あしざわ深花(あしざわ みか)

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作風概説

 絵がとても上手く、まるで大理石に彫刻したような印象。強い線で無駄のない綺麗さがあり上品で華麗、ぬくもりと色香(近年スタイル革命側に入った)全て兼ね備えている。軽妙な雰囲気もあり、時間差で効くさりげないギャグを多用する。心理、情景描写も秀逸。
 暗い女の子を主人公にしてその人間的成長を軸にする話が見られる反面、とても元気な女の子も得意。歴史、ファンタジーなどの衣服、建築などのデザインもとてもうまい。


代表作

94「十・月・革・命」
 学園祭のクラス劇のロミオとジュリエット、ジュリエットに選ばれた千波かや。でも彼女は極度の赤面症であがり症。しかも監督は苦手な渡瀬くん。足腰が立たなくなって二人で特訓、あきらめようとするけど、励まされてチャレンジを決意。
 でもやはり昔の傷が心に残っていて、苦しいけど渡瀬くんのおまじないが効いて。

95「大好きをあげる」
 孤独でまじめさに心を閉ざしたつぐみちゃんは、明るくうるさい各務くんに反発する。でもしつこくまとわりつかれ、強引に何度か付き合ううちに、だんだん心が苦しくなって。
 閉ざされた心がこじあけられる一瞬を巧みに描いた。クライマックスや押さえたクリスマスの描写など深みのある美しさと、必死で心に踏み込まれるのを拒絶する心理描写の細やかさ、表情の変化が素晴らしい。

96「ナス姫バラ王子」
 園芸部でナスを作っている木綿ちゃんは、バラが大好きな佐野くんとは似合わないかと思い悩み、ある日フリルのリボンをつけてみて、ものの見事に笑われる。怒りに駆られてバラに八つ当たりを。軽妙な感覚がとても心地よい。

97「おでまし!プリンセス」「るんるん」連載だが単行本未収録。
 小国のおてんば姫、エミリアは城に落ち着かず、いつも外を微行してお付き侍女のルイーズを困らせている。
 ある日出会った方向音痴の修道士は実は彼女の婚約者。一見普通の人だけど、刃物を持つと江戸っ子?になる。
 エミリアの従姉妹も登場して、人情ものあり捕物帳あり恋愛あり、楽しければすべてよしの娯楽活劇を期待させたが、掲載誌の廃刊で連載初期に打ち切られた悲劇の作品。最終回に、政略結婚で自分の意志が通らないことにエミリアが怒りを爆発させ、石壁を殴るシーンがあったが筆者には連載中止の悔しさが伝わったように感じ、それを作品に昇華してしまう力量に脱帽した。クライマックスの美しさは言葉にならない。
 遅効性のギャグも楽しかったし、エミリア付きの侍女ルイーズの可愛らしさは最高!なぜ梱包のプチプチが中世ヨーロッパにあるんだ、と突っ込みつつ笑っていた。


今までの実績、現在の地位

「るんるん」での連載経験はあるが、単行本も出ていない。

「るんるん」の廃刊以来登場していないメンバーの一人。


個人的な感じ

 デビュー作からの一目ぼれ。あえて暗いタイプの主人公の心の成長を語っていく作品や明るく一生懸命な恋に魅せられていった。絵と調和して高いリアリティーがあり、強烈に感情移入していた。
 また遅効性のギャグも楽しく、昔の癖だった心理ネームの多さも読み返すたびに解釈を深めていく楽しさを味わえた。
「おでまし!プリンセス」の連載は嬉しかったが、まだ導入部で掲載誌廃刊打ち切りを食い、作品の中でエミリアがやったのと同様壁を殴った。
 どんな形でもいいからもっとその作品を見たいし、できれば「なかよし」に復帰するか…ため息。