池ノ上たまこ(いけのうえ たまこ)

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作風概説

 鋭い印象のある陰影の強い絵。笑顔も邪悪な笑みもとてもうまい。画面全体から強烈なパワーを感じる。

 何らかの、メルヘンチックなファンタジーを入れる事が多い。
 理不尽で高圧的な悪役の描写がまたうまく、逆に一見だらしない男主人公が一念発起するのを描くのがうまい。魔物などの迫力もある。

 キャラクターはかなり極端なリアクションをとり、喜怒哀楽が非常に強い。ギャグもその延長でかなり切れる。


代表作

1995「アクマで愛してる!」
 クビ!?・・・ではなく異動を宣告された悪魔のサカモト。ポケットに人形を入れていたりペットを可愛がっている優しさが悪魔には不向きだから。それを宣告した署長・・・一見子供にしか見えないが、誰よりも素敵な女性のそばにいるためにノルマを挙げる決意をするサカモト。
 だが、標的を探していて目に入ったのは署長(が髪を下ろした姿に似せた愛する人形)にそっくりな少女。でも彼女は疫病神につきまとわれ、いじめられている。
 少女を守ろうとするのは悪魔としてのルール違反、例えばついいじめっ子の魂を抜いてしまってクビではすまないと怒られるが、どうしても放っておけない。
そして疫病神は、サカモトが苦手な雷を少女に浴びせようとする。意外な展開と人情がたまらない傑作。

1995「サクラサク男女交際!」
 塾でクラス平均点を下げてしまっている吉野友也についに男女交際禁止令!菊子ちゃんとラブラブな彼はそんなの無視し、彼女の女子高に会いに行こうとするがやたらかわいい女の子…塾講師の娘の五つ子、五教科マスターの滋賀姉妹が妨害してくる。意味不明のハイテンションが楽しい。

1995「天国へのルーレット」
 雲の上に来たら突然ツンツン頭にサングラス、ピアスの兄ちゃんが神様だと話しかけてきた。やはり死んだのかと泣くまあこちゃんに、間違えたと開き直る神は本来死ぬはずの人を三日以内に見つけろと命じる。
 憧れの富田林くんがもしかして…だから近づきたくなかったけれど、席替えや復活記念パーティなどで縁が……

1996「ミスター・ローリングサンダー」
 狂暴理不尽な破我を懲らしめる役になぜかついてしまった雷一くん。かなうはずがない相手だが、破我は六時まで校内で鬼ごっこをし、逃げ切れたら言い分を飲むと。
 そんな時、雷一を「雷神」と呼ぶ愛と言う子が雷神伝説を頼って家出してきた、と…理不尽な展開と破我の少女マンガ離れした凶悪さが印象的。


今までの実績、現在の地位

 デビュー当初非常に期待されていた。登場頻度も非常に高く、94年前後は本誌にもよく登場。本誌連載のない作家ではほとんど唯一の短編単行本「アクマで愛してる!」も出てたが、かなり突然登場しなくなった。


個人的な感じ、思い出

 それほど好きな作家ではなかったが、今読み返すとかなり面白い。五年ほど出てくるのが早かったかもしれない。