りぼん2009年6月号感想

付録が文房具フルセットという、他二誌に比べて一気に豪華なのには驚きました。
開けたときのびっくりは大きいでしょうね。
この一号に大きく集中している、という気がします…一号ずつやや豪華な別々の文房具を付録にして数号買えばフルセットそろう、というほうがよく見られますし、売り続ける効果も高いのに。
とにかくこの一号を買ってもらう、という考えでしょうか?

かなり「重い」感じが強いですね、多くの連載が。「ちゃお」なら「みい子」があるから息抜きできるんですが…

桜姫華伝(種村有菜)アニマル横町(前川涼)HIGH SCORE(津山ちなみ)Kiss me ホスト組(優木なち)スターダスト☆ウィンク(春田なな)勝利の悪魔(槙ようこ)MOMO(酒井まゆ)超特急☆ひよっこ(上田倫子)夢色パティシエール(松本夏美)フライハイ!(小桜池なつみ)CRASH!(藤原ゆか)絶叫学級(いしかわえみ)次号予告

桜姫華伝
かなり色々な思惑が絡んでますね。
痔の薬、というのがさりげなく強烈なギャグです。
「琥珀がまた看病します」という台詞は、読み返してみるとかなりの覚悟入りですね。
死者が出た、ということも軽視してはなりませんね…
藤紫との会話は若い男の子らしいですね。まあ若い男の子というプライドの化け物がこんなぶっちゃけた会話をするのはどんな親友だという気もしますが。
「桜以外に女などいらない!」というのはこの時代に録音機がないのがとても残念です。
姫というのも実に複雑な存在ですね。軽視されているようで重視され、警戒され…
守りたい、という感情…
「帝になることだけが」という言葉もかなり重みがありますね。
不老不死の代償…これはあまりにひどいです。ショック死という情けさえないとは…
琥珀ちゃん、どれほど苦しむかわかっていながら看病を引き受けるとは…
指をかませる、というのもかなりエロ…
一緒に寝ているのを夢だと思ってしまうのがかわいいです。
この一番素直な、心の底までのぞいてしまうような告白を受けて、最初にやることが…白夜に絶望的な未来を確認することだとは…
愛するのも殺すのも諦める、というのが一番きつい…
命字で選んだのですか…年長者ですね、情熱ではどうにもならないすさまじい絶望があることをよく知っている…
そして淡海が…彼女はどちらを選ぶでしょう。「話したら」というのは「書いたら」を禁じていないのでは…他にも方法はいろいろある…
しかしこの、詰んでいるような感じは苦しいです。

アニマル横町
かなり現実的な話ですね。
将来も景気は良くならない可能性が大きい、と池田信夫ブログにありましたっけ。
なんというか小さい子がどんなふうに見ることか…心配ですが僕には面白いです。
「かいてる方が経験ない」は苦笑しました。
最後にきれいにもっともなことを言って…

HIGH SCORE
沙夜ちゃんに頼っちゃダメでしょう。というかふと、沙夜ちゃんを各種ホラーの狂言回したちと対決させてみたくなりました。「なかよしラブリー」で連載が始まった蜘蛛の化け物とか「闇は集う」の番人とか「アウターゾーン」のミザリィとか…
オヤジ女子高生の展開がすさまじい…ホテルのドアを馬で蹴破った支配人のことを思い出して爆笑しましたけど(何でそんなの読んでるかって?僕が新人チェッカーだからです…まあわかる人だけわかってください)
おっぱい…確かに女の子ですが…
猫になるだけでなんでこうなるんだ、とは思いますが…

Kiss me ホスト組
まともに机に顔をぶつけました。
カルチャーショックと思ったら…なんだこりゃあああと叫びたくなってきました。
ほとんど女子ばかり、というのも気楽でいいですよね。
いきなり宝塚というかご丁寧にミラーボールまで!あれ高いんですよ!
「豪」を使った言葉の繰り返しは実にうまい。
ノンアルコールはいいんですが…これは田舎出身じゃなくてもくらっとなりますね。
確かにとんでもない高校ですね。
絶対的なルール、って…なんというか女の子のすごい顔がすごいです。
確かにドジっ子です。
罰…確かに法の不知はこれを許さず、というのが法の原則ですが、そこまでの権限があっていいのでしょうか?
女の子の欲望を満たし奉仕する…まあそうですね。
すごく厳しいスケジュールですね。というか勉強は二時間だけというのは法律レベルで危険では…
そして嘘泣きしてキザ台詞を誘って、ここはカッコいいです!
幸せな男女交際に憧れていた…でも、それには常に望まない妊娠およびデートレイプというリスクがあります。このシステムは、その危険を最小化するためにも現実的ですよ…ある意味。
「女の子にキスをしたり本物の恋愛関係になれば退学」というのは、普通の恋愛以上に望まない妊娠の、男側のリスクを引き上げることで妊娠の危険を大幅に引き下げることが可能です。
望まない妊娠のリスクを引き下げることだけを考えればこのシステムも合理的ですよ。
ただし、ゼロに近づけるには…現実の男子ではなく「男役」にすればより安全になりますよね。想像して爆裂しましたけど。
結局雑用をやらされるはめに…
偽りの愛より運命の人と本気の恋愛…運命の人と本気の恋愛ができるのが、どれだけの確率なのかを考えてもそんなことが言えるでしょうか?
普通の純粋な恋がしたかった、という純朴さがすごく素敵です。
ホストだと本当に優しくしても信用されない…あるディナーショービデオでの歌を思い出しましたね、「心から愛を求め口説いたときも相手にされない」…
そしていきなり、退学覚悟のキス…これはもうホストとしてじゃない、一人の男として…というかホスト組のみんなも、自分の境遇に苦しんでいることはあるでしょうね。恋愛感情というのは最も強い感情の一つですから…
発想がすごい、とにかく超ハイリスクハイリターンの題材ですね。

スターダスト☆ウィンク
確かにこれは恥ずかしい。
「手作りって味じゃなくて」が大笑いでした。
プレゼントが絵ですか。これは結構嬉しいかも、モザイクだらけですが。
学力検査について颯くんと日向くんに聞く、というのも家族同士の親しさが見えて楽しいです。
紅ちゃんも色々楽しいです。
真白くんが出てきたらどうなるんでしょうか。
紅ちゃんの容赦ない問い詰めには僕が座ってられなくなりそうでした。
三人で探す、というのも子供扱いです。
「謝らなくていいから」という言葉、女を感じてしまいました。彼女のほうが杏菜ちゃんよりずっと精神的には早熟ですよね…
同じ高校にいくとは限らない…そうですね、中学が違うのはほんのわずかな私立進学者だけですが、高校はほとんどがばらばらになる…
お、最後に出てきたのが真白くんですか。というか…まあ余計なことは考えずにおきましょう。

勝利の悪魔
このカラーの色センスがすごい。黒の使い方がすごい。
ウチのしもべ、というのもある意味極端ですね。
自分も元お金持ちでは?
クロムハーツの名前は知りませんでした。銀は磨かなければならない分手がかかりますがその分愛着も出そうですね。
家事は大変ですがこれはこれでいい花嫁修業になりそうです。というかあの貧乏生活でちゃんと家事をしないでいられるということは、あの父親相当家事能力が高い…?
あいさつがてらに…面白い作戦ですね。アホですが見ているだけなら楽しい。
作戦は結構成功していますね。光くんの存在がなければ成功していたとは…常識人と思ったらいきなり結婚しませんか、とは…
確かに不幸のとばっちりかも。
直さなきゃ、で大変なことになるのもある意味お約束です。素直に謝ったほうがいいのに。
「私なのがやだ」というのがすごくわかります。
水に飛び込むイベントはなくあっさり諦めたんですね。珍しい。
あっさり両方貧乏になっていた、というネタはばれましたね。どうなることやら。

MOMO
このカラー扉はホラーマンガをちょっと意識しているような。
藤田さんが出続けているのはちょっと嬉しいような複雑です。
いきなり取り壊し…実は心のどこかで、僕は自分が住んでいるところが取り壊されないかと思っています。引っ越したいけど行動するほど強い気持ちじゃない、ということで。
モモちゃんのおうちに、とそれだけでぽん、は笑えました。
腕をパタパタしているところは子供っぽいです。
プレゼントで、人を喜ばせるという喜び…というか喜びって何でしょうね。進化心理学的には…
ひとつだけ、の繰り返しで全部食べちゃった…これまた子供ですね。
「お前を置いていった人間なのに」というのが…親でも愛情がない、または養育を放棄することもありうる、という現実を伝えたかったのでしょうか。
このおばあちゃんが大家さんで、このおしゃべりから同居がなくなる、という皮肉はうまいです。
ずっと子供っぽいところばかり見せていたモモちゃんが「日本人の寿命は大体80年と聞く」と何劫を経た魔王らしい言葉遣いになるギャップもいいです。
僕の人生があと一年九ヶ月しかなかったら…とにかく今書いている書き物をまとめて発表して、なんとかナイフ格闘の大会捜して参加して…
ナナギがそういう存在だったとは…なんかすごいことになりそうですね。

超特急☆ひよっこ
お母さんの支援とは…サービスのいい神ですね。
ひよちゃんのパニックがすごく伝わってきて、見ているだけで焦ります。
尻ポッケに入れる癖をわかってくれている、っていうのがじーんとしました。
今度は日曜にデート、でも小さい弟はどうしているんでしょう?
電車の話を聞いてくれる女の子…ありのままの自分でいられる女の子…それがどれほど得がたいか。でもそれを求めてしまうと、それこそどんな美女や身分よりも非現実的です。
プリクラが初めて、というのは苦笑しました。僕も経験ないですけどね。
そして「つきあってほしい」で…答えられない苦しさ、わかんないとパニックになるのも子供の心ですね。
小鳥の母親に励まされるなんて…いてくれるっていいですね。
そして電車を通じて…ある意味筋の通らない行動、でも気持ちだけはすごく伝わって、だから北斗さんにはひよりさんの正体もわかった…
結局施設にいくことになる、というのも胸が痛いですが…鉄道の話さえ聞いてくれる女の子なら十年ぐらい軽いですよ。
かなり激しい話で読むのがかなり疲れましたが、テーマもしっかりしていて、未加工のエネルギーをぶつけてくるようで結構面白かったです。

夢色パティシエール
花房くん、ぶっ壊れてますね。
本当に難しい課題、だからこそそれをクリアできたら大きいと思います。
とうとう怒ってビンを投げてしまうとは、よほど苦しんでいるんでしょうね。
池に飛び込んでまで…樫野くん、おいしいポジションです。
これがヒントになる、というのは意外でした。というかスポンジケーキだったらトライフルから発想できたはずだったのに…
さらにいちごちゃんのイメージ能力、高等部側が今回それほど悪役にならなかったのも正解でした。今回は相手より自分との戦いでしたからね。
パウンドケーキをおいしそうに描くのは怖いです。バターの塊なのに!
バラ状にグラデーションした盛り付けは見事の一言!
家族、というのはやや弱いのがちょっと残念。
四つの味を計算して、皿全体で…ううむ、ここも説得力あります。
食べて負けを認める、というのは…前回悪役だった分あっさりしすぎていますけどね。
味覚とイメージ力の高さ、いちごちゃんをスカウトしたのは本当に大成功でしたね。
回想シーンと香をあわせるのはとても見事でした。
いきなりキスして、「ほっぺにチューなんて花房くんにとってあいさつ」…かわいそうに。

フライハイ!
簡単に答えられる答えはない、難しい問題です。
人間には邪悪の正規曲線があり、集団の攻撃性が暴走することも多く放置すれば残酷なことになるという現実から目をそらすのも間違い…現実に、もし学校が何もしないままで芽留ちゃんが来なかったらほとんどの生徒が「安全に学ぶ権利」を奪われていたことは確かなのです。
学校における生徒の安全を確保するのが最優先なのは当然です。
でもゼロトレランスは確かに排除の世界観を子供に植えつけ、また人を陥れるのがうまい邪悪がのさばって恐怖政治化しやすいなど欠陥が多いので、それが正解とは僕には思えません。
原理的には学校内での暴力を容認してはならない…人格で排除するのではなく、行動で…いや、行動のみで人を裁くのはゼロトレランスの本質です…ただしゼロトレランスの徹底した「不適個体の排除」ではなく、暴力を止めることは徹底するけれど個体を排除することはしない…排除以外の有効な罰が必要です。
少なくともゼロトレランスもある意味理想論であることは認めないと。
いや、僕自身がゼロトレランスの背景理論や、それに反対している心理学上の議論、さらに実際のデータを何も知りません。はっきりしたことはいえないのですが…少なくとも感情部分は芽留ちゃんの肩を持っています。ゼロトレランスナイフは叫びたいほど大好きですけどね。
「君はこの学校に必要ない」という言葉から、行動を重視するゼロトレランスよりむしろ「腐ったリンゴの排除」という人格評価の…穢れで人を判断する前近代の精神構造が強く伝わってきます。そう、理念どおりのゼロトレランスは教師が人間だと不可能なんですよ…
針谷くんの頭脳を生かした反撃を楽しみにしていましたが、それがないのは残念。
「中学時代の子どもたちにとっては」それは正しいです。安全に学ぶ権利を確保しなければならないのは事実…
グループからの隔離で起きているのは、権力の空白といじめ構造の移動でしかないような…暴力と権力の構造事態を解体しなければ。
そのためには…善悪考えずにやれば敵味方構造・上下関係の確立と余計なことができないレベルの運動負荷・睡眠不足・単純な文句の暗唱の強要…要するに軍隊やカルト教団の手法。それをしないなら…わかりません。
「先輩は「必要ない存在」なんかじゃ絶対ない」…ゼロトレランスは結局、多数の人を完全に社会から排除する、具体的にはスリーストライクアウトで終身刑にすることで社会を維持している、という批判さえありますね。
いきなり抱き寄せるのはびっくりしました。
恋愛がらみが起きると力がなくなる、という欠点…というか恋愛関係もどうなるでしょうね、いろいろややこしいことがありますし。
針谷くんが芽留ちゃんとルカくんの関係に気づいたことがこれからどうなるか…
「こいつ鮎沢グループの」という、暴力の容認をなんとかしないとどうにもならない…その意味ではゼロトレランスでさえありません。
「計算してたんだよ」というのも…権力の動きを制御することを考えて?それとも「腐ったリンゴの排除」という感情で?
素手でガラスを割るのはとても危険ですよ。
「「大人」の言うことは、「偉い人」の言うことは本当にいつも正しいことですか」…この一言には涙が出そうになりました。僕も徹底して疑う人でありたい、あり続けたい…それしかないんです。
「「目障りな人間は排除していいんだ」と思いながら卒業する」という言葉もすごく重いです。どうやって排除の論理でなく生徒たちの安全を、人間の邪悪を前提に確保するか…
宇野先輩の感謝が苦笑しました。
「市播先生とも分かり合いたいから」という言葉がまた涙でそうでした。
問題は、相手が…鮎沢はそうではないようですが、本当に邪悪だったとしたら…
とにかくすごくテーマが深く、メッセージがまっすぐで力強い、小桜池先生らしさがよく出た回でした。

CRASH!
相手のことをしっかり理解してWin-Winでいく、すごくいい解決でした。
感情より損得のほうが大切、というのもわかります。
「事務所の力に頼ったら」というのはそうですが、もしかしたら自分の力だけではどうしようもないことがあるかもしれない…人に頼る力が必要になるときもいつか来るかもしれません。
相手を認める、という姿勢は老人にだってない人のほうが圧倒的に多いのに、花ちゃんの年齢で…いや、これは年齢じゃないですね。
すごい量の資料があるんですね。
そして相手のことをよく調べて…
のぞき二度目、は苦笑しました。まあ見えてませんが。
「認めないってウソつくことも」というのは…僕に似た考え方のような気がします、人について最悪を考えるのは。
花ちゃんの人を見る目を全面的に信じる…CRASHの五人にとってもきつい信頼です。
そしてみんなでの大作戦、すごいです。
で、この手で来るとは!確かにある意味嫌がらせです。一番思いだしたくない心の傷を…でも逆に感情的になったら負け、相手の意志の強さも信じて…
「認めあうことで力に変えたいから」…こんな仕事ができる、大人さえそうはいませんよ。それほど人間の自己中心性・憎悪やレッテル張り・派閥思考などは強い…読者が大人になったとき、このシーンを思い出せるときがあって欲しいです。
自分も若い頃は…と、美雪さんの心の動きも丁寧に描かれていてすごくいいです。
やはりすごく重みのある作品ですね。

絶叫学級
これでアンハッピーエンド?というのがちょっと驚きでした。
もしかしたら…次の日だったら自分の弱さに勝てたかもしれません。人間、英雄になるか卑怯者になるかは紙一重だと思います。
腕をもがれる…だったらモルヒネと止血帯を用意しておけばよさそうですが、それでもショック死を免れるのは難しそうですね。第一モルヒネは麻薬ですから用意できませんし。
結局はこの両親の、子供の人格を無視した勝敗の押しつけが問題だった…だからこそ、二人にはそれを克服して欲しかったのですが。
二人助け合って必死で傘を捜すところは希望を持たせてくれました。だからこそ読み返していると辛いです。
しかし、二人とも助かる方法はなかったのでしょうか?
心の中の悪魔…自覚するしかないです。自覚して、そして…神なしにそれと向き合って生きていくのも地獄ですけど。
正直読後感がかなり悪かったです。

来月号は雪丸先生の連載、と優木先生に並んで若い作家の連載が更に増えて嬉しいです。
夢色パティシエールかMOMOの重大発表はないのでしょうか…いや桜姫華伝やスターダスト☆ウインク、CRASH!もありかも。
もう少し読後感のいい雑誌であって欲しい、と思うのはちょっと贅沢でしょうね。

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