なかよしラブリー年冬

まず叫び出したいぐらい、感情があふれ出しました。
やはり僕がなかよしが好きで仕方がないことが、悔しくてなりませんでした。
これだけのメンバーがまだいるのが確認できて嬉しい気持ちと、反面これだけの潜在的な力がありながらそれを無駄にしてきたことへの、怒り疲れてものを考えたくなくなるほどの憤りと。

これだけ感動的なマンガを描ける力があるとは…作家陣をむしろ過小評価していたかも、とさえ思います。
そして、この増刊の作品のいくつかは、「なかよし増刊」という狭い世界に閉じ込めるのはもったいない、良質の児童書として全ての図書館に置いてあって欲しいぐらいの最高傑作です。

この素晴らしい作家陣を今度こそ無駄にしないでほしい、絞り尽くすぐらいに今回のような傑作を描かせ、読者を感動させてその成長を助けてほしいです!

ハートからキレイ、というコンセプトもよかったと思います。
現在、特に「ちゃお」でファッション系連載が常にあるなどファッションやアクセサリー…「金がかかる物」が小さい子供から関心の中心になっているようです。その風潮に背を向け、竿を差しても読者がそっぽを向くだけでしょうから、内面とファッションの関係をテーマにするのはいい次善です。
その点巻頭の特集記事はよかったです。

カラーを節約したのは…価格、ボリュームを考えるととてもいいですが、反面有望若手がカラーを描く機会をなくすことになります。でもまあ、カラー以前の機会が少しでも多いほうがいいですね。カラーページが二枚多くても、読み切りが一本少なかったらそのほうが悪いです、絶対。
シリーズが多くなっているのもいいと思います。

けだもの ロリ ハピアイ かりん 巨乳 JF BBB 練習曲 ドレスアップ 月鳥 二重奏 どープリ ファンタ せつな色 ラブ 銀森 さる チスズ Jimmy ドール ノエル フォトグラフ

けだものだもの
いきなり巻頭カラーがこれですか…
紹介も簡潔、いきなり観覧車ってあなた…流されまくりの小夏ちゃんが見ていて可愛いかも。
もちろん観覧車では時間が足りないのでやめたほうがいいです。
で「家くる?」は爆発!ってことは、小夏ちゃんも続きがしたいのでしょうね。
いきなりガンガン脱がしていくのはたまりません…でもなんで、勝負下着のプレゼントなんて馬鹿なことをするのでしょう。男の子と女の子が変に混じるとこういうずれに?
指輪のために…ということはバイトか、と肩をすくめました。というより、バスケ命の高校生男子だろ!冬の選抜は!?……そんなのに用がある強豪なら彼女とつきあう暇などありません。
美夜ちゃんの大胆さも見ていて楽しいです。この誘惑、さっさと逃げるのが正解ですね…多分彼が獣になったら、びっくりして深く傷つくでしょうけど。
てれやさんじゃなくて、これが普通です。
この塾講師もまたカッコイイです。始めは紳士的かな、と思いました。
初詣でOKが出たときの小夏ちゃんの笑顔、素敵です!
しかし、バイトを隠すための誤解は…見ていて実に笑えます。結果が分かっている分余計に。
ええと、美夜ちゃんと、これでベタベタしているように見えるのでしょうか?
ハルコちゃんに美夜ちゃんがやきもちを焼くのが面白いですね。
そして…この出くわしは笑えました!
塾講師の意外な素顔にはびっくり!流せる、と思ったのでしょうね。シート倒しの大人技は電流が走りました。
車のボンネットで飛び跳ねるのは凶悪な攻撃です!
全部素直に言えばそれで…「自分もHな気分になって」というのはとても重要な言葉だと思います。
女子は自分の性欲を出し辛いですから…でもそれで男子は余計に罪悪感を持つなど、面倒なすれ違いが起きるものですから。
お互いここまで素直になれれば、最後のステップもそれほど高くはないでしょう。もちろん、男のハルキと!
で、…いきなり朝で二人ともパニックは爆笑!
さらに全裸には笑い転げるほかありませんでした。

その名もチョコッとバニラでロリポップ
あほなケンカ。というか、バニラクリームのケーキって…あ、普通のイチゴショートなどのホイップクリームには確かにバニラを入れることが多いですね。
勝負、って「フォーちゃんがいれば勝てる!」といきなり打算ありなのが面白いです。
テレビ風の特設キッチンは笑えました。
結局無差別乱闘から…異世界の高位魔族が…審査員、よく逃げませんでしたね。
おいしかったのには驚きました、うまいどんでん返しでハッピーに〆たものです。

不思議の国のアイスクリーム!
結構忠実ですが、可愛らしいムードがとても素敵です。
アイスクリームいっぱいのお茶会は楽しそうです。

かみちゃまかりん番外編
これはまた殺人的な可愛らしさで…
一体どういうメカニズムでこうなったのでしょうね。
事実を示す幼稚園バッグの名札などがじつにさりげないです。
というか今気づいたのですが、この服は一体?この子は家の休日にこんなとんでもない格好を?
美永ちゃんの言葉をすべてハングルで書いているのも、とてもムードが出ていていいです。
あ…ちょっと待て、キリオを引っ張っていった女の子…まさか…まさか霧火さん…
小さい姫香ちゃんはほとんどぷちこですね。性格の違いも、本編で分かっていましたが面白いです。
「不思議の国のアリス」をさりげない低音にしているのがまたうまい。そう、かりんちゃんの服はアリスの服ですから。
そしてウサギの和音くんの可愛らしさは、女の子にはたまらないでしょうね。
子供らしい話し方も可愛いです。
ホッペにキスはなんとなく爆発しました。
そして真相はどちらも悟らないまま、というのもいいですね。本編とのさりげないリンクもいいです。

きょにゅう☆刑事
いくつかツッコミたいことが…警視庁の名前を子供が出せるわけないです。そして警視庁の名前は東京都でしか通じませんが、東京都内にこのようなゲレンデはありましたっけ。さらにゲレンデでこの格好は寒いんじゃ?ついでに、あっさり遠距離に負けて別れるな!
その重いパット以上のものを、この二人は自前で…(鼻血)
巨乳が元気、自身のもと…寂しいですね。
結構軽いですね、この子。
洗ってやるシーンはカメラがあれば撮りたくなるのは…というか今更シャッターがあるカメラ?
「あたしたちの裸だったら…」「とりたくもなるでしょv」は確かにそれはそうです。
足跡などの捜査はいかにも刑事らしいですね。
パーティで、色気でシャツのボタンを…パーティで着替えていたりしたら?
三人の艶姿は、なんか強すぎる感じです。
あっさり引っかかる男どものだらしなさは爆笑。
信じたくない真相、そして意外などんでん返しはひなちゃんの気持ちが強く描かれていて面白かったです。最終兵器が出たのも強烈!
ガサ入れ(家宅捜索)は裁判所の令状が必要ですし、まして彼女らにそんな権利は断じてありませんので悪しからず!
まあそれは土下座ですね。
こういうドタバタした形で終わるほうがひなちゃんらしいです。

恋愛向上委員会ジューシーフルーツ
女の子集団に追いまわされる男の子、これは一種のホラーでしょう。
にらみつけてくる迫力にはぞっとしました。「キライだから!」で呆然…まあラストはよかったです。
後半の話はとても切なかったです。ファーストキスをもらっていきたい、という気持ちはよく分かりますよ。

B×B×B
この子の気持ち、よく分かります!僕も同様に諦め、そして今に至りますから。
両思いとみんなに言われていい気になっていたら…確かにこれは傷つきますね。
告白を立ち聞きしている美羽ちゃんを見ている長ブーの立場…その気持ちになるとパニックになりますよ。
きつい言葉を連発して、そしてお菓子を渡して…男の優しさにため息です。でもこれだけしているのに全く眼中なし、ってことは…未羽ちゃんも同じですね。所詮美しいものが好かれるのがこの世界です。
クマを抱き上げた時点で、真相にはピンときました…いや、僕も中学卒業時と高校卒業時は、体重はこれぐらいのギャップはありましたが。
ファンクラブの暴言は、それは普通切れるでしょう。というかこのトラブルを見て、もっと早く関係者がガードするべきでした…彼女に非があるとは言えませんよ。
なぜかケーゴが彼女の名前を知っている時点で確定でしたね。更にチョコ…これで気づけって。
それはもうパニックですね、これは。
確かにこの格好は終わっていますが、バイトの性質上自然ですよ。作業服と同じです。
自分から変わろうとしたのがきっかけだった、というのは嬉しいです。いきなり自分で何が起きたか分からないジェットコースターではなく、自分で乗ったのですから!
けちょんけちょんに言われながら変えていったら…これには驚きました!変えた美容師も誇りあるでしょう。
髪を触りながら「いーじゃん?」というのが極悪…この期間、そっちでも無駄に過ごしてはこなかったようで。
送ってくれるのは優しいですね。そして部活ノリなのがなんともいえないです。
借りるだけ、でちらっと手に取ったものを選んでくれて、それが意外と似合っているのが面白いです。ちらっと手に取った事自体、「第一印象ではこれいいな」「でもあたしにはこんなのにあわない」「本当は着たいけど、違う」という心の動きがあったのでしょう。
しごきは見ていて気持ちいいです。「1000のコーデ」は一見無茶ですが、たった10×10×10でしかありません、誰でも上と下と靴下の十種類ずつぐらいは持っているでしょう?
好き、という言葉で微妙に意識が変わるのもいいですね。
いつのまにか競争になっているシーンで、彼があまり変わっていないのが分かるのが嬉しいです。
パーティの前、「見てほしい」という気持ちが出て、そこから相手の気持ちも考える…ラブについても深く追求しています。
このピンチは少し胸くそ悪いです…が、結果はほっとしました。「変わりたかったから変わったの」に「もっとやさしくもっと素直になれるように」という心情がついているのがとても素敵です!
おまけは爆笑!

クリスマスの練習曲
本当に楽しい話でした。やはり実力はずば抜けています!人気もあるようなのが嬉しいですね。
彼女が髪を切る前の髪形も見たかったです。そして切ったのはなぜでしょう。
「プロポーズと披露宴が同時だったんですねぇ」が実にうまい言葉です!そんな小さい頃から公認カップルなのも、実際には難しい関係でしょう。両方小さい子の「好き」ですから…少しずつ変わっていくのが微妙で素敵です。
グロスに気がつくところからの、悟くんの反応が見ていて最高に楽しいです!
どぎまぎしてまともに見られずに、でもちらちら見ている…わかります!もういやというほど分かります。男の子野側の心理が丁寧に描かれているのはいいですよ。
「英和ある?」でことわざ大辞典がさりげなく面白いです。
悟くんの買い物、どう見ても仲のいい夫婦としか思えないのですが…
佳乃ちゃんの着せ替えも見ていて素敵です!大人っぽい格好の、髪形とうなじがまた微妙な色気があっていいですし。
藤野さん、なんでも持っているのが結構意外です。こういう細かいところも面白いですね。
メイクした彼女の、ぼやけるような描写…悟くんの目ですね。
うわ〜となるの、もうメモリオーバーでクラッシュしたのが…そのままわかって僕までシステムダウンしそうでした!よく復帰できたものです。くおの幸せ者!
もう上の空になるのもよくわかります。
で、幸せ一杯と思ったら…「佳乃ってそう思ってたのか!?」には別の意味で凍りました。
手榴弾のピンが抜かれたようなものです…佳乃ちゃんのショックと怒りがよくわかります。
この洋菓子まろやサンタのお兄さんがいい味出しています。軽妙な優しさが印象に残る、面白いキャラです。この立場なら普通、全てのカップルを無差別銃撃してやりたくもなるでしょうに…
あ、化粧でパニックになったのは…彼女がとてもキレイだったからだけじゃなく、プレゼントが重なってからぶった気がしてでしたか。でも、あまりの美しさに驚いたのもあったと思います。
路地裏での不器用な会話、そして…このキスにはのたうちまわりました。路地から見えるクリスマスツリー、そしてぺろっとなめるフィニッシュ、指に「えへ」と書いている…もうもうもうっ!たまりません!いや〜ん、まいっちんぐ!頭抱えて机に突っ伏すしかありません。
いいテーマさえあれば、すぐ本誌連載に出てきていいと思いますよ。

ドレスアップ女王
冒頭の設定が少し大きすぎたように見えましたが、古着屋からの流れはとてもいいです。
おばーちゃんが面白いキャラですね。
親の若い頃の服って、保存してあるものでしょうか?流行も周回遅れですし…アレンジする力が相当ないと着こなせないでしょう。
どピンクとかスパンコールとか、おしゃれをちゃんとやっている熟年女性のファッションは小娘が手を出せるものではないですよ。何十年も、それも無駄にではなく積み重ねてきたものがないととても着こなせはしません!
色々な人を見て少しずつ成長していく…その自覚を持ったときに、この露店での再会があるのもいいですね。
乱暴で真摯なアドバイスもとてもいいです。ここでドキンとするのは早すぎるかも…
色々な工夫を具体的に描いているのもいいですね。読者も真似して、色々な工夫に目覚めるかもしれません。
ヒロトとの接近も一つ一つうまく描かれていますし、反面おにーさんとの交流と成長も…ここでは恋愛感情とはつかませないのが実にうまい!
徹夜してまでこんな事をしてくれる優しさ…何気なく感動ものです。
パーティーの雰囲気はすごいですね。
そして、彼の…別に悪気のない言葉がすっと心を傷つけていくのがとてもうまく描かれています。別に悪意はない…とんでもないタラシとかそういう人格の悪じゃない、ただ何かが見えていない…面白いです。
この結末は不思議と暖かくてさわやかでした。

月のひかり鳥のかたち
これまたしっとりとしたあったかい雰囲気で…ベートーベンの「月光」をBGMにすると実によく調和します。
加奈ちゃんとめぐみちゃんの仲のよさがまずとても暖かいです。女の子同士のこういう関係、なんとなくほっこりします。
そう思ったら…突然、二人とも、夢が現実になった瞬間にそんな幸せな時間が終わってしまったのがなんとも言えないショックです。
どちらの気持ちもよくわかりますね、非常に深い本音だと思います。
意識してしまうと今まで通りではいられない…月光が答えを出してくれたのが素晴らしいです。
本当に今回は最高傑作でした!

二重奏
泣く以上の、とてつもなく深い感動。ため息の連発。
絵もとてもいいです…最近の抜群の可愛らしさと、そしてデビュー作で感じた暖かく包み込むような雰囲気が非常に高いレベルで調和していて。空白の使い方もとてもうまいです!
そして沙夜ちゃんの変わった顔も…一種の不気味さもうまく伝え、それでいて内面をしっかり出していて…
出会いのシーンではどういう話かつかめず、少し戸惑いました。ごく普通の小学生の生活がリアルに描かれているだけで。
少しずつうまくなって、できた時の笑顔がすごく可愛いです!こういうのって誰でもそうですよね。
転入生で、病気と…はじめはそこまで重大だとは思いませんでした。バスケが無理だ、などですこしあれっとは思いましたが。
宮藤くんがゆっこにちょっかいを出すのがなんだか可愛いです。
病院での子供たちは、普通に学校にいっている子供とは別の…もっと深い人生を歩いているんですね。普通の子供の、普通の小中学校がすべてじゃない…忘れがちになりますが。
二人で二重奏に頑張るの、読み返してみるとジーンとなります。
治療でそんなになって、それでも学校に来るのは…子供はおとなの何千倍も気にするでしょうに…病院では皆、学校にいきたくてもいけないのですからそれくらい何でもないのでしょうが。
髪が抜けるという副作用で気づくべきだったかもしれません。かなり悪性の病気だとはわかりました。
普通に遊んでいるみんなの姿にはほっとしました。でもこの陰口に…ひっぱたいたほうの、そんな事じゃ晴れないどうしようもない痛みとやるせなさと怒りが体を切り刻むようです。
宮藤くんも男を見せましたね!
ただ、悲しいことに…この陰口は人間の、切り離せない本質でもあります。「もういわないって約束」することはできても思うこと、感じることはどうしようもないです…本当に心から受け入れるのは簡単ではありません。
でも受け入れてくれるみんなもいる、その沙夜ちゃんの嬉しさは伝わってきました。
朝礼で取り上げるのは、遅かったと思います。もっと早く全校生徒にこれは伝えておくべきでした。
陰口を言った連中も、無知なだけだったのが少しほっとしました。人間の暗黒面も、その多くは無知から来るんですよね…本当に絶対どうしようもないものは少ないです。
突然の転校はまたショックでした!そして手術の話も。
ゆっこが自分の感情でいっぱいになって、「リコーダーがんばって!」に応えられない…このシーンも強く純粋な気持ちが伝わってきて、あふれそうになりました。
それでも練習は続けているのが…そこから自分を見つめ直し、立ち直っていくところも感動です。
「宮藤病院の中で騒がないでねっ」が実にリアルです。
まず謝って、これ…気持ちの整理がさぞ大変だったでしょう。それを見つめている母親の切ない視線も読み返してみるとじーんとします。
この連絡ノートも心の通い合いがよく描かれていて、胸がいっぱいになります…そしてこの「お帰りなさい」会はもう、涙が少しあふれました!
二人のこの二重奏、読み返してみると…ため息。
そうして固い絆で結ばれて、そして…成長したみんなにほっとして、そして…呆然。全身の力が抜けました。
そして、じわりと言葉にならないものが全身をひたしていきます。これだけの力の持ち主、早く本誌に出てきてほしいです。
もうなんていっていいかわからない感動です…心より浦田沙夜子さんのご冥福をお祈りいたします。

どーなつプリン
ケロ吉が冬眠するのは仕方ないですね。
黒子ちゃんのおねだりは可愛いと言うか男冥利に尽きるというか…
年賀状がすべてキーなのはなんか寂しいかも。

泣き虫ファンタジスタ
これまた感動!スポーツものでここを描くとは!
「キャプテン翼」から「テニスの王子様」まで、結局皆「(努力の)天才」であり、努力すれば強豪を倒し、日本一、そして世界一になれる資質の持ち主です…スポーツもののまんがで、結局一番感動するのが「弱小が努力を積んで強豪に打ち勝つ」話でしょう。
でもこの作品は…本当に選りすぐられ、最高の環境で一日中、努力不足など初めから論外、むしろ潰れないよう科学的にオーバーワークを制限することが課題で、そして最新最高の戦術を学んでいるエリートには…素人がいくら頑張っても絶対に勝てないという現実を真正面から見据えています。
あえて夢ではなく、努力しても勝てないことがある、才能と環境、すなわち能力は残酷なまでに不公平…それでも生きていく、プレイし続ける…その現実を描く勇気には脱帽です。
多くの人間が夢を持って青春に入り、そして現実に直面して挫折していきます…そこからの人生こそ、トップに行き着けるひとにぎりでもなく初めから夢を持たない層でもない…最も多くの普通の人にとって、指針を与えてほしいものです。もちろん僕も含めて!
いつも泣いているつばめちゃんと、華麗なプレイを見せつけるエル…ここではこの二人が直面する悩みなど、想像もつきません。翼の後輩たち女子版か、と当然思いました。
洋平くんがいいキャラしています。いきなり「どちらさま?」が笑えますし。
華々しくデビュー戦を飾れない、ここまでは普通のスポーツものです。
勝てない弱小が目覚めていく、そのための葛藤と努力と勝利…努力を怠っているようには見えません。十分努力しています、普通ならこれで勝利につながるぐらいに。
不思議な瞬間…極限まで研ぎ澄まされた集中力のなせる業でしょう。
そして、試合では…僕は辛勝を確信していました。しかし、このあまりにも残酷な現実…次元が違う…この衝撃が伝わってきて、呆然としました。
気力を失った皆、そして…エルの変貌にも驚きました。
死んだような目…理解はできます、これまでずっと部活部活で、女の子の楽しみを何も知らなかったのですから。全てを犠牲にして苦痛に耐えて、何の報酬も得られなかったのですから。膨大な時間を無駄にしてきたのですから…
洋平くん、こんな相談を持ち掛けられるって…心を開かれていて嬉しいと思いなさい、って無理だって。
「おまえも気晴らしでおれと…」と誘おうとしていたら号泣にはまた笑えました。無惨。
この夢を、まだつばめちゃんは捨てられないのですね…現実を突きつけられても。
泣かないと決意してできることを精一杯やるのは…正しいのでしょうが…
エルちゃんの「あのさぁ「サイノー」ってなに?」という言葉、心に氷の槍のように突き刺さりました。現実を見てしまった人間と、まだ見ていない人間は…もう別の世界の人間なんですよ。よくわかります。
そして、一度現実を見てしまったエルちゃんには…つばめちゃんは、まぶしすぎて直視できないし、同時に馬鹿に思えます。関わりたくないのもわかります。
つばめちゃんがエルの名前を登録したのは…本当にわがままです。つばめちゃんが勝手に夢にしがみついているだけなのですから。過去の延長としてのエルしか見ていないのですから。夢を諦めずに頑張りたいなら一人で頑張ればいい、エルちゃんまで巻き込むのは…
でも、今のエルちゃんは決して幸福には見えません。ただ逃げているだけです。このままでは本当に不幸になるでしょうね…
洋平、背中で泣かれるポジションは男にとって最高ですよ?そのままじっと受け止めるだけでいいんです。抱く必要なんてないですよ。
独りで必死で…これはもう、痛々しいぐらいでした。壊れていく世界、見ていて辛いです…エルもこの苦痛を味わったのですが。
ここでエルちゃんが出てくるのは…でも、何のために?
そして、この感動のオーバーヘッド…それさえ取られてしまう現実の残酷さ、にもかかわらず…たった一点、という現実がむごいです。
ワールドカップへの道が彼女たちに開かれているとは思えません…来年以降、メンバーが集まって普通のスポーツものになる…足を痛めてぐれていた元世界レベルの天才キーパーが転校してくるようなことも、「現実」にはないでしょう。
でもサッカーを愛し続けることはできるし、夢見続けてもいい…この作品の結論が、間違っているかどうかはわかりません。僕としては、無理に夢側に戻るのではなく…ワールドカップは無理だという現実を見た上で、それでも自分なりに輝く決意を描いてほしかった気もします。
これからも、こういう…夢ではなく現実の、挫折したあとを描く作品がもっとあってほしいです。本当に脱帽!

せつな色のぬくもり
よくもここまで、というくらい心理がリアルで、感動しました。
絵も微妙に変わりましたね…ややラフになった代わりに内面描写が深くなっている感じです。
編み物をあげる相手がいない、というささいなことから、複雑な気持ちが伝わってきます。初めの二ページでは、「なぜ」そんな気分なのかわからない分、余計気持ちだけが。この年代のやり場のない悪感情をここまで見事に描くなんて。
顔、そしておなか…この生々しいまでの妊婦の姿も、普通は描かれない…目から遠ざけられるものでした。そう、今の文化は…青春時代の美しい男女の性と暴力は腹がはちきれるほど与えますが、リアルな生老病死はむしろ遠ざけるものです。
この理由のない「むかつく」感情、強い疎外感…逆に反抗的な子供に戸惑っている両親の姿、ともに消化不良のような痛みを感じます。
ほとんど食べていないのに席を立つ…そこも小さいですが、重大ですね。
買い物袋を隠す心理も女の子らしいです。
買い物がかぶってしまって、これがとても心を傷つけるものだとはわかります。自分が頼りにもされていない、というのは痛いですよ…
行き場も相談相手もいない孤独がまた見ていて痛々しいです。それが、ぬいぐるみの件で爆発する…それもそれで直接ではなく、「奏子さんがこまる」…「あたしなんて……どうでもいいんだ…」と深まっていく負の感情、ゆがんだ思考の悪循環が実にリアルで、高い説得力を持ち、共感できます。
ゆーぞーさんがここで、初めて重要な役割を持ってきますね…この痛みは、とても同級生の男子には受け入れられないでしょう。僕自身のことを考えても、中学時代はもちろん高校時代の僕でも無理です。同級生男子の出番がないのはこの話の性質上仕方ないですね…
説教も正論で、そして…もちろん変なこともしない、子供扱いではありますが誠意はある程度感じます。ただし、僕だったら御両親に連絡はしますし翌朝送っていきますが。
「古都が孤独でさびしいと思うのは古都だけがうしろむきだからだよ」と言う言葉、僕にもあてはまるようで…涙が出てきました。ずっと、自分で孤独を選んでしまっていたのでしょうか…聞いていないようで泣いているのもそのまま共感できます。泣きつかれて眠ることができたのは、それだけ暖かく包んでくれていたのでしょう…それも、後に立ち直る大切な要因だったと思います。
ここからのすれ違いの連続は読んでいてたまらなく痛いです!奏子さんがゆーぞーさんの人物を知らないこと…親なら当然の叱責、それが互いに感情的になっていくのが苦しくてならないです。もちろん奏子さんの「その人だって男なのよ!?」は間違っていません、本当に完全に信頼できる人かどうか、子供にわかるはずがないです。幸運だっただけです。また、本当に手を出すようなことはしない人であっても、李下に冠を正さず、です。
ここで、奏子さんが本当に愛してくれているから本気で怒ってくれたことを省察する力がありながら…それでこの、編み物が出てくるのが実にうまい。
でも…その、気持ちを伝えようとして真剣になったため…っ!
やはり、ここは…母親が無理をするのではなく、父親が動くべきだったと思います。ゆーぞーさんのところに泊まった件でも、父親が心当たりがなかったのもおかしいですよ…出張中とはいえこの二日間、父親とは連絡を取ることもできない状態だったのでしょうか?
そして、この事故には…恐怖と衝撃に体が凍りました。すれ違いの残酷さに顔を覆うしかありませんでした。
僕は怪我にある程度慣れており、救急処置の知識もあります…でもこの事態では、救急車を呼んで保温とショック防止に努めるぐらいしかできることはありません。あまりにも危険です。
知識があってもこの血の海(正確な診断はできません、おそらく血液だけではないでしょう)には一瞬パニックになったのです…現実にこの事故を目撃したならもっと衝撃でしょうし、まして知識がない古都ちゃんには…これをリアルに描く勇気にも感動です。
「母体まであぶない!」のスリルは凄まじいものがありました…胸がしめつけられるようで。これがどれだけ古都ちゃんにとてショックか、やっと「お母さんっ!!」という言葉が出たことさえ吹っ飛ぶほど胸が…
この激しい心拍がわかって、たまらない気持ちです。僕も祈ることしかできませんでした。
父親は…ちょっと鈍すぎでしたね、仕方がないのでしょうが。微妙な関係ですから、古都ちゃんのおかしい部分を奏子さんも言いにくかったでしょうし。
二人とも無事だったのは本当に嬉しかったです。そしてやっと素直になれたことも…ゆーぞーさんは後半では登場しませんが、必要ないでしょう。とても大切な人には違いありませんが、家族が本質ですから。
ほうっと止めていた息がため息になると同時に深い愛情が全身を包み込むよう。すごいです。
よかった…本当によかった。
改めて月原先生のここまでの力、何とか活かせないか…そっちも胸が痛いです。

ラブファイターズ
外道すぎるキャラに開いた口がふさがらないです。
「偽善者な自分に酔うため!」には凍りつきました。いや、でもそれでも人助けはするだけいいのですが。
犯罪を犯したとき、ってもう犯罪結社ですね。
胸が太ってる、というのは実際巨乳の子はそう悩んでいるとのことですが…本当でしょうか?
やせた理由は笑えました。

銀の森の伝説
またまた衝撃感動!この話は「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」と同様、民話だといわれても説得力がありそうなぐらいです。
動物と話せる明るい狐っ子、この可愛らしさにだまされました。てっきり明るく楽しい話だとばかり思っていました。この話が「てぶくろを買いに」「ごんぎつね」のような絵だったらどうだったでしょう…
いきなり罠にかかるのは…ぞっとします。
まず優しい人間と出会ってしまったのが悲劇でした…
この長老の作戦がそもそも間違いでした。この不条理な感じが、逆に狐の古い意味での神、むしろ今の若者の言語感覚で言えば妖魔としての面が出ていて面白いです。
人をとり殺す狐…確かに事実ですね。これまでもこの森にとって都合が悪い人間を、同じように殺してきたのでしょうか。
ばれそうなスリルがまた面白いですし、仕種が可愛い!
賛成派と反対派で町が二分されていること、そして…工事という仕事に依存している地方の現実も、さりげなくわかりやすく描かれているのがまた素晴らしい。
息子に毒を飲ませるというのは非常に不条理で、腹が立つやり方ですが…そう、古い意味での(日本の神道が形になる以前の、カタカナで表記されることもある、特にエホバとはまったく違う!)神にはそういうところがあります。昔の人にとって家族は一体ですから、父親の行為に対する神罰として子供を殺すことは普通です。長老の態度の軽さがかえって不快感を強めますね。
でも、「息子が苦しめば父親なら開発を思いとどまる」ことはありえません。もう、その檜山父一人の問題ではないのです…たとえ檜山父が決意を翻しても、止めることは不可能です。本当に陸生が毒で死んだとしても、工事が止まることはなかったでしょう。
せめて警告が必要だったと思いますが…神と人のつながりが切られ、神の言葉が真剣に聞かれることがありえない今仕方がないことかもしれません。また、無計画で理不尽な暴力にこそ古い意味での神の怖さを感じます。
簡単に人を殺すことなんてできない…しかも好きな人を、コミカルなシーンがかえってその切なさを伝えてきます。まして、初読時はぎりぎりまでハッピーエンドだと思っていたのですから!
必死で叫ぶ祈り、通じているのに…無力…ここの心理と何も知らない?陸生のひたすらな優しさ、人間として当然のおばさんたちの…読み返すと全てが悲劇につながっていくのがわかって、胸が痛いです。
雪のささやきの話もまた心に残るものがあります。陸生はいつちひろちゃんの正体に気がついたのかも興味深いところです。
クライマックスの衝撃は凄まじいものがありました。キスで毒を分け合うのにはもう言葉もありません…
現実には、このような悲劇があっても決して工事は止まらないでしょう。人間の…歴史の流れが動き出したら、大津波をや転がり出した巨岩を止められないように決して止まることはありません。
でも…伝説としてのこの終わり方はあまりにも深く、心に暖かな光を残していきます。幸せな二人の姿は、まるで「大江山花伝」など宝塚の悲劇のフィナーレのようないい余韻を残しますし。というか、ちひろちゃんをかばって撃たれる陸生の姿は「大江山花伝」など宝塚でよく見られるクライマックスです。
本当にこの話は民話として伝えられてもおかしくないですよ。永遠に残せる話です。

さるっち
また面白い化け方です!
サルらしさがはっきり見えて、とても分かりやすい話です。
ちなみにムカゴは、ヤマイモの実ではなく茎から葉の付け根にできるこぶのようなです。食用なのは事実なので、どうでもいいですが。
女子とも違う、微妙なポジションなのが面白いですね。男の子も勧善に仲間として受け入れているわけじゃない、親しみを持ってからかっているようです。
転校生が本当に美形でドキドキしてしまうのには…あまりよくない、からかいを含んだ笑いが出そうでした。
いきなり恥ずかしくなるのは…これまでクラスの男子のこと、男として意識したこと全然なかったんですね。だからからかわれても平気だったのか…
別世界の人、ってどうしてでしょう。これまで彼がいた学校が、雰囲気が違ったのでしょうか…
スポットを当てるとサルの着ぐるみなのは思わず笑って、罪悪感で落ち込みました。でも…僕が彼女のクラスメートだとして、笑わずに威容とするのもかえって彼女には悪いでしょう。
今まで自分の普通だと思って、自分で受け入れていた「サル」がはじめて「だっせー」と思うのは碧くんが登場したからであると同時に、成長でもあるのでしょうか。
そこでお姫さまに変身してみたのが…でも、「びみょー」なのが意外でした。
本当に可愛いのに、一体…悪意じゃないのがかえって残酷ですね。
泣いてしまったのは…やはりこれまでも、サルじゃなくてお姫さまになりたいという自然な女の子の願望はあったのでしょうか。
さらに女を捨てているのが痛々しいです…ここで突然の電話には驚きました。「同情とかしちゃってる?」とおもうのは理解でき、それだけ痛みが伝わってきます。
普通の男子のクラスメート、アホですがこれが男子中学生の自然な姿でもありますね。
それでサルの自分を受け入れる決意をして、必死でやるのも…輝きそうで輝ききれないのが寂しいです。一度目覚めてしまったら、もう戻れないのでしょうか。
やっと言えた素直な言葉「いまさらだけどほんとはね…」で…一度逃げようとしながら、舞台での彼女に呆然としました。
姫の姿が「びみょー」だったのは、本当の彼女とはずれていたから…彼女の魅力を引き出した碧くんのセンスには脱帽です。
中身は同じでも、ありのままであんな魅力を秘めているのですから…このラストはむしろ必要なかったかもしれません。サルとしての彼女の殻が破れ、ファッションショーでの鋭い魅力…これからどう成長していくのでしょう。
考えてみると、僕の中学時代…四十数人のクラスメートの女子が皆三年間でこんな風に…イモムシからサナギ、そして蝶に化けていったのでしょうか。それをよく観察していなかったのがとてももったいないと思います。

駄菓子屋チスズ
これまたすごい!リズムの魔術ですね。
のんびりした食事のリズム、岸刈くんが急かしても変わらないテンポ…不思議とほっこりします。
悪口を言われての怒りも爆発じゃなく、くすぶるように燃えているのがまた面白いリズムです。
「ムリーめんどいうごけない……」と、このぬくぬくしたスローペースが好きなのでしょうね、彼も。
懐かしいようなリズムがうまく伝わってきます…あ、「へへー」とごろ寝するのが可愛いです!
やはり「チスズのこと好きー?」に「うん」と言ったの、真っ赤になって告白のつもりででしょうね。
いきなりマンションの話にはうわっとなりました。おばあちゃんも気を遣って異議を言い出せないのでしょうね…
チスズ好き、というのが店なのか女の子なのかが混乱して、クラスメートもわかっていてからかっているのが余計いたたまれないようなかゆさ。でも気の毒なような。
で、こういう暴言になるのが実にうまいです!「チスズのこと好きっていってたじゃんー!!」なんてこの公衆の前で言われたら…どうなるかはわかりきっています。あ〜あ。
おばあちゃんも店に愛着がありますよ。
キーをつい隠してしまうのは…小さい子供のようないたずらですが、余計胸が痛いです。
つい言い出せないのも…また子供らしいですね。
これで、岸刈が謝るのを流されたのはむしろ幸運でした…ここはうまい。
岸刈くんが一生懸命になってくれたのがどれだけチスズちゃんにとって嬉しいかも伝わってきて、しかもほのぼのとした感じがそのままですから…いいです。
岸刈くんのいいわけに複雑になるのがまた面白い。いいかげん告白しちゃえよ、と無責任な第三者は思います。
で…一難去ってまた一難、岸刈くんがかばっても何にもならないのが笑えます!
なんとかもとのペースに戻ってよかったです。
そして…告白するしかないところに追いつめられる岸刈くん、笑えるぐらい可哀相と言うか…まあ結果オーライですからうらやましいというべきですね。
ずっと…確かにのんびりすぎる恋ですが、こんな恋もあっていいですね。ずっとこのペースでそのまま結婚して、ずっとチスズでおじいちゃんおばあちゃんになって…そうなればいいです。

アクマでジェームズ
絵はより落ち着いた感じです。
いきなり…このキザ男が中心なのかと思ったら、違うのが面白いです。
ナタデココ自体が古いネタですし、食べかけを笑顔で渡そうとしたり妙なずれがあります。
で、また…この繰り返しギャグは基本を押さえています!しかし、回転翼一つでどうやって浮くのでしょう。
唐突に一反もめんのような変なものが来るのは先を読ませません!
そして真ちゃんの、冷酷と言うか乱暴と言うか過激と言うか、すごい面も面白いです。
悪魔が地球に修業に来ると言うのも、普通のようで微妙にずれています。
そして、突然超能力の話になるのは…本当に先を読ませません!
唐突にジェームズや真ちゃんの過去の話になるのも、次々いきなり色々なことが出てきてくらくらします。
それから最後まで、何か感じようとしたら一々予想を裏切られて…言えることがなくなってしまいました。
非常に不思議な作家ですね…考えてみるとデビュー作もそうでしたが。

パーフェクト・ドール
絵はまた凄まじいまでの美しさです。
いきなり重厚な緞子のマント、そして作りこまれた魔術儀式にびっくりします。
キスで魂を吹き込むのは創世記と同じ、これ自体が神の領域を犯しているのでは?律法学者も異端審問官もこれは認めないでしょう。
儀式で人形が人間になるのには…はじめのややうつろな目もぞくっとします。
驚いたのが、さりげなくおかれたメガネの精密さです!写真かと思いました。
後のお弁当も素晴らしいですし…
それが一転して明るい笑顔なのが驚きました!
「風呂とか二人で」は笑えました…メガネで人格が変わる、というのも面白いです。
今読み返してみると、「わたしがここに転勤してきてからこんなことがおこるなんて」って…ミスリードでもあるので、とてもうまいと思います。
少し残念なのが、せっかく未悠ちゃんとケンジくん、吉川さんの三角関係があるのに…それが十分に活きていないことです。詰め込みすぎ?
でも未悠ちゃんの切ない気持ちの描写はとてもいいです。
ロバートが未悠ちゃんをさらって、口に指を差し込んで服を脱がせていくシーンはものすごくセクシーでした!他の女の子も、いやもしかして男の子も?いやーん…いや、そっちは先生でしょう。目に見えるようです、やすやすと誘惑に引っかかって文字どおり魂を抜かれる男子どもの姿が。
さらに縛られるとは、わざわざ胸を強調して。
二転三転する展開もとてもおもしろかったです。
「未悠はオレの道具じゃない」というキーになるセリフもかっこよかったです!また、先生の側の気持ちがあるのも話の深みを増していると思います。
先生とロバートの魂は人間のものではない…それはどういう?まさか、魂そのものを人工的に創ったのでしょうか。
「まさかロバートとも――」は笑えました。しかし、なぜ彼らにも魂を与え直したのか…父親だったのはある意味予想通りです。ただ、「父さん」である証拠は何もありません。
やはり続きが楽しみな作品になっています…連載第一回…でもデビュー作と違い、はっきりしたテーマがあるのはほっとした点です。
技術的には申し分ないですから、一度読み切りとして完結した話を描いてから連載でも出てきて欲しいです。

ノエル・ド・ポストマン
面白い成長の仕方です…この代の新人たちは人数が多いと同時に実に作風のバラエティーが豊かですね。
思いきりデフォルメ…まるでレゴブロックの人形のように単純化した絵の動きはとても分かりやすいです。
ごちゃごちゃした画面も気になりますが、細かく見ると本当に色々ありますね!
仕事の大変さ、という序盤のドタバタで一気に引きこまれました。
サンタさん、というとんでもないテーマが出てきたのはわくわくします。
「サンタさんって夜プレゼント配るんだろ?」は笑えました!そりゃそうです。
化物と思ったらトナカイでしたか。サンタさんの第二の人生は笑えます!
で、くるみちゃんの浮気疑惑に…先が読めたとも言いますが、嬉しい気持ちが爆発しそうです。
感動的シーンとおもったらまたいきなり殴られて…楽しい世界です。
こういう色々なものがいる世界は久しぶりに見ました。この方向でいいと思います、どんどん伸ばしていってください!

ないしょのフォトグラフ
ふわ〜、いい正統派がデビューしたものです。懐かしいぐらいの雰囲気!
この三角関係も、なかよしではむしろ懐かしくさえ思えます。
アタックしようとした瞬間先を越されて…ここからもう、いつ爆弾が爆発するか不謹慎ですがわくわくしていました。
このパフェが女の子らしくて素敵です。
わすれようとする努力…これには、それはやればやるほど裏目に出るぞとつい余計な忠告をしたくなります。
こうしてセイジくんと二人になってしまうシーンは、ヤバイと思うと同時に強烈なわくわくがあります。やはりこれですね…CD屋やマクドナルドも空気がよく出ていますね。
彼のことをどんどん知っていくこと、そんなささいなことさえ…恋する乙女にはどんなに大きいか…たまらない気持ちです。
何気ない会話の裏で「わたしのほうがセイジくんのこと好きだよ」と、とんでもない爆弾が心の底から出てくるのがスリルあります。
二人で時間を忘れてしまうの、とても切ないです。しょせん話題はゆずのことなのに…
確かにこれは秘密にしたほうがいいでしょう。もし見られたら問答無用です。
気持ちがどんどん募っていくのは、なんて言っていいかわからないです。どうしようもないのかな、と切なくなります。
で、いきなり「きのうあやこちゃんと会ったんだ」の衝撃はそのまま伝わってきて、ぼうっとしました。
「あやこも彼氏つくろ!」は悪気は全くないのですが、残酷すぎます!
それで痛みがたまってきて、ハチマキと言う些細な事が重くなって…対感情を爆発させてしまうのが見ていて痛いです。
でも…この程度でよかった、本当の爆弾を爆発させずに済んで。
そして、反省する余裕が出て…彼女は悪いのでしょうか。僕はそうは思わない、誰を好きになるかはある意味どうしようもないことです…何を行動に出すか、それだけですよ。誰も内面までは責める権限はありません。
でも深く苦しんで、思い切ろうとしているのが強く伝わってきて…これは本当にカッコイイな、と感じられます。
結局、何も言わない…取るどころか、セイジくんにもゆずにも一言も告白しないままというのが意外でした。
とても賢明だと思います。さぞ辛いでしょう…元どおりの関係に戻る、はっきりと友情を選んで…この強さはとても素敵です。
とても胸に重いものがたまってくる作品ですが、それだけ食べごたえがありました。これからもこんなふうに正面から心を描いてください!
期待できる作家がまた一人デビューしました。

アンケートが葉書をつける形なのはとてもありがたかったです。このほうが出しやすいです!
しかし、これだけの作家陣がありながら年三回というのはあまりにももったいないです。もっとこの作家陣に活躍の場を!

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