なかよし2005年春ラブリー感想

今回も大当たりです!
すごく感動できる作品もあり、全体にとても楽しかったです。
そしてよく読むと…不思議なぐらい、昔の僕に見せたい作品が多いです。

予告段階では、テーマにあまりいい印象を感じていなかったのですが、作家一人一人がすごく深くそれを掘り下げていたのがうれしかったです。
結果どうしても似た話になるのは仕方ないですが、それはそれで同じ素材でもそれぞれの調理法で十分楽しめました。僕は「同じく定番定食ですが、料理人それぞれの個性と腕をご賞味ください」というのもいいと思います!

よく考えれば、このテーマ自体結構深さがあります。{嘘の自分}と{妄想の恋}の二つのテーマがからみあい、それが成長に結びつくにはどうしたらいいのか、となっています。
ありのままの、ダサいままの自分で{モテる}のは本来無理があります。
そうなると、もっと軽く扱うなら{ただの憧れ}ですが、そのまま育っていくと{妄想の恋}になるでしょう。その妄想を批判的に描き、現実を見るよう促すこともできますし、妄想自体を描くこともできます。
またダサい自分から脱し、おしゃれをすることでモテるという路線もあります。しかし、それだと相手に見せるのは{嘘の自分}であり、それで得た恋に意味があるのか、という問題にもなります。
だから{本当の自分}を見て欲しい、ということに…
この堂々巡りをどうすればいいか、結論はそれぞれの作品を読んで考えてみましょう。ヒントは…昔のジャンプのマンガであった、相撲の修行をすることにした主人公が力士の脂肪を魔法の服として身につけて修行した結果、その脂肪は魔法の服を脱いでも消えず自分の肉になってしまい、勝利は魔法のおかげではなく実力だ…という話でしょうか。

BAD GIRL(原明日美)私立モテスギ学園(恵月ひまわり)モテモテ研究所(ハットリユカコ)春色カルテット(白沢まりも)モテ子にChange!(咲良あさみ)キャンデイ・フラワー(山田デイジー)モテるが勝ち!?(ナフタレン水嶋)中学デビュー!(水無月真)裏庭スイーツ(山名沢湖)けだものだもの(フクシマハルカ)ココア!(柏木志保)wish(征海未亜)Happy Birthday(有沢遼)ハ・ラ・ペ・コ(さくや一歩)ずっといっしょ(ゆみみ)しあわせな恋の国(姫宮ユイゴ)ハルコイ(高上優里子)制服をきて会いましょう(春瀬サク)ケロッとみちガエル(坂下志麻)悪魔的恋愛序章(美麻りん)ハピスタ★(滝口れもん)

BAD GIRL
もし二人好きな人ができてしまったら…恋人の裕希くんの鈍感さに怒り心頭の芽久ちゃん。突然塾メイトの内田くんにもいきなりキスされ、混乱しているところに裕希くんから指輪をもらい、と思ったら内田くんにその指輪を取られて…もうどうすりゃいいの!
うまいっ!まさかこうなるとは。
すごく心理に説得力があり、しかも一枚はいでみれば、昔からの女の子の夢!
一年はともかく、半年記念日を覚えろというのは酷なような…逆に男のほうが半年記念日を迫ってきたら、引きません?
内田くんの優しさ…片思いなのか、と悩んでいるところにすっと入ってくる間合いつぶしはお見事。なんかドラマみたい、と女の子があこがれそうなシーンです。
まあただ優しいだけの男でも、これぐらいは…しないよな…
「聞きちがいだと思ったでしょ」からキスはうっきゃーっとなりました!
そして…パニックのところに指輪は、もう…幸せというかバカというか、本当にここで終わってくれたらどんなに…そうはいかないんですよね!(すごくうれしい)
あの指輪を取られて、という展開はかなりどーしよどーしよとパニックになりました。
それがデートになってしまう、そして内田くんのことも男として意識してしまう…ここが丁寧に描かれているのがいいです!
そしてこの夜景はある意味とどめ。「この手…ふりほどいてっていいから…」この誘惑はすごい。これに抵抗できる女の子はいないですね。
うそと罪悪感が積み重なっていく心理もうまく描かれて…というか、ふりほどけなかったということは、昨日の夜あれからどうしていたんでしょうか。
うそがばれて、ものすごい危機感が見事的中!もうだめだ、消えてしまいたいというのが正直なところです。
「記念日に彼女を泣かすよーな男に」はぐさっときますね。だからこそ、この精一杯誠実な対応…これも感動です!
誠実には誠実を、彼女がこうして二人を呼び出し、こうしてけじめをつけようとした、それ自体は僕はいいと思います。
で…それでこうなりますか?二人ともよっぽど彼女が好きなんですね。うわ、それで…おいおいおいおいおい!これからどうするんでしょう。かなり強烈な幕切れです。

私立モテスギ学園
中学卒業が失恋記念日に。小出くんは「てゆーかきみだれだっけ」…それで高校に入ったらモテ子になる、と決意するけど、ブス、胸ない、ズンドー、イタい、センスない、チビ、足太い、あつくるしい、オンチでぜってームリ…ぼろぼろの彼女の前に現れたのは超美人の可能姉妹!二人が誘ってくれた私立モテスギ学園で、モテるための地獄の特訓が始まる…
ヤバスギと距離をとったのがよかったです。あれはニンニクと激辛唐辛子をあわせたようなものなので、下手に混ぜると全体が台無しになるでしょう。スパイスはこれぐらいでちょうどいいです。
卒業記念が失恋記念…まあお仲間はたくさんいますよ。
相手に知られてもいない、というのは…いかにアピールしてこなかったかよくわかります。
現実をしっかり言って「だからぜってームリ」と言ってくれる友達、逆に貴重では?
壊れて笑っているのは、ある意味壮絶な眺めです。そして出てくる超美人二人組…本気でやってみませんか、エロ路線。夏はエロスギ学園…それはヤバスギ。
可能姉妹…懐かしいなあ、アニメミルモにまで出てきて…
いきなりゲームというのもある意味過激です。こういうマニュアルがあったら…いやだなあ…
一週間かそこらで変わろう、というほうが無茶ですね。特に華道とか歩き方、お行儀などは何年もかかって学ぶものですし。
それで…可能姉妹の過去にはびっくりしました。極端すぎるぐらいですが、それだけインパクトはありますね。
で、可能姉妹を信じて…ますますわけが分からなくなる修行が笑えました。
実地修行といっても、ちょっとこの短期間で変わりすぎですが…まあその極端さもわかりやすくていいでしょう。
そして、それでもまた「わるいけど…先約あるンで」にはびっくりしました。
さてここでどうするか…男なんていくらでもいる、とするか、それとも…結構過酷な分かれ道でしたね。しかもそれは自分の意思ではどうにもならない、むなしさだけのものです…
ここからの展開はかなり強烈でした。小出くんって、初めにこのノートを見たときさぞショックだったでしょうね。それを全部受け入れて、努力を認められる…ものすごく内面もいい男だったんですね…

モテモテ研究所
ちょっと唐突な感じです。まあ有沢先生が読みきりに集中して、JFを描く暇がなかったということでしょうが。
JFのようにキャラが立っていないのが残念ですが、再現ドラマはしっかりしています。どちらも手をつないでいるラストがかわいはずかしいですし。
小峰さんの、嫌いな相手でも助ける優しさは、僕も見ていたら一発でしょうね。
「いつもって…」というのはちょっと震えましたけど。

春色カルテット
いつまでもこのまま、と信じていたあすみ、裕太、典孝、久実の四人組。でも、典孝くんがあすみちゃんに告白したことで、バランスはあっけなく崩れた…
いかにも青春!すごくリアリティの高い話です。
バスケシーンはもうちょっと迫力がほしかった気もしますが、まあ男女混合で遊んでるんですからアリウープやダブルクラッチはかえって場違いになるでしょう。
四人の関係、そして「ずっとおなじ毎日が続くと思ってた」という言葉もわかりやすく、誰にでも理解できるものでしょう。
その四人の関係が少しずつ変わっていくところを、いきなり告白ではなくメイクなどのささいなところから出てくるのが説得力を高めています。
手を拭いてもらって全く意識しない、というのは…読み返してみると典孝くんがちょっとかわいそうかも。
典孝くんが告白したことを裕太くんに言ってしまったのは、あすみちゃんの気持ちがわかっているから裕太くんのほうの気持ちを知りたくて、でしょうか。
裕太くんとの、あすみちゃんのいいがかりに近いようなケンカも彼女の心の不安定さがわかって、なんだか懐かしくさえなります。
コートがなくなったことで、変わらざるを得ないことを意識してしまうのも切ないですね。
で、「久実は裕太とつきあってる」と誤解にまで行ってしまっているのも、この年代らしくて苦笑します。
で、まさか久実ちゃんが典孝くんのことを…二重の誤解でちょっと取り返しがつかないことになってしまった…うわー、となんだか非常に重いものを背中に乗せられたような…
「みんな自分の気持ちにまっすぐだっただけなのに」という反省はすばらしいですね。昔の僕ならそんなことには気づけなかったでしょう。
「気づかないフリをしてればかわらないでいられるかもってずっとごまかしてた」というのも、僕も意図的に精神的な成長を抑えて幼いフリをしていたので、よく分かる気持ちです。
反省からバスケで勝負する、というのも素敵です。それが彼女にとって、自分の気持ちにまっすぐになるということ…
唐突にも思える告白、そして…なんだか切ない余韻です。春の哀しみというのでしょうか。
これから始まる夏が四人にとってすばらしい季節でありますよう…。

モテ子にChange!
モテたい小春ちゃんは必死で努力を重ね、見事にモテるようになった。素敵な彼氏もできたし、幸せだけど大食いやゲームを今までのようにできないのは辛い…
う〜ん、うまくだまされました。てっきりパターンどおりと思ったら…
冒頭部の、すごく元気でハイテンションに「モテたいようっ」と動き回っているのが、まるで飛んでいる蝶や自分のしっぽにじゃれている子犬を見ているようですごく可愛いです。ここの分かりやすさはすばらしい。
「モテ子ポイント」と一つ一つ出してくるのも楽しいです。
その清潔感、笑顔、親切は男子も社会人もそうすべき、人間としての美徳だと思うのですが。勉強が努力の中にあるのも関係していそうですね。やはりモテ子はいい人間でもある、ということでしょう。
「かわってみていろんなことに気づいた」というのはすばらしいです!いい人間のふりをしていると、実際に内面も変わっていくものですし…
いきなり押し倒しての告白はびっくり!情熱的というか、結構すごい男子です。
それで…初デートでいきなりくわえたままはんぶんこですか…なんかすごい。
彼のさわやかな押しの強さには女子ならめろめろになるのでは…
ラブレターの山に嫉妬するのも可愛いですね。
あ、モテ子ポイントは4以降…人間的なものから、ぶりっこらしい、フェミニストが見たら目を三角にするようなものになっています。
こうして本気の思いに戸惑いつつ受け入れようと、といっても流されてるだけのような。
後ろから抱えるようにばちを握るのはドキッとします。
影で連打してころっと態度を変えるのは、他の女子はこういうのはすごく嫌うと思います。でも…まあ立ててもらえるとうれしいのは人間しょうがない…もし僕が中級者であるゲームで相手が上級者なのを見せつけられたら…いや、今の僕なら恋心に尊敬が加わってしまうでしょうね。
でも引いてしまい、圧倒された悔しさが恋心を冷やしてしまう男子も多いかも。
素の自分で一緒にゲームできたら…読み返して思ったのですが、どうすればそれができたのでしょうか。どこかで微妙な間違いを、両方犯している気がします。
「ほんとうのあたしを好きってコトじゃないんだ」というのはとても深いテーマであり、この話についてはいいミスリードだと思います。
でも、その違和感があるのはポイント4以降の演技であり、1〜3の人間性としてのものは人間としてレベルアップしているだけですから特に問題はないですよね。
いきなりのキスもびっくりしました!そして…「かわいー子がいいじゃん」は最低、と思いますが、まあこの年代は大抵そんなもんです。
それで終わりにしてしまうのもいいでしょうし、ゆっくりとぶつかり合い、内面同士触れ合ってお互いを知っていくのもよかったと思うのですが…
いきなり変な顔を見せてしまったのは、急ぎすぎだと思います。もっとゆっくり自分を徐々に見せていけばよかったのかもしれません…まあ、それには歩くんのレベルが低すぎるのが問題ですが、彼もゆっくりつきあっていけば成長したかもしれません…
この変な顔はギャップありすぎて、さすがに引きますよ…
ここで「好きになる女の子を見ためだけでえらんじゃダメだよ」と頬にキスするのはかっこいいです!内面は彼女のほうが上手ですね。
で、このオチは…そう、僕はてっきり歩くんが改心するとばかり思ったのです!
見事にミスリードに引っかかりました。
これでいいと思います、今度はちゃんと…恋も試行錯誤しながら成長していくものですよね!男の子も単純、スケベ、面食い、バカですが、それだけじゃなくよく見ればいいところもいろいろありますし成長もしますよ。

キャンデイ・フラワー
カッコイイ、まわりの人もきれいで憧れるバスケ部のエースの八木くん。いつも体育館裏から見つめているすみれちゃんはたった一人で活動中の園芸部。サボり常習の相原くんとおしゃべりしながら、静かに憧れをはぐくんでいる…
ちょっと絵の感じが変わったような…冒頭は目が大きすぎて一瞬不安になりましたが、全体としては安定しています。
冒頭で憧れと普段そばにいる人の対照が示されるのが分かりやすくていいです。
園芸部は一人だけというのは、孤独ややらなければならないことが多いデメリットもありますが、好き自由にやれるメリットもあると思います。
相原くんの優しさも素敵です。それに結構ハーブにも詳しいですね。
カモミールもいいですね…春になったらベランダのプランターででもやってみますか。
キャンディをキーアイテムとして活かすのも見事。「土とか気にならない」でつながるのもうまいです。
しょうがないなあ、と服を相原くんにかぶせながら、バスケ部の笛の音が気になる…客観的に見れば、相原くんは同じ世界にいるけど八木くんは違う世界にいるといえるのですが、それだけじゃないですよね…
世界の違いを「このカベのむこうに」と表現するのもうまい。その壁の向こうに向ける憧れのまなざしに胸を痛め、一度寝たふりをする相原くんの優しさもきゅうっとなります。
本当に髪をおろしただけで…不思議なものですね。
こうしてキャンディの話をしているのはすごく楽しそうです。それが自然に…八木くんとの妄想の話になるのは、僕は相原くんにとっては辛いだろうなと思いますが…鈍感!
そして、せっかく八木くんに近づくことができたのに、キャンディの土から違うことがわかる…といっても八木くんたちが悪い人というわけじゃない、「女の子ーって感じー!!」などと、受け入れようとはしています。
こうして明るい世界に入れてもらえることを、僕も高校生の頃夢見ていたこともありますが…実際にこうなっていたらどうなっていたでしょうか。
「ミミズとかいるんでしょ」という感覚…僕も土をいじるのは好きなので、それに感じる違和感はよく分かります。
そして土や相原くんのよさが分かっていない、ということで、憧れが一気にさめるのは分かります。
ただ…それで八木くんたちを拒否するのはどうかな、とも思えます。なんといえばいいのか、違うのは仕方ないし、憧れももうないけど違うことを許容し、等身大でつきあうことはできると思います。
世界が違う人とは恋や友情が成立しない、というのは寂しすぎます。憧れはともかく、本当の恋ならそれを越えるはず、と信じたいです。
でもこの行動がとても心地いいのも確かです!
そして、もしかしたら、僕も…高校時代妄想していたように、中学時代好きだった子と再会し、減量が功を奏して彼女とつきあい、彼女の友達を中心とした明るい世界に入ることができていたとしても、結局…様々な価値観の違い、生きる世界の違いがわかってしまい、すみれちゃんと同様にしていた可能性もある、と本当に今更になって思い当たりました。高校時代の僕にこの作品を見せたいですが、多分あの頃の僕にはそんなことはわからないでしょう。
いちごを植えている彼、そして「オレにモテてるんだし」というきゅうっとするような告白…「ぜんぜん気づいてくんなくて」という素直な言葉にも悶えました。
すごく暖かな読後感です。全体にいい意味での土の匂いと感触があったのもよかったですし。
そして、高校時代の妄想が実現していても…と思ったことは今は理性としてだけですが、これから時間をかけて心に染みこんで実感となり、芽を出していくでしょう。

モテるが勝ち!?
うわ…これは見たくなかった…
「今人生で一番素でもかわいいときなんだよーっ!みずみずしい肌!サラサラの髪!」というのは事実です。
パンツが見えてるとか…鼻毛とか…これはちょっと見たくない光景です。
女の武器…確かに。体目当てって、微妙に違います。
なんかすごい話ばかりでフリーズしています。

中学デビュー!
小学校卒業と同時に引っ越すことになったのを機に中学入学時からめいっぱいおしゃれを始め、一気にきれいになった透子ちゃん。これまでのことは忘れる、特に小四のとき、おしゃれしたら好きな男子にうちゅーじんと言われたことは!目論見どおりもてもてになった今、こともあろうにその彼と再会し…
さわやかで暖かな美しさ、僕もめろめろになりそうです。
ナズナの別名が貧乏草だとは知りませんでした。理由は…手入れの悪い屋根に生える雑草なのと、春の七草に入っているように食べられることとどちらでしょう。
うちゅーじんというのもすごい感性。なんとなくみんなで爆笑してしまうのも、心を小四にセットしなおせば分かります。
いちいちマニュアル本を見るのが見ていて楽しいです。他の作品のポイントをコラム形式で挙げるのと同じようなシステムでしょうが、凝ってます。
女の子にも嫌われていないのはほっとしました。あ、このお弁当おいしそう。
本気でモテてることで浮かれるのも見ていて楽しいです。
さりげなくペンペン草を意識しているのもいいですね。どんなキーアイテムになるか楽しみになります。
いきなり寒気…もう待ってましたという感じですね。わかってましたけど、この再会シーンが妙に面白いです!
ぜんぶ忘れた…ちょっと寂しいかも。まあ僕も高校に入って、中学までとは完全に切れましたし…そうか、高校でも大学でもデビューしようと思えばできたんだ…
無神経なのは確かですね。
紙での会話は笑えました!そういう仲だったのでしょうか、小学校の頃も。
笑顔に彼が照れちゃうのは可愛いです。
そして、いい方向での変化を正当に評価してくれるのが嬉しいというのもよく伝わります。ここでどき、と彼の心の動きもちゃんと描いていてくれているのがすばらしい!
そして素敵な彼氏が…あまり考えずにOKしたようですが…
彼のやきもちを、見えない壁で表現するのもうまい。
普通に手をつなぐのに戸惑うのも…無理しなくてもいいのに。
それで、碧くんが透子ちゃんと目が会って即向こうを向く…ここは転げまわりそうになりました!それって、ずっと見つめていたってことですよ…キャーキャー。
それで冷たくなるのも、もういやというほど覚えがある反応です。多分傍から見たら好きなの見え見え。
いきなりのペナルティーは…よほど慣れてて、当然透子ちゃんも同じ世界の住人だと思ってでしょうね。そこを目撃されるのも…それでつい碧くんを追いかけてしまったのがもう…ここで「べつにいーケド」で、体が勝手に碧くんが好きなことに気づいてしまう…この展開もなんだか胸が熱くなりました。
それで、大声で「ヤキモチやいてただけっ!」はもう自爆ものでした!
もうだめ、崩れちゃってます。
あ、碧くん…自分の罪は分かっていたんですね…わずかな絵から、どれほどそれを気に病んでいたか、そのまま転校したのが彼にとって辛いことだったろうな、とさえ伝わってきました。
そして「独りじめする?」には…うらやましいと叫びたいぐらいです。
すごい噂になってしまって、本当に貝沢先輩はあっけなく次のコを見つけている、というオチも読後感をよくしてくれます。
すごく楽しめました!

裏庭スイーツ
隣に引っ越してきた同い年の男の子。すごく無愛想で乱暴な口調、それに大事にしているさくらんぼもなくなって…
いきなり乱暴になる気持ちはなんかわかります。あの時はどんなだったのでしょう…
さくらんぼに熱くなっているのは見ているだけなら面白いです。
すごく大事にしている、それでちょっと嫌な思いをしているのが、いきなりこのタルトにはほうっとなりました。なるほど。
手紙の無愛想さが好感が持てます。
この先が楽しみになる、さくらんぼのように甘酸っぱくいい話でした。

はぁっくしょ〜ん!けだものだもの
男女変換体質のハルキと素直になれない小夏の人気シリーズ。今回はハルキが花粉症でところかまわず男女変換、さらにいとこの紅ちゃんも登場で…
花粉症の皆様、本当に大変ですね…まあ明日はわが身…
冒頭のカラーは相変わらずです。いきなりくしゃみで…面白い設定ですね。
くしゃみのたびに、となると…もう家で療養したら?
新キャラの登場もわくわくします。いきなりキスにはびっくりしました!大胆。
ま、ごまかした小夏が悪いです。それで怒るなんて勝手ですよ。
それで「あたしだってハルキのこと…」といおうとしたらまたくしゃみ、こうしてはぐらかしっこしているのは見ていてまだるっこしいです。
いきなり女ハルキが…うわ、ややこしい。
風呂にヨーグルトというのも体によさそうですね。というかあのキャンディから、ヨーグルトにこだわるのはいいです。
いきなり男に戻ってるハルキと一緒に風呂に、それを見られて…さすがに硬直。
で…もう、なんでこんなこといっちゃうかな…頭抱えました。なんというか、自分でもどうしようもないようで…
で、結局紅ちゃんにはばれなかったようですね。
まあやっと素直に言えたことで、全部ごまかせたようです。
泣くしかない彼女、それについに男ハルキが「ヨクジョーしちゃった」…これはうれしいです。
後ろからキスしようとするのもすごくいいシチュエーションですね。
実際問題、花粉症だと本当にキスどころじゃないでしょうね…

ココア!
芸能コースがある学校。特に超人気モデル、地緒&ぼーちゃんのコンビが学校に来るといつも大騒ぎ!関心がなかったつばめちゃんだけど、突然地緒くんに弱みを握られてモデルに!
絵は安定してきましたね。様々な、非常に鋭い表現も出てきました。
つばめちゃんと気づかない、というのもボケた話ですが、まあそんなものでしょう。
ぼーちゃんもいきなりすごい登場の仕方をしますね。「にんにん」は爆笑!
密書がそれというのはとても楽しいです!
いきなり初恋…うーん、おいしいテーマです。
耳に、一体何をささやかれてこんな悩ましい表情になったのでしょう。すごい。
連絡については同じ学校でも、渡せる状況ではないことをちゃんとここで言うべきでした。社会人としての自覚が足りん!
渡す方法は教師に頼むなどいろいろあると思うのですが。
同じ学校なのにここまで違うというのもすごいです。PTAが見たら絶対文句出そうです。
いろいろと新しい世界が開けていくドキドキもうまく描けています。
いきなり地緒くんが別の世界の人間だと痛感する、このシーンもうまいです。
で、いきなりこうなりますか…うわ…
はだけた胸と「オレのなんだけど」は結構胸に迫ります。
ココアで気持ちを落ち着けるのはいいですね。そういう効果ありますから。
トクン…と潤む表情もすごくいいです。
いきなり抱きしめるのも唐突ですごい行動です。
こんなところの怪我を男が自分で見ようとするのは、僕は大災害などで医療が期待できない状況でなければやらないです。怪我があると思ったら医務室に直行するべきでした。
ちょっとこれは過激すぎるかも。
心に自然に染みこむような、乱暴さと優しさ…戸惑う心の描写はかなり強烈です。
どんどん成長しているようですし、これからが楽しみになってきました。

wish
なんでも願いをかなえてくれるという、天使の携帯電話。今回それを手にした松下久実ちゃんは、大好きな木更津くんのことを思い、彼が小さくなってそばにいてくれたら、などと妄想…
最高傑作すぎます。久実ちゃんの気持ち、嫌になるぐらいわかります。昔の自分の醜い部分を突きつけられたようで、ちょっと直視するのが辛いぐらいです。認めるほかない、昔の僕も妄想だけの恋でした!認めてもすっきりするどころか胸が重くなりますね…全部なかったことにできたら…
「好きな人とこうなったらすてきだなあとか〜」というのは誰にでもあると思います。でも、それがどうしようもない妄想になり、そこで自足してしまうかの境界は、あまりに微妙です。
小説で実名は確かにまずいかも…
いきなり本当に天使の携帯電話が目の前に…これ、読み返すと胸からせりあがってくるような恐怖感あります…
軽い気持ちで願ってしまったのが、いきなり「受諾」にはちょっと凍りました。そう、何かで読んだ「願い事は、かなってしまった場合のことを考えてしたほうがいい」…
本当にそうなってしまって…ここで、久実ちゃんの立場から読ませるようにうまい誘導があるのがすばらしいです。
木更津くんの側の恐怖感をここでしっかり出していることも、あとでうまく効いてきます。ここではどうしても久実ちゃんの側から読んでしまって、それに気づかないんですよ。
それでこうして贅沢やわがまま…これも読み返すと恐怖感の裏返しだと分かるのがすごい…
全く木更津くんは彼女のことを知らなかった、というのはいかに彼女がアピールを怠っていたか、ということですね。
そしてイメージが崩れたのが、それが破滅に至らなかったのは読み返すと幸運でした。
そして、「あんたが助けてくれたんだよな」という言葉、なぜこんなことになったのかを知らないからなのが切ないです。
ちょっとした心の接近に一喜一憂する久実ちゃんの愚かさ…「久実もうすぐ彼女になるんだもんね」!!…が、見ていてまるで自分のことのようで辛いです。現実と物語をごっちゃにしていて自分が物語の主人公だから、ストーリー上当然そうなると思いこんでしまうんですよね…僕と久実ちゃんだけじゃないはずですよね。
そして、さやかちゃんについても…彼女だとは思わない久実ちゃんに、いかにに彼女が物事を自分に都合よくとらえているか!これも重症化した妄想の恋にはありがちなこと…あ〜、昔に戻って自分を殺してやりたい…
かばんのノートに目を留めてしまったことの意味も、初読時はわかりませんでした。
そして、明るく一生懸命にお菓子を作っているのも…もう寒気がします。頭を抱えてうめき声を上げるほかありませんでした。
突然の木更津くんの変化にはびっくりしました。冷たい言葉にも。
そして、「すこしはおれの気持ち考えたことあんの?」の一言、全身に氷の刃が突き刺さるようです。
ついに「久実ならいやだ!!」とすべてが逆転して…元に戻り、あのさやかちゃんが彼の恋人だったことも分かり…やっと現実と向き合った彼女…気持ちが分かるって、ぜんぜんいいことじゃないですね。鏡の向こうの自分…もう殺意すら沸かない、ただ目をそらしたいだけです。
妄想の世界に入ってしまうのには、はっきりした境界はありません。でも、妄想の世界から現実の世界へ戻るには、不可能とも思える谷を上らなければなりません。この話では相手の身になる、というごく細い橋を渡って戻ってきました。それで妄想の恋が、かろうじて本当の恋になったようです。もちろん、本当の恋になった瞬間失恋ですが。妄想の世界から現実の世界に戻る難しさは『はてしない物語』により詳しく描かれていますね。
その現実をそのまま文章にする力があったことが、彼女の力のようです。
名前はもちろん全部匿名にしたのでしょう。そして…そのままだとしたらかなり妄想大爆発だと思うのですが…
彼女の成長に「かっこいいなあ」と恋の予感もあるのがいい救いです。
そして、「子どもってきらいなの〜だけど」の、その「だけど」が大きいんですよね…だけど、成長する力を持っている…
ここから、さわやかな風と「いい思い出になってると思うぜ」という言葉は涙がこぼれました。う〜っ!
本当になんてすごい作品!多分、自分のことのように思ったのは僕だけじゃないでしょう。
中学時代の僕に、この作品を力づくでも見せてやりたいです!

Happy Birthday
母子家庭、しかも仕事に忙しい母。卒業式にも来ることができず、家事もしなければならないため友達とも遊べない風月ちゃん、でも今日はご機嫌。年に一度の誕生日、今日こそは自分がシンデレラ!でも、やはり仕事が終わらず帰れないと母から電話。限界…家出する、とさまよう彼女に弟の夕貴くんもついてくるけど、それが逆に病弱な夕貴くんのことばかり心配し、自分のことをかまってくれない母の思い出にどんどん辛さが…
連続で最高傑作、ごちそう責めですねもう。
ただ、この作品は…強引に納得させられましたが、母親も風月ちゃんがずっと我慢しているのをいいことにいろいろ押しつけすぎていました。我慢するのがあたりまえ、という感覚だったのでしょうか。
冒頭の明るい誕生日のメッセージから、正直読み返すのに…マラソンかプールに飛び込むぐらいの覚悟が必要です…
このご機嫌で家事に励んでいる姿が、それからのことを思うと辛いです。
「もっと中学生らしく楽しまなきゃダメ!!」という言葉も、前の作品もそうですが、それも納得できます。
ようやく待ちに待った誕生日パーティ、そんなささやかなことをどんなに楽しみにしているか…もう胸が苦しくて仕方ありません。
「お仕事だもんね…」と、自分を押し殺してしまう…読み返すと、これまでどんなにずっとそればかりだったかが分かって胸が痛くなります。
そして弟の無神経な言葉…自然ですが…に、とうとう限界に達してしまうのが…共感できる読者も多いと思います。
夕貴くんがついてくるのは、あくまで心配だからでしょう。それを感じる余裕がないのも、仕方ないです。
「わたしわるくなんかない!」という言葉も、すごく分かる気がするのです。少なくとも反論する言葉はないし、頭越しに間違っているといっても絶対彼女は心を閉ざすだけでしょう。「みんなふつうにやってるコト」だからわるくないこととは限らない、としか…そして、「汝の意思するところを行え」としか言えません。君が本当にしたいことは何?まあ、分からないのは仕方ない…
「しょうがない」がどれだけ重く積み重なってきたか、繰り返し回想で見せるのが辛いです!どんどん心に重さがたまって、共感が深まっていく…うますぎます。
いくらがんばっても全然自分を見ていない母…これまでずっと母親が風月ちゃんに甘えてきたことも、また事実なんですよね。
ふっと悪い雰囲気の男に見咎められ…夕貴くんもしっかり男の子ですね。
そして、きてくれない母の思い出と雨から…それでも夕貴くんのことしか口にしない母親の鈍感さにはいい加減腹が立ってきます。
「こんな思いするためになんか生れてきたくなかった」という言葉があまりにも強くて、心が吹き飛ばされてしまいます。
そして、「のぞまれて生れてきた」ことをこんな形で確かめるなんて!
この感動は本当にすごいものがありました。誰もがそうなんだ、と…「生まれてきたときは 誰も抱いてくれた 胸にねむった 清められた肌を包みこんだものは ぬくもりだと思い出せ 愛にはじまるのだと(『夜明け』作詞:正塚晴彦/作曲:高橋城)」を思い出して涙ぐんでしまいます。でも、母親がこれまでずっと、風月ちゃんが何も言わず我慢しているのに甘えて、何も伝えようとしなかったこともまた事実です。
ひっぱたき、そして抱きしめる…どんなに長い間、どちらもしてこなかったのか…うわあああ…もう…
そう、風月ちゃんももっと素直に泣いていればよかったし、母親ももっと無言で泣いているのに気づくべきだった…本当に幸運でした。夕貴くんがあくまでついてこなかったら、取り返しがつかないことになっていてもおかしくなかった…
仕事の成功でこれからは家族が取り戻せる、というのもある意味ご都合主義ではありますが、ほっとさせてくれる素敵な終わり方です。
もうこれは、感動なんて陳腐な言葉では表現できません。心が押し流されるようです。読者の皆も同じでしょう。
ここまでの力があったとは…というのが正直なところです!これだけの力のある作家が今のポジションなのはどうなのでしょう…

ハ・ラ・ペ・コ
色気より食い気の大食い女、多恵ちゃんに彼氏!でも彼は小食、とてもいっしょに金魚鉢パフェの夢なんて無理!というわけで、大食いを隠したらいつもおなかがすいて仕方がない…
無駄な力が抜けたらぽわっとした可愛らしさがある、すごく好みの作風になっていてびっくりしました。
僕も(元々太っていて脂肪細胞が多く、すぐ太るのでまず大食いはしませんが)根は大食いなのでむしろ合うかもしれません。ただし、彼女と合わせていたらたとえそのとき多少やせていても、すぐ太ってしまうでしょうが。太らない体質なんでしょうね、多恵ちゃんは…でもちょっとぽっちゃりした感じはあります。
パン食い競争の画像が、「桑名ビジョン」と「げんじつ」が違うのも笑えました。
「好きでもないのにOKしたのか」は冷静なツッコミで…
金魚鉢パフェはさすがに驚きますが。
「人間じゃないよねぇ」でぐさっと刺さって、大食いであることが妙に恥ずかしくなってくる…その心理もうまいですし、このはずかしがっている表情がすごく可愛い!
ドキドキするのが腹が鳴るので表現されるのも面白い表現です。
「ゴムスカー」という気の抜けたシーンも妙に可愛いのが不思議です。弟の言葉も笑えました。
ここからのハラペコぶりが可愛いというか笑えるというか…全く気づかない彼も彼ですが、まあ普通気がつかないです。女の子は小食というイデオロギーは、『風とともに去りぬ』の昔、否それよりはるか以前から絶対的ですから。
いちいちリアクションが大きいのもまた可愛い!
そして、一度目は気づかなかったのですが…読み返して「キッチンのお殿さま」に気づいて、椅子から転げ落ちて大爆笑しました!もう…たまりません。
間接キスにもあまり意識しない自分に、ふと…自分の思いを見つめなおすシーンもすごくいいですね。
とうとう倒れるというのがまた…そこまでの、こんなことにこんな描写技術使わなくてもと思えるようなすごい描写がまた面白いです。
これが秘密だというのがなんだか力抜けます…
「総くんのことまだあんまし好きじゃないかも」とまでいう正直さにはむしろ呆れました。それが刺さるのもなんとなく笑えます。
そして…口移しはもう…すごくやわらかくて素敵な描写です。
暖かく抱きしめる愛情の深さ、というかよく全部受け入れましたね…すごい。
最後の「らいふきっ!」がまたかわいい!確かに食べ物でつったといえばそうですが…もう十分バカップルですね、恋心はこれからじっくり育んでいけばいいです!
なぜか何度も読み返してしまう、とても楽しめる作品です。

ずっといっしょ
兄とその幼友達、和哉くんといつも遊んでいる舞子ちゃん。ずっといっしょだったのに、和哉くんは兄と別の高校に行ってしまう!このままでいいの…?焦りからつい、「遊びいこー」と叫んでしまい、でも結局兄を連れて行ってしまって…
あ〜びっくりしました、扉を見て。ページをめくっていつもどおりの雰囲気があって、どんなにほっとしたか!この作風がどんなにもろいか痛感しました。成長しないわけにもいかないけれど、下手に変わったり人真似をしたら台無しになりそうですから…大変でしょうが、うまく成長して欲しいです。
「受験おわったからって勉強もしないでゲームばっかり」、さりげなく「してる」とあるのが笑えました!そんなものでしょうね。僕は高校受験が終わったら、ずっと我慢していた数学の高校でやる分野に夢中でしたが、それはあくまである種の変態です。
兄が遊ぶのに着いていき、邪魔にされるのは僕も覚えがありますからその気持ちは分かります。
昔の写真も面白いです。
さりげなく、高校に行ったらばらばらになってしまうかもという不安を繰り返すのはうまい。繰り返しがいい強調になっています。
小さいことでもすごくうれしくなったりするのもいいですね!
「オレがいなくてもやっていけるか」という言葉、さりげなく刺さるように別れを実感させます。
本当にタイムリミットでしたね、もしここで「遊びいこー」といわなかったらアウトでしたよ。
倒れるほどうれしい、だからこそ…こんなバカなことをしでかしてしまったんでしょうね!あまりにもバカなことで、逆にうれしいぐらいです。あ〜あ、というかあっちゃあと頭を抱えて走り回りたいぐらいです。
和哉くんが蹴るのはよくわかります。
気まずい、というか…冷静に考えれば、これで和哉くんが怒っているという時点で両思い確定なんですよねv
ありとあらゆる手段を使ってまで連れてきたとは…その手段が笑えました。
これで、なぜ兄を連れてきたのかがいえないのもうまい!このドツボ、すごくいいです。
この重い空気は、一気に関係が変わる…これまでは甘いだけだったジュースが泡を吹いて発酵し、おいしいお酒に変わろうとしているようです。
和哉くんの徹底した不機嫌からついに「キライ」という言葉まで出ちゃうのが、もう力抜けそうでした。
ここで「和哉おまえのこと好きだろー」が来るとは思いませんでした。
それを聞いていても確かめるのが怖い…この思いの切なさがたまりません。
昔の思い出から、やっと勇気が出て、お互い全部ぶつけて、あったかい抱擁がうれしいです。ペンダントをもっとキーアイテムとして活かしてくれればよかったのですが、まあそれは仕方ないです。
すごくほっとする結末でした。ため息。

しあわせな恋の国
福井くんに小学校の頃から片思い、日直が一緒というぐらいでうれしい段階の亜希ちゃん。昔風邪で休んだとき、確保するには自分のを譲るほかない給食のプリンを持ってきてくれたから…ついそのとき「大好き」といってしまい、照れ隠しに「プリンが」と言い添えてしまって以来ずっと思っている。最近カッコよくなってきた彼に不安…
これもよくある妄想かもしれません。
絵はぐっとすっきりしていますが、線の強さは相変わらず魅力的です。
冒頭のあったかい二人の雰囲気はすごくいいです。
男の子をお見舞いに上げるのはちょっと無神経ですね。僕は上がりませんでした。
プリンにこめられた優しさというのも可愛らしくて素敵です!つい「大好き」といってしまって、照れ隠しにプリン…これは悶えました。
「つい最近好きになりました」が気に入らない、というのは理性的に考えると理不尽と思えますが、好きでいた期間の長さを誇りたいという感情はありますね。
先を越されたくないから告白、というのもちょっと後ろ向きですが…あれを忘れていたのはひどいと思えました。まあ真相はわかっていましたが。
「思ったぶん相手も気持ちを返してくれる そんな国」というテーマはすごくいいと思います。
思いというのは見返りを求めないもの、と刷り込まれている僕はそうは考えませんが。
「モテる人間大変じゃない」というのはうまいツッコミです。実際にそんな国に行ってしまって苦労する話でもよかったかもしれませんね。
あせり、そして受け止めてもらえて…これ以上のチャンスってないですよね。言葉すらいらない、ただ抱きしめるだけでいいのに。
ここを見られてしまって告白できなくなる…分かっていますが胸が痛くなる展開です。
そして、マナちゃんの「その国でほんとに亜希がいちばん?」という言葉、ものすごく強い言葉ですね。ほとんど刃で刺すのと変わらないですが、本当に友達だからでしょう。このままでは下手をすると、妄想の恋になってしまいかねないと心から心配し、勇気を奮って心の剣を突き刺したのでしょう…ここがすごいです。
想いが本当に一番かどうか、証明するとしたら…相手のためにどれだけの苦を忍べるか、命も投げ出せるかぐらいですが、それは言ってはならないことでしょうし。
富山さんの勇気を見て自分を見つめなおし、立ち上がるまでの心の動き…苦しみもよく描かれていて、すごくよかったです。
そして全力で、からかいという障害さえ乗り越えて…ここは胸が痛くなるほど決意の重さが伝わってきます。
プリンの件の真相はほうっとしました。
そしてちょっと怖くなったこと…読者にこう語っているのでしょうか、この話ではちゃんと思いは返ってきたけど、あくまでそれはマンガだから…現実には返ってくるとは限らないけど、それでも妄想の中で終わりたくなかったら勇気を出そう!って。
すごく重さがある作品です。

ハルコイ
長身で外見が大人っぽい小学生女子の沙彩ちゃん。同級生男子は子どもだし、ナンパしてくる高校生は見た目しか見てないってことだから、誰ともつりあわない。ある日、コンビニに新しく入った背が低い高校生男子の新家くんと出会う。
絵の微妙な成長もあり口当たりは軽いですが、中身は結構手ごたえがあります。
この設定は面白いですね。近頃はそういう子も多いと思います。
うっかり肘は痛そう!
このコンビニの店長、相当寛容ですね…客とケンカしたのをクビにしないとは。「絶対やめさせてやる!」というのはわがままな言葉ですが、まあ小学生ですし。
同級生はいつまでたっても子どもっぽい、でも中高生は小学生ってわかったとたん逃げる…まあ、犯罪ですし…
そう考えるとちょうどいいのがいないです。大人はもっと犯罪ですから、同級生が育つのを待つほうが本来はいいと思います。そうであったらどんな話になっていたか、それを考えるのも楽しいですね。
誰もいない家、だからコンビニというのをここで、当たり前だから気がつかないような感じで置いておいて、それがあとで生きてくるというのもまたうまい。
寂しいからコンビニ、というのもなんだか身に染みます。
彼が高校生だと分かって、それで…あ、ここで新家くんは沙彩ちゃんのことを内面も分かっていてくれる、だから外見だけのナンパ男とは違う…ここもうまい。
仲良く「冗談っっ!!!」とハモって同レベルで口げんかしているのも見ていて心和みます。
でも彼との接触だけでなく、同級生のユウちゃんや山下くんとの脇筋がしっかり機能しているのもいいですね。別々なので寂しがったり…
大雪なのにコンビニに来る、というのはバカに思えますが、僕も多分マンガ雑誌の立ち読みに行ってしまうでしょう。まあ僕は軽装はしませんが。
ブーツを脱いだ脚にどきっとした新家くんの心の動きもうまく伝わってきます。
沙彩ちゃんが自分の家庭のことを語ってしまうのは、肉まんの優しさでつい心がほぐれたのか、それともこの雪とか雰囲気全体で、寂しさが耐えられなくなったからか…
語っているときの沙彩ちゃんの姿勢がすごく寂しそうで…見ていてぐっとなります。
暖房は…最近一人暮らしを始めましたが、この冬は結局つけませんでした。もったいですし、すぐ調理を始めればあったまりますし。
「さびしかったらまたきてもいいぜっ」と受け入れてくれる彼の笑顔はすごく素敵です。
ノートの件でもうまくユウちゃんと山下くんの脇筋が動いています。
そして、彼の一人暮らしに…ちょっとわくわくしましたが、下心がないことは伝わってきます。
罪悪感や欲望に悶えている彼は見ていて面白いです。
洗いものから手が触れ、抱き合うように…沙彩ちゃんが高校生だったら、このままセックスに至ってもおかしくなかった気もしますが、そうだとしても新家くんはここではそうはしなかったでしょう。
そして、沙彩ちゃんはそういう意識は今回しなかったのでしょうか?そこまでませてはいないようですね。ただ「ヘンなカンジ」を受け止めかねているだけで。
読み返してみると、プリントを見て…沙彩ちゃんが小学生だと再確認して落ち込んでいる新家くんの気持ちは分かります。「かわいー小学生だ」という言葉に、あらためてあまりにも大きな年齢の隔たりを意識してしまう二人…新家くんが知っていることを沙彩ちゃんが知らない、というのもいいです!
ユウちゃんと山下くんがうまくいったようなのもすごくうれしいです。この一見関係がなさそうな脇筋が、ここで沙彩ちゃんの勇気を引き出す形で本編に活きたのがすばらしいです。
そして…この告白は小学生なりの精一杯の勇気が見えて、そう…アンバランスだった内面の成長が感じられて、すごく心に染みました。
新家くんはちょっと先を越されちゃいましたが…ロリコン扱いはされるでしょうか?でも沙彩ちゃんが中学に入れば今は何とかなるでしょう。「八十過ぎればどっちもじーさんばーさんだし(あさぎり夕)」
もう少し、双方の家庭が話にうまく生きていればもっとよかったでしょうが、恋心の成長を優先して描いたのでしょう。いい作品でした。

制服をきて会いましょう
小雪の舞う中一の冬、小学生の男の子の告白に一足早い春…そして先輩として彼氏を迎える遥。彼はかっこいいというより…可愛い!?でも制服を着るとカッコよく見える。そして、せっかく中学生になったんだから制服デートを夢見るけれど、委員会などすれ違ってどうもできない。しかも委員会などで、彼のそばにやたら可愛い彼の同級生がいるようになって…
うわっちゃー、というのがまず第一印象の本音…デビュー作で感じた不思議な可愛らしさが、目を強調しすぎて吹っ飛んじゃっています。まあそれも成長の一段階でしょうから、これからもっと成長してより高いところでバランスが取れると思います。期待してます!
話そのものは面白かったです。
可愛い、と力説しているのって、彼が聞いたら泣くんじゃ…
カメラまで用意しているのはすごい。
体の表現力はやはりいいです。この時期の骨格の細さ、成長の兆しがはっきり感じられます。
初めての制服に緊張して、りりしくしようと一生懸命背伸びしていることも伝わってきます!
二人はこういう仲ですか…カップルというには幼い印象です。
制服デートってなんなのでしょうね。いきなり委員…確かに中学に入ると、委員や部活で一気に忙しくなりますね。さらに塾まで入れると…忙しいサラリーマンと変わらないんじゃ…
遥ちゃんの顔を見ると即ぱあっと輝くように明るくなる表情はわかりやすくていいです。
結局この美少女と縁ができて…うわ、この圧迫感はたまりません。
「おれのコイビト!」とやるのには一瞬硬直し、爆発しましたけど。
犬になったり猫になったり忙しい子です。
かっこよくなっている彼に、僕はむしろ違和感を感じて…というのを期待していました(これまでのつきあいは明らかに、彼を男の子と意識してはいないようでしたから)。
違う方向からトラブルがきたのはちょっと肩透かしをくらったようで、いい奇襲になりました。
「先輩見てると彼女というより姉弟みたい」はきつい…かわいい顔して、わざと傷つく言葉を捜しているのか天然でそういう勘がいいのか…「雫野さんが否定すればするほどあたしが泣かせたみたいに」というのも、わざとやっているのか…ううむ。
ここでつい切れてしまう不安定さこそ、それこそ女の子だと思います。まあそんなことが分かるのは大人だからですが。中学生になったばかりでわかるわけないです。
いきたかったのは…なるほど。見直してみると桜の変化をうまく使っていますね。
本当に好きだ、と思いを見つめなおすのも丁寧に描いてあって、説得力あります。
そして…彼の登場はもうすごくかっこいいです。
二人はこれからどんな風に変わっていくのでしょう。これから一番急激な変化の時期…手を携えて乗り越えて欲しいものです。

ケロッとみちガエル
恋愛ゲーム漬けでダサくても平気なハナコちゃんのところには、カエルの王子と一族がいる。王子の力で彼女をもてもてにしたら、魔王の呪いが解けるとか…でもあんまりやる気がない彼女、無理に…どこで情報を仕入れたのかメイド服を着せようとしたり、青汁だのコルセットだのと変なことになり、とうとう切れて…
お久しぶりです。ずいぶんかわいらしいタッチになりましたね。
恋愛ゲームは何してもモテる…まあ難易度が高いのも低いのもあります。
モテモテになれば解けるとは変わった呪いですね。何か代償があるのでは…
素敵な洋服がこれは呆れました!
「どーせあたしが着たって男子にバカにされるもん」なのにステキな服を買っている、というのが女心ですね。
あっさり平謝りすると決めるのが笑えます。
そして…魔法なしでやろうと思えばこうなるというのは…
なんだか力が抜ける、いい休みになりました。

悪魔的恋愛序章
いきなり「おまえには悪魔がついている」といわれた理乃ちゃん。髪には魔力が宿るといわれ、その長い髪に悪魔が寄生した、と突然、隣の席になったばかりで今日初めて話す浜神くんが。彼は悪魔祓いの家系で、はらってやるから髪を切れ、と要求!どうせ先輩あたりの思い出を引きずってると図星を指され、そして心の準備ができるまで居候しながら守ってくれることに。その悪魔も結構いい人だしかわいそうだし、それに浜神くんは言葉はひどく無遠慮だけど優しいところもあるし…
絵は…これからどう個性が出てくるか楽しみです。
いきなり「悪魔がついている」はびっくりするというか、相手の正気を疑うでしょう。それだけ唐突で印象的な、いい書き出しです。
「髪には昔から魔力が宿る」というのもいい着眼点です。
悪魔も中途半端なリアル顔とミルモに近い体型でインパクトはあります。
髪の毛をほめられるのは女の子にはうれしいでしょうね。そしていきなり哀れな身の上話に同情してしまう、ここは悪魔が改心(回心はできないでしょうね)する方向にいくか、と予想させるうまいミスリードでした。
泣きながら「同情するなよ」も笑え、浜神くんに親近感を持たせてくれます。
代々悪魔払いを受け継ぐ、ってキリスト教が解禁されてからせいぜい…隠れキリシタンとして江戸時代中継承したのでしょうか。というより悪魔払いはカトリック、カトリックは聖職者結婚禁止ですから代々というのには矛盾が…北斗神拳のように同族養子?
「図星」でいきなりガラスの仮面ギャグにはびっくりしました。けっこうやりますね。
「しかたねーなぁ」という優しい言葉から「おもたい未練」と落とす波が面白いです。いきなり同居というのはちょっと飛躍ですが、面白くなってきました。
マラソンのエピソードはすごくいいです。彼の向上心や「まっとーにがんばってるやつは応援する主義」という素敵な言葉、お姫抱っこや手当ての優しさなど気持ちをふくらませる要素も多いです。
彼がつられて赤くなるのが可愛いですね。
いきなり顔だけシリアスというのはかなり不気味で笑えました。
そして、彼女の気持ちの変化をとても丁寧にゆっくり描いているのも、すごく説得力があります。
その変化が、「そばにいる理由失くしたくない」「そんなに昔のやつが大事かよ」という誤解→「こっちだって仕事でしかたなく」となってクライマックスに結びつくのもいい構成です。
そして、いきなりポールが本性を見せるのはびっくりしました…すっかり油断していました!
髪の毛を切るのもすごくかっこよかったです。
ポール、悪魔に対する本質的な同情は僕にもあります。神によって破滅に至る存在として創造されるとは、なんという残酷なことでしょう。
結構二人とも赤面症なのも楽しいです。
一応ポールが生きているオチもなんか楽しいです。
じっくり成長して欲しい、デビュー後第一作が楽しみです。

ハピスタ★
奇跡が起きました!!!バスケ部のエースでめちゃめちゃかっこいい小嶋青空くんに、未知ちゃんはいきなり告白された。でも、別に実力じゃない…怪しい露天商にもらった、怪しい星型の石、ハッピースターを買ってしまい、それに亮思いになれますようにとお願いしたらかなってしまったのだ。どんどん近づくことにドキドキする、つりあっていないのはわかっているからキレイになろうとしたりするけど、ちょっとうまくいかない。そして、外見がだめなら性格だ、と彼が部活をしんどいと愚痴るのに、昔背が低かった頃の笑顔を思い出して「楽しいってのがいちばんたいせつじゃない?」と励ますけれど、逆に彼は怒ってしまう…
冒頭の笑顔になんともいえない明るさがあって、結構好感を持ちました。小嶋くん、男の子のアルコール分の強さはちょっと引きましたが。
この石はいかにも怪しいです。それで本当にかなってしまって…告白されるシーンを略すなど、ちょっとあっさりしていますね。
いきなり手をつなぐなどすごくドキドキするのはよく伝わってきます。
つりあっていないことにコンプレックスを感じ、メイクなどをしようとするのもリアリティのある心の動きです。
結局失敗したから中身で、と切り替えが早いのもいいですね。好感が持てる主人公です。
ここで、昔の彼を意識しているのは彼女だけという点が回想とうまく混じって強調されるのがいいですね。
結局、ここでは怒らせてしまってすれ違ってはいるのですが…乱暴に心に入ってしまったようです。
ここで落ち込む必要はない気もしますが、元々ずるをしたのですから…
このおじさん(どう見ても二十代前半…ということは三十なんておじさんも…)もちゃんとキャラを感じるのがいいです。
これで彼女自身も心が、袋が裏返るように反転して自分を見つめて勇気を出して…この展開はぐっときました。あ、「お兄さん」に変わってますね。
そして、自分から断ち切ったけれど…会った瞬間魔法が解け、もう…と絶望的に落としておいて、これもうまい。彼の中ではどのように記憶が調整されたのでしょう…
はっきり互いに恋心を告白したわけではない、小嶋くんの心はまだこれから…これから始まる、というのもすごくいいです。
次回作でどう伸びるか、楽しみにしています。

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