なかよしラブリー2004年春号感想

きわめて良質なメンバー…作品の質は前号と比べては少し落ちますが、素晴らしい作品も多かったです。
何より水無月先生の巻頭カラーが嬉しいです。レギュラーまたは本誌連載経験者ばかりだったので。

NERVOUS VENUSがどうなるかが少し不安ですが、その分新人作家の場が増えたのは素直に嬉しいです。両方何とかなればいいのですが。

KISS 朝まで 7デイズ まもロリ ビキニ番外編 JF けだもの ボディコン オレンジ アリス かりん バス モモイロ 青い空 オトナ イメチェン パンディ スペシャル どープリ 実験室 ヨシオ P.S.from ムネノウチ

KISS ME ダーリン!!×3
面白い!何よりとにかく面白いです。
別に抱腹絶倒で腹がよじれそうなわけでも、涙があふれるわけでもないです。でもたまらなく面白い、とてもいい気分が続いています。
本筋もしっかりして、それにまたきっちり極短篇をうまく組むことで長いページ数をだれずに進めています。
カラーは意外とほわっとした感じですね。
キスを雑誌で示すと同時に、「Mint」という雑誌名が…キスミントというガムか何かのCMを思い出すのですが、狙ったのでしょうか?
このうわさはとてもリアルな感じです。
教室でいちゃついている、といえば確かに。大判焼の件も公認仲良しカップルの暖かい感じが伝わってきます。
凛、久香それぞれの妄想がまた乙女らしくて素敵です。
それがなぜこういうことに…話の盛り上がりは怖い。
いきなり電柱に頭をぶつける、この雰囲気というかギャグの入れ方というか、すごいです。
「おれ結奈がいいからさ」は…遅効性神経毒。とんでもないこといってもらっています!
久香ちゃんの気合がすごい。
結奈ちゃんと航くんが、意識してぎごちなくなるところもいいですね…「のむ?」は笑えます。
久香ちゃんのお色気攻撃にはKO!うらやましいというか…トラウマになるかも。
胸の谷間をちらりと見せるのが凶悪すぎます。
で、胸を触ってしまって鼻血吹いてダウンがもう…こんな純情今時いるか、ともいえそうですが実際この反応もわかります。
中華まんの使い方が見事!おっぱいの比喩からなんとなく買って、それが…こんな形で使われるとは。
裏パンフというのがすごいですね。さらにその男子版もあったりして。
「彼女作らない〜記念に」というのがすごい大胆!
休館中の図書室…それはもう…ネクタイを解くテクニックがかなり色気感じました。
鎖骨がちらりと見えるだけ、というのもいいです!
ただ、もう少しテクニックがあれば…ロマンチックに雰囲気で酔わせて、何も考えられなくしてやれば成功したかも。
いきなりこの攻撃、先輩もさぞびっくりしたでしょう。世界大地図は人体解剖図、美術大図鑑に並ぶ強力な兵器ですね。
試食という言葉も頭がパンクしました。で、凛ちゃんのタフネス(こりてない。)がまたいいです。
で、やっと本編に戻って…そういう構造はよく読んでみないとわからないのですが…このぎくしゃく感がまた、見ていてたまらないです。
確かにあの話は彼氏には言えませんね。ただ、断言してもいいですが彼氏たちも似たようなもんですよ。
変にごまかさず、すぐ伝えたのは賢明です。短期連載ならその誤解で引っ張れたでしょう。
別れ話かと思って緊張が解けたのは率直でなんだかあったかいです。
「かーわいv」からの流れはもう…甘いというかなんというか、たまりません。
もう「航くんがさわるのなんてフリーパスだもん」は電気椅子状態!
それで胸とかストレートでなくて、髪というのがまたいいですね!本当に男の子は好きな女の子の髪の毛を触りたがるものです。描き方も実に見事ですし。
そこで「ひっぱったりしない…よね…」というのも、女子の不安…乱暴にされるのではないか、と男子の暴力性を恐れる、なんか本質的なものを感じました。セックスそのものを具体的に思い浮かべることはできないけれど、なんとなく乱暴にされるのが怖い…
キスシーンは最高!
で、泣いている久香&凛の姿に笑うと同時に、自分も彼女たちの立場だとわかって…メタ作品な感覚もありますね。
余韻からラストページの、これがまた最高です!笑顔とハートワークのこわおもしろいことといったら。
なんといえばいいのでしょう、この面白さを。
早く本誌に出て欲しいです、こんな面白い作品で!

朝までいっしょv
犬の話はもう出ないのでしょうか?
この話は、なかよし増刊ですから最後までいかないとわかっているのが残念な点です。
話の流れそのものでは二組ともセックスに至るのが自然ですから…
いやそれ以前に、扉のあおり文…十三歳で女になること自体、合意でも強姦罪です。
男の子たちは親なしの自由な生活を喜んでいるようですね。となると、皮肉ですが女子は邪魔だったりして。
綺麗ちゃん、文字通りやる気まんまんですね…女子のほうが積極的、というこのカップルも面白いです。さりげなくサブキャラがしっかり立っているのはさすがベテラン。
ネグリジェはどう見ても誘惑サインなのですが…風呂での男子たちの会話も拝聴したいものです。
二人で、って…ご両親、今でもダブルベッドなのですか…
翌朝、期待に満ちて見上げるもかちゃんの目が笑えました。
遊びまくってムードどころではない綺麗ちゃんたちが実に面白いです。まだ子供なのでしょうか、翔太くんは。
お菓子はとてもおいしそうですし、親への愚痴を言い合い聞き合うことが接近のきっかけになるのもまたいいです。
「特集オトナのデート」って一体どういう…普通予算十万以上…
「かわいーから撮っちゃった」は爆発しました…この甘い雰囲気もすごいです。
オトナのデートは翔太くんにとって逆に疲れたようですね。即寝なんて、若さがないですよ…風呂に誘うぐらい(死)
で、風呂に出くわすのが逆というのが素晴らしい!
そしてマニキュア、特に足がすごい…ものすごく官能的です。もかちゃん本人もすごくヤバイ気分になっているでしょう。
二人とも不安になって、となる流れ…そしてこのバカな行動には肩をすくめるほかありませんが、結果オーライでよかったです。
翔太くんの情熱がまた嬉しいです。
そしてもかちゃんを後ろから抱きしめて「こっちの「もか」がいい」「あまくてかわいい たべちゃいたい」と来るのですから…本当に食べてしまわなかったのが不思議なぐらいです。
二組とも、ここまで盛り上がったら…この話は逆に、なぜ最後まで行かなかったのかがわからないです。
多分年齢的に、男の子のほうがセックスを現実として意識できなかったのでしょうか。
まあとにかく甘くて気持ちよく読めました。

キスまで7デイズ
これは技術の妙ですね。最高のショートショートのようです。
桜の下で同時に、という一番理想的な状況から始めるのがすごい。
それからもうバカップルとしか言いようがないラブラブ、そしてキスを意識して…と起承転結の流れが実に見事!
「妙な緊張」が伏線となっているのがいいです。
そして、この上ばき鬼太郎攻撃は僕も中学時代練習していました!見事な腕(脚)です。僕は中学三年間、毎日登下校で左右二回ずつ下駄箱の自分の穴を狙って練習を続け、それでかろうじて穴全体に入る(上履きを入れる、上の隙間は無理です)ぐらいなのに…見事に急所にフルパワーとは天才でしょうか、彼女。
「体がめあて」という、弁解不可能な誤解をもたらす捨て台詞が極悪。
一日待っている、ずっとぼーっとしてケイタイを離さずにいるのが…見事に気分を描写しています。
時計がさりげなく出ているのもまたうまい!
そして…見事です、このフィニッシュ。

まもって!ロリポップ ミニ☆シアター
これまた実にうまく多彩なメンバーの個性を出しています。
着替えどころか…風呂のドアを開けたら出くわした、ということはニナちゃんももちろん裸ですね。どうせなら一緒に入れば?
ゼロの料理で泣いているのは、後片付けはイチイがしなくてはならないからでしょうか…魔法でぱっと、とはいかないようですね。
「好みのタイプはにんじんが」は爆笑しました!
初花ちゃんへのメールは史上二位(一位はユーゴーと出版社の「?」「!」でしょう)の短さかも。簡潔至極。
クク&トトの暖かい恋も素敵です。
先生方まで、というのが爆笑。
七瀬&八雲が妙に長いのがまた…
放課後はほのぼのですね。

ビキニ!番外編おとぎの国のビキニ
……(上のメールに刺激され、史上最も短い感想に挑戦してみました)

恋愛向上委員会ジューシーフルーツ
新機軸が妙に新鮮に感じます…それだけ、とんでもない年月が経っているんですね。というかこれが今までなかったほうが不思議かも。
全く違う過激路線も、結構今の女子の本音かも。
イヤホンの分け合いはうらやましいです…しかし二股でここまで過激とは。
「くやしかったら声かけてみろっつーの」は正論は正論ですが。
成田先輩のつれなさは結構かっこいいです…本性を見抜いて?
アミちゃんの考え方、結構面白いです。
いきなりキスして既成事実、というのは崩れました。
いつもの三人がきれいに〆てくれたのはホッとしました。いつもの三人のほうがいいです。現在の少女マンガで唯一の良識なのですから!

けだものだもの
単行本も出るのですか!「きょにゅう☆刑事」といい、増刊内シリーズでの単行本が増えているのは嬉しいことです。
冒頭の紹介は実に簡潔、ただし「超Hな女の子」だけだと男の子に対してH、にも読めます。実際には女の子に対してエッチですが、それはわかりにくいかと。
女のハルキと男のハルキを、別人のように意識しているのが今回のテーマでしょうか。
どちらもハルキなのに…二重人格のような部分もありますが。
男のハルキとは進んでいない、というのは寂しいですが、難しいかも。
彼の家に入れてくれない、というのは…その理由はすぐわかりました、家族全員あの体質だなと。それは確かに嫌ですね、たとえ彼女は受け入れていても吸血鬼一家や狼男一家だと、彼女が好きだからこそ言いにくいし見せたくないでしょう。
元々彼女を家に連れて行くなんて、男にとっては考えたくもない最悪なことなのに!
女化はごまかしですね?
風邪をひくのは仕方ないです。走って帰るという手もありますが。
美夜ちゃん、それから一体どうしたのでしょう…
家族を思っての妄想が笑えました!
いきなり超美形に…それはもう期待しましたとも、お兄様の女版に。
女状態になっているのは風邪のせいでしょうか?
アニキの誘惑はかなり女子読者にはぐっと来るのでは?
必死で拒絶する理由がなぜ小夏ちゃんにはわからないのか…
雨にぬれるのはうまく感情を表現していますが、自分も風邪を引きますよ?
メグちゃんの優しさがまたいいのですが…胸をもまれて「うまいことやってんな」の意味がわかっていると笑えます。
「体ふいたほうがいい」は、逆にハルキが女でよかったのでは?男の子の体を拭くなんて大胆すぎますもの。
それでけっこう変な気分になるのは…性というものの微妙さをうまく描いています。
無防備な全裸はかなり迫力あります。
「男でも女でも好き」という結論も微妙ですが、不思議と説得力あります。
あ、アニキの彼女だと思ったのでしょうかこの美女を…判明したところは、わかっていましたが思いきり笑えました!
気づかなかったのは考えたくなかったからですね。
夢も今時これを描けるのはフクシマ先生しかいないでしょうね。
口移しでの告白はたまらないものがあります。
でも…とんでもない問題、外泊の件は一体…
階段越しのキスは結構強烈です。やっと優位を確保できましたね、小夏ちゃん。

ボディコン!
オチが読めなかった自分が悲しいです。
外でも活躍している分、色々吸収して伸びているようですね。
ムダ知識ばかり、ってトリビア愛好者?まあ僕も、「トリビアの泉」は見ていないもののムダ知識ばかり追求していることは変わりませんが。
確かに巨乳を減らしたいというのはケンカ売っているようなものですね。今まで散々見下しておいてそれはないです。
ちなみに、巨乳の子がダイエットすると胸だけやせないことが多いようです。
で、このオチは…「Yの悲劇」並みにだまされました。

オレンジ
僕自身、茶髪などには不快感がある…身体髪膚これ父母に、というかせっかくきれいな黒髪白い肌を壊してどうする、白金を金メッキするようなものでもったいないと思っているのですが。
でも、結構リアルに心理を描いているのである程度わかる気もします。
ギャルに憧れる心理というのもあるのですか…
そういえば、そのギャルたちの学校はどうなっているのでしょうね。本当に校則がないのか、あっても無視されているのか。
同じことを考えている男の子に声をかけて、この出会いは面白いです。
気が合いそうなのに合わないのは面白いです。
先生の愚痴は…ちょっとバカに思えます。始めはきちんと権威を示すべきなのに、自分が子供のように愚痴を漏らしてどうする。
というか母親は何を…あ「ここ受かったら好きにしていい」…暴言吐きたくなります。
片山くんにべたべたしてウザがられるとか、こういう二人の関係は面白いです。
待っててくれる優しさはたまらないですね。
服装検査って…検査も何も…
「クラスに黒をふやす」という発想がバカだから、生徒に権威をもって当たれないんですよね。それが自分の得点だと生徒に足元を見られているから…
なぜ彼女たちが髪を染めるのか、なぜ黒くなければならない(黒のほうがいい)のかわかっていないですよ。
逃げるという発想もバカですね。なぜそこまでして髪を染めたまま学校に行きたがるのでしょう。
「同乗するなら金をくれ」は古いですよ。今の読者にわかるでしょうか、大人になってほとんど変わらない幼な顔とスレンダーな大人の女性らしい体のギャップがなんだか怖いこともある安達さんの昔の名台詞。
ごみを乱暴に投げ込むのは髪以前の問題、僕だったらなんとしてもつかまえて、そこから厳しく…何より片付けさせます。なんとしても髪を生まれたままのきれいな形に戻すことを本人に納得させないと。
今の彼女たちが憧れているものは間違っているのですから。
楽しいって…素直ですね。
髪をなぜそこまでして染めるか、夕日が好きだからと一応理由を出していますね。
単にギャルに憧れるというより…自分の好きな色に自分を染めたい、という感性もあるのですか…理解はできませんが。
「誘惑すんな」って、そう思っていたのですか。でも外見で誤解されたということもあるのでは?その意味でも損ですよ。
不合格者が多すぎて収拾がつかない、とりあえずスケープゴートという学校側の発想もバカすぎて力が抜けます。
そんな中、さりげなく二人の気持ちのすれ違いを描いているのは…髪を染めているバカもまともな恋心を持っているんだな、異星人でも退化したサルでもないんだ、と不思議な気持ちになります。
ギャルが中学生には大人に見えて憧れの対象、ですか…寂しいです、そんな狭い世界しか知らないなんて。もっとこの世界は広いはずなのに。
「色葉のことが好きだから」という告白は爆発でした!
先生の感激はまた…脱力。もう何もいう気も起きません。
「つきあってんのか?」「うん」はまた、とどめのような爆発です。
結局戻すのでまた脱力。こういう世界もあるんですね…僕にはこっちのほうが異世界(僕自身が高校大学と、数学と本とナイフとなかよしという異世界の中で暮らしていたのでしょう)ですが、人間には変わりないようです。
こっちの世界を描く作品に増えて欲しいか…正直微妙ですが、こっちの世界の人も潜在的読者層でもありますし、彼らがいい作品で成長すればそれはそれで素敵ですし…

アリス
「教師と生徒」のタブーはもう破られています。そして、最近は見かけません…一度タブーが破られてしまうと、背徳感が失われて意味がなくなるのでしょうか。
それでかなり危惧していましたが、難しさと立場をきちんと強調して深い感動をもたらしています。桜の使い方、筋立ても見事ですし。先生が非常に誠実で、教師という立場をよくわきまえて振舞っていることが話の格を高めていたと思います。最後の結論がまた素晴らしいです!一番厳しい道ですよ。
冒頭からの、スピーカーのイニシャルという一貫するキーがじつによかったです。
さらにここで、「お姉ちゃんが」「何年かまえにここでだれかが恋してた」と伏線がちりばめてあるのがまた…
洋画をそのまま見せる、というのもいい英語教育ですね。さらにわかるまでひたすら、シナリオと日本語訳シナリオを実ながら何度も見る、聞きながら書くというのは有効なカリキュラムではないでしょうか?
先生にとってはせっかく春休みと思ったら補習、というのも悲しいものがありますね。赤点でなくても補習を受けていいとは知りませんでした。塾と違ってタダですから、お得かも。
かぶさるように黒板を消すシーン、ドキッとします。こういう接近が自然なのは…罪作りというか。
デートだから休む、って…だから赤点なんですよ、まいちゃん。
原作の件で、ふと気がついたのですが「二人はべつべつの道を歩むんだ」はそれ自体強力な伏線と解釈できます…ラストでそれをひっくり返しているのがすごい。人生観そのものが違う二人が、本当にうまくやっていけるのでしょうか…
洋書を読んでみる、というのは…僕は高校から大学にかけて、辞書と「トム・ソーヤー」を数学の参考書と一緒にカバンに詰めていつも読んでいました。
今思い返すと、受験にしてもTOEFLにしても…それほど効率的とはいえなかったようです。どうせなら短篇小説やソネットでも暗記するまで筆写朗読したほうがよかったか、と反省しています。
ここで思い出深い観覧車のライトアップをアリスちゃんと一緒に見たのは、先生は何を考えてでしょうか?
先生は前からアリスちゃんのことが好きだったとも、昔を引きずって気がついていなかったとも、どちらとも取れる気がします。ここで思い出して変な感じの先生、でもアリスちゃんにはそれがわからない…このずれがまた面白い。
「先生から見たら子どもに見えるかもしれないけど恋愛だって真剣にしてるんだよ」と、事実上告白したシーンはすごく迫力がありました。僕だったら…むしろ恐怖さえ感じて、どうしていいかわからないかも。彼女のことが好きであっても、そうでなくてもどうしていいか…本当に真剣な思いがまっすぐ伝わってきます。
先生ははぐらかしてはいますが、ここでアリスちゃんの思いは確信していたと思います。そして「ひきょーもんっ」がさぞ痛かったでしょう。
まいちゃんがどうでもいいキャラに見えて、題材をうまく絡める糸になっているのがすごい。お姉さんの存在がこう絡んでくるとは!
なぜクラスメートの女子ではなく、とっさに荒川先生のイニシャルに注目したのか…女のカンでしょうね。
桜の描写がまたすごい、重い雪のようにその魔力を表現しています。
「杉浦のことは好きだよ」はどこまで「教え子」としてでしょうか?それともどうせうまくいくはずがない、という諦めからか…「ただのあこがれだよ」と、通り文句を言ってしまったことが、とても深く傷つけているのがわかります。
多分、それが一番楽だからでしょう。僕が先生の立場で、そして…あ、荒川先生は「むかし好きだった」以上、今はもうアリスちゃんに惹かれているのでしょう。だとしたら…だからこそ、失敗を繰り返さない、傷つけあわない一番楽な道は教師と生徒の則を守り、憧れとして片付けることでしょう。
花の嵐の中のキスはすごいです。直接描写がない分、余計になんともいえない…保健室での、アリスちゃんの絶望感の暗い雰囲気を出した描写がまたすごいです。今回はやや絵の感じが重いといいますか、画面の面積比で黒が多い感じですが、それがとても丁寧に感情を伝えています。
保健室で一眠りして、どう心境が変わったのか…その煩悶をあえて描かず、読者の想像に任せたのがまた…そしてその間、先生は何を考えていたのか。
フィルムの過去がまたうまい。
「つぎにいえるのは卒業式のあと」という結論、しっかりしたけじめが素晴らしいです!教師と生徒のままで愛し合うのは問題がありますし…これが一番厳しい道でしょう。
普通に接する辛さ、そして目だけで通じ合う幸せ…とても波乱の多い恋になりそうですが、どうか幸せに二年後の春を迎えられますよう。
本当に素晴らしい作品でした。是非本誌連載に出てきて欲しいです。

かみちゃまかりん番外編
いや、これは…この手のパターンは具体的に丁寧に描かれると恥ずかしいです。ちょっとみもふたもないかも。
いきなり押し倒しから始まって、しかも恋人つなぎ…笑うほかありません。
というか学校で手をつないでいる時点で、公認カップルは避けられないでしょう…
ただし、いくつか状況をよくする方法もあります。
 1、背中に「変な接着剤でくっつきました」と紙に大きく書いてはっておく。
 2、おもちゃの手錠をはめておき、誰かが聞いたら「鍵が壊れた」と説明…ただし手錠プレイとみなされ事態は変わらないかも
まあこの、布で隠すのも一つの考えかも。
手をつないで登校に、いちいち「なにかたくらんで」と妙な解釈をする会長が面白いです。
強引なごまかしにいちいち暗示をかけられる先生が笑えます。
ここで焼き魚定食を選んでしまったのが爆笑!それはもう…こうなるしかないですよね。メロンパンやおにぎり、という発想はなかったのでしょうか。
便所はこれまでなかったのでしょうか?「男ならがまん!」は無茶ですが、否定しきれないです…
手をつないだ男女が人目をしのび、二人で男子トイレ…考えられることは一つしかありません。
一体どうやったのか、そこも…いや、発禁ですね。
更衣室に気がつかない和音くんがアホです。
体育倉庫はもう、転がるほかありません。
そして…この光景はもう、笑うほかありませんでした。「すまん!」と去るほかないでしょう。いいわけ不能です。
そしてダンスのペアで、この強引な主張には驚きました!政治家向きかも。人間って実際、たいていは暗示に弱いものです。
そして力技の迫力ダンスは爆笑!
お風呂とかおふとん、ってそんなことを女に言わせるようじゃ男の資格はない!
水着に着替えるのがまたドキドキ、というか体を洗っていないからお風呂の意味はないのでは?いや、洗ってから水着を着たのかも。
本当に一緒に入っているのがすごい…和音くん、意識というかスケベ心はどうなのでしょう。
くっついた布団は笑えました!たまらないです。
ま、これで寝られるはずはないです。
お嫁さんが「二人セット」で、喜ぶ人も…いや、同人誌的な発想をたれながしてはいけません。
これで離れるのはお約束。考えてみると、これ…50ページもの長篇なんですね!全くそんな感じしませんでした。

春はバスに乗って
懐かしい名前です、「車のいろは空のいろ」!
小学校の卒業式が終わって、というシチュエーションが素晴らしい。まさに水色時代…
一人で映画を見に行く、ってそんなことにときめく…そうでした、本当にちょっとした冒険にどんなに心ときめかせたか!というか僕が一人で映画行ったのなんて高二ぐらいですが。
確かにどっちで払えばいいのか、大問題ですね。まあ得なほう=子供料金でいいのでは。
ただ、こんなことは普通意識しないですよ。
大人と子供の境界は…一体なんでしょう。初潮?成人式?二十歳の誕生日?就職?徴兵?初体験?自分の衣食住が自分の収入でまかなえるようになったとき?
それでこんなふうに話して、バスに乗り過ごすとは…素晴らしい。
運転手さんに聞く、という簡単な道もありましたね。
そしてこの野原の美しさ、さりげないですが実にうまく描かれています。
お互い相手のことをまったく知らない、そして…誰にでも色々な顔がある…
そのふわふわ感は僕もあります。この一時間って本当に貴重でしたね。
そして、その先が何も描かれていないのがまた素晴らしい!中学校に入り、二人がクラスメートとして恋が始まるのか、それとも同じ中学でもなく…偶然再会して恋が始まるのか、それとも…この方がもっと素晴らしいです…同じ中学でなく二度と、または同窓会まで会わないとか!

モモイロ・カタオモイ
この増刊でいちばんエロスが強いかも。
子供の時に好きなものを並べるのが実にいい冒頭です。
それが突然こう変わるのには驚きました!
今の二人がこう変わったのですか…チイちゃんが先生に、かなりラフな言葉を使っているのが面白いです。
「ママが女の子はカラテマンに守ってもらうものなのよって」この言葉、フェミニストから見るとよだれが出るほどわかりやすい言葉です。本当にそんなものなのか、興味深いです。
それがいつのまにかべつべつの世界に…いつのまにか、っていつなのでしょう。
チイちゃん、「チイまだすきなんだ」は別の意味に感じたようですね。
つれこみホーダイは正直でよろしい。
親がお弁当を作ってくれているとは、幼馴染もいいところ…縁が切れないわけです。「いってきて」と有無を言わせない権威はいいです!
看病で、桃を食べさせるシーンがものすごくエロチックでした。唇に触れるスプーンの描写がたまらなく官能的です。
それで理性が切れたのでしょうか、彼も。
首筋に唇を進めるということは…経験者?
先生が首筋を注目したのは、まさかキスマークが?もしかしたら、キスマークを見られて遊んでいると思われて、先生があんな行動に出たのかもしれません。
野田くん、夢だと思っていたとは…それは怒りますよ。
先生が寝ている彼女の髪に触れたのはちょっと油断しましたね。ただ、この時点ではこのしぐさから、本気で好きなのではとも感じました。
必死で心配してくれる彼に素直になれない…目が曇っているというのは悲しいものです。
野田くんが腹が立つのはわかりますよ。
チイちゃんは先生に恋愛感情は持っていなかったのが不思議です。先生の迫り方はなんかヘビのような感じで、恐怖感を感じました。
シロちゃん、本当にカラテマンになれましたね…それほど男子が憧れることはないです。
気持ちが爆発してしまうシーンがなんとも…それからの野田くんの素直な告白と甘いキスの繰り返しはたまらないものがありました。

王子様とキスと青い空
どんどん成長していますね。新人の成長を見守ることほど楽しいこともありません。
瀬川くんとの出会いはかっこいいです!僕には無理です、中一の頃の僕にはそんな言葉なんてありません。
そしてもう一人の男の登場、ここまでは先が読めません。どちらも素敵なので、どちらかなと惑います。
この写真を発見されたのは痛いですね…キモはいいすぎですよ。
協力は一見親切ですが、これはもうおせっかいでしかないですね。
チャンスを見逃したのはどうしようもなく事実です。誰が悪いわけでもないですね。
みんなの夜の話、女子もこういうことはあるんですね。僕も林間学校のとき、みんなが女子の品評会を始めたものです。僕は寝たふりしながら、悪口になったときだけ指の関節を鳴らしたので、かなちんの立場もわかります。
「はやさとか…」に「べつに競ってないよ」「自然なことだし」と正論に正論で返しているのがなんだかいいです。
おいていかれるのが怖いからキスしたいのか、それとも本当にキスしたいのか…これが難しいところですね。
林間学校の光景も懐かしくていいです。
それで、突然この話になるとは!これは彼女より松谷くんのほうがたまらないでしょう。
それでも一生懸命励まそうとしているのにまるで伝わっていない、その気持ちのほうがわかる気がします。
ここでの告白で、松谷くんがどれだけ傷つきながら彼女に尽くしていたかもわからず殴りかかるのは…でも理解できます。気持ちがいっぱいいっぱいで、どうしようもないですよ。
フォークダンスに出られないのは寂しいですよね…僕の時にはフォークダンス自体ありませんでしたが(男女の仲が悪くてみんなで投票して潰しました)。
ドアをけってまで引っ張り出そうとする、松谷くんの愛情はすごい。少しだけですが、笑えてよかったです。
そして…うわ、これはきつい!松谷くんの怒りもわかります。
「もう好きじゃないし!!」を強がりだと思ってここまでする…ここまでやったら、クラスメートにもからかわれる(ばれる)のは見えていますが、とことんかっこいいです!
落ちたのはショックでした。無事でよかった…キス要求は笑えました!
ほっとしてから首を絞めるのはいいです。
確かに落ち損ですね…そして、服でカバーしたキスシーンは事実上公開な分、よりたまらないものがあります。
安定感が出てきました。デビュー当初の平板な印象もほとんどなくなって、おおうちえいこ先生が急速に伸びたような期待を感じます。

オトナちっくラブ
前の「ブラちっくラブ」の続編だと思っていました。
しかしこれ、本当にわかりやすく大人が子供に伝えたいことを描いています!
瑞希ちゃんの両親の目で見ると、結城先輩は千人に一人の大当たりでした。ものすごい幸運です。彼の見た目は軽い感じもして、いきなりせまって「目つぶってよ」にナンパヤローかと思ったのですが…ガムはなんだか痛快でした。
悔しくって背伸びをしまくるのはバカだな、としか言いようがないです。「似合ってるか?」がまた痛快!いや、この立場すごくおいしいです。
先生が出てくるのは笑えます。
放っておこうとはしないのですね、こんなに優しく見てくれて…そして寄り添っていてくれて、もうこの段階で先輩も彼女に惹かれているのでしょうか。
「おまえの生活指導してんじゃないんだぞ」はすごくいい気分でした。
しかしこのおねーちゃん、最低。可愛い妹を狼の群れに放り込むなんて。
この男の子たちは如才ない、というものでしょうか?誰か保護者(親ではなく信頼できる同性?)がいるべきですが、こうして異性と触れ合う場はあってもいいかもしれません。
先輩もこんな子そこまでかまうことないのに、とも思いますが…「あーそうかよ」と怒るのもわかります。
無人の部屋を空けるのは、男のほうが勘違いするのも仕方ないかも…無知ゆえですが。
合コンしている連中と、彼女は「言葉」が違うのでしょう。合コン慣れした男にとってはこの間違いに「大人の勉強中」なんてOKサイン以外に解釈の仕様がないです。
パニックになって、「キスは結城先輩がいいんだからっ」と言葉が出て…
ここで結城先輩が出てくるのは本当にかっこいいです!
ただ、この男にとっては少々気の毒かも。なにがなんだかわからないというか…なんだったのだろう、という感じでしょうね。「オレがガキにマジになるかっ」と逃げたのって、なんか気の毒にも思えてきます。一種の屈辱感もあるでしょう。
しかし、ここで優しく抱きしめるとは…結城先輩の寛容さは底なしですね。さすが大人。まあ、本気で怒るまでもなく十分懲りているから、むしろ傷を癒すほうが優先でしょうが。
キスはすごく嬉しかったです。「それに気づけりゃじゅうぶん大人への第一歩」という言葉がすごく素敵でした!
そして「でも勉強もちゃんとやれよ」といってくれるなんて、そんな男何人いるでしょう。本当に大当たりですよ!

イメチェン☆ガールズ
意外な題材ですが、うまく「気恥ずかしさ」という感情を描いています。
この名前がうまい!実際にいてもおかしくない、それでいて無限にからかわれそうな名前です。
確かにこの言動は可愛くないですが、誰でも共感できると思います。大人の僕は痛みとともに思い出し、そして実際に子供の小中学生読者は…皆が自分を、真実の姿を映し出す妙な鏡で見るように感じて読むのが辛いのではないでしょうか?
この父親、とても素敵なキャラクターです。話の中では彼女が悩む原因になっていますが、深い愛情を注いでいることがわかります。
オヤジ頑張れ。直ちゃんも頑張れ、自分のお小遣いなのですから…この冒険は大きな糧になるはずですから。
ここが郁未の家、というのは…この設定、最高。強烈に恥ずかしいです。
そして、この大外れは笑うほかありませんでした。子供の目線ではこんななんでもないものがものすごく怖いんですよね…
最悪。
確かに人に見られたくはないですね。本気で死にたいでしょう。
郁未くん、よく彼女の気持ちわかりましたね…
泣き出すことができたのはまあよかったです…やっと心を開いてくれたな、と見ていてほっとしました。
ただ、裏の話も考えられそう…捕まえてくれたのが父親だったら、そこで泣き出すことができていたら…それはそれですごくいい話になりそうなのですが。
「直角さんがなげやりなコトいうのヤなんだよ」がたまらない言葉でした。逆に父親はなんと言ったでしょうか…
散髪の技術的な部分も丁寧に描かれていてわかりやすいです。
変身も華麗でした。
つい抱きついちゃって、という落ちもいいですね。中学生活はどうなるか…というか、家に帰ったらまた直角にされるか…いや、チャラチャラするなと咎めて、夜一人で…娘が一歩大人になったのがさびしくて飲むのでは、あのオヤジは。
絵もとても見やすくなっていますし、次回作が楽しみです。

桜物語
雰囲気の魔術、そしてまっすぐな目が何より素晴らしい!
一年経ってもまだ引きずっているとは…その状態で彼氏がいる、というのが面白いです。押されまくって断る理由がなくなったんだな、と二人の会話を聞いているとすぐわかりますね。豊かに想像できます。
ここまで全てだめといわれると、それは…疑いも出ますね。それでこんなときだけ「彼氏」とは、ちょっと腹が立ちます。
結婚式は唐突ですがいいアイデアですね。教会のほうがよかったかも?
ウエディングボードも唐突で、ちょっとしたジェットコースター気分です。親切なヤンキーがとても面白い!
忘れなきゃ、と…ここ二ヶ月ずっと、そう思い続けているのでしょうか。一年間ずっと忘れなきゃと自分に言いきかせ続けて、それでも…辛いですよね…なまじしょっちゅう会う分。
指輪の件はぐさっときました。
手をつないだ瞬間、動かぬ証拠を握ってしまった…ここは背筋に冷たいものが走りました。
わかっていた、認めたくなかったのでしょうか?
何より「鈴!!」と怒鳴って見つめるまっすぐな目、ここがすごい!まっすぐな気持ちが強烈な熱さで伝わってきます。
この期に及んで気持ちを閉ざす、「だれにも知られたくない」と閉ざし続ける…背徳、姉に知られたら立場上まずいなど以上に…恥ずかしさ、対象のない恐怖…理解はできます。間違っていることは変わりませんが。
キスを拒むのはもう…証拠のだめ押しですね。欄干を叩いての涙がすごい、本当にまっすぐに自分の気持ちを出せる人…
やっと自分と向き合うことができて、ここで桜並木という「道」を効果的に使っているのもいいです。考えてみれば橋はこちらからあちらへの、橋の上自体は宙に浮いた不安定な道ですし…神社は一つの行き止まりであり、清められてまた出てくる門です…
この告白にこめられた勇気は強い痛みをもって心に響いてきました。
総司さんの優しさにはほっとしました。
ちゃんと待っていてくれる彼、もう限りない愛情ですね…ため息。
最後の、全てを振り切ったことがわかる暖かな言葉と桜の雰囲気がまた素晴らしい。
感情を伝える力がとても強いことがわかります。次からそれをどう活かすか、楽しみです。

恋するパンディ
アメコミ風の面白いタッチですね。
とことんつきあっているビアンカ、いい人ですね…お疲れ様です。
それでこれは…まあじたばたしないのはよろしい。
犬にケーキをやるのは寂しいですが…で、こうなるのですか!
どういうご縁でなかよしにいらしたのか、まあ作品そのものは楽しめました。

スペシャルガールフレンド
ますます実力が充実していますね。作風もはっきり安定しており、その中での表現力もついています。
この始まり方、実に面白い…ときめきとかそういう感情じゃなく、一種の不快感から…でもこの感情は女の子にとっては共感できるでしょうね。
バニーは爆笑でした。まあラインダンスも似たようなものか…ただし、体操服のほうが嬉しいというおじさんもいますよ。僕は違いますが。
このつくって、というのは…ちょっとしびれます。この二人の素直じゃない関係、ちょっとたまらないです。
そういう好きなのか、と少しずつわかっていくのがいいですね!
で、これは…大ダメージですね。
感情を隠していつもどおりのペースを守るのが、軽く乾いた雰囲気なのに結構痛いです。
棒倒しの真剣さに楽しさを思い出します!
「しえのカバンかってにあさるか」はひどい!あ、こういうときに教室で二人きりのシチュエーションがあるんですよね…これがまたたまらん!
タカハシが頼んだわけじゃない、とわかっても素直になれない…緊張感が増してきて、ここでのキスは全くの予想外でした!
さらにみんなに見られる展開には頭が吹っ飛びました。
あまつさえ「なんか二人っきりだったからっ」にはもう石化…取り返しがつかない、としかいいようがないです。
泣き崩れるのではなく「ほんっとエロザル!!」と笑っているのがもっと痛々しいです。
限界を超えるのもよくわかります。そして、このどうしようもない感情の暴走も…
うわ、みんなも聞いているのに「オレはしえが好きなの!」だなんて!みんな聞いてますね。
そしてこの…澄み切った幸福感、たまらないです。
これを描けるのはけっこう貴重な素質だと思うのですが…これからの作品がますます楽しみです。

どーなつプリン
「ええっ!『どーなつプリン』がテレビに〜!?」に、アニメ化かと思って飛び上がりかけました。
いきなりキキーと来るのが…とんでもない話です。
のどじまん大会は爆笑。
このエセフランス語が結構笑えますね。本当は翠くんがペラペラだったりしたら笑えるのですが。英仏独露、ラテン、古代現代両ギリシャ、古代ヘブライ、アラム、アラビア語など各種ペラペラだったらもっと笑えます。
しかし、うさっち…何をした。これがとにかく笑えました。

恋する実験室
これはまた…なんともいえない素晴らしさです。
冒頭からこの簡素でリアリティの高い背景が、卒業してずいぶん経つ僕には切ない懐かしさを感じさせます。
FRAGILE…壊れ物、という大きな箱からというびっくりさせられる登場、そしてどこかのんびりした感じですね。
そしていきなり爆弾発言、でもこれだけの悲しさとはなかなか感じさせないで…
回想シーンは淡々とごく客観的に描かれているのが、逆に緊迫感があります。
安川さんはどう思っているのでしょう…彼女の側からのこの話も気になるところです。
翼くんから向けられる熱情を、匂いのように感じていて戸惑っているのかもしれません。三人でお弁当を食べる回想シーンが、ごく客観的に描かれているため…クラスの女子の視点で見たら、安川さんが瞳子さんから彼氏を奪っているように見えているのかも。微妙な違和感があるシーンです。
そして、静かな空気が変わらないまま自然に先生が出てくるのがうまい。
リラックス&リフレッシュ…カモミールとミント、ローズマリー、タイムが中心でしょうか。
僕もハーブティーやアロマが好きなので「女の子の趣味」は聞き捨てならない台詞です。
ここで先生の態度がすごい…「どうした?」「何か悩みでも」とか何も言わず、的確にリラックス&リフレッシュ(ハーブティーの効果より言葉での暗示、偽薬効果狙い?苦しんでいるのはわかってる、ここでは安心していていいというメッセージ?)ティーだけ差し出して自然に空気で包んでやる…
多分、瞳子さんもなぜこんなことを言ってしまったのか、自分でもわからないでしょう。
そして口をとっさにふさいでしまい、「ほんとうはもうわかってるんじゃないの?」という言葉を押し隠して…ここのハーブティーの効果がすごい。
翼くんは待っているのが当然、という感じですね。彼氏としての義務は果たしている…
そして、馴れ初めがここでわかるのもぐさっときます。
この二人の関係もすごく考えさせられますね。そのままだらだらとつきあっている恋人同士も多いのでは?
ただ、結婚するなら「いっしょにいて楽しい」のは熱情恋愛より確実でしょう。恋愛の熱はいつかは冷めますから、その時に二人をつなぐ何かがないと…
「ゴマかすぐらいしてよっ」という怒りの言葉、翼くんはただびっくりしているようですね。
それがくやしい、というのは…瞳子さんのほうは彼を恋していた…
安川さんは何があったか、何も察していないのでしょうか。もう一つの、悪魔の解釈ができてしまって怖いのですが…それなしでも納得はできます。
ただ頼っているのか、それとも…少なくとも悪女でないなら、翼くんの思いには気がついていないようですね。
実験準備室に求めているのはお茶ではなく、あの時なぜか感じた安心感でしょう。そしてホレ薬は…あ「翼以外の人を好きに」って、この状況では先生しかいないですね。
ここでの先生の対応がすごい。距離を自然にとったまま、暖かく包み込むように…
「涙もでない…」というのがかえって辛いです。泣けるなんて大したことじゃないですもの。瞳子さんの態度が全体に冷静で、激情を余り出していませんが、非常に強い思いだったことが静か水面下からに伝わってきます。
動きが取れなくなるのは、泣くことができないから…ここでの先生の動きがまた見事。
確かに海や空を見上げれば、人間の小さな喜怒哀楽なんてなんでもないですね。
下を見るより上を見たほうがいい、そして始めて泣けてきて…ごく自然に白衣を貸すつもりで脱ぐ先生の暖かさにはじーんとします。
すごく深い優しさですね…
一見このラストは中途半端にも見えます。
そう、先生と瞳子さん、そして翼くんと安川さんがくっつくのかを描いていませんから。
ただ瞳子さんが現実に向き合い、そして空に包まれて立ち上がるまでだけを描いています…それで十分ですよ。
少なくとも先生にはそんなつもりはないでしょう。ただ…そう、「いまのくやしいって気持ちがなんだったんだろうってくらいね」という言葉は、失恋の辛さと時間がどれだけ助けになるか経験済みなのだろうと思わせます。だからこうして静かに的確に支えたのでしょうね。
翼くんと安川さんがうまくいくのは難しいと思います、正直。安川さんのそっちの気持ちは全く描かれていませんし、そうしてくっついてしまったら内心はどうあれ悪評は免れませんから。
久しぶりの登場ですが、期待以上の名作でした。これだけの力、なんとか使い道はないのでしょうか…

へなちょこ大作戦出張版 ヨシオちゃん
巣から落ちた雛は死ぬだけです…からこそ、このあの手この手の助かり方が面白いのでしょう。
カバの優しさが特に面白いです。飼育員の無知は肩をすくめるしかないですが、最後の落ちはにやっとしました。

P.S. fromラブソング
冒頭からとても印象的な表情を出していますね!一発で絵が頭に入りました。
この出会いもうまい!確かにこれは涙乾きますね。
そして、その原因は…逆に笑ってしまいました。運がよかったです、毒牙にかからなくて。
アカペラユニットというのは聞いたことがある気が…モデルがわかってその曲も知っていればもっと楽しめるのでしょうね。
そしてこの再会はもう笑うほかありません。
あっさりとカバンを返してもらったのが、また期待はずれというか…なかなか話が始まらない、というイライラ感があります。
新品のCDに換えてもらうシーンで始まった、という感じがあり、そのイライラ感も逆に嬉しさを増してくれましたが。特に延々と譲り合うのと、それから大喜びで受け取る表情がとてもいい!
新品を渡すシーンは影の使い方がとてもうまいです。
口笛やリズムを取るポッキーなど、音楽の表現もいいです。
それで奏ちゃんと輝くんが接近して、ここから第二ラウンド…まさかこんなことになるとは!これは最低を通り越していますね。
口笛から超接近になってしまったのはドキッとしました。そのどぎまぎ感をごまかすためにこうなるとは…
口が勝手に、自分でも悪いことはわかっていて…セルフコントロールを失うことの恐怖をあらためて思い知ります。
離れた心、それでも変わらない空気…ここはもっと、しっかり空気と曲を伝えてくれていたら!
曲名を利用したメッセージは素晴らしいトリックです。
そしていきなりの命令にびっくり!第三条って一体何を、と思ったら「さきにいってんじゃねーよ」で椅子から飛び上がりました。
さらに曲名が「I LOVE YOU」とは…く〜っ、たまりません。
さらにP.S.の報復が笑えました。
もっと空気を描く力がつけば相当面白い作品が描けると思います。デビュー後第一作を期待しています!

コノ、ムネノウチ。
きれいで非常に印象の強い絵、そして明確でリアリティの高いテーマ…印象がとても強い新人です。
惜しいのは、「だれにも見られないようにかくして」しまいたいものが何か、冒頭だけではわかりにくいことです。冒頭で胸のアップがあれば人目で悩みの内容がわかったのに。
確かに胸はあくまで悩みであり、男性読者サービスではないのはわかっています。ただ、その胸のアップがないことはその悩みを印象つけるインパクトが弱くなるのです。これみよがしに出しまくる必要はないですが、はっきりわかるようにバスとアップまたは全身のアップが一度は欲しかったですよ(スケベ心だけじゃなしに)。
大きくなっているのが嫌、という心理は…うらやま=ねたましい女子も多いでしょうが、逆に共感できる読者もある程度いるでしょうね。
そして、いきなりのこれは…あいた口がふさがらないシチュエーションです。どこまで見た(と胸倉をつかみたい)?
悲鳴をじつにさりげなく描いているのがまたいいです。
おわびがデートとは…「好きな人っておる?」という優しい思いやりがすごい!
そして、「あのとき」の男子という言葉に一瞬最悪のことも考えました。
帽子など、とことん優しい彼…でもエミナちゃんはほとんど彼のことが目に入っていないですね。
「オレからにげたんかな」という、必死で不器用に彼女のことを考え続けている彼にはある意味感動します。僕もそうすればいいのかな、とさえ思いますよ。僕はそう感じたら礼儀を崩さないように、ただし相手が自分を嫌がっているという仮説については黙って立ち去ってしまうでしょうから。
まわりのことは気にしない彼に、ふと…パフェで心を開くことを表現するのは斬新です。
そして、この心の傷を言うということは…完全に心を開いていますね。特にこういう性的な内容を含むことは、異性や親には絶対言えない…優れたカウンセラーでも難しいものですが…ちょっとここはリアリティに欠けるかも。
回想ですが、男子が女子の体が気になるのは当然です。この会話は…彼女を傷つけてしまったのは事実ですから悪のようにも感じるのですが、男子ならこういう会話はあります。彼女がいる、と皆わかるまでは、これを悪というのは残酷ですよ。
問題は、彼女がいることを認めてから「胸きっつーい!」などと揶揄するようなことを言ったことです。これは暴力ですよ…
宮町くんの反応は、確かに彼女を見捨ててはいますが…理解はできます。そう簡単に男は女を守ることなんてできません。
「男は女を守る」という倫理を持つのは古臭く、カッコつけである…つまり正義、武士道、騎士道などを否定する空気が今の子供の世界には充満しています。雰囲気として正邪善悪は関心をもってはならない、正義を主張するのはダサく集団の空気を読めない、すなわち排除すべき異物、からかいの対象という感じが…特にイジメの圧力がある世界では、下手に何か傷ついている女子を男子が守ろうとしたら「好きなんだろう?」とからかわれることが目に見えています。それに立ち向かうことは、下手をすると特攻より勇気が必要です。いや、特攻以上…虐殺命令を拒否して裏切者として処刑されるような勇気、というべきでしょう。集団圧力に逆らうのですから。
宮町くんはエミナちゃんのことが好きで告白もしましたが、秘密にできればいいと思っていたのでしょう。みんなにからかわても彼女をかばう勇気はなかったのでしょうね。それをカッコいいと評価する空気は、今の子供にはないことを忘れてはなりません。どのみち彼はこれから背中に「臆病者」の札をべったり張られ、罪の意識とせっかく手に入れかけたものを自ら手放した愚かしさを後悔しながら一生生きていかなくてはならない…僕から見るとそのほうが気の毒です。その罪を自覚していない、本当に軽い人間だとしたらもう同情にも値しない虫けらです。
圭吾くんが「気持ちがホンモンなら」というのは真実でもあると思います。でも、気持ちをどう表現していいか、どうすればいいのかわからなかった可能性も高いです。誰もが彼のように高いEQを持っているわけではありません…自分の思いも把握できないことがあるのです。圭吾くんはある意味スーパーマンですよ…
一生懸命に彼女を笑わせようとする彼の優しさがまたすごい。
あっさりと気持ちがふくらんで、そして…かえって見られるのが恥ずかしくなる、この気持ちはわかります。誰か、男子は本当に巨乳が好きなんだ、単に美人なのと同じようなものだからプラスなんだと言えばいいのですが…言えるはずないです。
これで倒れたのはびっくりしました。それで、うわ…えらいおいしいシチュエーションや。実際に胸を水着でしめつけて倒れることがあるのかは知りません。
恥ずかしいという感情が爆発してどうしようもなくなる…これははっきり言って圭吾くんが悪い!当たり前のことです。
とりあえず見えんところへ、って間違ってはいませんが…ここを見られたら「いいわけ不能な誤解をされ」ますよ。
このキスはなんだかカリフォルニアの太陽のような明るさを感じました。
ただもう一つ、彼女が自分の体の魅力を肯定的にとらえられるようになるまでの成長を見たかったですが…まあ、十分でしょう。
かなり今の段階で完成度が高いので、次から作品が楽しみです。

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