宇宙連合VS大魔王〜「ダイの大冒険」別伝〜

「ダイの大冒険」魔王軍(バーン、ミストバーン、キルバーン、 超魔ハドラー+親衛騎団、原作ストーリー無視してバランその他)
VS
逆シャア(ラー・カイラム〜νアムロ、カミーユ健康Z、ジュドー里帰りZZ)
Gガン(完成ドモン)
マジンガーZ
ボルテスV
サイボーグ009
アンドロメダ+戦艦二隻
ビックバイパー
ミレニアム・ファルコン(ソロ+修行後ルーク)

魔王軍が防御側でちょいとリプレイ。

設定・ダイはデルムリン島に流れ着かず溺死しており、ハドラーに襲われた瀕死のアバンが命と引き換えの禁断の祈りをして001とルークに連絡、彼らがスパロボ軍団、ヤマト世界の地球艦隊の一部、ビックバイパーを引き抜いてダイ大惑星の救援に向かった。
地上の王国はことごとく破られ、地上破壊計画も時間の問題である…


 無限に広がる大宇宙。
 その広さと多元宇宙の壁を時空を縫って突き破った数隻の船が、宇宙の広さを知る人間さえいない星に向かい、今最終段階の減速を行っていた。
「距離二万宇宙キロ、安全着陸に要する時間は二十二時間」オペレーターの静かな声。
「強行突入なら?土方提督」
「作戦は検討済みです、ブライト艦長」
「環境は地球に非常に近いです。ただし惑星自体が二重構造を持っており、地下に広大な空洞が広がっています」
「ここから得られる映像では文明レベルは十五世紀程度と思われます」
「そんな原始時代から呼ばれたのか?」ソロが少し慌てたように。
「しかし、何に呼ばれたんだ?魔王だの何だの」甲児が退屈そうにぼやいた。
「でもとてつもない邪悪な力を感じるのは事実だ」アムロが諭すように甲児の肩に手を置く。
「それに、これまでこっち地球で戦ってきた敵も、地下帝国だの何だの変な連中はいっぱいいたじゃないか」ジュドーが軽く小突いた。
「まあな。まあ、ちょっとメンテしてくるわ」
「そうだな。総員最終チェック、戦闘に備えよ」
 ブライトが穏やかに声をかけ、皆の間に安心感と穏やかな闘志が広がる。

 そんな彼らを、別の目が静かに見ていた。
「アバンめ、死の間際に悪あがきを」水晶球を見つめつつ、ハドラーが拳を握り締めた。
(しかし、星の彼方まで映し出すとは、バーン様の魔力はどれほどなのか)
「もはやこの地上にはわれら魔王軍に敵する者はない。だがまさか、別の世界から勇者を召還するとはな。なかなか楽しませてくれる」バーンの声がカーテンの奥から響く。
「どこから来たのであろうと人間は人間、滅ぼすまでです」バランは退屈そうに立ち上がった。

「まあ待て、奴らがいるのは空のさらに上、空気も重力もない虚空じゃ。そこでは命あるものは息ができず、翼も使えぬ。古い神々に属する竜族ならともかく、そこで不自由なく戦うには…」
 ふと、バーンは自分の可能性のことを思い、ある種の恐れを感じた。
「じっくりと歓迎の準備をして待とうではないか。どうせ彼らには、この大地ごとわれらを消し飛ばすことはできぬ」そのほうが好都合ではあるが、とはバーンは口にしなかった。
 地上破壊計画自体、ミストバーンとキルバーン以外魔王軍にも知る者はいない。

「最初にミレニアム・ファルコン、ラー・カイラムが侵入し、ロボットの援護を受けつつ情報を収集します」
「002、003、007、008、そして私009もついていき、情報収集に協力します」
 スクリーンにビックバイパーと、ウェイブライダー形態のZガンダム、そして十数機のコスモタイガー。
「ビックバイパー以下コスモタイガー隊、配置につきました」
「こちらカミーユ、大気圏突入軌道に入りました」
「頼むぞ。皆時計をあわせよ、作戦開始」
 土方が静かに立ち上がり、軽く敬礼した。ブライトが返す。
「大気圏突入後の第一終結地点、221-147の小島」
「戦隊、大気圏突入用意!」
「はいよ」「ウフォーゥ」
「001は寝ているのか?」
「そうみたい」コスモタイガー後部席の003が困惑し、少し腕寂しそうにした。
「まったく困ったもんだ、いつもながら」009は軽くぼやくと、操縦桿を軽く動かした。「いい機体だな」
「でもこんな機体ができるってことは、よその宇宙でも戦争を終わらせることはできなかったのかしら」
 003が哀しそうにつぶやく。
 007が何か引用した言葉は、徐々に強まる大気圏突入の轟音にまぎれて消えた。

 人間達に会って事情を聞いたりするストーリーパートは中略。
 人間サイズ対人間サイズもできるだけ略…ドモンやルークとヒュンケルの戦いは見ごたえがありそうだし、「ヒュンケルとかいったな、あんたガンダムファイトに出てみないか?」というような言葉も聞きたいけどそれはもう別の話になるから。

 炎の嵐が一行を包んだ。
「フハハハ…もう燃え尽きたろう」
 フレイザードが手を休めた瞬間、閃光のように飛び出す影がフレイザードを狙い撃った!
「なんだ?このスピード、人間じゃねえな、それに燃えねぇのか」
「なに?スーパーガンがきかない」
 009とフレイザードがにらみ合う。
「助かったぜ」
 上空に、002につかまった生身の人々がいた。
「燃えねぇなら、これならどうだ!」
 フレイザードのもう一つの半身から、いてつく氷がほとばしる。
「くっ…加速」
 逃れた009、だがそこに妙な光が襲ってきた。突然009の動きが鈍る。
「ボミオスを知らんとは、この世界の生まれでないというのは本当じゃの。ほほう…人間に見えるが、キラーマシーンと同じからくり入りか。これはたっぷりと研究したいの」
「くっ」
「借りとくよザボエラ、さてこっちも芸を見てもらおうか…メ・ラ・ゾ・−・マ」
 フレイザードの五本の指に、炎がともる。
「これにも耐えられるようなら、ますます研究のしがいがあるというものよ」
「フィンガー・フレア・ボムズ!」
 009に飛ぶ炎の渦。だが、そこに巨大な鉄の柱が、上空から突然突き刺さった!
「待たせたな!」
 気づいたときは009は巨大な手の中にいた。
 マジンガーZ、そして上空にはZガンダムとコスモタイガーの勇姿。
「おのれ…」
「宇宙のどこでも悪は許さん」
「しっかり修正させてもらうぜ」
 Zガンダムのバルカンが、妖魔師団をなぎ払う。
「くらえバケモン!ブレストファイアー!」
 マジンガーの胸が熱くなり、赤い光がフレイザードに突き刺さる!
「だめだ甲児、やつに熱は」009の叫びもかき消す熱風の嵐!
「ぐあおおおおおおお…」
 フレイザードが爆炎と化し、消えた…
「ふっ、ちょっと卑怯な気がするな」
 燃え盛る炎の渦…そこから、突然すさまじい氷の嵐が巻き起こる!
「なにっ!」
「うおおおおおっ!」
「フハハハハハハハ、おいしい炎をありがとよ!返すぜ!」
 倍近い大きさに膨れ上がったフレイザードの笑いが響き、炎の嵐がマジンガーを襲う。
「ならばくらえ、冷凍ビーム!」
 マジンガーの両耳から氷がほとばしり、フレイザードが放った炎さえ凍らせた。
「バカ!」カミーユが叫んだ。
「これでバランスが取れた、氷まで強化してくれるとはご親切なこった」
 フレイザードの氷側がますます成長し、パワーアップしている。
「じゃああらためて、フィンガー・フレア・ボムズ!」
 マジンガーの巨体さえ包み込む炎の嵐!
「ぐうううう…超合金Zは無敵だ!」
「だが、中には生身の人間がいるようだな」
 フレイザードは冷徹に分析している。
「う、おおおおおお!くらえ、ロケットパンチ!」
 マジンガーの腕が上がると、鉄の弾丸がうなりを上げた。
「くっ、ここは覚悟を決めるか…弾丸爆花散!」
「よっしゃ、砕け散ったか」
 マジンガーがガッツポーズ…だが、そのマジンガー、そして上空の戦闘機隊にも無数の弾丸が襲いかかる!
「なにぃ?」
「あの岩の一つ一つがフレイザードだわ!そして、それが炎と氷を…」
 003がおびえたようにつぶやく。
「じゃあいくら攻撃しても無駄か」
「ブレストファイアーも冷凍ビームも力を与えるだけだ」
「なら!」
 コスモタイガーが一気に加速、反転して光の嵐を放った。
「きかねぇよ、それに熱は大歓迎だぜ!」
 フレイザードの笑い声が響く。
「どいてろ!」
 カミーユの声が響き、そしてZガンダムが一瞬で変形した。
「おお、こいつも巨大なからくり人形か」
「モビルスーツだ、覚えておけ!…消化液を頼む!」
「お、おお忘れてたぜ」甲児が頭をかき、マジンガーの口から液がほとばしった。
「火が…消える?させるかよぉ!」
 吹雪が吹き荒れ、消化液が一瞬で凍りついて虚しく地上に落ちる。だがその隙で十分だった…
「ここだっ!」ほとばしるビームの一閃。「ここが核だ、巨大な邪悪を感じた…」
 一瞬で、氷と炎の嵐、襲い来る岩は消え去った。
「お、おお…さすがニュータイプ、助かったぜ」
「あの性悪じじいは?」
「隙を見て逃げたわ」

 アンドロメダの、省力化された第一艦橋では土方が地上での戦況を見守り、宇宙における各艦の状況を確認して広がる不安に関する報告書を検討、帰還後の報告書をどうするかという不安を押し殺し、と非常に多忙な書類仕事をしていた。
 その背後に、突然虚空から影が出現した。
「なにや」
「かんちょ」
 ほんの数人のブリッジクルーが、立ち上がろうとして凍りついた。
「ふふふ…」
 キルバーンが静かに鎌を振り回す。
「まず総大将の首からいただくよ」
「でっかいなあ!すごいなあ!」ピロロの奇妙な無邪気さが、余計邪悪な印象を強める。
 ぴたっ、と動けなくなった土方の首に鎌が触れた。
「どんな艦に乗っていても、その中の人間はもろいものさ…じゃあね」
 引こうとした瞬間、その手が押しとどめられる…すさまじい力で。そして、キルバーンの後頭部に四本の指が突きつけられる。
「誰だ!」
「イワンが教えてくれた、邪悪が来ている。笛を使う呪術師いた、でもおまえ自然じゃない、邪悪」
「この指は機関銃だ…少しでも動けば頭を吹っ飛ばす」
「ふっ…残念だが、ボクに弾が当たったら全てが吹っ飛ぶよ」
「奇遇だな、オレもそうだ」004が吐き捨てた。
「となると…」
 じわり、と005の額に汗が浮く。
「先に、そのイワンとやらを殺しておいたほうがよさそうだね」
 キルバーンがつぶやいた瞬間、彼の体は床と同化するように沈んでいった。
「まてっ!」
「う…」
 呪縛が解け、うめき声を上げた土方の目に、赤ランプだらけの艦内の姿!
「おい、全艦チェックせよ!侵入者の可能性あり!」
「右波動エンジンとメインコンピューターに爆弾」
 キャビンのドアを開けて飛び込んだ、006の腕の中の001の思念が伝わった。
 そして同時にキルバーンがばら撒いた筒から出現したアークデーモンなどの群れに、004と005が立ち向かう。
「くそ、省力化しすぎた艦は予想外の方法による破壊工作や移乗白兵戦に弱い、か…」
 土方が帽子をかぶりなおした。

 また途中経過をすっ飛ばし、鬼岩城が話し合いをしている王達と土方を襲撃。

「命令する。死ね(前後略)」
 巨大な城からの、ミストバーンの一言に全員が凍りついた。
「なめられたものだ、なあに助っ人の力など借りん!われらの兵器だけで撃退して見せようぞ。余計な手出しは不要だ、土方提督」
「ならばお手並みを拝見いたします」
 散々侮辱され、(もうこんな連中のために戦うのはやめてもとの地球に帰ろうか、だが何とかするまで帰れないようだし元の地球だって似たような奴らはいる、耐えるのが軍人の仕事だ)と歯軋りしている。
「土方さん!」
「総員出撃準備、ラー・カイラムと越後(戦艦その1)は水平線上から鬼岩城を狙え。軌道上のアンドロメダ・駿河(戦艦その2)は第二警戒態勢で待機せよ。ビックバイパーとZガンダム、コスモタイガーは偵察任務を続行せよ」
「はいっ!」
「ああ、イワンはどこにいる」
「ここに」
 009が進み出た…キルバーンの攻撃をそらすため、001の影武者を志願したのだ。
 その間にも帆船の戦列艦が巧みに帆を操って上手回し、そのまま鬼岩城を射程に入れると発砲を始めた。
 そして…煙が晴れたとき、そこには美しいとも禍々しいともいえる城の姿があった!
「ばかめ、わざわざこの城の姿を見せてくれるとはな…」
「に、逃げろ!」
 叫びも虚しく、砲火の嵐が戦車隊と戦列艦を粉砕した。
「攻撃開始!あとの指揮はブライト艦長に一任する!」
 土方が通信機に叫び、同時にZZガンダムが城の真ん中に着地した。
「諸国の王よ、後はわれわれに任せて、皆避難してください!庶民の避難も忘れずに!イワン、ルーク、護衛に回れ!」
 009、004、005とルークが守る中、諸国の王と土方が大急ぎで隠し通路を抜けようと急ぎ、光が…
「待っていたぞ」

「異世界の勇者か…おまえたちも死ね」
 鬼岩城から無数の影が飛び出し、洋上のラー・カイラムと越後を襲おうとした…その瞬間、越後の主砲がいっせいに火を噴いた!
 声一つ出ず、すさまじいショックカノンの光の槍が容赦なく巨大な鬼岩城を貫く。
 その鬼岩城の真上から、コスモタイガーとビックバイパー、Zガンダムが容赦なく強力な光の嵐を叩きこむ。
「とどめだっ!天空剣、Vの字斬りいいいいいいいいい!」
 鬼岩城の背中に、光のV字が描かれる…そのまま轟音を上げて鬼岩城は崩れ去った。
 だが、無数の影たちの攻撃は続く。
「くそ、こいつら…対空機銃がきかないのか」
「どけぇ!実体がない連中には…」
 ドモンの気が一気に膨れ上がる。
「超級覇王電影弾!」
 すさまじい渦がガストたちを引き裂く。
「避難民が!」
 ジュドーが叫ぶ…デッド・アーマーを先頭に、不死鎧系の魔物が避難民を襲おうとした。
「させるか!」 
 ZZガンダムが一瞬で変形してその前に着地する。
 だが、命も心もない鎧たちは何も考えず、ZZガンダムに殺到した。
「相手は人間サイズが多いから…新兵器を試させてもらうよ」
 ZZガンダムが取り出したのは、短機関銃に似た奇妙な兵器だ。
「いけっ!」
 デッド・アーマーを向くと、すさまじい閃光と何かの嵐が生命なき鎧たちを次々と引き裂いていった。
「超高連射速度・高初速のバルカンレールガンだ。跡形もなく消えうせろ!」

「貴様は!」
 隠し通路を抜け、城裏の岩場から姿を現した王達と土方、そして009とルークの前に立ちふさがったのは…
「聞いたことがある…はるか昔から魔界で、バーンの影のように戦い続けた、六大軍団長の一人、魔影参謀ミストバーン」
 テラン王が漏らした。
「死んでもらおう」
 ミストバーンが手を上げ、その指が…伸びた瞬間、009がそれをはねあげ、スーパーガンを抜き撃った。
 せせら笑い、手を広げたミストバーン…何か網のようなものが皆を捕らえる。
「ぐうううううっ!」
「闘魔滅砕陣…おおっ!」
 そのとき、砕けていく鬼岩城の姿がミストバーンの目に映った!
「貴様ら…バーン様からお預かりした鬼岩城を…もはや死をも許さん、永遠の苦痛を与えてくれよう!」
 すさまじい力が、全員の腕をねじ上げていく。
「ぐあああああっ!」
 なすすべもなく悲鳴を上げる王達と土方、だが009はその力を押し返し、そしてルークの耳には…(ルークよ、フォースを信じるのだ)とオビ=ワンの言葉がよみがえる。
 上げたルークの手に、ふっと腰のライトセイバーが飛び込み、光を放った。
「う…おおおおっ!」
 地面にライトセイバーの刃が突き刺さると、滅砕陣が消えうせる!
「ゼロゼロ…イワン、皆を避難させ、ラー・カイラムのジェットとフランソワーズに連絡しろ!」
「わかった!」
「貴様…」
 無言でルークがライトセイバーを振りかぶり、切りかかる。
 瞬時に伸びた爪をかわし、そのまま切り下ろした刃をミストバーンもかわした。
 そのかわして崩れたところに、004の弾丸が降り注ぐ…が、BB弾ほどにも感じていない様子だ。
「のけ」
 005がトラックほどもある岩を投げつけるが、ミストバーンは瞬時にそれを粉砕し、005に組みつく。
 一瞬相撲のように押し合うが、あっさり005が投げ飛ばされる。
「まさか!」
「あの岩を投げた怪力を」
 そこに004のグレネードが爆発し、その直後強烈な光の槍が、ミストバーンを貫いた!
「ジュドー!アムロ!」
 ZZガンダムとνガンダムがすぐ近くに着地する。
「ジュドー、王たちと土方提督を避難させてくれ」
「わかった」
 ZZガンダムが人間達を抱え、そのまま飛び去る。
「ビームライフル直撃、さすがに」
「いや、邪悪は感じるよ…あの城以上のプレッシャーでな」
 アムロの言葉にルークがうなずく。
「危ない!」
 νガンダムが、コクピットを正確に狙う鋼の爪を間一髪でかわした。
 傷ついた印象のあるミストバーンが、すさまじい迫力で浮かび上がった。
「フィンファンネル!」
 ジェネレーター内臓のフィン・ファンネルが、重力大気圏にも不自由なく空を舞い、変形してミストバーンにビームの嵐を注ぐ。
 ミストバーンはまるで、ハエが丸めた新聞をひょいひょいかわすように恐ろしいスピードで回避する。
 だが、その射撃はミストバーンを、壁に囲まれた地点に誘導していた。
「いけっ!」
 009が超高速でミストバーンに殴りかかり、それを鮮やかに…合気道を思わせる優雅さではねのけられた、その瞬間005が投げつけたルークがすさまじい一撃を送った!
 フードの一部が切れ、わずかに顔が見える…
「お、おのれええええ…」
「くら」
 νガンダムがビームライフルを構えたが、何かを感じて手が止まる。
「この顔を見たな、見たな…」
 強烈な闘魔滅砕陣が全体を覆おうとする…009とνガンダムとルークは逃れようと飛んだが、プレッシャーに押されて反撃できない。
「もはやこれまで…この闇の衣を脱ぎ捨て、貴様らを皆殺しにする…たとえバーン様のお怒りを買い、処刑されたとしても…」
 そこに、ふっと影から鎌が突きつけられた。
「ストーップ…」(以下原作同様のため略)
「君が噂のイワンだったか…覚えておきたまえ、ボクは屈辱は決して忘れない。君はもう眠ることも食べることも飲むこともできない。
 何に毒が入っているかもわからない、眠った瞬間首をかききられるかもしれない、トイレでほうっとしたときも、女の上で絶頂を迎えたときも、その一瞬の隙に首をかききってやる。
 どこの宇宙に逃げようと、必ず追い詰め…殺す」
 そう言い放ち、キルバーンとミストバーンが消えた。

 ハドラー・バランを中心にした大部隊の侵攻を大規模な無人大地で迎撃。

 衛星軌道から、大量のミサイルと主砲が着弾し、巨大な爆発が起きる。
 その間隙を縫い、コスモタイガー隊・ビックバイパー・ミレニアム=ファルコンも大量の破片を撒き散らす爆弾を投下する。
 空を飛べる魔物もいるが、コスモタイガーやビックバイパーのスピードにはまったく対処できない。
 きのこ雲が立ち込める地獄の戦場を離れ、岩山の影に数人の戦士の姿があった。
「おのれ…われらが魔王軍がこうまでいいようにやられるとは」
「ハドラー!無事か」倒れた巨竜の影から、バランが姿を見せる。「すさまじい破壊力だな、ドルオーラ級の攻撃をこうも連発できるとは」
「数発は黒の核晶に匹敵する爆発もありましたな」と、ザボエラ。
「しかも奴らは星の高さにいる、そうそう手が届かん…だが、まだ終わってはおらん」
 ハドラーがザボエラを振り返ると、傍らのザムザはいくつもの大きな玉を抱えていた。
「主力は玉に入れておきました。ここから旅の扉で大きな港の近くに飛べます、奴らも都ごとわれわれを吹き飛ばすことはできますまい」
「こちらも主力は残している」バランが手を叩くと、地中深くに潜っていた巨大な竜たちが地面を盛り上げ、顔を出した。そして空や海からも数多くの竜が出てくる。
「あの港に奴らの艦がいるようだ、まとめて襲撃するぞ」
「少しお待ちいただきたい、竜騎衆を召還するに値する敵のようだ」バランがふっと姿を消した。
「伝説の竜騎衆とは…これで人間どもも終わりですな、ヒョーッホッホッホ」ザボエラの笑いが不気味に響く。

「おお、本当に魔王軍を全滅させるとは…遠くから見せてもらったが、すさまじかったですな」
 もうお祭り気分の中、テラン王とメルルはむしろ沈んでいた。
「まだ恐ろしい力が、思ったより近くにいる気がするんです」
「ああ、感じるよ」ルークがいう。
「おおい、これなんとかしてくれ」甘い悪臭が漂いだす001を抱えたハン=ソロが悲鳴を上げる。「ウフォー」
「ソロ船長、これくらい覚えておかないと後が大変ですぞ。でもハサウェイたちのオムツを最後に替えたのは何年前だったか」ブライトが苦笑しつつ、手早くオムツを交換した。
「父さん!」真っ赤になったハサウェイが文句を言う。
「ハサウェイ!君用にアストナージさんや剛日吉さんたちの協力でカスタムした機体ができたよ。アンドロメダやルークさんの世界の技術は想像以上に進んでいたな」アムロがハサウェイを連れ出した。
「急がないと…アムロさんも、感じるでしょう」
「君もか…ジュドーやカミーユにはもう会っているな?」
「ものすごい力でしたね、お二人とも」
「さて、どこから来ると思う?」

 海の底から迫る巨大な水竜に、008がまず気づいて電磁ナイフでその鼻先に切りつけ、翻弄する…そこに追いつくのがボルト・フリゲート。
 ネプチューンロックに縛り上げられた水竜が暴れ、ボルト・フリゲートを海底深く引きずりこもうとする。
 他にも多数の水中からの敵が、ラー・カイラムの無防備な下半身を狙ってきた。
「008、皆に連絡、敵襲だ!」
 ラー・カイラムが水上50mほどに浮上し、内部ではMS隊が行動を始める。
 そこに水柱が上がると、巨大な亀を思わせる竜に乗った巨漢がラー・カイラムをにらみすえた。
「ぶっつぶしがいがありそうだな。海戦騎ボラホーン!」
 浮上したボルト・フリゲート、そして008とにらみ合う。

 突然、竜とそれにまたがる魔族の軍団が地上から空中から、市街に猛攻をかける!
「くっ、来たか」
「くそっ、どこから来たんだ!こう街にまぎれてしまっては、大量破壊兵器は使えないし衛星軌道からの援護も空爆も無理だ」
「MS隊、マジンガー、発進!」

 街の人を守ろうと飛び出したMSや009たちの前に、数人の影。
「貴様はっ!」
「魔軍司令ハドラー。部下達を可愛がってもらったお礼をしなければならん」
「人間どもめ…ゆくぞラーハルト!」
「はっ」
 マジンガーとハドラー、νガンダムとバラン、シャイニングガンダムとラーハルトがそれぞれにらみ合う。
 空ではZガンダム、ボルト・クルーザー、ボルト・ボンバーとガルダンディー率いる飛竜部隊が交戦を始めた。
 ZZガンダムが海に駆けつけ、上陸しようとする敵を迎撃する。
「くらえ、ジャッジメントフラッシャー!」
 鋼とレーザーの奔流。旧世紀のAC-130に近いコンセプトのMS用手持ち兵器。
 秒速3kmに及ぶレールガンで50BMG弾に相当する鋼鉄弾を毎秒2000発と40mmの大型弾を毎秒100発連射、同時に100ミリ榴弾を毎秒10発、加えてビームライフル級の熱量を持つパルスブラスターの連続掃射。
 いかに強大な魔族たちも、跡形も残すことはない。

 低空を、市街を盾に複雑に動く飛竜に戦闘機隊は高速重爆撃ができない。
「くそ」
 Zガンダムが変形した瞬間、ガルダンディーの竜が巻きつく!
「ううっ、凄まじい力だ…だが今だ、002!」
 巻きつかれ、締め上げられて塊状になるZガンダムの周囲を、マッハ5の疾風が駆け回る。
 衝撃波に悲鳴をあげた竜とガルダンディーを、Zガンダムのビームサーベルが切り刻んだ。

「魔王め、覚悟!ロケットパーンチ!」
「遅いわ、イオナズン!」
 爆炎に紛れて懐に飛び込んだハドラーが、マジンガーの足を切り裂く。
「うおっ!」
「オレの地獄の爪で貫けぬものなどこの世にないわ…」
「超合金Zを!」

「死んでもらおう、愚かな人間め」バランが剣を抜く。
「νガンダムは伊達じゃない!」νガンダムが飛び離れ、放ったビームライフルがバランの駆る竜を貫いた。
 だがバランは素早く飛び離れ、凄まじい速さで切り込んでくる。
 上空に逃れたνガンダムのシールドから、二発のグレネードが飛び、爆発する…が、そこから次々とベギラゴン、ヒャダインが突き刺さってくる。
 νガンダムの高い機動力でなければかわしきれなかっただろう。
「想像以上に強力だな。ならば…」
 バランの手が掲げられ、その手の竜の牙からしたたる血が、赤から青に…

 シャイニングガンダムとラーハルトはただじっとにらみ合っていた。
 互いの力量を見きわめたか…
「行くぞ!俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶ! 必殺! シャイニングフィンガー!」
「ハーケンディストール!」
 閃光と閃光の激突。
 シャイニングガンダムの右手が斬り飛ばされ、宙に舞う。
「おおっ!」
 コクピットに槍を突き立てようと飛ぶラーハルトに、シャイニングガンダムの蹴りとガトリング砲が襲いかかる…が、
「おそいっ!」
 ラーハルトは銃弾をかわし、鮮やかに蹴り足に飛び乗るとそのまま関節に手甲剣を突き刺した。そのままバランスを崩し、シャイニングガンダムが横倒しになる。
 コクピットから飛び出したドモンと、ラーハルトがにらみ合う…
「ふっ、妙な巨人から出た貴様のほうがはるかに強そうだ」
「想像以上に強いな…」

「かあああああああっ!」
 ボラホーンのコールドブレスと、ボルト・フリゲートの冷却光線がぶつかり合い、海が広く氷の津波と化す。
「危ない!」
 そこに数機のMSが襲い、ジャッジメントフラッシャーの集中攻撃、ボラホーンが消えうせた。
「助かったケーラさん、ハサウェイ」
「やったか?」
 そこに浮かぶザボエラとザムザの姿。
「うまくたくさんの死体を出してくれたな…ヒョッヒョッヒョッ」
「いい敵になりそうだな…実験台にふさわしい」
 ザボエラの手から放たれた光の弾が魔物たちの死体に食い込み、ザボエラの周囲に死体が集まって超魔ゾンビが出現した!
 そしてザボエラも巨大化し、超魔生物として彼らに襲いかかる。
「くっ、くらえ!」
 猛烈な鉄とビームの嵐、だがザムザの再生能力とスピード、そして超魔ゾンビの恐るべき柔軟性はその全てをはじき返した。
「飛べ!」
 全機が宙を飛び、散開する。

 稲妻の嵐の中、バランの姿が変わっていく。
「うう…プレッシャーが、増していく!」
 アムロがうめく。
「はああああっ、くらえ!」
 紋章閃を間一髪かわし、νガンダムのビームサーベルが振り下ろされ…かわした竜魔人バランを背後からファンネルのビームが襲った。
「きかぬわあっ!」
 バランが叫ぶと周囲の土砂さえ巻き上がる。
「バギクロス!」
 強大な呪文が剣を包み、その一閃がνガンダムのシールドを断ち切った。
 そのままνガンダムは左手で殴りかかるが、その手をバランはとらえると、そのままねじあげるように振り回し、投げ飛ばした!
「貴様程度の巨大な敵とは、もう何度も戦っている!わが先々代の竜の騎士は貴様らの倍以上あるマグマの巨人族を全滅させたのだ」
 かろうじて着地したνガンダムが連射するビームライフルを、バランは腕に集中した竜闘気で左右に打ち払った。
「戦艦ごと消し飛べ!」
 バランの両手が組み合わされ、νガンダムと、その向こうのラー・カイラムを狙う…
「回避!」
 ブライトが叫び、回避したνガンダムの残像にファンネルのバリアが残る、そこをドルオーラが貫く!
「うああああっ!」
 凄まじい閃光…かろうじて回避行動を取っており、ファンネルのバリアがエネルギーの大半をそらしていたため、ラー・カイラムの一部が吹き飛ばされただけですんだが、
「なんて威力だ…アンドロメダ級の主砲、いや波動砲並みじゃないか」
 皆が驚いて放心していた。
「よくかわしたな、だが次はない!」
 飛び上がったバランが再び手を組もうとする。
「させるか!」
 かわしていたアムロのビームサーベルが一閃する。それを真魔剛竜剣が受け止めると、ビームサーベルを蹴り飛ばしてそのまま巨大な腕に組みつき、ねじ折って引きちぎった!
「ぐああっ」
 コクピットのアムロが反動に悲鳴を上げるが、「これでどうだ!」
 左手から放たれたトリモチがバランの翼をとらえた。
「ハドラー!」
 叫んだバランに、ハドラーがベギラマをぶつける。
「助かったぞ」
 トリモチを蒸発させ、自らは無傷でマジンガーを蹴り倒すと、そのまま再びνガンダムに向かった。
「くっ…させるか!」
 バルカンで牽制する。無言で砲弾を斬り飛ばすバランの剣に、巨大な稲妻が天から落ちた。
「くらえ…」
「くそうっ!」
 ライフルを捨て、ビームライフルで斬りつける…のをフェイントに、νガンダムが突然強烈な後ろ回し蹴りを放った。
「遅いわ、ギガブレイク!」
 νガンダムの脚が砕け散った、その瞬間に、νガンダムの下半身ごとファンネルからのビームの嵐が降り注いだ。
「うおおおおおっ!」

 マジンガーから放たれるミサイルパンチの嵐が、次々にハドラーの至近距離で着弾する。
「直撃が無理なら…破片はどうだっ、クラスターパイナップルミサイルパンチ!」
「この鋼の肉体に、そんなものが…ぐううっ!」
 爆発自体はイオナズン同様、魔族としての炎耐性で耐えられるが、超高速であらゆる方向から飛んでくる鋼の破片は容赦なくハドラーの肉体を切り刻む。
 耐えかねて走りこむのをロケットパンチで食い止め、叫ぶ、「とらえたっ、カミーユ!」
 Zガンダムの極限まで収束されたビームライフルがハドラーを貫き、
「くらえ、アイアンカッター!」
 刃を生やしたロケットパンチが、ハドラーの体を袈裟切りに両断した!
「ハドラー様!」
 慌てたザボエラとザムザが素早く駆け寄り、死体を回収してルーラで消えた。
「くそ、追え!」
 ビックバイパーとミレニアム・ファルコンがルーラを高速で追う。

「陸戦騎ラーハルトだ、名前を聞いておこうか」
「ドモン・カッシュ」
 じりっと間合いを詰め、ドモンが正面からすっと接近した!
 ラーハルトのすさまじい連続突きをかわし、ドモンがラーハルトの手元につけこんで…
 飛び違った二人が、同時に倒れる。
 そしてラーハルトがふらりと起き上がり、血を吐いて倒れた。
「ぐぐっ…明鏡止水か…バラン様は引かれたようだな」
「強かったぜ、ラーハルト」

「ここはどこだ?」
「ウフォー」
「死の大地だ」
 ファルコンに便乗した009が、頭に入れておいた地図を見てつぶやいた。
「降りるぞ!追う」
 ビックバイパーがオプションを放出し、得意の高速超高機動で岩の隙間を縫って進入する。
「待っていたよ」
 ふっと声がする。
 ミストバーンとキルバーン!ビックバイパーのレーザーが五本うなるが、二人ともかわしたのか効かないのか平然としていた。
「イワン…勝負をつけようじゃないか」
「ここが根拠地か?」
 009が言い、素早くアンドロメダにいる006、007に連絡した。
「生かして返すわけにはいかん」
 ミストバーンが静かに告げ、ミレニアム・ファルコンからルークが降り、ライトセイバーが光の刃を浮き上がらせる。
 上空に浮かぶビックバイパーが、正確にレーザーを放ってルークを援護した。
 ミストバーンの手が伸び、二本の剣に変わる。
 ルークはそれを冷静に受け流し、鮮やかに返した。
 キルバーンの鎌が回る前に、009の姿がかききえ…たと思った瞬間、瞬時に急停止した。
 前方の空間にマフラーを振ると、そのマフラーが切れる。
 009のスーパーガンがキルバーンを狙うが、それがなぜか霧消する!
「なんだ?」
 キルバーンが袖から、ハートの2のカードを取り出す。
「キミはもう、罠にかかっているんだよ。一切の飛び道具を封じるハートの2と、見えない刃ファントムレイザー」
「見えない?いや…丸見えだよ、機械の目には!」
 009が、まるで体操のように鮮やかな動きで刃の網をくぐりぬけ、キルバーンの足を払った。
 持久戦…互いに決着がつかない戦いの中、突然009が背中を向けてファルコンに飛び乗ってシールドを最大にし、それにキルバーンとミストバーンがぶつかった瞬間、あたり一面に光の柱が突き刺さった。
「戦艦が来た!」
 ファルコンが浮上し、代わりにビックバイパーと追いついたコスモタイガー隊、ZZガンダムが光弾の雨を降らす。
「ここが本拠だ!」
 ファルコンに乗った009が叫ぶ…その肩には、みるみる変色する深い傷。
「ジョ…イワン!」
 ルークが駆け寄った。
「大丈夫だ…猛毒のようだが、この体なら抵抗できる。でも早めに、アンドロメダのギルモア博士に」
「わかった!飛ばすぞ」

 その間にも遠くの、空のしみに見える戦艦から大量の光の嵐が着弾する。
 死の大地はまさしく死の大地と化して…
 その戦艦と、全ての機体の通信機に突然声が割り込んだ。
「うるさいハエどもめ…まあ、暇つぶしになるがよい!」
「レーダー感度最大!高速で移動する人間を見逃すな!」
「艦内非常警戒!001は」
「眠っています!」
「正面、スクリーンではなく窓を!」
 まさに艦橋の正面に、三人の姿が浮かんでいた。
 中心に老人、そして左右にミストバーンとキルバーン。
「あ、あんな老人とは…いや、対空砲火!」
 パルスレーザーの嵐が三人に注ぐ。
 ミストバーンはまるで感じていないように甲板に着地すると、無造作に主砲をひねり、引っこ抜いた。
「うわああっ!」
「か、艦橋砲!撃て!」
 バーンは不敵に笑っている。
 戦艦の艦橋に並ぶ大型砲が、次第に力を増し…一気に光を放つ!
「フェニックスウイング!」
 バーンの右手が一閃した瞬間、艦橋は跡形もなく吹き飛んだ。
「面白くもない…この玩具、もう少し遊ばせてもらおうか」
 バーンの左手がふっと上がり、その手から炎の鳳凰が飛び立って後部を焼き尽くした。
「案外丈夫よの」
 かろうじて残った砲門がバーンを狙い、三式弾を射出する…その弾幕を無造作にかわし、
「何百年かぶりに使わせてもらおう…覚えておくがいい人間どもよ、余のバギクロスはその威力からこう呼ばれる」
 暴風が吹き荒れ、艦橋を失って自動制御に任されている戦艦を翻弄する。
 その暴風が、急速に巨大な入道雲…巨大な剣をたずさえた人間の姿に変わる。
「カイザーエクスキューション!」
 その剣が虚空から振り下ろされ、一瞬で…主力戦艦を両断した!
「見るがよい人間ども。そして悟るがよい、余に逆らうことの無意味さを…余のマヒャドは」
 バーンの前に、巨大で純白の一角獣…馬ではない、もっと美しさと禍々しさを持つ、純白の獣の姿が浮かぶ。
「こう呼ばれる、カイザーユニコーン!」
 獣が駆け、両断された戦艦が一瞬で巨大なダイヤモンドに閉じ込められ…そのまま霧のように砕け、消滅した。
 その映像を見せつけられた皆は、ただ呆然とそれを見ていた…

宇宙に逃げたラー・カイラムらは各宇宙の技術を結集した新鋭MSの開発を急ぐ。
戦艦ではバーンに対応できないことがはっきりし、またバーンの目的が地上破壊だと判明したため拡散波動砲などは使えない。
001が夢の中から入手した、各平行世界のガンダムの設計図からヤマト・009・SW・グラディウスなどの技術を利用して建造、また急遽ゴッドガンダムを(原作とは違い高度技術てんこ盛りで)完成させた。…ヤマト(真田さん)がいたほうがよかったか…
ドモン〜ゴッドガンダム+
アムロ〜ガンダムDX+
カミーユ〜ウイングガンダムゼロ+
ジュドー〜ディスティニー+
ハサウェイ〜Ξ+
(ルーク、009にもMSを与えようか、どちらも天才パイロットだしモビルファイターのシステムなら動くだけだから…と思ったがいくらなんでもイメージ壊しすぎるのでやめました)
そして死の大地に露出されたバーンパレスへ向かい、ハドラーと親衛騎団、バランの迎撃を受けることになる…

**今になって反省…004のニックネームが「死神」だってことを忘れていた。キルとそれで絡ませれば…

 死の大地に、壮大なバーンパレスがそびえていた。
 そこにビックバイパーとミレニアム=ファルコン、そしてボルテスVの五機を先頭に飛来した十数機の編隊、そしてコスモタイガーに乗るMSが飛び降りた。
 コスモタイガーが大きく散開し、地面を掠めたファルコンから00チームが全員滑り出す。
 003と、その腕の中の001が門を指差し、走り出そうとした。その瞬間、虚空から浮き出た鎌が009を引きずり込んだ。
「これは…決闘だ。いや、貴様は…違う!何者だ!」
 キルバーンが斬りつけた瞬間、009が音を立てて姿を変えた。そこには007…
「しがねぇ役者でごぜえますだ、クラウンさんよう」
「貴様は、あのなんにでも姿を変える」
 ふっ、と007が微笑む。
「どんな…罠にかかったのは、このボクだというのかい」

「仕方がない、このまま突っ込む!」
「レッツ・ボルトイン!」
 ボルテスVが合体し、地に降り立った。
「待っていたぞ」
 そこにハドラーの声!
「ハドラー!おまえは死んだはずだ」
「確かに死んだとも…だがバーン様の魔力でよみがえった。だがもう次はない、もうすべてを捨てて超魔生物に自らを改造したのだ!」
「ううっ、すさまじいプレッシャーだ!」アムロが目を覆う。
「そして紹介しよう、我が新しい親衛隊を…女王アルビナス、城ブロック、僧正フェンブレン、騎士シグマ、そして兵士ヒム」
 輝く親衛騎団が瞬時に変形した。
 そして最初から竜魔神化したバラン、超魔ゾンビに乗ったザボエラとザムザ、ミストバーンの姿もあった。
「来い!ここは一人たりとも通さん…超魔爆炎覇!」
 ハドラーの一撃で、マジンガーZが吹き飛ばされた。
「おおっ!」
 ルークとサイボーグ戦士も戦場に下り、すさまじい緊張感がみなぎる…
「強敵だ、フォースフィールド展開!」
 MSを強い光が包み込む。
 サイボーグ戦士はこれまでのスーパーガンに代わり、大型ライフルサイズの武器を構えた。
「死ね!」
 飛び出すザボエラとザムザに、アムロのバスターライフルが稲妻の嵐にも似た光の奔流を放つ…二体が瞬時に消えた!
「中身は全くの別物だ、アンドロメダの主砲に匹敵する波動カートリッジ銃、名付けてドラゴンズウィスパー」

 バーンパレスのどこかに戻ったキルバーンを、ピロロが迎えた。
「勝った勝った!やったね」
「いや、あれはイワンじゃなかった、イワンは」
 振り向き、投げたカードを009が受け取り
(ココダ)
 003の腕の中の001に渡した。
「キミが、キミがイワンだったのか…この、このボクをさんざんからかって…」
 キルバーンがわなわなと震え、鎌を振りかざす。
「この」
 そこに銃声、004の指が煙を吹く。
「あ」
 一言もなくピロロが吹き飛び、そのままキルバーンが倒れる。
「お、おのれ…なぜ」
(何度カタタカッテヤット正体ガワカッタ)
「だ、だが…ボクが死んだら、この人形の仮面が爆発する」
 ピロロが崩れた。
 そこにいきなり出現したジャッジの鎌が、キルバーンの人形部分を引きずりこむ。
「何とか改造できたようだな」
「ま、技術自体は単純ですからね」
 入れ替わりに戻った007が肩をすくめた。
 閉ざされた空間での大爆発が、気づかない程度にバーンパレスを、この惑星全体を震わせた。

 ルークがミストバーンと激しく斬り合う中、ゴッドガンダムが突然加わった。
「ルーク!光の気を集めるんだ」
「よし、フォースよ…」ルークが静かに剣を下段に下げ、フォースを集中させる。
(ぬうう…これほどとは、バーン様!)
「はああああっ、爆熱!ゴッドフィンガー!」
 ゴッドガンダムの、高熱で強烈な気のこもった拳がミストバーンを狙う。
「闘魔最終掌!」ミストバーンの掌にも、高密度の暗黒闘気が集まる。
 熱と暗黒闘気が激しく押し合う中、突然遠距離からディスティニーガンダムの大型砲がミストバーンを吹き飛ばし、倒れたところにルークが斬りつけ、顔を覆うベールを引き裂いた。
(許す)
 バーンの声、ミストバーンは闇の衣に手をかけて…前を一気に開いた。
「その…姿」ルークがプレッシャーに押される。
 無言でミストバーンがルークを殴り飛ばし、掌を一閃させるとその圧だけでゴッドガンダムが吹き飛ぶ。
「う、おお」

…話のまとめようがないので、ここからは脈絡抜きで戦闘シーンのみとします。

いろいろな状況で、対決をシミュレートしてそれをリプレイするのが本来の目的だったのに、作品として成立させようとしたのが間違いでした、すみません。
001というキャラが強力すぎて、キルバーンの正体もミストバーンの正体も簡単に見抜けてしまう、逆に001の能力なしではキルバーンの暗殺に対抗できない…困ったものです。

 バーンの肉体を返したミストが、009に突然襲いかかった。
「く、くそっ!離せ!」
「ふふ…いい武器ではないか、すばらしい機械がたくさん入っているな…これならミストバーンにも勝るとも劣らぬ戦士となろう」
 ミストは一抹の軽蔑をこめて009を支配しようとしている。
「オレたちは武器じゃない!」
 004が怒りを爆発させた。
「その体、戦いの道具、武器以外の何者でもなかろう。もはや戦士として己を鍛えることもできぬ身で、なにをほざく」
「道具、武器なら脱走なんてしなかった。黒い幽霊の命ずるままに戦っていただろう」と、004。
「ではもっと悪いではないか。この者の記憶を読ませてもらったが、お前たちの世界の理念にはシビリアン・コントロールというものがあるそうだな、偉大なるバーン様にお仕えする私から見れば愚かだが、愚かな人間だけで社会を築くならそんなルールも、よりましというものであろう。
 軍人は政治の道具でなければならないのが原則ならば、お前たち己の心のままに戦う戦士ほど危険な存在はない!」
 009の表情が暗黒に染まっていき、その額にミストの目が黒いティアラのように輝き始める。
 そして突然、加速装置を全開にしてマジンガーZとボルテスVに襲い掛かると、一瞬で二体ともなぎ倒した。
「うむ…すばらしい。この者には深い、深い人間への恨みがあるようだな…混血児の自分を差別したあらゆる人への憎しみ、自分を改造した人間の、戦争と縁を切れない邪悪への憎しみ…わが暗黒闘気はそれを解放するのだ!すばらしい武器よ、私に、暗黒に身をゆだねよ!」
(チガウ)001.
(009…ジョー!目を覚ませ!抵抗しろ!)002.
(あなたが好き…ジョー!)003.
(オレだって、全てを憎むときもある…だが悲しみに負けず、支えあって人を愛さなければならないんだ、ジョー!)004.
(一人じゃない、大宇宙の力を感じて、たたかえ)005.
(武器になっちゃいけないアル、人として、美味しいもの食べて、楽しく生きるアル)006.
(ジョー!生きるべきか、本当に死ぬべきか)007.
(ジョー…死んでも奴隷には、道具には、武器にはなるな!誇りを取り戻せ、憎悪に負けるな!)008.
「無駄だ…もうこの者に魂は…ううっ」
 009の中にかすかにともった光が、他の00メンバーズと増幅しあって輝き始めた。
 その009にルークが手を伸ばす。
 額に指が触れようとし、すさまじい暗黒闘気にはじかれるが、またひるまず手を近づけ…全身から血を吹きながら、ついに009の額に触れた。
 強烈な光が009に流れこみ…たまらず飛び出したミストを、ルークが両断した。

「あれが…バーンの、真の姿か」
 あまりのプレッシャーに、アムロたちはほとんど動けない。
 無造作にバーンが浮き上がると、ふっと手を差し出した…それだけでウイングガンダムゼロが吹き飛び、失速してはるか後ろの岩に激突する。
「やりすぎてしまうかもしれん…」
「うおおおお!天空剣…唐竹割り!」
 一気に切りつけたボルテスV。
 天地魔闘!炎に包まれて吹っ飛んだボルテスを、かろうじてマジンガーが受け止める。
「ああっ…」
「気をつけろ!攻防一体のカウンター攻撃だ」
 アムロが叫ぶ。
「ほう、よく一目で気づいた…だが、余の力は受けだけではないぞ!」
 バーンが瞬時に切り込む。上空で滞空していたビックバイパーがリップルレーザーを叩きこむが、こともなげにフェニックスウイングで打ち返す。
「ハイパアアアアアア〜モードっ!石破!天驚拳!」
「大回転…ロケットパアアアンチッ!」
「エナジーレーザー!」
「天地魔闘!」
 まさに天地を揺るがす死闘が続くが、傷一つないバーンに対してロボットは次々と傷を負い、戦闘機も一機また一機と沈んでいく。
 バランが傷つき倒れ、ハドラーもディスティニーに腕を切断された。フェンブレンが
 遠距離から援護する戦艦も、時に突然飛んでくるカイザーフェニックスにあちこちひどいダメージを負っている。
 そのアンドロメダが、突然軌道を離れて別の惑星に艦首を向けた。
「ヤマトならびに援軍に告ぐ!至急来たれ、さもないと拡散波動砲で撃つ!
 来るタイミングを安全なところで見きわめるなど怠慢罪で死刑に値する!」
「来た!援軍だ」
 皆が希望に満ちた目で見上げた空に、数百、いや千を越える光。
「ほう…」
 バーンが手を休め、空を見上げた。
「奴らを片付けぬ限り、あれを進めることはできぬな」

 強力なマヌーサで目をくらまし、隠れたバーンがハドラーとバランを回復させ、頑丈な金属でできた頭環をそれぞれに渡した。
「ハドラー、この余の魔力がこもる風泡の頭環を決してはずさぬように。
またあの天空では大地を踏みしめ、翼ではばたいて動くことはできぬ、常に飛翔呪文の応用で動くことになる。よいな」
「はっ」
 バーンパレスの一部が切り離され、増幅された浮遊力でぐんぐん加速され、天に昇ってゆく。
「おお…昼なのに星が」
「なんという超魔力」
「すげえな、オレたちのいた大地は丸かったんだ」
「ブローム」
「どのような敵であろうと、ただハドラー様の命で戦うのみ」

「いたぞ!本体だ…援軍のほうに向かっている!」
「くそ、追え!全機母艦に戻れ、至急大気圏離脱!」
「009たち、ルークは地上を監視せよ!003と001はついてきてくれ」
 次々とラー・カイラムにロボットたちが着地、大至急メンテナンスに入る。

 天のまた向こうで、どれほどの戦力が集まっているか、この惑星の住人は一人も知らない。
 いや、それがわずか五隻(アンドロメダ、主力戦艦二隻、ラー・カイラム、ソーラーバード)だけでもその気になればこの惑星の表面を粉砕できることさえ知らなかったのだ。
 その宇宙に、静かに多数の戦艦が散開する。
「001、なんとかバーンとコンタクトを取ってくれ」
 バーンの手元の水晶球から001の声が…そして、バーンがどうやったか、水晶球とメインパネルをつないだ。
「異世界の勇者よ、挨拶をしよう。余が大魔王バーンである」
「われわれはただ、助けを求められて参上したのです。どうか人間を苦しめることをやめていただきたい」
「何が目的なんだ!」
 009が叫んだ。
「余の目的など、お前達には理解できぬだろう…死ね」
 ぷつっと交信が途切れる。
「全艦戦闘準備!」
 戦闘機が次々に発艦し、戦艦が散開する。
「ハドラー、右翼は任せる。乗っている人にかまうな、エネルギーの中心を狙え」
 バーンが恐ろしい速度で飛び出した。
「なんという速さ…」
 ハドラーが驚き、静かに上昇が弱まる台を離れた。直後、数十発の砲撃が台を消滅させる。
「さて…征くか」
「おう!」「はっ」「ブローム」親衛騎団が声をそろえる。

「非常に小さく高速の相手だ、十分注意して迎撃せよ。惑星への流れ弾に注意」
「敵は非常に強力な、大型水爆並みの爆発物を使用することがあります。注意してください」
 主力戦艦の前に、バーンが瞬時に出現した。
「たっぷり楽しませてもらおう…余のベギラゴンはこう呼ばれる、カイザーサーペント!」
 巨大な、戦艦を包み込む大きさの光の渦が大蛇のように曲がりながら飛び、数隻の戦艦や駆逐艦を巻き込む。それが次々に溶け、燃え、巨大な火球に変わる。
「撃て!」
 周辺の艦が、まったく無差別に周辺にミサイルと主砲を連射する。
「バカ、よせ!レーダーが全く」
 その瞬間、打ち返された主砲に貫かれる艦。

「おお…さすがはバーン様」
 ハドラーが言うと、激しく咳き込んだ。
「ハドラー様!」
「案ずるな、戦いとなれば…来るぞ、シグマ!」
 飛び出したシグマが構える盾がレーザーをはじいた。
 Ξガンダムとディスティニーガンダムが立ちふさがり、一瞬の対峙からビーム砲と超高初速レールガンが連射される。
 ブロックがその巨体で攻撃をはじき、そしてフェンブレンを勢いよく投げつける。
 その体が高速回転する大剣と化し、ディスティニーガンダムに迫る…それを残像を切らせ、反転して切り返す、その手の根元にアルビナスがつかまって素早くひねる。
 ひねられた掌から放たれたビームが、アルビナスに当たって強烈な輝きが弾け、助けに行こうとしたヒムをΞガンダムが食い止めた。
「ザコにかまうな、戦艦をとる!」
 ハドラーが叫ぶとニ機のガンダムを蹴り倒し、一気に主力戦艦に迫った。
 ミサイルをアルビナスのニードルサウザンドが、レーザーをシグマのシャハルの鏡が止める。
 主砲に向かって突進…ぎりぎりまでひきつけ、主砲が放たれた瞬間見えていた甲板にルーラで着くと、そのままフェンブレンが風穴を開け、中にヒムとハドラーが飛び込んだ。
「どけどけい!ここか…超魔爆炎覇!」
 人間の迎撃を相手にせず、一気に中央のエンジンを破壊し、その爆発にまぎれて散開した。
「全艦全速離脱、散開しろ!懐に飛び込まれたらどうしようもない!」島が叫んだ。
「くそ、戦艦の数がかえって仇になったか。コスモゼロで出る!」近くにいたヤマトの古代が、ヘルメットをかぶって飛び出したところに
「古代さん!001から連絡です、ハドラーの体内には水爆並みの爆弾、なんとか捕縛し、バーンが爆発させる前に除去せよ、とのことです!」
「なにぃ…そんなむちゃな!」
「ラー・カイラム接近します」
「ミレニアム・ファルコン、収容を求めています」
「そういうことだ、なんとか…やれるか?」
「やらなきゃこっちも全滅ですね、それでバーンもあんなに距離をとっているんですか」
「ぎりぎりの安全範囲、といったところだな」
「とにかくやるぞ、あの金属人形はオレたちが抑える!アムロ、いっきまーす!」
 カミーユとジュドーも相次いで飛び出す。
 重力お構いなしに上昇したビックバイパーが、ハドラーとアルビナスを分断すべくエナジーレーザーを溜め打ちした。
「うぬ」
「ハドラー様!」
 そこにディスティニーの大型砲が襲い、アルビナスも全速で…残像と残像がすさまじい勢いで切り結ぶ。
「あの戦艦、なにやら違うな…」
 ハドラーが静かに剣を構え、再び咳き込み…目を見開いて切り込んだ。
「迎撃、だが当てるな。白兵戦に誘導しろ。総員宇宙服着用」
 古代の指示、009たちとルークが待つヤマト。
 第三艦橋がイオナズンで吹き飛ばされるとハドラーが進入した。
「敵進入!」
「いくぞ!」
 ルークと005、009がハドラーの前に立ちふさがった。
「おお、貴様達か…勝負だ!」
 地獄の鎖が005に巻きつき、激しい力比べになる。
 そこにルークと009が切り込むが、イオラの連発がヤマトを揺るがし、そしてルークのライトセイバーを覇者の剣が受け止める。
「いまだ!」
 叫んだ瞬間、背後の…大型消火器に扮していた007が、背負っていた冷凍手榴弾を投げつけた。
「マヒャド、いや…それ以上…」
「話は後だ!」
 009が大型の、拳銃形の注射器をハドラーに刺す。ハドラーが麻痺したように動きを止める…
「佐渡先生!ドクター・サカグチ!」
 飛んできた二人の医師が一目見ると、
「ここを切開しろ!」
 ルークのライトセイバーが、無言でハドラーの腹を慎重に切開した。
「内臓に食い込み、本人が死んだり強力な攻撃を受けたりしたら起爆するようになっちょる」
「ひどい話じゃな、酒は十分入ったか?」
「ああ、そっちもたっぷり飲んだな…急ぐぞ」
 瞬時に取り出された爆弾、宇宙最高の医師二人が素早く内臓の管をバイパスしていく。
「何とか助かるじゃろう」
 爆弾を渡された009は全速でドックに回り、無人化された駆逐艦に放り込んだ。
 素早く離れた駆逐艦が、一気にワープする…宇宙のどこか、安全なところへ。

「まて!傷がどんどん開いていく、もうとんでもない改造手術が行われているようじゃな…ギルモア博士!ギルモア博士を呼んでくれ!」
「ちょ、ちょっとドクター」来ていた古代が口ごもった。
「なんじゃ?爆弾は取り出したからもうコイツを宇宙に放り出せ、とでもいうんかい?わしらは医者じゃぞ、医者が患者を預かった以上、敵だろうが味方だろうが善人だろうが悪人だろうが助けるだけじゃ!」佐渡先生が酒を飲み干しながら啖呵を切る。
「間に合ったか、ギルモア博士!ちょっと厄介な改造手術をやられとる、あんたの技術がなければ助けるのは難しそうだ…何もせんでも、このままじゃ長いことなかったろう」
 一瞬悲痛な表情をしたギルモア博士が頭を振り、
「呪われた技術だが…患者を助けるためなら」と、009に次々と指示を出し始めた。

「ハドラー様は!返せ!」アルビナスが叫んでディスティニー+に、まるで理性を失ったように打ちかかる。
「いいか、ハドラーの体内には爆弾があったんだ。それを取り出しているんだ!落ち着け!」ジュドーの叫びに、親衛騎団が凍ったように動きを止める。
「そんな…バーン!」怒りに満ちたヒムが怒鳴り、拳でマジンガーの肩をぶち抜いた。
「なんという」シグマが唖然とした。
「とにかく、手術が済んだら主人は返す。それまでおとなしくしておれ、手術の邪魔じゃ!」
 佐渡の一喝に、親衛騎団は静かに動きを止めた…彫像のように。

「無人だ!多数の無人艦と無人機で囲め!」
 タイラーの命令。
 そして命のない機体が、味方を誤射することもいとわず、むしろ誤射されて爆発する無人の味方を爆弾として叩きつけながら光の嵐を注ぐ。
「ぐうううっ…これまでか…」
 さすがに傷ついたバーンが、ふっと丸い大地を見下ろした。
「余も、覚悟せねばならんな」
 と、額に指をかけ、何かをえぐりだし始める。
「おおおおおっ!」
「やったか…」膨大な金属粒子ガスの嵐が渦巻く中、じっと見守る艦隊…そのレーダーに、
「タイラー提督!大型の…駆逐艦サイズの何かが!」
「全艦小ワープ!」
 一瞬で艦隊がかき消えた、その瞬間にバーンのイオナズン…一瞬ライオンのような姿を宇宙に踊らせて逃げ遅れた一隻に噛みつき、直後核に匹敵する爆発が戦闘宙域を吹き飛ばした。
「あ、危なかった…」
「やっと…好みのサイズになったな!」
 襲うマジンガーを、巨大化したバーンはまるでぬいぐるみをひねるように両腕をひきちぎり、手近の戦艦を打ち砕いた。
「隙あり!これで…」ボルテスVの超電磁ボールがバーンを一瞬足止めし、そこにVの字切りが一気に切り込まれる。
 左脇からはディスティニー+の対艦刀が、右脇からはW+の大型ビームサーベルが食い込んでいく。
「おお…」
 鬼眼を閉ざしたバーン、天空剣と対艦刀が弾け折れ、Wが翼を失って放り出された。
 だがそのすさまじい力に、バーンも吹き飛ばされる。そこはヤマトの真正面…
「波動砲、発射!」
 至近距離からの波動砲の直撃、と見るや、とてつもない力が波動砲をねじ曲げ、大地に向けた。
「これを待っていたのだ!これで、地上は破壊されよう…明日の太陽は、魔界に昇る!」
 全員が声なき悲鳴を上げた、が、その波動砲の光の柱に、何かが飛びこむのが見えた。
「このガンダムは…伊達じゃない!」
 アムロのDX+が背中を向けて翼を広げ、波動砲の、宇宙そのものの力を吸収し続けた。
 その力が余り、頭部が、脚が、腕が、サテライトキャノンの砲身が蒸発し、消えていく。
「おおおおおおっ!」
「アムロ!」
「アムロさん!」
「駄目だ、無理に決まってる、エネルギーが暴走して…」
 そこに数機の影が寄り添った。それぞれ一本の手、一本の足しか持たぬような壊れかけた機体が。
 互いをつなぎ、莫大なエネルギーを分け合って。
「みんな…逃げろ!」
「ばっかやろう、こんなカッコいいシーンから逃げられるかよ」とドモン。
「みんな、力を注ぐんだ!つながれ、宇宙の全ての魂を!」カミーユの祈りが、艦隊全部の意志力を機体に集めていく。
「僕だって」とハサウェイ。
「行くぞ…この対艦刀に!」ジュドーのディスティニー+が折れた対艦刀を、一本だけ残った右手に掲げる。
「行けぇ!」叫びとともに、対艦刀の折れから莫大なエネルギーの剣が吹きだし、振り返りざまの一刀両断…バーンが鬼眼ごと両断され、そのまま蒸発して消えうせた。
 そしてガンダムたちも、光の嵐に溶けるように消えていく…数条の閃光が、そこから飛び出してラー・カイラムに向かう。
 さらに刃の余波が、巨大な時空の裂け目を作り出す。その向こうにはなつかしの地球…そこに次々と、一列になった艦隊が帰っていった。

ちょっとしたエピローグ

「あの戦いは…夢だったのかな」木星往復の船の中で、ジュドーがつぶやいた。
「さあ…夢みたいな戦いは、しょっちゅうやってるじゃないか。あちこちの宇宙のみんな、今頃どうしてるかな」カミーユが、宇宙の深淵をじっと見つめる。
「ドモンさんは相変わらず修行修行だろうな。次にはレインさんとの子供も見られるかな」
「あの惑星はどうなるだろう…オレたちも人のことは言えないけど、あの惑星の人間は相当勝手だったよ」
「さあ…どうにかなるよ」

 ふと、最後にあの惑星に降りたときのことを思い出す。
 半ば機械化され、超魔生物の再生能力もあって傷の癒えたハドラーに別れを告げたときのことを。
「こうしておめおめと生き永らえ、これからどうすればよいのだ」
「冷たいようだがな、生きる意味なんてわしが決めるもんじゃないわい。わしはただ命を助けただけじゃ」佐渡がぷいっと言い、ついでにバーンパレスから秘蔵の酒を片端から盗んで振り返りもせず去った。
「バーンの目的は、あくまで魔界の虐げられている魔族たちに太陽の光を見せたかった、神々を見返したかったことのようです」と、アムロが膨大な書物をハドラーに手渡した。「もちろん、これをどう使うかは自由です。活用すれば科学を学べるだけのものは、人間側にも残してきました」
 そう言って軽く敬礼し、ラー・カイラムに飛び乗る。
「うらやましくなりますよ、魔という敵がいるこの世界が…われわれは常に、人と人が争ってきたのです」009がそうつぶやくように言って、ファルコンに飛び乗った。「愚かな人間たちと、魔族が切磋琢磨すれば」
「おおい、早く行かないと門が閉まっちまうぞ!」「ウフォーゥ」
 ファルコンがゆっくりと浮上し、一気に加速を始める。天には、今もまぶしく巨大な裂け目が広がっており、人間は遠くでただ恐れ祈っていた。
「参りましょう、ハドラー様…いかなる道を選ぼうとも、われわれは常にお供いたします」アルビナスがハドラーを支え、かすかに幸せそうな笑みを漏らしてラー・カイラムに一礼した。


現段階での結論

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