さがリアルで素敵です。
もうどうしようもないですね。というかこの二人きりの密室…いや、ここは注目されますから危険です。
しかし、爪を切るほどの覚悟を見せておいて失恋したらあっさりとマネージャーを辞めるとは…本当に人間らしいです。
そして次回は仁美ちゃんの話?楽しみですね。

真夏の奇跡
臨海学校…普通はチャンスだけど、片思いが長いから想像で満足してしまっている由依ちゃん。
彼女が拾った四葉のクローバーがたのネックレスに、「あなたの願いなんでも叶えます」とあり、初めは本気にしなかったけどなぜかケーキは叶ってしまい、それで彼と近づこうと、それがどんどんエスカレート…

ホラーとは気づきませんでした。
この話って、「ミルモでポン!(篠塚ひろむ)」と紙一重ですね。ただミルモはちゃんと心があるから、楓ちゃんが自分のしたことの間違いに自分で気づける、と信じるまで魔法は使いませんでしたし、楓ちゃんも心と心の信頼にちゃんと応えましたが…。本当に「何でも願いを叶える」ものなんてあったら、それだけで…それ自体は善も悪もない中立ですが、人間はそれを使うには弱すぎます。
善人の手に渡っても危険ですよ…環境・人口問題を解決してくれなどと頼んだらとんでもない伝染病が蔓延して世界人口が四分の一ぐらいまで減って解決してしまうかもしれません。ギリシャ神話の名医アスクレピウスが死者をも生き返らせて世界のバランスを崩し、ゼウスに殺されて蛇使い座にあげられた、というのがその戒めでしょうか。
冒頭から妄想…ううん、片思いが長いと想像力が豊かになる、というのはいやというほどわかります。
最初にある落とし穴なんですよね、自分で勝手に理想を膨らませてそれに恋している、現実の相手は全く必要ない…という腐った状態になりかねません。
見ているだけで幸せ…な上体、でも渋谷さんのほうはもうかなり近づいている…それも「ミルモ」と同じですね。
願いを何でも叶えてくれる…となるとあれですね、自分が何を願っているか理解しないと…『はてしない物語(ミヒャエル・エンデ)』…。
ケーキをたくさん、というのがこんな形で…ううむ、「猿の手」のように、ここでは代償が現われないのがまた悪質です。
どんどん願い事がエスカレートしていくのも、ホラーとわかって読み返すとスリリングです。
もう死んでもいい状態…でも、それでもまだ渋谷さんには負けている…ここで、ミルモだったら自分から近づけよ、って怒鳴りつけてくれるでしょうがこのペンダントは何も言わない…
いきなり名前で呼んでくれて、それで…罪悪感が吹っ飛んだ、というのも非常に危険な感覚です。何かについて罪悪感を失うのは、それ自体心のバランスが崩れているということですから。
とうとう最後の一線を越えてしまい、幸せ…な中でペンダントを盗まれて…自業自得ですね。
それで終わればよかったのですが、逆に渋谷さんのほうも一線を越えてしまった…そのほうが悲惨です。
ペンダントの効力が消えて、それで…守村くんの記憶も消えてしまえばいいのですが。というかその点では「ミルモ」の結木くんのほうが寛容ですね、日高さんに最低だ近づくな、と言いませんでしたから…。

イケイケ!スクール・ライフ
地味なめがねコンビの颯太と湊、同時に高校デビュー!湊は颯太の好きな歌手、エミちゃんが目標。
二人とも高校では信じられないほど変わっていたけど、彼の反応はいまいち。その彼にはすごい美人の高橋さんが近づいていて、勝てるわけがないのもわかる…
久しぶりです!この世代の作家は出番が少なくて寂しい…だからこそ嬉しいです。
この話は紹介用にあらすじを書いていて初めて気づいたのですが、「話」といえるものがほとんどないんですよね。それでこれだけしっかり食べごたえがあるんですからすごいですよ。変に物語を盛り上げるよりこのほうが強烈な印象です。
ほとんどが女の子の心の中の空回りだけなのに、それがこんなに面白いなんて。
冒頭の黒髪めがねコンビも十分可愛いんですが…それじゃ満足できない、というのは悲しい風潮です。
というか彼の部屋でこうして雑誌を見てるってどんな関係なんでしょう。
彼が全く反応してくれないでケンカ…うう、見ていて楽しい。
アピールしなければ…そうですよね。
この美人の高橋さんが当然絡んでくるのかな、と初読時はすごく楽しみになりました。
高橋さんが「エミちゃんに似てねー?」の一言で、どれだけ気づいたか彼は全く知らない…この鈍感さは頭を抱えるほかないです。
落ち込んだり、彼のメール一つでまたご機嫌になったり…女の子って素敵な生き物です。
彼の目に「わたしいま高校生になってよかったよ」とまで喜んでいるのに、それが高橋さんの存在だけでここまで…ここで高橋さんが、告白するなどの動きはしていない、単に帰りに誘っただけなのがすごいところです。
もっと彼女が積極的なら、また湊ちゃんに対して干渉していたらパターンどおりの三角関係になっていたはずですが…そうじゃなく、事実上湊ちゃんの思い込みだけで話が動いているんですよね。とにかくそれがすごい。
泣いてコンタクトをなくしてメガネに戻って、ぼろぼろになって…そこを彼が待っていてくれた…
そのどうしていいかわからないパニックが強烈で、たまりませんでした。
彼は高橋さんを振り切って待っていてくれたのに…
もうラストの言い争いと告白がごっちゃになっているのも最高。
両方目的はかなったんですから、もう髪を黒に戻してメガネにしてもいいのでは?
なんというか…すごい。女の子の心の中の空回りだけでここまで描けるなんて…

AMY
ものすごく派手…だけど、サッカーに混じってスカートを指摘されたら自分からスカートをめくって短パンはいてる…と思ったら間違えて兄のトランクス、とちょっとバカで元気でお笑いな部分もあるアミイ。
ある日、おとなしくて清楚な人気者の戸田さんが自分と同じ服を着てきた…
とんでもなく激しい作品です。その心理のリアルさもすごいですよ。
冒頭から髪とかスパンコールとかフリルとかの乱舞に目がちかちかします。それでランドセルと言うのがすごい。
私服の高校が何年先の話…そうですよね、小学生にとっては高校なんてずうっと先の話に思えます。そんなことも忘れていました…
いきなり自分でスカートをめくって、それがトランクス…この容姿ですごいキャラですね。
男の子はおとなしくて清楚な子が好き…それも普通です。
鼻が出ているのも小学生らしくてすごいです。
くねり、としたら…「門倉らしくねぇよ」と、そのままの彼女を見ている…それが彼の一貫したキャラと言うのも読み返してみるとすごいです。
転校早々ランドセル中身ぶちまけ、さらに羽のランドセルと…浮くところを助けてくれた…
「なんで自分からみんなの輪に入ろうとしねーんだよ」…これ、僕自身も含めてものすごく多くの、大人子供問わず毎朝耳元で怒鳴って欲しい台詞かも。
いきなりおそろいで、彼女のかわいらしさにいいなと思って…同じ表情が繰り返されるのも上手い技法です。
詩帆子ちゃんがあくまでアミイのまねをしている…それって…偶然か、と疑っているところで、さりげなくバケツを投げたのが後ろの男子に当たってしまうというのがあるのがすごい。
そして三度目の「あ」。
髪形を変えてもついてくる…ここで友だちの女子の吊るし上げにはぞうっとしました。これは男子が見てはいけない領域ですね。
それで詩帆子ちゃんの別の顔…これはびっくりしました。それを「いじめ役のオファーが殺到しそうな」とくるのがまたのんびりしていますね。しかもちびってもいる…
さらに携帯メールで陥れるとは…そう、本気で人を陥れようとしたら、まず逃れるのは無理…
それでぼろぼろになったところをさらに追い詰めて、もう地獄少女呼びたくなりそうな攻撃!
ここはすさまじかったです。
アミイちゃんの「マネするだけじゃよくないと思う」と、冷静に正論を言っている頭のよさも意外です。
暴力になって、門倉くんに見られた瞬間体勢を入れ替えて自分が被害者の振りを…これはうますぎて言葉になりません。
さらに門倉くん、「戸田のいいとこ殺してまでマネしなくてもいいと思うよ」…あくまで人の個性を尊重するんですね…
優しすぎますし…「きこえる?オレの心臓の音」は強烈!精神年齢高校生以上じゃ…
彼の告白、特に自分が疑ったことを後悔して…ここでのぼろぼろに汚れたアミイちゃんの表情も、小学生らしい綺麗な心が伝わってくるようでなんだかすごいです。
アミイちゃんが「勇人くんみたいなやさしい心の人間になれるまでまっててほしい」という言葉も感動です。
自分を高めようという意識がちゃんとある…それだけですごいですよ。
一晩たったら顔中腫れだらけ、というのもすごい…詩帆子ちゃんの自分らしいファッションも、やはりこのほうが似合っています。
そして、あれでもあいさつをするというのも…心のレベルが高いですね。
心のレベルって顔・体力・勉強以上にはっきりと、残酷なまでにありますよ…
このすごくリアルな女の子の心情には心臓が止まりそうでした。すごいです。

あっぷるポンタン
ますます違う意味での木村先生らしさが…
さくらちゃんもよく我慢していますね。
ちょっとほめられたらあっさりハートが出て飛んでしまう…見ていて飽きないというか軽いというか。
赤褌さえカッコよく見える…どうしようもないですね。
「エノっちポンタンを好きだったりして」って、罪深いことを…。
もうハートだらけであふれそうになって、教室に入るのもドキドキして…かないません。
で、何か情報を聞こうと塚田くんに話しかけたら…もうどうしていいやら、頭痛がします。
もうぼろぼろになって…結局本当にエノっち…??
また自意識過剰の勘違い…はないですよね?

空も飛べるはず
超待望の夏休み…でも夏期講習でせっかく学校から開放されたはずなのに、とブルーな琴子ちゃん。学校も楽しいことも別になく、ただ無難に…。
でも塾では周りが放っておいてくれず、色々な人たちが強引に話しかけてくる。それで少しずつ変わっていた彼女は、登校日にもつい塾でのように話し、笑って、みんなの見る目も変わってきた。だがそんな時、苦手な隅田さんが学校に押しかけてきた塾仲間に話しかけ、琴子ちゃんの変化を揶揄して…

これまたすごい作品です。目の輝きがなんかすごいですし、服の質感とかもすごくいい!
塾通い…といっても、それも親が大金出してくれているということは忘れないように。
世界のほとんどが学校で、ただ無難で地味な日々…というのもなんだかわかります。僕は底まで賢明じゃなかっただけで。
いきなり話しかけられてびっくりして、この反応は面白いです。
僕も塾では…同じ中学の連中がいたらちょっかいをかけられて勉強にならず、クラスが上がって勉強ができるようになったら勉強だけで全くつきあいはありませんでした。
この塾のこの先生も実に面白いキャラですね。
いきなり誘われて、強引に引っ張りこまれて…今となってこれを見ると羨ましいとさえ思います。
みんな猛烈に熱くて楽しいです。
梨音ちゃんの、勉強ができるのに学校にあまり行っていない…いじめ、と聞くのに気を遣うのも、なんだか肌が剃刀で切られたような恐怖を感じます。
なんとなく…リスクは覚悟してる…勉強はちゃんとやる…それはそれで面白い生き方かも。
心配ではありますが…
「あたしの「ホント」なんてサイアク」という言葉もすごく重さがあります。
そして、「ほんとうはわかってたはずなのに」という言葉も…どれほど、それが該当することが多いか!どれほど人は、目の前にあるちょっと組めばいいだけのパズルから目をそらすか…
それでハジメくんとほめあいになってお互い照れてしまうのも楽しいです。
そういうのも大切かもしれません。
こうしていろいろなことを楽しむ新しい自分を見出して…というか勉強は?いや、こうして新しい自分を見つけていくだけでも十分価値はあるかも。
登校日が逆に辛くなる、というのも妙にリアルです。
「ハジメってやさしーね」が急所、というのも楽しい。
登校日、ぱっとみんなと話し始めて世界が変わっていく…ここはすごく気持ちいいです。
こんなささいな会話からこんな世界ができるなんて…さらに男子も加わってきて…
そうしたら男子にも反応がいい、というのも興味深いです。
梨音ちゃんとハジメが来てくれて、いかに心配してくれていたかもわかってほっとしました。
「そうおれやさしーから」「うわ!自分でいった!」「いわれる前にいってやった」というのがさりげなく面白い会話です。
ここではじめて隅田さんが動き出しましたね。この圧迫感がまた強烈ですね。
声が出なくて汗も出ている、というのがすごいですよ。
さらに追撃までして、何がしたいのでしょう…こいつら。
その猛烈な圧迫感から乗り切って髪を解いて、こんな小さいことが彼女にとって一生を変えるような、すごく大きいことなんだ…というのが素晴らしいです。
ハジメや梨音ちゃんもあくまで助けてくれますし…
恋については「ひとりじめ禁止」程度ですが、すごく心情描写がりあるで素敵でした。
これからもこういう、すごく鋭い作品を出して欲しいですが…難しいかも。

わらって盆ジュール!
夏休み、お墓参りの途中に成海くんと出くわしてどぎまぎ、花束を痛めてしまった笑瑠ちゃんに、花屋の子供だった彼は店の商品をくれた。それを墓前に捧げて仲良くなりたい、と祈ると、亡くなったおばあちゃんが出てきて恋を応援してくれることに。
でも公園で彼と会えたら風でスカートをめくったり水道の水をかけたり、とんでもないお節介に正直困って…
ずっと出てきませんでしたからすごく心配していました。雰囲気もデビュー作の暖かさがそのままですごく嬉しいです。
はっきりした表情と雰囲気…花屋って、お盆も忙しいですね。
おばあちゃんのことを思い出して祈って、それで本当にこうなったら…いいんですが。
いきなり背中を押してくれて、さらに笑顔まで…強引ですね。
さらに花の中から出てくるのはすごい。楽しすぎます。
親戚一同がお盆に集まる、というのも素敵ですね。
完全にからかわれているのも楽しいエス。
恋を色々応援してくれる、というのも…すごく面映いほうが先に出ちゃうでしょう。
子供たちとは馴染んでしまっているのも、すごく楽しそうで羨ましくも思えます。といっても、もし僕のおじいちゃんやおばあちゃん…が出てきたら、まずものすごく怒られるだろうな…
困ったときは…なんでしょう…
公園に行くときの笑瑠ちゃんの服もすごく涼しげな質感があって見ていて心地いいです。
一つだけたりないモノ、というのがおばあちゃんのいった、困ったときの…
まさかまた会うなんて!そして、「いっしょに遊んだことあるかもね」「かもな」もうまい伏線になっています。
そしておばあちゃんのお節介に連発、どちらもすごく迷惑。
犬がぶるうんしているのが可愛いです。
悲しくなって逃げてしまって…もうぼろぼろに恥ずかしくなって、これすごく伝わってきます。
電話に幽霊が耳を当てたら向こうには彼だったとわかる…ここはすごく楽しい気分になります。
で、おせっかいしすぎて「もうあたしにかまわないでよっ」を彼に…うわあ。
もうぼろぼろになってとんでもないことを言ってしまって…これはこれで悲しいですね。
それで反省して上を見上げる笑瑠ちゃんの表情がすごく素敵です。
そして…自分から動こうとしたら、彼の…でもこれ、あくまで思いやりですよね。単に彼女の態度を誤解していただけで…
犬が必死で引きとめようとしてくれるのもさりげなく嬉しいです。
これで必死で引き止めて、一気に告白にはびっくりしました。
それで泣いている…ここで「こういうときは「笑顔!!」だろ?」…これ、すごく胸が字わっとあったかくなりました。
昔そんなことがあった、というのも…ずっと彼はその思い出を大切にしてきたんですね…
犬が離れてしまっていて、それでおばあちゃんと別れを告げる余裕ができて…本当に似ていたおばあちゃん、それにおじいちゃんも出てきて…
そして犬を追いかけてもう呼び捨て、というオチもすごく暖かいです。
超自然に頼ることなく、自分の力で成長して…ため息が出るほど素晴らしい。
この雰囲気の暖かさとまっすぐなメッセージ、大切にして欲しいです。
もっと出てきて欲しい作家ですよ。

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